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筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター
JA茨城県厚生連総合病院 水戸協同病院
[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2019年12月23日登載/2019年12月作成

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  • ●病院長:渡邊 宗章 先生
  • ●開設:1941年
  • ●所在地:茨城県水戸市宮町3-2-7

臨床教育をベースにチーム医療を実践
乾癬患者を多面的にサポート

茨城県の県庁所在地、水戸市の中心部に建つ水戸協同病院。2009年に筑波大学附属病院水戸地域医療教育センターを設置して以来、総合診療科の充実、若手と先輩医師を組み合わせたチームによる診療など、教育を最も大切な軸とする同院らしい診療体制で地域医療を実践している。乾癬については、皮膚科を中心に生物学的製剤治療まで含めて専門的に診療。さらに他科との密接な連携により、皮膚以外の症状や合併症にもきめ細かく対応している。

1. 病院の概要 総合診療科の医師チームを中心に
専門医とのコラボで診療

水戸協同病院は、30を超える診療科・特殊外来と、389床の病床を擁する総合病院である。県内に6病院(総ベッド数2,359床)を展開するJA茨城県厚生連グループの一角で、長年にわたり水戸市とその周辺地域の人々に幅広い医療を提供してきた。救急患者の積極的な受け入れ、開業医との連携、市民啓発といった取り組みも推進しており、2019年7月31日付けで、地域医療支援病院の承認を受けている。

同院は地域の中核病院であるとともに、県内有数の教育機関でもある。2009年に筑波大学附属病院水戸地域医療教育センターを設置して以降は、「医師は確保するものではなく育成するもの」という考えのもと、研修医の育成に力を注いでいる。医師不足が最も深刻化した頃は、常勤医が10名以下になった時期もあったが、同センター設置を機に初期研修医、後期研修医ともに毎年、全国から多数集まるようになった。2019年11月現在、同院の医師数は115名。このうち半数以上は医師になって6年目以内であり、院内には若い力が溢れている。

医師の育成は総合診療科中心に行われている。同科には常時25~30名の医師が在籍し、患者を臓器ごとに分けることなく、すべての医師があらゆる症状を診ている。現在は、群星沖縄臨床研修センター長を務める徳田安春先生が、水戸協同病院総合診療科教授時代に構築した仕組みがベースになっており、初期研修医と専攻医、それ以上に経験のある先輩医師を組み合わせた3~4名程度のチームを7つほどつくり、チーム単位で15~20人ずつの患者を受け持つ体制が整っている。

「胃がん、肺がん、糖尿病、心筋梗塞、リウマチなど、いろいろな疾患の患者さんが混在していますので、研修医は多様な症例を経験できます。総合診療科だけでは対応しにくい患者さんについては、他の診療科の専門医がアテンドします。逆に、他の診療科から総合診療科に併診を依頼することもあります。こうやって研修医に経験を積んでもらいながら、医療の質も維持しています」と、同院独特の診療システムを紹介するのは、皮膚科部長でもある田口詩路麻(しじま)医局長である。

田口医局長自身も筑波大学の出身で、卒業以来ずっと同大学に籍を置きつつ水戸協同病院皮膚科で診療を続けている。総合診療科の医師チームに皮膚科のスペシャリストとして参加することもしばしばだ。研修医の教育に際しては、病棟で遭遇しやすいトラブルへの対応などを医師仲間とともにわかりやすくまとめたオリジナルテキストを使用するなど、教育にも人一倍熱心に取り組んでいる。

田口 詩路麻
皮膚科部長/医局長

毎朝行われる総合診療科のカンファレンス。さまざまな診療科のスタッフが参加する

2. 皮膚科 入院が必要な症例を積極的に受け入れ
回復後は地域に返す

皮膚科は常勤医3名、研修医2名の5名体制だ。常勤医のうち田口医局長を含めて2名は皮膚科専門医、残り1名は皮膚科医になって1年目である。

田口医局長は皮膚科の方針として、初期研修医の段階から外来診療を担当させることを挙げる。「外来に立って、患者さんのお話を聞いて、写真も撮る。そこで患者さんにはいったん外に出ていただいて、専門書などを見ながら私の前で、自分なりの診断をプレゼンテーションしてもらいます。その後、私から専門医としての診断を伝え、治療方針を明確に示します。そして一緒に検査をしたり治療をしたりしながら学んでもらっていると、次第に治療プランが立てられるようになっていきます」と、医師を育てながら専門的な診療を両立させる様子を語る。

