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群馬大学医学部附属病院[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2018年11月05日登載/2018年10月作成

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  • ●病院長:田村 遵一 先生
  • ●開設:1943年4月(前身の前橋医学専門学校附属医院設立)
  • ●所在地:群馬県前橋市昭和町3-39-15

約300人の乾癬患者を専門外来で継続的に管理
患者会との連携による啓発活動にも取り組む

群馬大学医学部附属病院は群馬県内唯一の大学病院で、県内外の多くの患者が利用している。中でも皮膚科は専門外来数と入院ベッド数において全国的にもトップレベルの規模を誇り、"北関東広域圏の皮膚メディカルセンター"を自認、幅広いニーズに応えている。「乾癬・角化症外来」は週2回、各半日だが、通院の患者数は約300人。ほかに乾癬の最新治療にも取り組んでいる。人々の乾癬への理解を深めるべく、「群馬乾癬友の会(からっ風の会)」と連携し、啓発活動にも力を入れている。

1. 病院と皮膚科の概要 群馬県唯一の大学病院
皮膚科では疾患ごとの専門外来を設置

群馬大学医学部附属病院は、1943年に開設された前橋医学専門学校附属医院を前身とし、1948年に前橋医科大学となって附属医院を附属病院に改称した。群馬大学医学部附属病院としてのスタートはその翌年の1949年。大学病院としてはいまも群馬県唯一の存在であり、県内全域はもちろん、栃木県西部、埼玉県北部、新潟県南部などを中心に県外からも多くの患者を受け入れている。病床数は2017年11月現在731床、職員数は同1,743名となっている。

皮膚科も他の多くの診療科と同様に、県内外から幅広い患者を受け入れている。同科を率いる石川治教授や茂木精一郎准教授は強皮症をはじめとした膠原病が専門で、これらの患者を特に多く診療している。「強皮症外来」「皮膚筋炎」「エリテマトーデス外来」「シェーグレン症候群」というように、それぞれ専門外来を設けている。

「これらを『膠原病』と、ひとくくりにするのではなく、疾患ごとに専門外来を設置して担当医が継続して診療にあたるのは当科ならではの特徴といえます。他の疾患も同様に専門外来を設けて対応しています」と紹介するのは、安田正人皮膚科講師である。安田講師によれば上記のほかに、「腫瘍外来」「血管炎外来」「アトピー・蕁麻疹外来」「水疱症外来」「脱毛症外来」などがある。安田講師が担当するのは「乾癬・角化症外来」で、森本奈緒子医師との2名体制だ。「乾癬・角化症外来」は火曜と水曜に各1枠ずつあり、火曜が安田講師、水曜が森本医師という分担である。

もう1つ、初診を石川教授はじめベテラン医師が担当しているのも同院の特徴で、初診で正確な診断をくだしたうえで各専門外来に引き継ぐ仕組みを構築している。初診の診断によっては専門外来ではなく「一般再来」に通院してもらうことも多い。一般再来には、曜日ごとに1~2名の皮膚科医が配置されている。

また、精査が必要な場合、複数の医師による検討が必要な場合などは、皮膚科所属の医師全員が同席する中で教授(または准教授)を中心に診察を行う「外来回診」を受診してもらい、全員で検討を行う。外来回診は木曜日午後に設けられている。

皮膚科の患者数は、初診ベースで年間約1,000人(5~10人/日)。うち約8割は紹介状のある患者だ。「乾癬・角化症外来」の患者数は常時300人前後で推移している。

安田 正人
皮膚科講師

2. 乾癬・角化症外来 疾患・治療法についてくわしく説明
症状をコントロールするという概念を理解していただく

初診で乾癬と診断された患者が「乾癬・角化症外来」にやってきたら、安田講師、森本医師はそれぞれ、まずは乾癬という疾患そのものについてくわしく説明し、そのうえで治療法の選択肢を提示する。

