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横浜市立市民病院
[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2021年9月14日公開/2021年9月作成

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  • ●病院長:小松 弘一 先生
  • ●開院:1960年
  • ●所在地:神奈川県横浜市神奈川区三ツ沢西町1-1

地域の診療所とも連携しながら
チーム医療を基本に乾癬治療を提供

地域の基幹病院としての役割を担う横浜市立市民病院の皮膚科では、紹介患者を中心に多くの新規患者を受け入れている。特に乾癬治療では、乾癬の病状を再評価するとともに生活習慣を聞き取って悪化要因を取り除き、治療のベースを整えたうえで、個々の患者に最適な治療法を提案している。最近では、生物学的製剤による治療で地域の診療所とも連携し、二人主治医制のもと共同診療を始めた。

1. 地域における病院の役割 基幹病院として機能強化を図り、
高度急性期医療を担う

2020年5月、横浜市立市民病院は、J1リーグ・横浜FCのホームスタジアム・ニッパツ三ツ沢球技場がある三ツ沢公園に隣接する自然豊かな場所へと新築移転し、病床数650床、34診療科、職員数1,600 名という大規模な診療体制のもと、高度急性期医療を提供する医療機関として新たなスタートを切った。

新病院では、ICUやNICUなど重症系集中治療室を拡充し、最新の放射線治療機器、ロボット手術支援機器も導入。救急医療では24時間年中無休体制に加え、迅速な受け入れを目指して、横浜市で初となる消防局の救急ワークステーションを併設した。さらに小児救急医療の充実も図り、同時に陣痛・分娩・回復を同室で行えるLDR形式の分娩室を増室し、周産期医療体制も強化した。

2019年月には「がんゲノム医療連携病院」の指定を受け、新病院においても呼吸器内科を中心に、この領域の医療に精力的に取り組んでいる。近い将来、多科にも拡大していく構えだ。また、2004年には神奈川県で唯一の「第一種感染症指定医療機関」の指定も受けている。

そのため、新病院では感染症病棟を全室個室化し、重症系病棟にも陰圧室を配置するなど新たな感染症の発生に備えた設備対策を施していたので、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した際も地域の先頭に立って積極的に対応してきた。

2. 皮膚科の役割と特徴 地域からの紹介患者を受け入れ、
手術が必要な悪性腫瘍にも対応

蒲原 毅 皮膚科部長

蒲原 毅 皮膚科部長

皮膚科においても、この地域の中核施設としての役割を担い、2020年4月に赴任した蒲原毅部長を含め4名の常勤医(うち2名は専攻医)で対応している。皮膚科全域の疾患を幅広く取り扱うなか、得意とするのはアトピー性皮膚炎、乾癬などの炎症性疾患だ。

一方、がん診療連携拠点病院に指定されているため、手術を必要とする皮膚悪性腫瘍(有棘細胞がん、基底細胞がん、パジェット病など)も積極的に受け入れるほか、救急診療科と連携し、中毒性表皮壊死症(TEN)、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)など重症薬疹の治療にも対応する。

新規患者の受け入れは原則紹介制で、乾癬患者についても地域の診療所からの紹介が大半である。そのため、患者は何らかの治療をすでに受けているが、症状がなかなか改善しない人も少なくない。

蒲原部長は乾癬患者の初診の際、患者の皮膚症状や関節症状を観察し、BSA(Body Surface Area)、PASI(Psoriasis Area and Severity Index)、DLQI(Dermatology Life Quality Index)など各種スコアを使って QOLを含めた皮膚疾患の重症度を再評価する。なかでも見逃されやすい関節症状はしっかりチェックすることを心がけている。「手の痛み・腫れ、首・腰の痛み、歩行状態のほか頭皮、爪をはじめ、お尻の周りに皮膚症状がある人は関節症状が出やすいこともわかってきたので全身の皮膚状態も丁寧に確認します」(蒲原部長)。

同時に問診も重視し、ライフスタイルを含め、患者の生活習慣をじっくり聞き取る。「食事、運動、入浴といった日常生活の中に乾癬の悪化原因が潜んでいることが多いからです」と蒲原部長は指摘する。また、喫煙や降圧剤の服用、虫歯の未治療なども乾癬を悪化させることがわかっているため、このような要因についても確認し、取り除いたうえで乾癬の治療に入る。「きめ細かく生活指導を行うことは治療効果や予後にも大きく影響してくるので大切です」(蒲原部長)。

