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公益財団法人 日本生命済生会 日本生命病院
[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2019年12月13日登載/2019年12月作成

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  • ●病院長:笠山 宗正 先生
  • ●開設:1931年
  • ●病床数:350床
  • ●所在地:大阪市西区江之子島2-1-54

西日本初の「乾癬センター」を開設
症状改善、合併症予防、研究を3本柱に患者のQOL向上を図る

1931年の開院以来、大阪府西部の基幹病院として地域医療に貢献し続けている日本生命病院。2018年4月には現在の場所に新築移転。それに合わせて診療科や各種センターの再編成を進め、設備やスタッフの拡充も図った。2019年4月には、西日本初となる「乾癬センター」を開設。約20年にわたり実績を積んできた乾癬治療における診療科間の連携、多職種協働をさらに深めつつ、リハビリテーションや集団指導など新たな取り組みも始めている。

1. 病院の概要 アートと医療の融合をテーマに
医療機能の充実と地域への開放を進める

公益財団法人日本生命済生会日本生命病院は1931年、大阪市西区に、「済生利民=人々の生命や生活を救い、人々の役に立つ」を基本理念とする「日生病院」として開院した。1982年に西区立売堀に新築移転し、さらに2018年4月、府内でも歴史ある土地として知られる旧大阪府庁跡地、大阪市西区江之子島に、同院としては3つめとなる現在の病院をオープンさせた。

今回の新築・移転にあたって、病院の名称も「日本生命病院」に変更。新病院の病床数は350床で、27の診療科と9つの診療センターで構成されている。大阪府がん診療拠点病院の指定を受けたのが2009年4月。2018年2月には、地域医療支援病院の承認も受けた。また、多くの学会の教育・研修施設、認定施設に指定されている。

「移転の第一の目的は、当院が約90年にわたって医療を提供し、住民の皆様から信頼され、愛されているこの大阪府西区で、今後も末永く地域医療を実践していけるように、病院の診療機能を高めることでした」と話すのは、副院長・皮膚科部長・地域医療総合窓口あったかサポートセンター長を兼務する東山眞里・乾癬センター長である。そのためスタッフ、設備ともにさらに充実させ、急性期病院として高度医療を提供する体制を強化した。

東山 眞里
乾癬センター長

また、"アートと医療の融合"をテーマに掲げ、院内にたくさんの美術作品を展示しているほか、散歩やリハビリに自由に利用できるようになっているイングリッシュガーデン(ニッセイ四季彩ガーデン)、健康食(バランス食)を提供するレストラン、各種アート教室やイベントが行われる工房、ホールなども備えている。1階はコリドー(回廊)になっていて、病院内を通らずに利用できる。

地域住民の癒しの場になっているイングリッシュガーデン。
2018年10月、「第8回 みどりのまちづくり賞ランドスケープデザイン部門 大阪府知事賞」を受賞している。

2. 乾癬センターの概要 皮膚科と整形外科、多職種が集い
全身疾患としてのトータルマネジメントを目指す

乾癬センターは新病院開院と同時に準備室がスタートし、2019年4月に正式に開設された。関連する診療科や部門、多職種がかかわって乾癬診療をトータルに行う乾癬センターが設置されたのは、西日本では同院が初めて。全国的にもきわめて先進的な取り組みとして注目されている。

東山センター長は、大阪大学医学部附属病院で乾癬の研究・診療を担当したあと、1999年に日本生命病院に赴任して、新たに「乾癬外来」を開設。以来、約20年にわたり、この専門外来で乾癬患者を診療してきた。1998年には「大阪乾癬患者友の会(梯の会)」の立ち上げにかかわり、現在も皮膚科内に同会の事務局を置くなどサポートを続けている。そうした経験を踏まえ、乾癬センター開設に至った背景を次のように語る。

「乾癬は難治性の皮膚疾患ですが、この10年で効果的な生物学的製剤が複数登場するなど治療法は飛躍的に進歩しており、患者さんの重症度に応じた積極的な治療が求められるようになりました。メタボリック・シンドローム、糖尿病、慢性腎不全、うつ病など合併症が非常に多いこともわかっており、もはや皮膚疾患というよりも、全身の炎症性疾患と認識されています。乾癬は皮膚のみならずトータルマネジメントを必要とする疾患であり、それを行うためにはセンター化によるチーム医療の充実が不可欠と考えました」

