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公益財団法人 朝日生命成人病研究所 附属医院[糖尿病治療最前線]

2017年12月26日登載/2017年12月作成

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  • ●所長:岩本 安彦 先生
  • ●開設:1960年
  • ●所在地:東京都中央区日本橋馬喰町2-2-6

療養指導を重視したシステマティックなチーム医療で
糖尿病患者を継続的にサポート

社会福祉への貢献を目的に1960年に設立された朝日生命成人病研究所は、1973年に附属病院を開院。以来、生活習慣病の基礎研究と臨床研究に取り組みながら、多くの患者に専門的な医療を提供し続けている。なかでも糖尿病については全国有数の通院者数を誇り、体系的かつ個別性を重視した診療・教育を実践。2011年には現在の場所に移転すると同時に病院から医院(11床)に移行し、外来体制をさらに強化しながら、患者とともに糖尿病の克服を目指している。

1. 沿革 "糖尿病治療のメッカ"を目指し開院
研究、診療、患者教育に力を入れる

朝日生命成人病研究所は1960年、朝日生命保険相互会社の創業70周年記念事業の一環として、「社会福祉への貢献」を目的に東京・丸の内に設立された。1969年に新宿に移転し、73年に附属病院を開院。85年には創業100周年を記念し「朝日生命糖尿病研究所」を丸の内に開設。ここでも附属病院(丸の内病院)を併設し、新宿、丸の内の2つの拠点をベースに幅広い医療を行うようになった。

丸の内病院が目指したのは"日本のジョスリンクリニック"。当時、「糖尿病治療のメッカ」と呼ばれていたアメリカのジョスリンクリニックを参考に、教育入院プログラムや教育看護師(現在のCDEJのような職種)の配置、患者教育用講義室の設置など先進的な取り組みに着手。日本の医療が"3時間待ちの3分診療"と揶揄された時代に丁寧な診療を行ったことが評判を呼び、糖尿病患者が全国から集まる施設となった。

現在のフットケア外来につながる「足外来」を全国に先駆けて1989年に開設し、臨床研究を通して得られた成果を講演や書籍によって発表。のちの糖尿病合併症管理料の新設(2008年)に寄与している。

2つの施設が合併し、「朝日生命成人病研究所附属丸の内病院」として新生したのは2004年。このときは新宿にあった消化器科、循環器科などの診療科が統合し、治験室が開設された。2010年に公益財団法人となり、翌2011年に馬喰町に移転、附属医院となった。これが今回紹介する、「公益財団法人朝日生命成人病研究所附属医院」で、教育入院専用ベッドを11床備えている。また、糖尿病患者が糖尿病合併症の診断と治療を院内で受けることができるように眼科、腎臓内科、皮膚科が併設されている。

同院に通院する糖尿病患者の数は月に約4,000名と全国的にも有数の多さ。従来以上に地域連携に力を入れ始めたこともあり、新規の患者も増えつつある。同院自体は朝日生命関係者でなくても、また、紹介状がなくても受診することができる。

2. 療養指導体制 検査・診察・療養指導・栄養指導を
「初診時療養指導」としてセット化

朝日生命成人病研究所附属医院の糖尿病医療の1つの特徴として、療養指導にたいへん力を入れていることが挙げられる。特に初診時の指導を重視しており、患者が来院したらまず血糖値とHbA1c値、体重、血圧を測り、続いて医師による診察、看護師による療養指導、管理栄養士による栄養指導を受けてもらう。検査結果は5~10分ほどでオーダリング画面に反映されるので、医師はその数値を確認したうえで診察を始めることができる。

このように、検査、診察、指導を1つのセットとして行うことで、患者が糖尿病を正しく理解し、適切に向き合っていくためのベースをつくる。同院ではこれを「初診時療養指導」と呼んでいる。

