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医療法人社団 東京慈光会 ひふのクリニック人形町
[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2021年7月26日公開/2021年7月作成

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  • ●院長:上出 良一 先生
  • ●開院:2014年5月
  • ●所在地:東京都中央区日本橋人形町2-2-3-3F

"皮膚病のソムリエ"として多様な悩みに対応
SDMを重視し納得感ある乾癬治療を提供

東京都心にあって、いまなお昔ながらの下町の雰囲気を色濃く残す日本橋人形町。ひふのクリニック人形町はこの街のメインストリートに建つメディカルビルの中にある。上出良一院長は、皮膚の手術や光線過敏症の研究・臨床などにいち早く取り組んできたパイオニア精神溢れる皮膚科医だ。東京慈恵会医科大学に40年間勤務し、2014年に皮膚科学講座教授を定年退官。理想の外来医療を実践すべく同年5月、開業した。保険診療に絞った診療内容、看護師の力を最大限生かした外来システムなどが特徴的。乾癬治療においては近隣の複数の病院と連携し、個々の病態と希望に沿った治療法を提供している。

1. クリニックの概要 大学教授を定年退官して開業
先駆者としての経験を地域で生かす

安藝 良一 皮膚科診療准教授

上出 良一 院長

ひふのクリニック人形町には、ほかの一般的な皮膚科診療所とは一線を画す特徴がいくつかある。1つは、美容医療を行っていないこと。「皮膚病をきれいに治すことは重視していますが、いわゆる美容のための自由診療は当クリニックでは対象外としています。あくまで皮膚病による身体的、心理的ダメージを取り除くことに尽くしたいと考えているのです」と、上出良一院長が言う。

上出院長が大学病院に定年退官するまで勤務し、65歳で開業したというのも珍しいケースだ。上出院長は石川県小松市出身で、祖父の代から続く皮膚科(泌尿器科)診療所の3代目。いずれはこの診療所を継ぐつもりで迷わず皮膚科医を志したが、父と同じ東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科で研修を始めると、次々にやりたいことが出てきて、生家に戻ることができなくなったのだという。

「私が医師になった当時は、1つの診療科に進んだらずっとそこにいるものだったのですが、もっと幅広い知識を身につけたいと思っていた私は、研修2年目に、わがままを言って形成外科に移らせてもらいました。そこで手術を学び、3年目からは皮膚科に戻って皮膚がんの手術を積極的に行いました。同僚や後輩に手術を教えたり、形成外科の助けを借りてより困難な手術に挑んだりもしました。それと同時に当時の教授の専門だったアトピー性皮膚炎の治療や研究にも打ち込み、博士号もアトピーで取りました」と、若き日を振り返る。

その後、東京慈恵会医科大学皮膚科学講座ではじめての海外留学も果たしている。医師になって9年目の1981年にニューヨーク大学メディカルセンターの研究員となり、後にカリフォルニア大学サンディエゴ校メディカルセンターに移籍し、通算2年間、日本ではまだほとんど研究者のいなかった「光線過敏症」の研究に没頭した。

「帰国後は1人で『光線過敏症外来』を立ち上げ、文献や研究会で学びながら、独自のノウハウを蓄積していきました。同じ頃、小切開摘出術で治療するのが一般的だった粉瘤(アテローム)の『くり抜き法』も考案しています。へそ部分(皮膚とつながっている毛包部分)をパンチでくり抜き、そこから垢や膿、さらには袋も掻き出す方法で、軽い気持ちで皮膚科雑誌に投稿したところ(皮膚臨床30:68, 1988に発表)、低侵襲で再発の少ない新しい治療法として全国に広まったのは愉快でした。1995年には、大学内の一室を使ってアトピー性皮膚炎の患者さんとの交流会もスタートさせました。これは、患者さんとの対話を通して一人ひとりの背景や価値観を知り、患者さんに納得していただける医療を提供するNBM(Narrative-Based Medicine:患者の物語と対話に基づいた医療)の実践でもあります」と上出院長。「いま考えると、我ながら本当に勝手にいろいろやりました。でも、大学がそういうやり方を受け入れてくれた、自由にやらせてもらえたからこそ、いまの自分があると思います」と感謝の思いを口にする。

大学病院時代から研究・臨床に取り組むアトピー性皮膚炎、独自に専門外来をつくった光線過敏症、自ら開発した粉瘤のくり抜き法などは、開業したいま、専門性の高い診療項目としてひふのクリニック人形町のブランディングにつながっている。