現在は、皮膚科に開設している「乾癬外来」「乾癬性関節炎外来」で皮膚科医と整形外科医が一緒に診断を行い、その診断のもと、センターの多職種がかかわってさまざまな対応をしていく、というかたちをとっている。併存症については関連診療科の担当医師に紹介する。年間の乾癬患者数は約2,200人。

乾癬センターの目的は、患者のQOLの向上と生命予後の改善である。そのためのミッションとしては、(1)最適な治療により早期かつ安全に皮膚症状・関節症状を寛解に導くこと、(2)合併症の早期診断や治療により乾癬患者の健康状態の改善を図るとともに、合併症の発症を予防し心身ともに健全な状態に導くこと、(3)大学やその他の医療機関と協力して乾癬に関する病態の解明、治療の進歩に貢献しうる臨床研究・臨床治験を行うことの3つを掲げている。同センターのスタッフは、皮膚科医5名、整形外科医1名、看護師5名、管理栄養士、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、薬剤師1名である。

3. 乾癬外来・乾癬性関節炎外来 皮膚科医と整形外科医が隣り合うブースで
意見交換をしながら診断・治療

乾癬外来は火曜日と木曜日に行っている。皮膚科医は5名で、全員が乾癬外来を担当している。乾癬性関節炎外来は火曜日のみで、大阪南医療センターリウマチ科(整形外科)医長の辻成佳医師が担当し、乾癬外来の隣りのブースで実施している。

まず皮膚科で診察し、PASI(Psoriasis Area and Severity Index)などを用いて皮膚症状を評価したあと、PASE(Psoriatic Arthritis Screening and Evaluation)で関節症状を把握し、必要な検査を行って関節炎が疑われる患者をピックアップする。そして辻医師に紹介するという流れだ。木曜日に皮膚科医が診察した患者を火曜日に辻医師が診るケースもある。

「皮膚の症状を皮膚科医が診て、関節や脊椎の症状を私が診て、その場で意見交換し、治療方針を決めますので、適切かつ効率的に治療が進みます。また、早期から関節症状の予防に取り組むことができるので、関節の変形や脊椎の強直といった重い合併症を防ぐことができます。皮膚科医と整形外科医が同じ場所、同じ時間に乾癬患者さんの診療をするという体制は私の知る限り当院のみですが、患者さんにとっても医師にとっても非常に有意義だと感じます」と、辻医師が語る。

辻医師は以前、日本生命病院に勤務していたことがあり、そのときに東山センター長に教わりながら乾癬治療の経験を積んだ。その後、別の病院を経て現職となったが、非常勤医としてずっと継続して同院に勤務。東山センター長とともに乾癬患者の診療にあたった年数は通算17年になる。

「ほんの10年前まで、関節症状のある乾癬患者さんはまれといわれていました。しかし、皮膚科医の方々の啓発活動もあり、いまでは乾癬性関節炎の存在が広く知られるようになりました。今後も力を合わせて早期発見・治療はもちろん、生活指導や精神面のサポートも含めて行っていきたい。このセンターの一員として乾癬患者さんのライフステージを医療の面からサポートできたらと思います」と辻医師。東山センター長も、「関節症状に苦しむ方が少しでも減るように、今後も密に連携していきたい。そしていつか、こうした診療体制のメリットをきちんとまとめて発信していきたいと思っています」と言う。

「乾癬性関節炎外来」を担当する辻成佳医師/大阪南医療センター免疫異常疾患研究室長・リウマチ科医長

乾癬性関節炎(PsA)症状の早期発見(協和キリン(株)作成)より引用

皮膚科医は「乾癬外来」で、PASEを使って関節症状のスクリーニングを行っている

4. 看護師の役割 診療前後の説明や指導の大半を担う
医師と患者、多職種間のつなぎ役

乾癬外来、乾癬性関節炎外来では看護師も重要な役割を果たしている。初診時にはまず、一般的な問診票やPDI(Psoriasis Disability Index)を用いて情報収集を行う。「症状、これまでの治療経過、生活背景、現在の思い、困っていること、通院時間、休日はいつか、今後どのような治療を望むかなど、私たち看護師が詳しく聞きます」と話すのは、東山センター長とともに20年にわたり乾癬患者を支えてきた山下利子看護師(日本皮膚科学会認定皮膚疾患ケア看護師)だ。