「初診の患者さんにはかなりの時間を割いています。我々医師は20分ほどかけて、患者さんの病歴を確認し、訴えを聞き、身体所見をとるなどして治療方針を立てます。看護師による療養指導は患者さん1名につき45分、管理栄養士による栄養指導は同じく30分の枠を確保しています。ですから患者さんにしてみれば、初診は診察を受けるというより学びのイメージが強いかもしれません。糖尿病は患者さんにとって、長い生涯を通じてつき合っていく疾患ですから、最初に正しく理解していただくことが大事だと考え、このようなやり方をしているのです」と話すのは、朝日生命成人病研究所所長を兼務する、岩本安彦・附属医院院長だ。

岩本院長は2015年4月に現職について以来、同院のウェブサイト上に『成人病News』と題したコーナーを開設して積極的に情報発信を行うなど、糖尿病の重症化予防、合併症予防などを意識した新しい取り組みにも力を入れている。

続いて吉田洋子・糖尿病代謝科診療部長が、セット化された初診時療養指導のシステムができた経緯を次のように説明する。

「丸の内病院が発足した頃は、ほぼすべての患者さんに教育入院をしていただいていたこともあり、充実した糖尿病教育を皆さんに受けていただけていました。しかし、しだいに教育入院の時間を十分にとれない患者さんが増えてきてしまい、私たち医療スタッフは、患者さん教育が手薄になってしまうことを危惧していました。そこで、移転して医院になるときに、各職種の代表が集まり、どうすれば外来で十分な教育ができるかを話し合ったのです。その結果できあがったのがいまのシステムです」

同院の糖尿病代謝科には2017年4月現在、非常勤を含めて20名以上の医師が在籍し、完全予約制で外来診療にあたっている。また、看護師も人材豊富で、糖尿病認定看護師、日本糖尿病療養指導士(CDEJ)などの有資格者が過半数。管理栄養士も全員CDEJであり、充実した体制で栄養指導に取り組んでいる。

岩本 安彦
朝日生命成人病研究所所長・附属医院院長

吉田 洋子
糖尿病代謝科診療部長

3. 看護部の取り組み 初診では患者の全体像把握に力点
2回の指導で糖尿病療養の基礎を伝授

看護師による療養指導は、基本的に2回行われる。1回目の指導で重視するのは患者の全体像の把握だ。「最初に受付で問診票をお渡しし、基本的なことを書いていただきます。療養指導ではそれをもとに、病歴や治療状況はもちろん、病気に対する考え方など心理状況、お仕事の内容や生活パターン、家族構成や食生活状況、運動習慣などをくわしく聴取していきます。患者さん個々に寄り添った支援を行うためには、まず、患者さんのことをよく知ることが大事だと考えています」と松田由維看護師長が看護部の方針を語る。

こうして患者像を把握すると同時に、「糖尿病とは」「合併症」「血糖コントロールの指標」「治療(食事、運動、薬物)」「糖尿病手帳」など療養に必要な糖尿病の基本について、パンフレットなどを用いながら説明する。さらに、生活改善を目指すための目標(セルフケアプラン)の設定を患者自身に行ってもらう。ここまでが1回目の療養指導に含まれる。

約1カ月後の受診に合わせて行われる2回目の療養指導では、初診時に設定したセルフケアプランの実践について評価と修正を行う。その後、足病変に関する説明として、「フットケアの必要性」「観察・保清・保護について」「爪の手入れ」「靴の選び方・履き方」などについて話し、実際に足の状態の確認をし、何かあればフットケアや皮膚科受診につなげていく。

1回目、2回目の療養指導で得た情報は、「新患 療養指導・栄養指導経過表」(図1)などに詳細に記録し、医療チームで共有する。

松田 由維
看護師長

図1新患 療養指導・栄養指導経過表

4. フットケア 自分で足のケアができる患者を育てる
「足の手入れ外来」を開設

看護師による2回目の療養指導でフットケアについて集中的に指導するのは、同院がそれだけフットケアを重視していることの表れともいえる。1989年に爪切りを主体に「足外来」としてスタートしたフットケアは、その後「フットケア外来」となり、附属医院に移行してからは「足の手入れ外来」として週4回開き、予約制で実施されている。

