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学校法人北里研究所 北里大学病院
[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2021年3月5日公開/2021年3月作成

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  • ●病院長:岩村 正嗣 先生
  • ●設 立:1971年4月
  • ●所在地:神奈川県相模原市南区北里1-15-1

病態に最もマッチした治療を提供
生物学的製剤療法は積極的かつ慎重に実践

北里大学病院は、同じ相模原市にあった北里大学東病院の全部門を統合し、2020年4月、新生北里大学病院としてスタートした。同年7月現在の診療科数は32、病床数は1,185床(一般1,143、精神42)。皮膚科の規模も全国トップクラスで、年間の外来患者数約5万5,000人、1日平均入院患者数25人という実績を誇る。乾癬治療は皮膚科一般外来と、医師4~5名体制で行う「乾癬外来」で実施。主治医制であること、関節症性乾癬など難治性の症例もできる限り皮膚科で治療すること、膠原病・感染内科や血液浄化センターなど他部門と連携していることなどを特徴とし、先進治療の実施と若手医師の育成を両立させている。

1. 病院と皮膚科の概要 地域の基幹病院の顔も持つ特定機能病院
多様な専門外来で最先端の皮膚科医療を提供

安藝 良一 皮膚科診療准教授

安藝 良一 皮膚科診療准教授

神奈川県北部に位置し、横浜市、川崎市に次ぐ人口規模を持つ相模原市で、約50年の歴史を重ねてきた北里大学病院は、高度な医療を提供する特定機能病院としての顔のほかに、地域の基幹病院としての顏も持つ。相模原周辺には、ほかに基幹病院の役割を果たせる規模・機能を擁する市立病院などがないため、その役割を同院が担っているのである。こんな事情もあり、大学病院としては珍しく、紹介状のない患者の受診も快く受け入れるなど、多くの市民から頼られる存在となっている。

診療科数は32、病床数は1,185床で、幅広い医療ニーズに応えている。皮膚科病床の定数は28床だが、夏場など患者が増える時期は30人以上が入院することもある。皮膚科に在籍する医師は、腫瘍・毛髪を専門とする天羽康之主任教授、乾癬・膠原病を専門とする安藝良一診療准教授以下20名。うち6名が日本皮膚科学会専門医の資格を有している。

皮膚科が展開する専門外来には、円形脱毛症など脱毛疾患を対象とする「脱毛外来」、特徴的な皮膚病変からの診断と全身的治療を行う「皮膚膠原病外来」、分子生物学的に病態を把握する「水疱症外来」、悪性黒色腫など皮膚原発腫瘍の治療を形成外科と協力して行う「腫瘍外来」、脈管肉腫や難治性血管炎の先端治療を担う「脈管外来」「手術外来」、そして後述する「乾癬外来」がある。

2. 医師の育成 開業医らとともに年2回開催する
「北里臨床皮膚フォーラム」で知見を深める

北里大学病院皮膚科では診療のほかに、地域の皮膚科医との交流、またそれを通じた人材育成にも力を入れている。代表的なものに、相模原市、町田市、座間市、海老名市、横浜市、八王子市などから皮膚科を中心に、小児科、整形外科などの医師を60名ほど集めて意見交換を行う「北里臨床皮膚フォーラム」がある。

毎年3月と7月に1回ずつ、約2時間半を費やして行っており、講義の時間と、研修医や講師など若手医師による症例発表とディスカションの時間を設けている。症例発表を担当する医師は、直近半年以内に近隣の医師から紹介された患者の中で特に学びの多かった症例について、診断に至った過程と治療経過を紹介医と近隣の医師に詳細に報告する。これに対して意見や質問を受けたり、議論したりするのである。

このフォーラムについて安藝准教授は、「病診連携の場ではありますが、どちらかというと、当科の若手医師が、ベテラン開業医から学ぶ場としての意味合いが強くなっています」と紹介。「自分の治療についてさまざまな意見をいただいたり、紹介元の先生から、普段どのような考え方でどのような治療をされているのかなどを直接教えていただけたりするのは大変貴重で、皮膚科の臨床や患者さんへの理解が深まります。この地域には、当大学出身の開業医も多く、指導的立場から厳しい意見をいただくこともあります。それが若手を育ててくれるのです」と意義を語る。

ここでの発表をブラッシュアップして学会発表や論文発表を行うなど実績にもつながっている。「北里臨床皮膚フォーラムできたえられたことで、後輩医師たちが目に見えて成長していくのを見るのもうれしいものです」と安藝准教授はにこやかに語る。

同フォーラムの歴史はすでに25年になり、3月、7月の合計で50回開催されている。2019年までは市内のホテルなどで行っていたが、2020年からは同院内に新しくつくられた講堂(収容人数約300人)に会場を移した。残念ながら講堂ができた年に新型コロナウイルス感染症が流行してしまい、会場参加については20人に限定。それ以外はオンライン参加とし、時間も1時間に短縮して開催したが、「やはり、会場に集まってこそ盛り上がる議論もあることを実感しました」と安藝准教授。2021年は例年通りできることに期待している。