問診票の記入が終わったら、看護師が患者と1対1で面談し、乾癬とはどういう疾患か、どんな治療法があるのか説明する。さらに、診察スケジュール作成や検査の必要性の判断なども看護師が行う。そのうえで、乾癬外来につなぐ。皮膚科医と辻医師は、看護師の聞き取った情報や検査結果をもとに診察を行う。

診察が終わるとほとんどの患者に、看護師から外用剤の塗り方指導や生活指導をする。正しい塗り方を覚えて2週間ほど実践すると症状がかなり良くなるケースも多いという。さらに、光線治療の場合も同様に看護師が説明し、医師の指示に基づいて患者が受診しやすいように照射のスケジュールを組む。照射記録は電子カルテと経過の分かりやすい患者ごとの光線ノートで管理している。

生物学的製剤による治療を受ける患者の場合は、治療の説明はもちろん、合併症の影響や医療費の問題など、患者の不安に寄り添いながら、一つひとつ解決していく。他科受診の連絡やリハビリ、栄養指導の計画も立てる。自己注射が始まるときは、デモンストレーション用の器具を使った手技の指導も行う。治療がスタートしてからは、患者の来院時には必ず看護師がバイタルを取り、注射の日時や家での症状の変化などの話を聞く。患者ごとの治療経過は、使用している生物学的製剤(全8種類)ごとに色分けしたファイルに記録している。来院までの間に、何かいつもと変わったことがあったり、判断に迷うような時の電話応対も看護師がしている。「こうした中で私たち看護師と患者さんとのコミュニケーションが深まり、何でも話していただける関係ができるように努力しています」と山下看護師。

同センターでは今後、疾患に対する理解をより深めてもらうための患者向け勉強会や、自分たちのスキルアップのための多職種合同勉強会のようなものを行っていく予定で、これらの準備もまた看護師中心に進めている。

山下利子
看護師/日本皮膚科学会認定皮膚疾患ケア看護師

QOL障がいの評価をPDIで、皮疹の重症度をPASIで評価している

光線療法(ナローバンドUVB・バスPUVA療法)の患者さん毎にノートを作成し、照射量・回数・部位・特記事項を記録・管理照射時に確認している
注:現在は外用PUVAは施行していない

光線治療室は全身用(左・中央写真)、手足用(右写真)など機械ごとに3室あり、看護師がスケジュール管理して効率的に使用している

5. 各職種の役割 専門性を発揮して集団・個別指導を実施
乾癬患者のリハビリもスタート

図1

日本生命病院における乾癬治療のチーム医療のイメージを図1に示し、以下に各職種の役割を紹介する。

管理栄養士の役割は、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、アルコール依存症などを乾癬に合併した患者への栄養指導が主である。栄養管理室副部長で糖尿病療養指導士の資格を持つ出口暁子管理栄養士が次のように説明する。

「栄養指導には個別と集団の2種類があります。個別指導は患者さんの診察日に合わせて、その日の血液検査のデータを見ながら、栄養相談室で行います。糖尿病を合併している患者さんの場合は糖尿病センターで、糖尿病看護認定看護師と一緒に、足病変なども見ながら行います。集団指導は乾癬センターで毎週木曜日、診療の始まる前の40分ほどを使って食事のポイントなどをお話しするというかたちで進めています」

栄養管理室には管理栄養士が3名所属し、栄養相談室、糖尿病センター、病棟の3カ所を曜日ごとにシフトを組んで受け持っている。そのためおのずと個別指導ではその曜日に受診する患者を定期的に担当し、継続的に指導していくことになる。

「患者担当制の良さは、人間関係を築きやすいところです。お互いの人柄などをよく知ったうえで話すのでコミュニケーションがとりやすいし、こちらが一生懸命指導すれば乾癬患者さんも応えてくれます」と出口管理栄養士が手応えを語る。栄養指導では、普段の食生活について詳細に聞きながら、食品の選び方や調理法まで、その人に合わせて指導する。教材としてはオリジナルで1枚にまとめた食品交換表や、実際の商品の成分表示、実物の塩などを活用する。現在、管理栄養士の個別指導を受けている乾癬患者数は月に約30名である。