これについて松田看護師長は、「フットケアというと単にケアするだけのように感じてしまう可能性があると思い、"足の手入れのことがしっかりわかる外来"という意味をこめてこの名前にしました」と命名の意図を語る。

現在、同外来を受診しているのは、神経障害や閉塞性動脈硬化症などがある人で、医師によりフットケアの必要性が認められた患者だ。松田看護師長によれば、この外来の目的は「患者自身が自分で足のケアができるようになること」。そのため病変があればケアはするものの、それはほんの一部にすぎず、あくまで患者教育の視点を重視する。

「神経障害によってどの程度の感覚が足に残っているのか、どのような爪切りでどんなふうに切っているのか、入浴の頻度はどうか、目はよく見えるのか、冬はどんな暖房器具を使っているのかなど、ご本人の状況をくわしく見きわめたうえで、自宅で日常的にできるフットケアを提案していきます」と松田看護師長が、患者それぞれに合ったセルフケア指導の重要性を強調する。

こうしたプログラムは糖尿病認定看護師を中心に構築し、糖尿病重症化予防(フットケア)研修を修了したCDEJが担当して実施している。同外来は糖尿病代謝科に併設されている皮膚科と密にかかわっており、必要があればすぐに医師の診察を受けられるようになっている。

なお、看護部にはコーディネーター制という独自の仕組みがある。これは、医師が通常の診療の中で急遽、看護師に療養指導を依頼したいと考えた場合に、看護師の持つピッチに連絡するとすぐに対応できるというものだ。ピッチはシフト制で持ち、ピッチを預かる看護師をコーディネーターと呼んでいる。

5. 栄養指導 フードモデルや商品パッケージを用いて
楽しくわかりやすく改善点を提案

前述した「新患 療養指導・栄養指導経過表」には、栄養指導の内容も記録される。療養指導と同様に、栄養指導も「自己管理できる患者を育てること」に力点を置いている。また、栄養指導を受けることを患者が苦痛に感じることがないように、楽しみながら、わかりやすく伝えることを心がけているという。

「初診患者さんの場合、私たちが行う栄養指導の前に看護師による療養指導があるので、看護師が聞き取った情報をかなり参考にできます。たとえば食生活含めて生活の大半をご家族に頼っているのか、自分自身でお料理などもしているのかによっても指導の仕方はずいぶん変わってきますので、その方に合わせていろいろな提案ができるようにしています」と言うのは、栄養管理室の藤原江美チーフだ。

藤原チーフはわかりやすさを追求するため、フードモデルや各種図表などに加え、個人的に集めた商品パッケージを指導に活用している。

「最近の商品は、ほとんど裏にカロリー表示がされていますが、それは1個あたりだったり、100gあたりだったりいろいろです。しかし、患者さんは袋の中味全部でそのカロリーだと捉えたり、ヘルシーな素材を使っているものはカロリーが低いなどと短絡的に解釈したりしがちです。そこで、患者さんにおなじみの実際のパッケージをお見せして注意を促します。カロリーの高い濃厚なものを少しだけでも食べたい方、とにかく量を食べて満足したい方など患者さんの好みはさまざまですから、患者さん自身が、正しく選んで適正に食べられるように支援するようにしています」

管理栄養士は個別指導のほかに、糖尿病教室にて集団栄養指導を行っている。糖尿病初期教育にテーマを絞った「わかば教室」や、「カロリーダウン」「外食」「合併症が出てきたときの食事の注意」など、テーマを絞った講義を実施。カンバセーションマップも教室で使い、患者同士の交流のきっかけにもなっている。

