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独立行政法人国立病院機構 京都医療センター
[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2019年12月20日登載/2019年12月作成

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  • ●病院長:小西 郁生 先生
  • ●開設:1908年
  • ●所在地:京都市伏見区深草向畑町1-1

治療効果を高めるために患者との対話を重視し、
悪性腫瘍スクリーニングを積極的にすすめるなど治療の安全性にも尽力

京都市南部の基幹病院として発展してきた京都医療センターは近年、さらなる医療の高度化を推進し、最先端の治療を提供することを方針に掲げる。皮膚科においても乾癬の生物学的製剤承認施設として専門性の高い診療に取り組む一方、治療効果を高めるために患者の理解を深めることを重視し、生物学的製剤導入前の悪性腫瘍スクリーニングを積極的にすすめるなど治療の安全性にも努めている。

1. 施設の特徴 生物学的製剤承認施設として
最先端の乾癬治療を実施

京都医療センターの前身は1908年に設立された京都衛戎病院に遡る。第二次世界大戦の終戦に伴い、1945年に厚生省(当時)に移管され、国立京都病院として再出発を果たした。戦後は、京都市南部の基幹病院として急性期医療を中心に発展を続け、近年は京都府の地域医療構想において高度急性期医療を担う医療機関として明確に位置づけられている。

こうした背景の中、特に力を入れているのが救急医療とがん医療だ。2018年には救命救急センターに配属する医師数を増やすと同時に、地域の医療機関からの救急紹介に対応する専用回線「救急診療受付ダイヤル」、地域の医療機関からの緊急通報に救急医が対応する「ホットライン」を整備し、救急搬送の受け入れ件数を伸ばしている。一方、がん医療では診療体制の高度化に取り組み、2019年よりがんにおけるロボット支援手術の対象を拡大するとともに、がんゲノム医療にも着手。現在は2020年春の稼働を目指し、高精度リニアック放射線治療棟を建設中だ。

もちろん、この分野以外の診療においても最先端の治療を提供することを方針に掲げ、皮膚科では乾癬に対する生物学的製剤承認施設として専門性の高い診療に取り組んでいる。十一英子皮膚科医長は京都大学大学院を修了後、2000年から米国に留学。その際、乾癬治療薬として開発中だった生物学的製剤の基礎研究と臨床試験に従事した。「以来、乾癬を専門とし、生物学的製剤の高い効果は留学中に目の当たりにしていたので、2010年に初めて生物学的製剤が承認された当初から積極的に取り入れてきました」と十一医長は振り返る。

十一英子
皮膚科医長

2. 生物学的製剤の導入 患者の納得を大事にすることが
治療を成功に導く

しかし、最先端の治療であるがゆえに最初は地域の医療機関でも知られておらず、生物学的製剤に対する認知活動から始めなければならなかった。「地域の皮膚科勤務医や開業医向けの講演会などを通し、製剤の使い方、効果、安全性、費用などの情報を提供していきました。同時に治療をあきらめていた重症の乾癬患者さんにも同様の情報が届くように啓発活動も行いました」と十一医長。こうした活動が実り、少しずつ紹介患者が増えていったという。

生物学的製剤による治療を導入する際、通常診療より説明に時間がかかるため、血液検査などのスクリーニング検査を経て対象となる患者には比較的時間のとれる午後に再度予約をとって対応している。「導入に際しては、患者さんの理解と納得を得ることを大事にしています」と十一医長は言い切る。生物学的製剤の治療効果を高めるためには、禁煙や減量など患者に主体的に取り組んでもらわなければならないことも多いからだ。

また、生物学的製剤によって皮膚の状態が劇的に改善すると完治したと思い、治療を中止できると考える患者も少なくない。そのため、最初に治療を継続することの必要性と重要性についても説明する。「中断すると症状が悪化することは伝えているので、患者さんたちは"急に治療をやめるのはよくない"という認識を強く持っていると思います」と十一医長は話す。

この9年間で約100人の乾癬患者に生物学的製剤による治療を行ってきたが、勝手に治療をやめてしまった人は一人もいないという。「長期出張、転勤、転居、経済的負担など諸般の事情により治療継続が困難な状況になったとき"どうしたら治療を続けられますか"と事前に相談を受けることが多いです」と十一医長は明かす。この実績は、治療中断を防止するうえにおいても導入時の丁寧な説明が不可欠であることを裏付けている。

