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埼玉医科大学総合医療センター[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2018年2月22日登載/2018年02月作成

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  • ●病院長:堤 晴彦 先生
  • ●創設:1985年
  • ●病床数:1,053床
  • ●所在地:埼玉県川越市鴨田1981

川越エリアの基幹病院として
乾癬外来をはじめ専門外来にも注力

埼玉医科大学総合医療センター皮膚科では、午前の一般外来に加え、午後は専門外来を行なっている。専門外来はアレルギー外来、乾癬外来、光線外来、慢性疾患外来、腫瘍外来があるが、乾癬外来は2010年の生物学的製剤の発売に合わせ開設された。乾癬外来の患者数は現在約120人となっており、その多くが生物学的製剤で治療を行っている。乾癬での生物学的製剤の導入例数としては、関東地域で10指の医療機関に入る規模となっている。
乾癬外来は、同科准教授の寺木祐一氏が中心となり診療しており、川越エリアにおける中等症・重症乾癬患者が安心して治療できる専門外来となっている。
同センターおよび皮膚科、特に乾癬外来の状況について、寺木氏に伺った。

1. 地域医療における皮膚科の役割 生物学的製剤の登場により、
患者満足度が大幅に高まった乾癬外来

埼玉医科大学総合医療センターは、1985年6月に埼玉県南西部に位置する川越市に同大学2番目の附属病院として開設された。医療圏は川越市だけでなく近隣の上尾市、ふじみ野市、坂戸市など人口約100万人をカバーしている。

開設以来、地域に必要とされる診療機能を次々に備え、現在は36診療科、病床数は1,000床を超え、一日の外来患者数も約2,100人と、県内で有数の総合病院に発展。また、99年には高度救命救急センターの指定を受け、2000年には総合周産期母子医療センターを開設。07年にはドクターヘリ基地病院となり、16年には小児救命救急センターの指定を受けるなど、地域の救急医療にも大きく貢献している。

皮膚科も同様に地域の中核的な役割を担う。同科で取り扱う疾患について、寺木氏は「アトピー性皮膚炎や蕁麻疹、乾癬、にきび、水虫、イボなど皮膚特有の疾患から、膠原病、サルコイドーシス、糖尿病といった内臓疾患に伴う皮膚疾患、さらに皮膚良性腫瘍や悪性黒色腫など皮膚悪性腫瘍の手術を随時行っているのも特徴である」と説明する。この10年間、同センターでは地域の診療所や中小規模病院との医療連携に注力しており、皮膚科の外来患者も約半数は紹介患者が占めている。

「アトピー性皮膚炎や乾癬の紹介患者さんは重症化していることが多いため、専門外来を開設し対応することで質の高い医療ができるようになっています」と話す。乾癬患者は一般外来では150~200人を診療しているが、専門外来では一般外来でフォロー困難な中等症・重症の患者約120人を診療している。

「乾癬の治療は、2010年の生物学的製剤の登場により状況は一変した」と語る。「それ以前の中等症・重症の乾癬治療は有効な治療薬がないことから、"治らない病気"として、医師も患者も半ば諦め顔で治療を行っていた」と話す。近年、ステロイド/ビタミンD3の配合外用剤、新規内服薬なども発売され治療の選択肢が増えたことも朗報であるが、生物学的製剤のインパクトは極めて大きく、重症例であっても80~90%の患者で症状が軽快できるようになった。「生物学的製剤により、患者満足度は飛躍的に向上したのみならず、我々医師も治療意欲が高まっている」と話す。

寺木 祐一
皮膚科診療副科長・准教授

2. 乾癬外来の状況 中年男性が中心の専門外来
他科との連携で多面的なフォローも

一般外来では、外用剤、内服薬、光線治療などを行うが、それでも効果が不十分な中等症・重症の乾癬患者を専門外来で診療している。乾癬外来では生物学的製剤による治療効果に強い手応えを感じたことを受け、約90%の患者で生物学的製剤による治療を行っている。「同剤を使用する際、導入時の患者説明、治療後も検査やフォローなどが必要となる。当院のように患者数が多いと、一般外来で実施するより、専門外来で導入、管理を行う方が、きめ細やかな診療ができる」と話す。

乾癬外来で診療している患者年齢は20~90歳と幅広いが、40~50代が中心で、男女比は5:1と男性が圧倒的に多くなっている。このような患者背景もあり、メタボリックシンドロームをはじめ、糖尿病、高脂血症、高血圧症などの生活習慣病を基礎疾患にもつ患者が多いため、生物学的製剤の導入は慎重に行う必要がある。治療開始前に内科と連携をとり、きちっと治療されていることを確認することも大切となる。

また、生物学的製剤の副作用をチェックする際は、呼吸器内科、放射線科、感染症科との連携が必要となる。「副作用では感染症に注意が必要で、使用前に間質性肺炎やカビなどの有無を血液マーカー検査で精査するだけでなく、CTで肺の状態を確認し、怪しい場合は呼吸器内科の診察を受けてもらうこともある。このようなケースでは使用後も半年に一度、CTを行い、肺の状態を継続的にチェックしてもらいます」と話す。さらに、乾癬外来で診ている患者の2~3割は関節症状も併発していため、関節症状がひどい場合は画像検査などを行い、整形外科やリウマチ科と連携を取り合い、ときには共同で診療するなどしている。症例によっては、乾癬による関節炎ではない場合もあり、リウマチ科に紹介することもある。「乾癬に対する生物学的製剤の使用にあたっては、他科との連携し、多面的に診療・フォローすることも大切である」と語る。