「当院に来院する乾癬患者さんの多くは、一般の皮膚科で局所療法を続けていたがなかなか良くならなかったという方がほとんどですが、その多くは、乾癬という疾患についてそれほど深くは理解されていません。そこでまず私たちは図表などを用いてわかりやすく説明するようにしています。そして、局所療法以外の光線療法や内服療法、皮下注射や点滴といった全身療法についても説明し、患者さんと加療方法を考えていきます。」と安田講師が最初の診療内容を紹介する。専門外来の初回の診療はこのように患者の理解度を見ながら多くの説明を行うため、短くても30分はかかるという。

安田講師は、「全身療法、特に生物学的製剤による治療は、患者さんによっては劇的な改善をもたらすことがありますが、個人差もあるので、最初から改善率などの具体的な数値を示すことはあまりしません。副作用についても同様で、一般論と、その患者さんに副作用が出るかどうかは別の問題ですので、数値ではなく、あくまで可能性としてお伝えするようにしています」と、最初に患者に向き合う際の慎重な姿勢を語る。

一方、治療費については具体的な金額を示すようにしている。1カ月にどれくらいのお金が必要か、また、自己負担が限度額を超えた場合に利用できる高額療養費制度についても説明し、無理なく支払える範囲で治療を継続できるように患者とともに考えるという。一連の説明はタブレットに表示できるようにしてある。

ただし、最初の説明で患者がすべて理解しているとは言い切れない。森本医師によると、「特に生物学的製剤は、もとから治ると思ってしまう患者さんが多いように感じます」と指摘。そのため、「現時点で根本的な治療はなく、基本的に治療は続けないと再燃してしまう」ということを折に触れて伝えるようにしているという。「乾癬は高血圧や糖尿病のようにずっとつき合っていくタイプの病気。だからあまり力まず、長い目で見ていきましょうと、お話しするようにしています」と森本医師が言う。

安田講師も、「糖尿病や高血圧も治るわけではなく、基本的には長期にわたり薬でコントロールしていくわけですが、この"病気をコントロールする"という概念を理解していただくのが大事だと思います」と言い、「定期的に外来でお会いしながらコミュニケーションを重ね、疾患と加療についても徐々に理解を深めていただくのが一番のように感じています」と。

※安田講師作成資料「乾癬はなぜ起こるか? どうやって治療するか?」より

3. 他科との連携 乾癬性関節炎治療では
整形外科リウマチ診療グループとの併診も

乾癬患者には関節症状の見られる人も少なくない。その場合、乾癬性関節炎も考慮し、皮膚科から検査部に関節エコーなどの検査を依頼し、診断・治療をしていく。一方で、関節症状の原因が特定しにくいケースもあり、その場合は整形外科の医師に相談し、症例によっては2科での併診となる。

この際、当院整形外科のリウマチ診療のグループの医師が担当となる。同グループの医師達がどれだけかかわるかは患者の状態によって違う。

「整形外科の患者として乾癬性関節炎の治療を受け、皮膚症状のみ皮膚科で診ているという方もいらっしゃいますし、逆に、基本的には皮膚科に通っていただいて、関節炎の検査や治療などだけ整形外科に依頼するというケースもあります」と安田講師。

「乾癬・角化症外来」で診ている約300人の乾癬患者のうち、関節症状の治療も並行して行っている患者は約2割だ。この割合は以前に比べて増加傾向ではあるが、乾癬性関節炎の患者数そのものが増えているのか、医師側が、関節症状を常に気にかけるようになったから目立つようになったのかは現在のところ不明で、今後、症例を積み重ねる中で、患者の動向を見きわめていく考えだ。

動向を見守る必要があるのはメタボリック・シンドロームなども同様で、安田講師、森本医師ともに、「心臓病の人や肥満ぎみの人が多いのは感じます」と言う。ただし、患者自身が乾癬とメタボリック・シンドロームの関係を強く意識しているかといえばそうではなく、「乾癬・角化症外来」としても、タイミングを見計らっては禁煙やダイエットなど生活上の注意を伝えるようにしている。