藤原 江美
栄養管理室チーフ

栄養管理室にはフードモデルが豊富に揃う

6. 検査部 低血糖への対応や療養指導機能も発揮
合併症フォローのための検査が充実

糖尿病医療にシステマティックに取り組む同院では、必要な検査を迅速に行い、基本的な項目については即時結果が出る体制が整っている。先に紹介した初診時療養指導に伴う血糖検査などを行うのは検査部生化学検査室の臨床検査技師たちだ。「私たちの仕事は血液や尿などの検体を検査することで、正確な結果を迅速に出すことを心がけています。血糖、HbA1cなど常時必要なものと尿検査はすべて院内で実施。緊急時の生化学検査も院内で実施しています。急を要さない生化学検査は外部委託をしています」と同室の佐藤智代チーフが紹介する。

生化学検査室の特徴的な取り組みに低血糖対応がある。「来院されたときに低血糖状態である患者さんがときどきおられます。その場合は、すぐにブドウ糖を召し上がっていただき、15分後に再検査して血糖上昇を確認後、診察に回っていただきます」と佐藤チーフ。ただしこれは血糖値が70mg/dl未満50㎎/dl以上の場合。もし、50㎎/dl未満になっていた場合は、ブドウ糖を与えたうえですぐに主治医に連絡し処置することになっている。

この低血糖対策で活用しているのがA5判1枚の「院内血糖結果表」(図2)で、用紙がクリーム色であることから通称"黄色い紙"と呼ばれている。この裏面が、「外来患者さんの低血糖対処」となっており、血糖値とその後の対処が一目でわかるようになっている。また、記入欄の下には、患者の状態による対処の仕方が簡潔に記されている。この紙は生化学検査室で記入後、患者が持ち歩くファイルに入れておくことで、その日にかかわる各部門で共有できるようにしている。

一方、糖尿病特有の合併症をフォローするための検査を主に担当するのは検査部生理機能検査室の臨床検査技師たちだ。ここでは心電図、24時間ホルター心電図、脈派、神経伝導速度、心電図R-R間隔変動係数(CVR-R)、腹部超音波、心臓超音波、頸動脈超音波、甲状腺超音波、SAS(睡眠時無呼吸症候群)関連の検査など多様な検査を医師からのオーダーに応じて行っている。

「生理機能検査では、患者さんに衣服を脱いでいただくことが多いので、その際には患者さんの体の傷など全身の変化にも注意をしています。ご本人から訴えがない場所に傷などが見つかれば、患者さんに『ここの傷、気づいていますか』などとお声かけします。当院の患者さんは充実した教育を受けて糖尿病についての知識は豊富にお持ちなのですが、糖尿病網膜症や糖尿病神経障害の状態によっては、ご自分の全身状態を常にチェックするのは難しいものです。そこで私たちが患者さんの目になって気づいたことをご本人と共有し、さらに医師や看護師にも伝えながら早期の対応につなげています」と、生理検査室の山本美津代チーフが取り組みを語る。
院内には、X線室もあり、一般撮影、消化管の造影検査、CT検査を行っている。

佐藤 智代
検査部生化学検査室チーフ

山本 美津代
検査部生理検査室チーフ

 

図2院内血糖結果表

7. 教育入院 指導、検査、治療を患者ごとに設定
入院期間も2泊3日から2週間までさまざま

教育入院は緩やかなクリティカルパスを活用して行われている。たとえば入院期間は2週間が基本で、入院中に各職種持ち回りで担当する糖尿病教室のスケジュールも予め組まれているが、基本的な知識に関する講義は1週間サイクルであり、個別指導でフォローしている。また、2泊3日の週末入院プログラムの仕組みもある。「入院できる期間や時期が患者さんによって違うので、集中的な血糖コントロールが必要な状態でもない限り、個別対応を可能にしているのです。何曜日から入院するかも、患者さんのご都合にできるだけ合わせます」と吉田部長が言う。