同クリニックが入るメディカルビルは、東京メトロ日比谷線人形町駅、同じく半蔵門線水天宮前駅の2駅から徒歩1分という好立地に建つ。エレベーターで3階に上がると正面がエントランス。ドアの内側には木目にオレンジ色を効かせた明るい雰囲気の待合室が広がる。イスはすべて1人用で、窓に向かう席はカフェのカウンターさながらのデザインでコンセントつき。この待合室では先に紹介した患者との交流会を、「アトピーカフェ」の名称で継続的に行っている(COVID-19の影響下ではリモート式で開催)。

2. 理想の外来 診療内容はシンプルに
患者と向き合う時間を重視

同クリニックの理念は、「『皮膚を通じて患者さんに寄り添う』をモットーに、患者さん全体を捉えた、全人的医療を提供します」である。「全人的医療」という言葉にこめた思いを上出院長は、「皮膚の病気は体の表面に症状が出ますが、多くの場合、背景に心理・社会的悩みが隠れています。そこを理解し、体と心を両輪ととらえてアプローチしてこそ本当の意味での治療ができると考えています」と語る。1987年に仲間とともに「皮膚科心身医学研究会」(現日本皮膚科心身医学会)を立ち上げ、長年、役員として活動しているのも、こうした思いがベースにあるからだ。

他のクリニックとは一線を画すという意味では、診療の仕方も独特である。診療室のデスクには電子カルテを使うためのパソコンがあるが、上出院長は診療中、これにほとんど触れない。

「電子カルテの打ち込みは看護師に任せ、私はもっぱら患者さんのほうを向き、顔を合わせてお話しするようにしています。そして、単に選択肢を提示して選んでいただくのではなく、いろいろな事情や考え方を聞いて、専門医から見てより良いと思う方法をおすすめします。私は皮膚科専門医というのは皮膚病のソムリエのようなものだと思うのです。その人に合った治療を、責任をもって選んで差し上げるのが医師の役割ではないでしょうか」と、医師としてのあり方を語る。

治療内容に関しては、「できるだけシンプルに」がモットーだ。たとえば、患者が訴える症状とその対処法(薬剤の種類や量など)をあらかじめパターン化しておき、それぞれ心理面をサポートしながらも、治療そのものはいくつかのパターンからその患者に合うものを選ぶようにしている。薬剤についても、効能ごとに最も使いやすいものに絞って採用している。

院内には4つのブースがあり、それぞれで問診、診察、処置、紫外線治療が同時進行で行われるようになっている。上出院長は診察を担当。その横でカルテを入力するのも、診察の前の問診、採血や塗り薬などによる処置・指導、紫外線治療を実際に行うのは看護師だ。治療内容がパターン化されているため、上出院長から看護師への指示もスムーズである。院内に上出院長の分身が4人いるようなもので、このシステムにより診療が効率的に進むと同時に、患者へのサービスの向上、収益の向上につながっているという。

スタッフは上出院長のほかに非常勤医1名、看護師4名、受付事務3名。「私は診療部長であり、薬剤部長であり、経理部長でも人事部長でもあります。大学時代には経験しなかった業務も多く大変ですが、すべてを自分の責任で、自由にできるのは実に楽しい」と話す上出院長の表情は充実感に溢れている。

患者は老若男女幅広く、近隣住民からビジネスパーソン、専門医療を求めて遠方から来院する人などがいる。地区医師会会員からの紹介も多い。一時は1日に130人を診たこともあったが、スタッフの負担を考慮し、近年は当日順番予約制を導入して1日80人までに絞っている。

3. 乾癬治療 「乾癬治療ピラミッド」の頂点からスタート
独自の治療選択表を用いてSDMを実現

上出院長はひふのクリニック人形町のスタンスを、「大学病院の外来部門」と表現する。専門性の高い分野を看板とし、他の皮膚疾患に関しても大学病院と同等レベルの医療を提供しているということだ。その意味で乾癬治療も重視している。医師になって以来、専門としているアトピー性皮膚炎と乾癬の治療に共通点が多いことも上出院長にとっては有利だ。

治療をパターン化する手法は乾癬治療についても同様で、大学病院での治療経験をベースに、独自に「乾癬の治療選択肢と特徴」という表を作成し、院内で共有している。この表では、横軸に「外用薬(2系統)」「内服薬(3系統)」「紫外線照射」「注射(バイオロジクス)」の枠を、縦軸に「皮疹の広狭、関節症状、合併症」「効果」「副作用」「手間」「費用」「患者さんの個性・希望」の枠を取り、それぞれの特徴を簡潔にまとめている。

症状が広範の場合は患者の負担を考えて外用薬はすすめない、早く治したいという患者には、即効性のある内服薬を用いる、症状は広範だが内服薬による副作用が心配で頻回に通院できる場合は紫外線照射を基本とするといった方向性が明確に把握できる。また、患者への説明ツールとしても活用しており、「費用」の欄は、「比較的安価」「すごく高い」など、「患者さんの個性・希望」の欄は「高齢者でのんびり治療」「重症で早く治したい方」などというように、平易な表現を用いている。

