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医療法人社団幸正会 岩本内科医院[糖尿病治療最前線]

2019年12月05日登載/2019年12月作成

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  • ●院長:岩本 正博 先生
  • ●開設:1969年4月
  • ●所在地:香川県善通寺市弘田町496-1

問診を重視したチーム医療で
効率的かつ質の高い糖尿病診療を実現

岩本内科医院は糖尿病をはじめとした生活習慣病専門の診療所だ。受付から検査、問診、診察、会計までスムーズに流れる独自のシステムが定着しており、特に、看護師または管理栄養士が十分な問診を行い、その問診担当者が診察に付き添って医師との的確なやりとりを促す仕組みは特長的だ。隣接する空手道場を活用した運動指導、院長も参加する友の会のイベントなど、患者のQOLを高める活動にも力を入れている。

1. 医院の概要 チームで取り組む
"みんながやる気になる糖尿病治療"

岩本内科医院は1969年4月、岩本和幸先生によって設立された。設立に際して岩本先生の恩師黒田先生は、医師としての信条を「医は仁ゆえに尊し」という言葉にこめて書にしたため、院内に掲示した。この言葉は設立50周年を迎えた2019年に医院前に設置した記念碑にも刻まれ、後進に引き継がれている。

岩本先生は外来はこの秋で辞めたが、毎月、季節に合わせた健康管理のアドバイスを毛筆で書いて待合室に掲示したり、食や文化について軽妙な文章にまとめた月刊「院内だより」を発行して患者に喜ばれている。

2代目である糖尿病専門医の岩本正博院長が診療に加わったのは1996年のこと。この年、それまで診療所のあった場所の正面に新築移転すると同時に、糖尿病診療に力を入れ始めた。さらに2010年に循環器専門医の篠原尚典先生が常勤医となってからは、糖尿病内科と循環器科が診療の柱となっている。

2005年には院長の趣味である空手の道場「岩本道場」を隣地に開設し、地域の人々に空手の指導をしたり、患者の健康づくりのための運動指導を行ったりしている。

2013年には再びもとの場所に診療所を新築。

同院の患者は近隣の方のみでなく県内広範囲と県外の愛媛、高知、徳島から通院している人も多数いる。現在、外来に通っている糖尿病患者は2,500人以上。

これだけの数の患者をきちんと診て、満足してもらうために取り組んできたのが、後述するチーム医療システムの構築である。2009年9月には看護師・管理栄養士による問診をスタート。2012年7月には電子カルテシステムを導入した。いまでは患者ごとのファイルと電子カルテの両方のメリットを活かして患者情報を共有しながら、診療の流れをつくっている。

院長は、スタッフの働きやすさについても常に心を砕いている。子育て中の女性スタッフも多いことから、休暇を充実させ、休みやすい雰囲気をつくってきた。また、旅行やイベントもスタッフの希望に沿って実施。そんな中、スタッフが定着し、個々のモチベーションも高まっている。「スタッフがやる気を持って患者さんに接し、一生懸命支えることで、患者さんもまた、やる気を出してくれます。糖尿病治療は、みんながやる気になってこそうまくいく。当院ではその好循環を保つことができていると思います」と院長が言う。

2019年8月現在の従業員数は、常勤医師2名、非常勤医師5名(糖尿病専門医2名、内科医2名、眼科医1名)、看護師8名、管理栄養士3名、臨床検査技師3名、医療事務7名、データ管理担当者1名である。データ管理担当者はデータ処理に専念し、JDDM(糖尿病データマネジメント研究会)へのデータ提供や学会発表の資料づくりにおいて院長を補佐している。

岩本正博 院長

2. 糖尿病診療 受付から会計まで一連の流れを構築
患者ごとのファイルで動きを管理

岩本院長がチーム医療システムをつくるべく本格的に行動を開始したのは、2005年頃のことである。「糖尿病患者さんがかなり増えてきたこともあって、私が診察し、そのあとで看護師や管理栄養士が個別指導を行うという従来のやり方では、患者さんに十分満足していただくことはできないと感じるようになりました」と岩本院長。