「外来診察の際になるべく、喫煙量と体重管理について聞くようにしています」という森本医師は、「タバコについてはいきなり禁煙することは大変なので、まずは本数をできるだけ減らしてみましょうとお話ししていて、頑張ってくれる患者さんがたくさんいます。でも、体重を減らすのは難しいようです。いずれにしても頑張りすぎて続かなくなる方もいますので無理は禁物と思っています。患者さんが無理をして治療への意欲が切れてしまうようなことがないように、少しずつ、長い目で、という部分を大事にしています」と言う。

4. 生物学的製剤による治療 通院時間、生活背景なども参考に治療法を選択
自己注射薬の使い方は医師が見本を示して指導

「乾癬・角化症外来」の初回の診療でくわしい説明と治療法の提示を行うと書いたが、その時点で治療法を選択できる患者もいれば、何度か受診する中で気持ちが固まって行く人もいる。安田講師、森本医師は、そうした患者個々のペースを尊重しながら対応している。

他の医療機関で治療を受けてもなかなか治らなかった患者が多いこともあり、はじめから生物学的製剤を選択するケースも珍しくはない。その場合は治療の目的、症状を抑えたい時期、関節症状の有無、生活背景など患者側の事情や条件と各種製剤の特徴などを照らし合わせながら使う薬剤をある程度絞る。

「関節症状の有無、自己注射出来るか・出来ないか、通院可能な間隔などが判断材料になります」と森本医師。「加えて、結婚式など重要なイベントを間近に控えている人には効果発現の早い薬を使うといった視点も必要」と安田講師が語る。

こうして使う薬をイメージしたうえで血液検査、レントゲン、CTといった導入前の検査を早急に進め、検査結果の出る1週間後をめどに受診してもらって結果を伝え、問題がなければ使う製剤を確定し、治療に入るというのが一般的な流れだ。

薬の選択が難しいのは、上記のような条件に当てはまらない場合だ。
「乾癬治療において生物学的製剤は、2018年5月時点で7種類、認可されていますが、それぞれ使用頻度も違えば効き方、費用も違います。そのため本来ならすべての製剤についての説明が必要だと思いますし、当科でもこれまではそうしてきました。しかし、使用できる薬がここまで増えると、限られた外来診療時間にすべてをくわしく紹介するのは困難です。そこで、抗体の種類によって3つにグループ分けし、グループごとの説明に切り替えているところです」と、選択肢が増えたからこその説明の難しさを安田講師が語る。この3グループの説明の仕方についても方法を模索中で、説明のために一度来院してもらうか、資料などを読んでおいてもらって少しでも治療を早く開始できるようにするかなど、試行錯誤を重ねている。

薬の作用とともに、使い方の指導が特に重要なのが自己注射薬である。安田講師、森本医師は、注射の打ち方などの指導も自ら行う。

「1回目、あるいは2回目までは外来で私たち医師が実際に打って見せます。その次は私たちの目の前で患者さん自身に打っていただきます。それで正しくできていれば、注射薬を処方して自宅での自己注射を始めていただきます」と安田講師。注射の見本を見せる際には、腹部の皮膚のつまみ方などまでわかりやすく示すようにしている。自己注射薬の処方期間は3カ月程度が目安で、薬がなくなる前に受診してもらう。合併症がある人、高齢患者などについては処方期間を2カ月程度とし、比較的頻繁に診察するようにしている。

生物学的製剤による治療を受けている患者は現在、「乾癬・角化症外来」で継続的に診ている乾癬患者約300人中100人前後である。

5. 患者会 「群馬乾癬友の会」の相談医として
市民啓発にも力を注ぐ

安田講師は群馬県の乾癬患者の集まりである「群馬乾癬友の会」(通称;からっ風の会)の相談医も務めている。「私自身は春と秋の勉強会で講演したり、患者さんたちと交流したりするだけですが、最新情報の提供など、少しはお役にたてているのではないかと思います」と活動を語る。