「乾癬は皮膚の病気ではありますが、症状が広範で関節症状やメタボリックシンドロームとの関係も深いことなどから、私たちはこれを全身病ととらえて、患者さんの事情や希望を聞きながらさまざまな角度から対応しています。ご本人の思いを尊重しつつ、ソムリエとしてより良い方法を提示する。双方向のやりとりで、SDM(Shared decision making:協働意思決定)を実現したいと思っています」

乾癬治療の方針は明確だ。「乾癬患者さんが来院されたらまず全身を診察し、その方に生物学的製剤を使う理由があるかどうかを考えます。あると思えば病状から治療内容、費用や補助制度なども含めて丁寧に説明します。患者さんがそれで納得して希望されればすぐに連携先病院に紹介します」

いわゆる「乾癬治療ピラミッド」を意識してはいるが、症状をこじらせない治療法の選択に重点を置いているという。

生物学的製剤治療を行うにあたっての連携先病院は、前職場で現在も客員教授を務める東京慈恵会医科大学病院と、聖路加国際病院、関東逓信病院の3つだ。それぞれの皮膚科部長と上出院長が個人的に親しいこともあり、連携はとても円滑。これらの病院には、乾癬や掌蹠膿疱症などの詳細な病態把握のための精密検査なども依頼している。一方、より簡易なエックス線検査などでは診診連携を活用し、同じメディカルビル内の内科診療所にお願いすることが多いという。

生物学的製剤治療を患者自身が望まない場合や、そこまでの治療を必要としないケースでは内服薬治療を検討する。内服薬で症状を抑えれば、その後、外用薬を使う場合も塗る治療がしやすくなるのが利点だ。紫外線治療は、院内に完備した全身型ナローバンドUVB照射装置と局所型UVB照射装置を活用して週1~2回実施する。

上出院長は紫外線治療を受ける患者を、親しみをこめて「ご常連」と呼ぶ。「頻繁に会ってお話しできるから人柄もわかるし、ちょっとした変化にも気づけるのがご常連の良さです。人間関係ができると、治療の継続もしやすくなります。その意味で私は、紫外線治療には治療そのものの効果以上の意味があると感じています」と上出院長が言う。

外用薬による治療は軽症患者や他の治療により症状が軽くなった患者を対象に行い、保湿剤を併用する。外用薬の塗り方は看護師が手取り足取り指導する。指導にあたっては、山本五十六の名言、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」を合言葉にしている。アトピー性皮膚炎の自己注射なども繰り返し指導している同クリニックの看護師はほめ上手だ。乾癬患者もほめながら指導しているうちにうまく塗れるようになるという。

ところで上出院長は、2010年に設立された「NPO法人東京乾癬の会」(P-PAT)の初代相談医で、現在も応援医として患者の支援活動を続けている。また、開業後は「アトピーカフェ」と交互に「乾癬カフェ」を開いていた時期もある。こうした活動を通して患者と気軽に交流し、診察室にいるだけでは見えない患者の思いをキャッチし、相談に応え、より良い選択を支援している。

4. 今後の課題・展望 患者の口コミで評価される
"行きつけの皮膚科"になりたい

上出院長は開業医としてのあり方について、「かかりつけ医より行きつけ医になりたい」と言う。あらゆる症状や病気を1人で診たり、アドバイスしたりするのではなく、得意分野で選ばれる医師でありたいという意味だ。

「飲食店に行くときに、焼鳥ならここ、鰻ならここ、寿司ならここと、それぞれおいしいところを見つけるように、開業医も、医師の専門性や人柄を見て患者さんが選ぶのが一番いいと思っています。私の場合は、『皮膚病の治療ならひふのクリニック人形町』というかたちで選んでいただけるようになるのが目標です。ネット上の評判などではなく、リアルな口コミでそうなれたらうれしいですね」と心境を語る。

そのうえでの現在の課題は、待ち時間を減らすことだ。先に触れたように当日順番予約制を導入して受付人数を絞ったものの、まだまだ1~2時間待ってもらうケースがある。「待ってでも行きたいクリニック」になる自信はあるが、やはり、行きつけの皮膚科として選んでくれた人に気持ち良く帰ってもらうためにも、できる工夫はしたいと方法を模索中だ。

そんな中、2020年以降はCOVID-19の流行により受診者がわずかながら減り、時間的余裕が生じている。上出院長はこれをチャンスととらえ、来院した患者とのコミュニケーションの時間に充てている。「何気ない交流を通してお互いの信頼関係を深めながら、長くおつき合いできる"ご常連"を増やしていければ」と朗らかに語り、愛されるクリニックづくりに励んでいる。

KKC-2021-00807-1

乾癬治療最前線

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