そこで、まずは何人かの患者の問診(前回受診時からの経過などの聞き取り、残薬確認、相談やアドバイスなどを行う)を管理栄養士に任せてみたところ、手応えがあったことから全面的にシステムを変えることを決意。以前から交流のあった横山宏樹先生が運営する自由が丘横山内科クリニック(北海道帯広市)の診療システムを参考に自院に落とし込み、いまのようなチーム医療体制をつくりあげたのである。

そのシステムとは簡単に言うと、受付を済ませた患者は必要な検査を実施し、その後、看護師または管理栄養士による問診を受ける。その問診内容をもとに医師が診察。あらためて生活指導や薬の処方を行い、会計に回るというものだ。

診察は基本的に予約制で、予約患者については予め事務部門がファイルを準備しておく。患者が来たら受付し、検査、問診と進んでもらう。「午後に葬儀があるので急いでいる」などといった申し出があれば「急」、当日、検査がある場合は「視力検査」「InBody」「心電図」など、次回受診時に検査を控えている場合は「次月検尿あり」「次月Cペプチドあり」といった手づくりのカードをファイルに挟み、漏れがないようにする。

このファイルは、患者の動きに連動してスタッフの動線上の決まった場所に積まれていく。「患者さんとファイルが一緒に動く仕組みです。ファイルを見れば必要な情報が一目でわかるし、同じファイルが1カ所に止まっていれば患者さんをお待たせしていることに気づきます」と岩本院長が説明する。

採血は臨床検査技師や看護師が行う。HbA1c、血糖値、CBC(総血球数)は即日結果が出るので、その結果を確認しながら問診を行う。レントゲン検査や超音波検査などは臨床検査技師がそれぞれの専用検査室で行う。

3. チーム医療 診療を支える16の目と耳
整理された情報をもとに医師が診察

看護師・管理栄養士による問診は個別の問診ブースで行われる。ブースは8つあり、最大で看護師5名、管理栄養士3名の体制で問診を行う。これを院長は「16の目と耳」と表現し、「医師1人、2つの目と耳だけで捉えるより、ずっと多面的で多くの情報が引き出せます」と評価する。

問診の内容は電子カルテに記入し、医師や他のスタッフと共有する。紹介元からの提供書類や検査結果などはファイルに挟む。さらに、問診を担当した者は患者と一緒に診察室に入り、問診内容を要約して医師に伝える。医師はそれをもとに的をしぼって診察を行う。このときのやりとりはすべてクラークが記録。医師は終始、患者と向き合い、顔を見て話をする。これにより短い診察時間でも、患者の満足が得られるという。

糖尿病患者の診察にはもう1つ、特筆すべきことがある。それは、そのとき診察を受けている患者の問診担当者だけでなく、ほかの看護師・管理栄養士も次々に診察室に入ってきて、所定の場所に並んで座り、医師と患者のやりとりに同席することだ。

CDEJ(日本糖尿病療養指導士)の資格を持つ内田知子管理栄養士によれば、ここに並ぶのは、問診を終えたスタッフたちで、担当した患者が入ってくるまでほかの患者の診察に同席するという。「問診は患者担当制ではないので、私たちはどの患者さんをいつ担当するかわかりません。また、診察後にあらためて療養指導や栄養指導を行う場合も、診察に同席して得た情報や知識が役に立ちます」と内田管理栄養士が言う。

4. 運動教室 健康運動指導士のもと
無理なく楽しく体を動かす

現在の医院を新築したときに従来より行っていた岩本道場での運動教室を充実させた。「どんな運動をしたらいいかわからない」「1人では運動できない」といった人たちを対象に、希望者を募って毎月第1・第3水曜日に実施している。

運動教室で指導にあたるのは、各地でスローエアロビック(健康寿命延伸を目的とした運動プログラム)を教えている尾島文子健康運動指導士である。糖尿病患者の運動指導を行うにあたり心がけているのは、「無理なく、楽しくできること」。また、頭の体操も兼ねて、月2回のうち1回は体の運動を中心とし、もう1回は頭を使う動きを取り入れるようにしている。

運動中は終始、音楽を流す。教室に参加している中高年世代に合わせて、「星のフラメンコ」「夜明けのスキャット」「雨の御堂筋」といった昭和時代の大ヒット曲を使う。「普段運動していない人でも、聞き慣れた音楽があると動きやすいものです」と尾島健康運動指導士は言う。