「からっ風の会」が発足したのは2007年4月のこと。群馬大学医学部附属病院皮膚科による「群馬乾癬患者勉強会」に参加した患者の有志が、「患者同士集える場がほしい」と、2006年夏に「群馬乾癬友の会設立準備委員会」を立ち上げた。そして、当時群馬大学で乾癬治療を担当していた安部正敏医師をはじめ地域の皮膚科医などの協力を得て、約1年後に設立総会を開催。都道府県単位で設置されている乾癬患者会としては全国で10番目にできた会で、2017年には10周年を迎えた。現在、全国に20以上ある患者会との交流も活発で、情報交換を含めて患者同士の交流を深めている。

安田講師のような相談医も各会に在籍し、相談医のグループもできている。「全国的なつながりがあることは、患者さんにとっても私たち医師にとっても心強いことです。『からっ風の会』には私の患者さんもたくさん入っているのですが、仲間といると、普段はどうしても気にしてしまう皮膚症状のことを一時忘れて、リラックスしておしゃべりができたり、悩みを相談し合ったりできるのが良いようです。医師だけではサポートしきれない部分をお互いにフォローしたり、同じ目線での情報交換を行ったりできているのではないかと思います」と、患者会の意義を語る。

多くの患者が参加する「群馬乾癬友の会」学習懇談会の様子

患者に向けた情報発信に努める安田正人講師(手前)と各県の相談医、患者会の皆さん

※写真提供:安田講師

6. 今後の課題・展望 生物学的製剤治療のエビデンス提示も視野に
乾癬患者を地域で診ていく体制整備に取り組む

安田講師が「乾癬・角化症外来」を担当するようになったのは2013年。当時は、いま治療薬として使われている薬の治験の患者を含めても、生物学的製剤を使っている人は35人程度だったという。それが約5年間で2.5倍に増え、森本医師ともども外来診療の負担が増している。

「今後は症状の安定した患者さんなどを中心に地域の医療機関と連携して診ていくような体制づくりも考えなければとは思っています」と安田講師が言う。

もちろん、局所療法では患者の逆紹介の実績があるし、こうした地域連携を生物学的製剤治療にも広げることについてはこれまでもおおいに検討してきた。しかし、生物学的製剤は高額なものが多く診療所で在庫を抱えるにはリスクがある、かといって院外処方にした場合は、診療所にとっての経営的メリットが少ないなど、制度面の課題もあって連携が進んでこなかった背景がある。

「とはいえ、現場レベルでできる連携の方法を何かしら考え出さなければいけない段階にきていると思います。もともと私たち皮膚科医は勤務医、開業医問わず一緒に勉強会をするなど良好な関係ができていますので、知恵を出し合っていきたいと思います」と前向きだ。「からっ風の会」を通した患者への啓発にもさらに力を入れて、地域の医療機関でバランスよく乾癬患者を診ていく環境整備をしたいという。

治療そのものに関しては、「いつまで続くのだろう、という患者さんたちの漠然とした不安を解消するための方針を、何かしら示すことができたら......」と語る。「たとえば自己注射で劇的に症状が治ったら、それはとてもうれしいことでしょう。でも、同じ注射をこの先何十年もつづけていくと考えたら、心理的にも経済的にも大きな負担を感じるはずです。また、選択肢が広がるのはいいことですが、どの治療を選ぶのがベストなのか、わからなくなる面もあるでしょう。こうした不安や疑問に応えるためのエビデンスがいま、求められていると感じます」と安田講師。

森本医師も、「単に治療をするだけでなく、データを積み重ねてそこから何かを導き出し、発信していくことも、専門外来で多くの患者さんを診ている大学病院の役目だと思います」と、明確な方針を提示することに意欲を示す。

生物学的製剤が乾癬領域ではじめて認可された2010年から数えると、長い人ではすでに8年、この治療を受け続けていることになる。「根治することが難しい以上、完全に薬をやめることはできませんが、ある程度症状が落ち着いたら少し休む、もっと手軽な治療に切り替えてみるなど、これまでの治療を振り返り、分析しながら考えていきたい」と声を揃える2名の医師。今後の情報発信に期待が高まる。

KK-18-10-23778

乾癬治療最前線

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