田口医局長が、繰り返し研修医に指導するのは、「皮膚を正確に診断し、正確に記載できるようにしよう」ということ。「そのためにはよく観察し、実際に皮膚に触れて、その感触を確かめ、熱さ、冷たさ、ときには臭いまで診断材料にする必要があります。ここはAIにはできない部分。若い世代はどうしても記録を画像に頼る傾向がありますが、やはり直に触れて、それを言葉で表現できることが大事だと伝えています」と話す。

皮膚科の外来患者数は1日70〜100人。うち7割が予約の患者、3割が新規の患者。さらに新患のうち紹介状のある人が約3割、残り7割はいわゆる飛び込みである。この、紹介状のある患者の比率を上げていくのが目下の課題という。

特に力を入れて診療している皮膚疾患は、乾癬のほか、皮膚の良性・悪性腫瘍、急性感染症、帯状疱疹、蜂窩織炎など、主に入院を必要とするものである。病院の重要な役割として入院患者を積極的に受け入れ、一定の治療を終えたら地域へ返すという流れを大事にしている。

皮膚科スタッフの皆さん。研修医はじめ若いスタッフが多い

病棟回診の様子

3. 地域連携 皮膚科ホットラインで随時緊急対応
各種勉強会で人脈を広げる

皮膚科の地域連携は、単なる患者の紹介・逆紹介にとどまらない。たとえば、乾癬の生物学的製剤(バイオ医薬品:以下バイオ)治療で患者への説明資料として活用している、治療前と治療前の写真をパウチ加工したものを近隣のクリニックの分も作成して無料配布し、バイオの効果を患者に伝えるために活用してもらっている。

また、緊急の診察や入院が必要な患者がいた場合に、スピーディーに受け入れられるように、田口医局長のピッチに直接つながる専用の電話番号「皮膚科ホットライン」を記した名刺を、水戸市や隣接するひたちなか市の皮膚科、内科、小児科、リウマチ科などの医師に配り、随時対応している。

「勉強会の席などを利用して、『皮膚のことで困ったらいつでもどうぞ』と言って渡しています。医師同士、電話で直接話せば、症状や重症度が正確に伝わるし、一度会っている相手だとなおさら話しやすいものです。乾癬患者さんの場合は、話だけ聞きにくるだけでもOKです。開業医の皆さんにとっては、バイオの詳しい説明はなかなか難しい部分もあると思いますので、病気そのものの解説から治療法、費用のことまで含めて詳細な説明を私が引き受けます。電話をいただいて、その場で名前と生年月日を聞き、IDをつくって30分後に受診、なんてことも簡単です。この取り組みをきっかけにだいぶ紹介が増えました」と手応え十分のようだ。

地域の勉強会には、皮膚疾患の写真を持ち寄って検討するスライド勉強会、疾患を限定しない症例検討会、地域連携勉強会などがある。メーカー主催の説明会なども含めれば、毎月のように何かしらの会合があり、医師同士、顔の見える関係づくりが進んでいる。

パウチ加工された生物学的製剤の投与前と投与後の比較写真。
近隣のクリニックに配布して活用してもらっている

皮膚科ホットラインの電話番号が明記された田口医局長の名刺(左)。常にホットライン用のピッチを携帯している

4. 乾癬治療 バイオ施設が充実した地域で
約200人を継続管理

皮膚科ホットラインで紹介されてくる患者の中には乾癬患者も含まれる。たとえば症状が深刻で、明日・明後日には受診したいという場合などである。

「クリニックの先生方には、内服治療でコントロールが思わしくない場合、関節の痛みがある場合などは早めに紹介して欲しいと折に触れて伝えています。関節症状は患者さん自身、乾癬と結びつけていない場合が多いので、日々診療する際に一言、"関節、痛くない?""足の裏、痛くない?"と聞いていただけるようにもアドバイスしています」と、田口医局長は開業医の啓発にも心をくだいている。

一方、そこまで緊急性がない場合は一般的な紹介患者と同様に、地域連携室を介して予約が入る。現在、田口医局長を中心に同院皮膚科で継続的に診ている乾癬患者は約200人。このうち、地域の開業医からの紹介患者は約60人である。残り140人は以前から継続的に診ている人、紹介なしで受診した人などだ。

この約200人を乾癬のタイプでおおまかに分けると、尋常性乾癬150人、乾癬性関節炎(PsA:Psoriatic Arthritis)30人、膿疱性乾癬と乾癬性紅皮症が10人ずつくらいの割合である。このうち尋常性乾癬の約60人、PsAの約20人がバイオ治療を受けている。患者の平均年齢は200人全体で約60歳、バイオに限ると50歳未満となる。