治療に主体的に参加してもらい、治療効果を上げるために、十一医長は患者との対話を重視する。患者から治療継続のための相談を受けることも多い

3. 生物学的製剤実施のポイント 長期予後を見据え
導入前の悪性腫瘍スクリーニングを

さらに、十一医長が生物学的製剤による乾癬治療の中で積極的に取り組んでいるのが悪性腫瘍のスクリーニング検査だ。「例えば、私が開発に携わった生物学的製剤は腫瘍免疫の一種であるIL-12の働きを抑制します。この製剤やTNF-α阻害薬を含め、生物学的製剤が使われて数年たち、悪性腫瘍が増加したというデータはないものの、期待される作用からいえば体内に潜んでいる悪性腫瘍を進行させる懸念があります」と十一医長は指摘する。

そのため、同科では生物学的製剤の投与前に悪性腫瘍のスクリーニング検査をすすめている。実際に行ってみると対象者の3分の1は精密検査や治療が必要な状況で、がんが発見されたケースもあったという。「乾癬は完治する病気ではないので、生物学的製剤の効果が高い人ほど使用を続けることになります。だからこそ、長期的予後を見据え、予防できることはしっかり予防していかなければならないと思います」と十一医長は診療方針を明確に語る。

ほかにも、乾癬患者に併発することの多い高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病の管理にも配慮する。例えば、一部の薬剤は乾癬を増悪させると言われているため、患者にどのような薬剤が処方されているか確認したり、処方医に診療情報提供書を通して伝えたりする。また、合併症として疾患のリスクが非常に高いという報告もあるため、患者にそのことを説明したうえで日常生活において予防を心がけてもらえるよう促している。

「心疾患や高血圧のリスク因子である喫煙は、乾癬の悪化因子でもあるため、禁煙外来と連携しながらサポートすることもよくあります」と十一医長は説明する。そのほか乾癬性関節炎に関してはリウマチ科との連携も緊密で、初診の際、関節の痛みがある場合はリウマチ科に超音波検査を依頼し、ともに診断するという。

4. 乾癬治療と教育 強みを生かし
若手の育成にも熱心に取り組む

同センターは京都大学医学部附属病院の重要な関連施設の一つであり、また十一医長自身が京都大学医学部臨床教授を兼務していることもあって、同科では教育的役割も担う。医学部の学生実習や同大学病院で研修するレジデントを積極的に受け入れるほか、生物学的製剤承認施設という強みを生かし、若手皮膚科医の乾癬治療のトレーニングにも力を入れる。

「専門なので実際、私が多くの乾癬患者さんを診ていますが、すべての患者さんを私が診てしまわないようにしています。主治医になって患者さんと直接やりとりしないと、わからないことや実感できないことも多いので、スタッフにもその経験を積んでほしいと思っているからです。ここでは私にすぐ相談できるのでやりやすいと思います。生物学的製剤による治療は承認施設でないと始められない縛りがありますが、ここでの経験は将来開業しても他院の勤務医になっても地域の乾癬患者を適切に診療するうえで役立つと思います」と十一医長は話す。

有効性の高い生物学的製剤が次々に開発され、この10年で乾癬治療が様変わりする中、十一医長は次のステージを見据える。「これまでは乾癬を治すことに重点を置き、より効果的な治療法を探求し続けてきましたが、選択肢も増え、いずれかの薬剤でほとんどの人に期待どおりの効果が得られるようになった今、よりよい維持療法を開発することが求められています」と十一医長は見解を示す。そして、この新しい課題において十一医長は個別化医療の観点から取り組んでいくことが重要だと考える。「まだ誰も法則を見つけていませんが、すべての患者に同じ投与法でなくてもいいのかもしれません。個々の患者に適正な用法・用量を見極めて治療するほうが副作用の長期的な発現率は低下するし、医療経済的にも効果が高いと思われます」

乾癬治療の本題が"治すこと"から"よい状態を長期間維持していくこと"に移り変わる中、患者のQOL(人生・生活の質)を高めるために、十一医長はさらなる高みを目指し、日々の診療と向き合っている。

生物学的製剤承認施設の強みを生かし、乾癬治療のトレーニングにも力を入れる。若手医師も相談しやすい環境で経験を積んでいる

KK-19-08-26517

乾癬治療最前線

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