3. 乾癬外来 週1回、医師4~5名で実施
主治医制で年間のべ2,000人が通院

乾癬治療は、冒頭で触れた通り、皮膚科一般外来と乾癬外来で行っている。前者は毎日午前中に皮膚科医の持ち回りで行われており、初診患者や比較的軽度の患者、乾癬外来の日に来院できない人などが対象である。後者は1989年に開設され、現在は火曜日午後、毎回、4~5名の担当医がそれぞれ診療ブースを持って再診以降の患者を迎えている。

定期的に通院している乾癬外来の患者数は年間のべ2,000人。新患数は約80人で推移している。乾癬外来をはじめて受診する患者の約60%は他の医療機関からの紹介患者で、皮膚科一般外来で乾癬を強く疑われ、乾癬外来に紹介されてきた患者である。残り約40%には、自ら同院を選んで受診する人や、膿疱性乾癬の急性増悪などにより救急搬送された患者たちが含まれる。

乾癬外来は主治医制であり、基本的にはその患者が乾癬外来に最初に紹介されてきたときに担当した医師が、引き続き担当することになる。担当医は安藝准教授のような専門家から、乾癬治療をこれから学んでいきたいと考えている研修医まで幅広い。

主治医制が導入されたのは2000年代前半のことだ。安藝准教授は主治医制の良さについて、「治療や説明に対する私たち医師の責任感と主体性が非常に強くなります。また、患者さんサイドから見ると、どの医師に相談すればよいかが明確という利点があります。これらによって医師と患者さんの間の信頼関係が高まるのはとても有意義だと感じます」と言う。

皮膚科医は通常、1人2~3の専門外来を掛け持ちしている。安藝准教授の場合は、乾癬のほかに同じく専門である皮膚膠原病外来を担当。この2つには重なる部分があり、片方の診療経験がもう片方の診療に生きることが多々あるという。

乾癬外来を担当するほかの医師たちは、主に「脱毛外来」を担当している。脱毛の治療にも紫外線療法を用いるところが乾癬と共通しており、2つの外来を担当することによって紫外線療法により精通するという利点がある。ある医師が特定のスキルを持つようになると、ほかの医師がその医師に意見を求めるような流れもできてきて、結果的に全体のレベルが上がるといったメリットもあるという。

4. 乾癬治療の流れ 最初に検査、触診をしっかり行い
病態を正確に把握し最適な治療を提供

乾癬外来では確定診断をするために、PASIスコアの算出、臨床写真撮影、皮膚精検の3つを原則として最初に行う。また、乾癬性関節炎の有無をチェックするため、関節の触診も必ず行う。精検の結果が出る頃(通常2週間以内)に2度目の診察を行い、治療計画を提示する。その後も比較的短い間隔で来院してもらい、主治医と患者がじっくり話し合いながら治療を進めていく。

治療計画をたてるにあたっては、乾癬外来を担当する医師たちが集まって議論し、アレルギーの有無などをあらためて確認したうえで、最終的には主治医が最適と判断した治療法を選択する。同院では、外用療法から、紫外線療法、内服療法、生物学的製剤療法まで、どの治療も院内で行うことができ、多様な薬剤や機器を使い分けている。また、血液浄化センターと連携し、入院による顆粒球吸着療法(くわしくは後述)も行っている。

「乾癬外来内の議論の場は、1~2週間に1回、乾癬外来のあとなどに設けています。私からアドバイスをすることもありますが、通常は主治医の意見を尊重します。治療は従来通り外用剤からスタートするだけでなく、逆に、たとえば生物学的製剤から始めて、まずは患者さんのQOLを大きく改善させてから、その後、メンテナンスするようなかたちで治療を継続していく場合もあります」と安藝准教授。「治療の順序にこだわるのではなく、患者さんの病態をしっかりアセスメントしたうえで、その病態にマッチする治療を行うというのが基本方針です」と説明する。

5. 他科との連携 膿疱性乾癬では血液浄化センターと
関節症性乾癬では膠原病・感染内科と連携

患者に最適な乾癬治療を行うために、他科との連携が必要になることもある。たとえば膿疱性乾癬の患者に顆粒球吸着療法を行う場合は、前述したように血液浄化センターの協力が不可欠となる。

「外用から生物学的製剤までの治療は、体内にある悪化因子の産生を抑えたり、排出を早めたりするためのものを体内に入れていく治療ですが、中にはそういった対応では間に合わず、悪化因子を人工的に体外に出さなければならない場合があります。こういう場合に用いるのが顆粒球吸着療法で、血液をいったん体外に循環させて、白血球の中の顆粒球を選択的に取り除いて体内に戻します。透析と同じ仕組みであり、実施には血液浄化センターの透析装置と人材を借りることになります」と安藝准教授。治療のためには3~5週間の入院が必要で、この間に週1回の顆粒球吸着療法を繰り返すという。