乾癬治療を行ううえでの多職種チームは特に組織していないが、たとえば注射の仕方の指導や日常生活指導、症状が変化したときの対応説明などは看護師がメインに行っている。診察の中で田口医局長がまず指導し、さらに看護師に詳しく指導してもらう形だ。

バイオの選択基準は、発疹の程度、関節症状の有無、程度などを総合的に診たうえで、高い効果の期待できるものを第一としている。ただし、、患者によっては自己注射が難しい、経済的に余裕がないなどそれぞれ事情があるので、効果を第一に考えつつも、個々の事情にも配慮している。

「通常は最初に決めた薬剤で効果が出ますが、どの薬剤でもいずれプラトーに達するときがきます。そのときは報告されている程度の効果が出ているか、患者さんの満足度はどうかなどを考慮して、場合によってはスイッチ(切り替え)を提案することもあります」と田口医局長。

なお、バイオをテーマとした勉強会も行っている。水戸市内には乾癬治療の生物学的製剤承認施設が3施設あり、それぞれの症例を発表する場として年に2回、合同報告会を行っているのである。2017年にスタートしてすでに6回開催。幹事は3施設持ち回りで、開業医の参加も歓迎している。開業医に参加してもらうと、それぞれの病院の治療環境の紹介を兼ねることもできるので一石二鳥という。

5. 他科との連携 呼吸器、消化器、リウマチ各科と
密に連携して合併症を予防・治療

バイオを導入する前には、『バイオ投与前セット』とも呼べる水戸協同病院オリジナルの検査セットを実施する。肝炎ウイルス、結核、真菌症、間質性肺炎など、関連項目をすべて網羅するべく、血液検査とレントゲン検査、CT検査を同時に実施するのである。検査結果が出たら、皮膚科の前に必ず全例、呼吸器内科を受診してもらい、ゴーサインが出た場合のみ、皮膚科でバイオ治療を開始する。

「投与開始後も、3カ月後、6カ月後、その後は6カ月ごとにずっと継続して呼吸器内科が診てくれます。画像上のわずかな影を見つけて休薬をすすめてくれたり、血糖値が高めの患者さんを、内分泌代謝・糖尿病内科に紹介するようアドバイスをくれたりするので非常に助かっています」と田口医局長は言う。

もう1つ、バイオ治療に欠かせない診療科に、リウマチ科がある。関節に痛みがある場合に、PsAなのか、リウマチなのかの判断は難しい。そこで、診断に苦慮するケースはリウマチ科の医師に依頼し、関節エコー検査による診断をしてもらう。また最近は、公知申請により乾癬への投与が適応追加された抗リウマチ薬について、使い方を教えてもらうケースが増えている。

さらに、感染症への対応では消化器内科と連携している。ウイルス肝炎(B型肝炎、C型肝炎)キャリアや、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)を合併している乾癬患者への対応については、消化器内科医と相談しながら進めることでスムーズにできている。

6. 今後の課題・展望 患者の逆紹介の流れをつくり
重症例へのバイオ導入を推進

田口医局長が現在、乾癬治療における最も大きな課題と位置づけているのが、患者の逆紹介である。

「自己注射を行っている人をはじめ、来院が薬の処方目的になっているような患者さんはできるだけ地域のクリニックにお願いし、当院では、重い症状で困っている乾癬患者さんへのバイオ導入をすすめたいと考えています」

逆紹介を可能にするためには、年に2回、生物学的製剤承認施設で診察・検査を受けつつ普段はクリニックに通うといったことへの患者の理解を進めることが不可欠だ。また、開業医がバイオに対して抱いている「よくわからない」「怖い」といった意識を払拭するためにも、これまで以上に啓発活動に力を入れていく必要がある。

研修医に、バイオによって劇的によくなっていく乾癬の症例を見せることも、広い意味での啓発につながる。特に、投与間隔の短い薬の場合、短い研修期間内に改善のプロセスを確認することができるので、興味を持ってもらいやすいという。

研修医の育成に軸を置くことで、充実した診療体制と活気を取り戻した水戸協同病院。その理念には、「心のこもった良質な医療」と、「地域の医療と人材育成への貢献」が謳われている。皮膚科もこの理念に則り、今後も乾癬治療も含めた地域全体での体制強化と、質の向上を図っていく方針だ。

KK-19-12-27568

乾癬治療最前線

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