薬剤師の役割は、複雑かつ多様化する薬物療法について、患者にわかりやすく説明することである。乾癬センターでのこうした活動は、同院11階の皮膚科病棟の担当薬剤師が兼務で行っている。検査技師は、超音波検査など乾癬の診断や病状把握に必要な検査を実施する。

リハビリテーションは理学療法士(PT)を中心に、関節に変形などが生じないための運動療法や、関節症状が悪化した場合に、少しでも楽に過ごすための動き方や姿勢を指導している。このように乾癬患者に理学療法士が介入する例は全国的にもまれで、辻医師も「すばらしい取り組み」と評価し、協力を惜しまない考えだ。

乾癬患者のリハビリに着手するにあたっては、乾癬と似たような関節症状や運動制限の見られるリウマチの専門教育施設(新潟県立リウマチセンター)を見学し、そこでの運動療法を参考にして、2019年5月に集団指導からスタートした。この取り組みを担当する廣田将史PTによると、1回の参加者は3名ほどで、30分程度、指先を動かしたり、体幹をほぐしたりする運動を行っている。

「前の週に医師や看護師から患者さんの情報を受け取り、困っていることなどを把握して、運動の内容を考えています。患者さんに少しでも楽になっていただき、QOLを高めていただくためにも、今後は生活環境の工夫や、日常生活動作のポイントなども盛り込んでいきたいと思います」と廣田PT。具体的な運動メニューとしては、患者自身が日々の生活の中で継続できるような、簡単なものを順次開発していく方針。と同時に、運動療法の効果を測る指標についても、医師や看護師とも相談しながら研究していきたいという。

ケースワーカーは、生物学的製剤をはじめとした高額の治療を行うときなどに、医療費について説明したり、活用できる制度を紹介したりしている。また、日本生命済生会は公益財団法人であるため、経済的に余裕のない人々に低額で医療を提供する制度を独自に運用してきており、乾癬治療においても、対象となる患者には負担軽減措置を行うべくケースワーカーが案内している。

東山センター長はこうしたスタッフについて、「乾癬に対する理解がたいへん深く、患者さんのために何かしたい、役に立ちたいという高いマインドを持ち、温かくサポートしてくださる方々が多いので助かっています」と感謝をこめて話す。

一方、合併症の見つかった患者を関連する診療科に紹介することも積極的に行っている。乾癬センターからの紹介頻度が特に高い診療科は、整形外科、リハビリテーション科、総合内科(リウマチ、糖尿病)、循環器内科、腎臓内科、耳鼻咽喉・頭頸部外科(扁桃炎など)、脳神経内科(脳梗塞など)、神経科・精神科など。これらすべての診療科に、同センターとの連携窓口となる担当医を置いている。

さらに地域連携にも力を入れている。より重度の患者を同院で診て、落ち着いたらかかりつけ医に戻す病診連携が主だが、大阪府内には近年、生物学的製剤の導入から一手に担う開業医も出てきており、新しい連携体制づくりに期待がかかっている。

出口 暁子
管理栄養士/栄養管理室副部長・糖尿病療養指導士

廣田 将史
理学療法士

オリジナルで作成している食品交換表

乾癬患者のリハビリが行われるリハビリテーション室

6. 今後の課題 創薬も含め治療法開発に寄与したい
アドヒアランス確保が最大の目標

今後の課題として東山センター長は、乾癬治療のエキスパートの育成、大阪大学医学部はじめ乾癬治療に取り組む他施設との共同研究、独自の臨床研究などにより、病態やより効果的な治療法の開発に寄与していくこと、治験を通して創薬にも積極的にかかわっていくことなどを挙げる。

さらに、「最も大事なことは、患者さん主体の診療体制を確立すること」と話す。現在ももちろん患者の意思を最優先しているが、誰もが積極的に自分の治療方針を決定できるわけではない。そこで、今後は、患者の意思決定支援にもこれまで以上に力を入れながら、アドヒアランスをきちんと確保できるようにしていきたいという。そのうえで患者のベストコンディションを維持していくことが目標だ。

全国に先がけてスタートした日本生命病院乾癬センターの取り組みは、今後の乾癬医療のモデルとしてますます注目されることだろう。

KK-19-12-27578

乾癬治療最前線

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