3. 乾癬外来における生物学的製剤の実際 自己注射指導から医療費制度の説明まで
きめ細やかな診療が専門外来で可能に

乾癬外来では、自己注射の手技をはじめ生物学的製剤を導入する際の指導を主治医が行っている。「新規に同剤を使用する患者に対し、外来では2回ほどの指導となるが、ビデオや冊子で自宅でも勉強してもらうことで、問題なく自己注射ができるようになる。当科では多くの方が自己注射で治療しています」と話す。自己注射導入後、最初の半年間は月に1回程度受診してもらい、副作用の出現状況や手技の定着状況を確認し、問題がなければ2~3カ月に1回の受診としている。

生物学的製剤は高額であるため、導入を勧めても拒否される患者さんがいる。このため、高額療養費制度など医療費に関する説明も大切になり、乾癬外来での主治医の大きな仕事となっている。「患者の負担額は治療継続の観点からも重要なファクターとなるため、しっかりサポートします。治療前に窓口での支払額を軽くする限度額適用認定証を申請するように勧めています」と話す。「同剤でしっかり治療をすればかなりの割合で改善するため、ドロップアウトする患者さんはほとんどいなくなった。自己注射の場合、治療に対するアドヒアランスも高くなり、患者自身が意欲的に治療に取り組んでいるように感じます」と患者側の変化について語る。また、医師側にとっては、「午後の時間を乾癬患者に集中できることで、生物学的製剤の副作用など、患者の小さな変化にも気づくことができることが大きなメリット」と話す。

専門外来として使用する診察室の壁には乾癬治療にかかわるさまざまな情報を貼り出し、患者への適切な情報提供に努める

4. 生物学的製剤の選択 複数の生物学的製剤から
各患者に最も適した薬剤の選択を

現在、生物学的製剤は6剤、点滴製剤が1剤、皮下注射製剤が5剤発売されている。「近年、皮下注射製剤が増えてきたため、医師の効率性、患者さんの利便性から点滴を選択することは減ってきた」と話す。さらに皮下注射製剤では、投与間隔が2週のものが2剤、4週のものが2剤、12週のものが1剤ある。「12週間隔の製剤は医療機関で注射するが、その他の製剤のうち4剤は自己注射が承認されているので、これらの製剤を選択する場合は自己注射を勧めています」と話す。また、作用機序的には抗TNF-α製剤、抗IL-12/23製剤、抗IL-17製剤の3種類に大きく分類される(2017年12月時点)。

6種類ある生物学的製剤から個々の患者に最も適した薬剤を選択、推奨することが主治医の大きな役割となる。寺木氏は、次のようなことを考慮しながら治療薬を選択していると話す。(1)疾患による選択:尋常性乾癬と乾癬性関節炎では推奨する薬剤が異なる。(2)症状による選択:重症度により薬剤の治療効果を考慮する。(3)年齢による選択:高齢者では合併症や感染症のリスクを考慮する。(4)患者の生活スタイルによる選択:自己注射の可否、受診間隔の希望など患者からの要望を考慮する。

「薬剤の種類が増えてきたので、症状だけでなく患者さんの年齢や生活スタイル、希望などを考慮しながら選択できるようになったのは大きなメリット」と評価する。一方「同じ生物学的製剤を使い続けたときに効果が減弱して切り替えが必要になることもある。どのような患者に、どのような薬剤を選択するかは、難しい問題だが、これから症例を積み重ねていくことで、先を見越した生物学的製剤の選択が可能になってくるだろう」と話す。

5. 乾癬外来の今後の課題 "治らない病気"から"上手く付き合える病気"へ――。

患者満足度を高めながら順調に診療を行っている乾癬外来だが、今後の課題として、地域の診療所をはじめとする一般医療機関への情報提供の必要性を語る。「内科開業医で診察する機会の多い関節炎だが、その一部に乾癬が併発していることがある。関節炎に目が行きがちであるが、頭部(髪の生え際や耳の後部)や体の皮疹や爪症状などにも目を向けて診療することで、乾癬が合併しているかどうかがわかる」と話す。現時点では、乾癬があるにも拘らず、内科でリウマチと診断され、整形外科やリウマチ科に紹介されることが多いので、そのような症状を啓発することが必要である。このため、医師会等の勉強会を通じて情報提供を行ってきたが、これまで以上に力を入れていきたい、と意欲的に話す。

ここ数年で乾癬の治療は様変わりした。「今後は重症化する前の患者に対しても生物学的製剤が使いやすくなれば、もっと質の高い治療ができるようになるだろう」と寺木氏は話す。一人でも多くの乾癬患者が新しい治療の恩恵を受け、快適な日常生活を送ってもらえるよう埼玉医科大学総合医療センター皮膚科は乾癬外来を拠点に、この地における乾癬治療をリードする。

KK-18-02-21289

乾癬治療最前線

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