教育入院で医師が行うのは、糖尿病に関する知識の伝達や問題点のピックアップ、その解決法の検討などだ。また、入院中は毎食前と就寝前に血糖値を測定して評価して食事の影響を見たり、合併症の検査なども行う。

看護師は、患者それぞれの状況や経過を考慮し、個別に看護計画を立てて指導していく。「週末入院の場合は食事療法や運動療法の体験を主体に行います。また通常の教育入院では、スケジュールに沿って各職種が指導を行いますが、入院期間が短い患者さんなどは、私たち看護師が積極的にベッドサイドにうかがって個別指導を行います。時間のあるときには院内の廊下や、予め設定した院外の散歩コースを歩いていただいたりもします」と松田看護師長。さらに「糖尿病療養は退院後が本番」と話し、入院中に習得した知識についての退院前の振り返りや、退院後の目標設定、継続した外来での療養指導を重視している。

教育入院における管理栄養士の活動でユニークなのは、食事の時間には毎回、入院中の患者全員に食堂に集まってもらい、食事内容や味つけの工夫などの説明をしたり、患者の食べ方を専門家の視点で観察し、注意を促したりしている点だ。注意といっても頭ごなしに言うのではなく、行動に変化が出るよう言い方には一ひねりしている。

「たとえば早食いの患者さんには、『そのおかず、どんな味がしますか?』などと話しかけると、患者さんは、すぐに飲み込まずにお口の中でモグモグしながら考えてくださいます。また、『味が薄い』とおっしゃる患者さんには、『よく味わってみて。同じお浸しでも苦味があるのは小松菜ですよ』などと、素材の味を知っていただくよう促しています」と藤原チーフが紹介する。

ちなみに同院の食事はおいしいと評判で、糖尿病食でも工夫しだいで満足できる味につくれるという見本にもなっている。
食事のおいしさが影響しているのかどうかはわからないが、同院の教育入院は、患者がすすんで予約するケースが少なくないこと、また、年中行事のように定期的に入院する患者もいる、といった点でもユニークである。

8. 薬剤室 薬の正しい飲み方、使い方を
患者目線できめ細かく指導

初診時にはまだかかわらないものの、教育入院中の糖尿病教室や、治療が始まってからの患者教育において非常に大きな役割を担うようになるのが薬剤師だ。岩本院長は、「近年、糖尿病の薬は非常に種類が多くなり、使い方も複雑になってきています。そんななか専門医が注力するようになったのが低血糖です。いまでは、低血糖を避けることは血糖値を下げることと同様に重視されています。薬剤師による薬の使い方に関する指導は、この低血糖予防の視点からもますます求められています」と指摘する。

薬剤室の長谷川千代子チーフは、服薬指導を行う際に心がけていることとして、「患者さんが服用方法や服用の必要性を理解し、安心して服薬できることが第一に挙げられます。また、薬に関して困っていることや分からないことがあれば一緒に考え、治療の向上を目指すことです」と言う。「糖尿病教室での講義の場合、薬の服用方法において、朝食を食べる習慣がない場合は朝の薬を抜いてもいいのか、薬を飲み忘れたときにはどうすればいいのか、アルコールを飲んだ時の薬の服用はどうするのか、お茶での薬の服用はよいかなど、患者さんからよく質問を受けます。特に最近は、週1回投与する注射薬や内服薬も出てきており、患者さんは忘れてしまうのではないかと不安になるようです。これについては曜日を決める、忘れてしまった場合、次の注射日まで3日以上あるなら通常どおり使って大丈夫、などと薬に合わせて具体的にお伝えしています。また、同じ効能の薬でも種類によって飲み忘れたときの対応が違いますので、そういう点もきめ細かくお伝えすることで、服薬コンプライアンスを上げることができます。服薬指導時は、指導用の手づくり資料を見せながら行います。例えば、インスリン注射の保管時の説明では『車の中に薬を置いておくと気温が上昇し、薬が変質してしまうので、薬は持ち歩きましょう』とお話しし、変質してしまった薬の写真を見せることで理解度が高まります」と語る。