そして、診療ガイドラインを基本に重症度に応じた治療法を選択するようにしているが、その際には患者のニーズも丁寧に聞き取り、治療のメリットとデメリットを伝えたうえで、患者とよく話し合って決めることを重視している。「例えば、症状がひどく生物学的製剤による治療の選択が望ましいと考えられる患者さんだとしても、生物学的製剤の使用に際しては身体的・経済的負担が大きいとして、この治療を望まない方もいます。その場合は、ほかの治療法を提案し、その人にとって納得のいく最良の方法を選択できるように支援していきます」と蒲原部長は治療選択の方針について語る。

ただ、関節症状を含めて、進行が速いと予測される場合は、患者にもそのことを明確に伝え、生物学的製剤による治療を選択する。

3. 乾癬治療における連携 生物学的製剤による治療を中心に
院内や地域との連携を構築中

さらに同科では乾癬治療における他科との連携を重視してる。「関節症状の診断においてリウマチ内科との連携は欠かせません。初診で関節症状を疑ったときはリウマチ内科に関節エコー検査と鑑別診断を依頼しています」(蒲原部長)。

生物学的製剤による治療を実施する際も他科との連携は必須だ。投薬前の検査で結核が疑われたときは呼吸器内科に画像検査の診断を仰ぎ、肝炎ウイルスの活性化リスクが高い患者では1~2カ月ごとに実施する肝機能検査の数値を消化器内科と共有し、ともに評価したうえで生物学的製剤による治療を進めている。

また、外来に配置される看護師数が減っている中、薬剤部との連携も重要だ。「薬剤師が自己注射の訓練を含め生物学的製剤の取り扱いについて患者さんに指導してくれているので、とてもスムーズに導入ができています」と蒲原部長は評価する。

一方、地域の皮膚科診療所との連携も、これから強化していきたいことの一つだ。「生物学的製剤による治療を希望する患者さんのなかには、皮膚科診療所の医師に相談し、この治療を選択することを決めたうえで紹介されてくる人が増えており、その数は全体の半数程度を占めています。また、皮膚科を中心に4~5カ所の診療所から生物学的製剤による治療の診療連携の申し出があり、二人主治医制で診療している患者は30~40人ほどになります」(蒲原部長)。

これらの連携先をはじめ、地域の皮膚科診療所から求められていたのが地域連携パスの作成で、まず同科では乾癬地域連携パス用の紹介状(図1)と診療情報提供書(図2)を作成し、乾癬の共同診療が行える体制を整備している最中だ。

4. 展望と課題 総合病院の強みを生かして
乾癬の全身管理にも注力したい

乾癬患者は、メタボリックシンドロームや脂質異常症、糖尿病を併発していることも多く、近年は心血管病のリスクが大いに高まることも判明している。こうした病気の特徴とエビデンスを踏まえ、皮膚科でも脂質異常症や糖尿病がある乾癬患者には内科との併診に取り組んでいるものの、その体制は十分ではないというのが現状だ。

「乾癬は皮膚疾患ではなく全身性の炎症性疾患であるという認識が広がるなか、当科においても総合病院という強みを生かし関連する診療科、栄養部などとの連携をさらに強化し、乾癬患者さんの全身管理にも注力していきたい」と蒲原部長は展望を語る。

一方、蒲原部長は横浜市立大学附属病院皮膚科に在籍していた時代に「神奈川乾癬友の会」の設立を支援した経験を持つ。以来、同団体の相談医を務めるほか、患者向けの勉強会では積極的に講師を引き受けたり、著名な専門医を招聘するなどの企画にも携わってきた。

「乾癬は難治性疾患ということもあり、患者さん同士が悩みを相談し合える場所を作っていくことが大事です。また、この病気とうまく付き合っていくうえでは日常生活の工夫をはじめ先輩患者さんの知恵やアドバイスに助けられることも多いのです。今後は患者会ネットワークとも緊密に連携しながら、当科を受診する患者さんを精神面や生活面でもサポートすることに取り組んでいきたいと考えています」(蒲原部長)

乾癬の生物学的製剤による治療を中心に、この地域で構築され始めている診療ネットワークは、ほかの皮膚科疾患の診療においても役立つに違いない。横浜市立市民病院皮膚科のこれからの診療活動が楽しみである。

KKC-2021-00937-1

乾癬治療最前線

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