運動教室を始めて6年目。当初から参加している70代の女性は、「ここにくるのが楽しみ」と笑顔を見せる。全体的にも体力がアップし、当初よりも負荷の大きな運動ができるようになった人が多いという。

こうした運動教室の効果は科学的にも裏づけられつつある。岩本内科医院が川崎医科大学との共同研究で、同院の運動教室に参加したことのある患者と、参加者の年齢とBMIにマッチさせた患者との血糖値と体重の変化を平均1.6年間の観察期間で比べたところ、運動教室参加した患者の群で血糖値が改善した。

また、「運動教室に加えて栄養指導を受けた患者さんの群は、血糖のほかに体重にも良い影響があることがわかりました。ひきつづき参加を呼びかけ、患者さんの健康づくりに活かしたいと思っています」と、岩本院長は運動指導をさらに強化していきたい考えだ。

岩本道場は、スタッフの健康づくりにも活用している。院長の妻で、やはり空手を教えている岩本裕美・幸正会理事をリーダーに、昼休みを利用して週一回ストレッチやリズム体操を行っており、その体験をもとに各問診ブースで簡単な運動指導を行っている。

5. 糖尿病友の会 患者・家族の交流の場として重視
年間行事のすべてに院長が参加

岩本内科医院では、糖尿病友の会として「博友会」を組織している。発足は2001年3月。患者のほか家族、医療関係者、糖尿病に関心のある人なら誰でも入会でき、各種勉強会、イベント、旅行などを通じて関係者の交流や糖尿病に関する啓発を図っている。会員数は2019年8月現在、22名。事務局は内田管理栄養士が務めている。

年間行事は、2月の運動教室、4月の花見、7月の食事会、11月の日帰りバス旅行の4つ。すべての行事は会員以外の患者さんの参加も自由で、近隣の薬局の薬剤師なども参加してくれる。花見の会場は、医院から徒歩30分ほどの場所にある四国霊場74番甲山寺だ。皆で歩いて行き、寺の中で昼食を食べ、歩いて帰ってくる。以前はカロリー計算された弁当を用意していたが、ここ3年ほどは名店の仕出し弁当を用意し、各自が同行したスタッフと一緒に考えて食べるようにしています、と内田管理栄養士が紹介する。

7月の食事会は、「低カロリーのフルコースを食する会」と称して、地元ホテルの料理長の協力を得て880kcalに抑えた特別フルコースを税込み3,600円で提供。食後には博友会総会も行っている。毎年70〜80人が参加。食事券や小物が当たるくじ引き大会も人気だ。秋の日帰りバス旅行は会の発足時から毎年続いている人気企画で、参加費は食費込み1万円前後。貸し切りバスで各地に出かける。岩本院長はこれらすべての行事に参加し、患者や家族との交流を続けている。

それらの行事はすべて、患者の生活指導に生かされるよう考えられた体験学習の場としても活用されている。

6. 今後の課題・展望 次世代への継承を視野に
サルコペニア・フレイル対策を強化

高い専門性と独自の診療システムにより、多くの患者に支持されてきた岩本内科医院。院長は、「ある意味、つっぱしってきました」とこれまでを振り返り、「これからも同じようにできるとはいえません。ですから、私のいまの最大のテーマは次世代につなぐこと。幸い息子が医師になり、糖尿病専門医を目指してくれています。患者さんやスタッフに安心していただけるかたちで引き継げるように、いまから準備したいと思っています」と言う。

具体的な取り組みにおける課題としては、サルコペニアやフレイルへの対策を挙げる。「糖尿病そのものの診療システムはほぼ完成しましたが、患者さんにより元気に、長生きしていただくためには体力をつけていただかなければなりません。そのためにもスタッフのトレーニングを行い、早い段階で運動の個別指導を定着させるとともに、理学療法士による運動療法も取り入れていきたいと思っています」と展望を語る。

糖尿病医療の専門施設として全国的に知られる同院が、新たな時代に向けてどのような取り組みを始めるのか。今後の動向に注目が集まりそうだ。

チーム医療に取り組む岩本内科医院の皆さん

KK-19-10-27067

糖尿病治療最前線

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