薬に関する説明は50枚あまりのスライドにまとめ、糖尿病教室でそれを示しながら講義をするほか、プリントアウトして配布もしている。イラストや写真、図表を多用したスライドは見て楽しく、わかりやすい。病棟では、この資料をもとに看護師が患者から質問を受けることが多いということからも、関心の高さがうかがえる。

一方、入院服薬指導は医師の依頼に応じて外来で行っている。ここではそれぞれの患者の理解度に合わせた指導を行っている。また、2015年より、患者の利便性を考え一部外来院内処方にも対応しており、「投薬時には、新規に追加された薬、変更となった薬の作用、服用方法などを重点的に説明します。また、追加になった薬を服用して体調に変わりはないかどうかを確認し、副作用の起きやすい時期、症状、対処法などもお伝えしています」と長谷川チーフ。服薬指導資料はもちろん随時更新している。

長谷川 千代子
薬剤室チーフ

9. 今後の課題・展望 糖尿病の人が穏やかに
人生をまっとうできる地域づくりを目指す

馬喰町に移転して以降、同院では地域連携にそれまで以上に注力するようになった。丸の内病院時代の2005年に立ち上げた「医療連携室」は、2010年に「医療連携部」となってスタッフを増員。患者の紹介、返送をスムーズに行うことで継続した支援を実現させるなど成果を上げている。

また、糖尿病診療に携わる地域の医療スタッフを対象とした研修会も主催している。当院主催の連携の会は年2回で、外部からの依頼により地域で行う研修会も度々行っている。講師には院内の医師や医療スタッフに加え、全国から先進的な取り組みを行っている医師を招聘している。

岩本院長は、「糖尿病患者さんが増え続ける中で、一般の医療機関と、糖尿病患者さんを中心に診療を行っている医療機関との連携をより深めて、地域全体の糖尿病医療のレベルアップを図っていくことが重要です」と指摘。「そのためにいかに貢献していくかが当院の課題」と語る。

具体的には、一般の開業医などから紹介された患者に専門的な医療と十分な教育を提供したうえで紹介元に返すことで、治療の中断防止につなげるといった取り組みを積み重ねていく。「その後も必要に応じて当院の教育入院をしていただくことで、診療やセルフケアのレベルを高いレベルで維持していただくことが望ましい」と地域連携の強化に期待する。

また、「これは全国に共通する課題ですが」と前置きしたうえで、「患者さんの高齢化への対応が急務」と指摘。「糖尿病になっても長生きできるようになったという意味では医療の進歩ともいえるのですが、認知機能の低下した患者さんにインスリンの自己注射など複雑なセルフケアをどこまで続けていただけるのか、どうやって合併症を予防していくのかなど課題は山積みです。医療スタッフ、家族まで巻き込んで患者さんを支えていく仕組みを、なんとかして早くつくらねばなりません」と力説する。

その第一歩は、それぞれの医療機関の糖尿病医療のレベルと上げることと考え、2017年夏には、これまで蓄積したノウハウをまとめた書籍を発行。フットケア記録シートや糖尿病食のレシピなどを惜しみなく提供している。
「糖尿病の患者さんたちが、合併症などに苦しむことなく、健康な人と同じように人生をまっとうできることが私たちの願いです」と岩本院長。今後も糖尿病に関する研究、診療、教育、情報発信など多彩な取り組みを通し、その実現を目指していく。

チームで糖尿病患者をサポート

岩本院長・監修、吉田部長・編集の「これが知りたかった! 糖尿病診療・療養指導Q&A」(中山書店発行)。日々の診療・療養指導の経験を元に臨床に役立つ事例がQ&A形式で掲載されている。

KK-17-12-20863

糖尿病治療最前線

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