「1回の治療だけでも患者さんの熱は下がり、苦痛がやわらぎます。その効果は透析専門医でも驚くほどです。非常に手がかかる治療法ですが、効果が高いので、必要と思った際には依頼するようにしています」と言うが、近年その数は減り、年間1~3名程度になっているという。その背景には、2010年の生物学的製剤の乾癬への適用がある。生物学的製剤は膿疱性乾癬にも適応があるものがあり、この薬の出番が増えるにしたがって、顆粒球吸着療法の出番が減ってきたというのだ。顆粒球吸着療法の対象は現在、膿疱性乾癬で、悪性腫瘍など生物学的製剤を使用できない状態にある患者にほぼ限定されている。

同院の乾癬患者のうち15%前後を占める関節症性乾癬(乾癬性関節炎)も、ときに他科の協力を必要とするものである。関節症状については、乾癬外来の初日に、触診に加えて患者自身に手指、肘、足指、足首などの関節を触ってもらい、痛みがあるかどうかをまずチェック。そこで疑わしい部位があれば、主治医が部位を指定して検査部門にX線撮影の依頼をする。この画像を見て診断に迷った場合は、膠原病・感染内科の医師に意見を求める。診断の段階で他科の意見を求めるケースは全体の2割ほどだという。

皮膚科で診断した、あるいは確認の意味のみで膠原病・感染内科の医師に見てもらって関節症性乾癬と診断したケースについては、治療も引き続き皮膚科で行う。一方で、診断に迷って膠原病・感染内科の医師に相談したケースについては、その後も併診のかたちをとるという。膠原病・感染内科とは診療以外でも日頃からよく連携しており、年2回の合同カンファレンスでは、診断や治療に迷ったケースなどを互いに持ち寄り、意見交換を重ねている。

6. 生物学的製剤療法 尋常性乾癬の2割、関節症性乾癬の5割で導入
慎重に薬を選択し主治医が継続的に治療

生物学的製剤療法についても、患者の病態にマッチすると考えた場合は積極的に導入している。同療法を行っている患者の比率は、尋常性乾癬で約20%、関節症性乾癬で約50%と比較的高い。認可されている製剤のほぼすべてを採用しているが、目の前の患者にどの薬を用いるかの選択には慎重を期している。

患者それぞれにどの製剤が適しているかを考えるときには、生物学的製剤療法に長けた膠原病・感染内科の専門医や、薬剤師たちとよく話し合う。それでも迷う場合は、著名な医師に紹介状を書き、判断をあおぐこともあるという。

こうして薬剤の絞り込みができたら、主治医から患者に詳細な説明を行う。各メーカーなどから提供される説明資材を提示しながら、治療に必要な時間や費用も話し、自己注射の場合はその打ち方の指導まで含めて主治医が行う。十分な情報提供をしたうえで、どの製剤を使うかを主治医と患者の話し合いで決めていく。

生物学的製剤療法に慣れていない医師には、説明の仕方や注射の手技を、あらかじめ安藝准教授らがOJTやデモンストレーションによって指導する。最近は、マネキンを患者に見立てて注射を行う動画教材を指導用に作成し、研修医に公開している。

また、関節症性乾癬の生物学的製剤療法にテーマを絞った開業医向けのセミナーを、年に1回、膠原病・感染内科と合同で行っている。「生物学的製剤は、けっして気軽に使える薬ではありませんが、むやみに避ける必要はまったくありません。まだまだ導入に消極的で、従来通りの治療を継続している医師は少なくありませんので、まずはこの療法についてよく知っていただくことを目指しています」と安藝准教授は語る。

7. 今後の課題・展望 患者と情報共有しながら一緒に歩む
市民や一般医師への啓発活動も継続

安藝准教授は乾癬の生物学的製剤療法について、「スタートから10年経ち、患者さんの数も増え、治療のノウハウやリスクもかなり集積されてきています。今後もより安全に、より確実に、この療法のメリットを提供できるように、患者さんと情報共有しながら、一緒に歩んでいくことが私たち医師の務めだとあらためて感じます」と語る。

乾癬に関する市民啓発や、一般医師への啓発も、引き続き行っていく考えだ。乾癬に対する地域の医師の関心は、高いとはいえないそうで、今後も理解を促し、1人でも多くの患者を救うことにつなげていきたいという。コロナ禍で人が集まるイベントの自粛が求められる昨今、効果をあげるにはどのような方法があるのか、模索が続いている。

KKC-2021-00105-1

乾癬治療最前線

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