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医療法人社団創平会 くりや内科医院
[糖尿病治療最前線]

2019年12月11日登載/2019年12月作成

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  • ●院長:厨 平 先生
  • ●開設:1993年4月10日
  • ●所在地:長崎県佐世保市指方町2217-1

循環器内科医と糖尿病専門医の連携で
予防から重い合併症まで幅広く対応

長崎県佐世保市のくりや内科医院では、内科専門医で特に循環器疾患を得意とする院長と、内科専門医・糖尿病専門医である副院長の2名体制で、予防から重篤な合併症治療まで含めた糖尿病医療を提供している。食事会形式の栄養指導やパワーリハビリテーションなど、充実した施設を活かした活動で患者の生活習慣改善にも熱心に取り組む、地域に根ざした有床診療所である。

1. 医院の概要 開業26年。コンセプトは
「対応できる限り何でも診る」

医療法人社団創平会くりや内科医院は1993年4月、長崎を代表するテーマパーク、ハウステンボスから約2kmの田園広がるのどかな場所に開業した。当時は現副院長の厨直美先生が1人で診療していた。

「この辺りで女医の開業医は珍しく、しかも、長崎で勤務医をしていた私が突然、佐世保で開業したこともあって、しばらくの間は好奇の目で見られているような感じもありました。でも、"自分で対応できる限り何でも診る"をコンセプトに、小さなケガの治療から入院治療まで、できる限りの対応をしているうちに認めていただけたようです。しだいに患者さんが増え、ニーズの広がりに合わせてリハビリ施設や介護施設も持つようになりました」と厨直美副院長が開業後の経緯を振り返る。地域の行事に積極的に参加するなど、住民との交流を大事にしてきたことも、医院が地域に溶け込むことにつながったようだ。

長崎労災病院や国立長崎医療センターに勤務していた夫の厨平先生が合流し、院長を交代したのは2002年のこと。これによってより幅広い患者に対応できるようになり、内科、循環器内科、糖尿病内科、胃腸内科、呼吸器内科、リハビリテーション科を標榜するようになった。診療圏も佐世保市とその周辺地域まで広がり、日々、さまざまな患者を受け入れている。

2名体制で診療するようになってから増え続けているのは、重い循環器疾患を持つ糖尿病患者、あるいはインシュリンを使っている心臓病患者など、双方の専門性を合わせなければ治療できないようなケースだ。

「最近では、重度の心臓病を合併して大病院への入退院を繰り返し、ペースメーカーを何度も入れ直している糖尿病歴25年の患者さんに新しい心不全の薬を使っていただいたところ、NT-proBNP値(心不全マーカー)が、1年で2,000pg/ml以上から400pg/mlまで下がるということを経験しました。苦しそうにしていた患者さんがみるみる元気になられて、安定して日常生活を送られている様子を見るにつけ、循環器内科医である夫と二人三脚で診療する意義を感じます」と副院長。

日頃の診療の中でも、判断に迷ったときなどはその場で、2人で相談して最良の医療を提供できるよう努めている。どちらかが不在のときに、どうしても併診したい症状の患者がきた場合は、お互いを呼び出すこともあるという。

病床数は19床で、内訳は一般病棟10床、療養病床9床。ほかに介護サービス事業としてショートステイ用の2床を擁している。併設関連施設はこのほか、居宅介護支援、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、デイサービス、グループホームがある。院長、副院長は交代で訪問診療も行っている。

医院所属のスタッフは看護師約15名、管理栄養士3名、PT1名、OT1名。院長、副院長がさまざまな患者を受け入れているため、おのずとスタッフにも幅広い対応力が求められる。そのスキルを磨くべく、学会形式の院内勉強会(後述)などスタッフ教育にも力を入れている。

厨 直美 副院長

2. 糖尿病医療 オリジナルの「糖尿病問診票」で
患者情報を共有

厨副院長が糖尿病専門医であることから、糖尿病医療には開業時から特に重点的に取り組んでいる。他の内科医との差別化を意識して最初につくったのが、病歴や既往歴、家族歴、食習慣などを把握するためのオリジナルの「糖尿病問診票」だ。

「最初は医師である私が患者さんのことを細かく知るために使うことを想定していたのですが、看護師が自主的に聞き取りや指導を行ってくれるようになるにつけ、『もっとこうしたい』『こういう項目を加えたい』といった声が上がってきて、どんどんアレンジされていきました。そのうちに管理栄養士の意見も反映されるようになり、現在までにシンプルながらも充実した内容の問診票ができあがりました」

いまでは糖尿病の新患が来院した際には、この問診票を使って看護師がまず基本的な聞き取りを行い、次に管理栄養士が食事についての聞き取りを行い、それらの内容が記載された段階で副院長が目を通し、その情報をベースに患者を診察。その後、問診票の裏にある「指示カロリー」や「指示内容」の欄に、副院長が記入。これをもとに看護師や管理栄養士が患者指導を行うシステムが定着している。

再診以降の患者については、受付や、身体計測、各種検査の際のスタッフと患者の会話を通して生活の変化などを把握するようにしている。会話の内容はスタッフそれぞれが要約してカルテに記入する仕組みだ。少ない人材で多くの患者に対応するための工夫でもあるが、構えずに自然にかわす会話の中には、患者を知るヒントがつまっているという。

「診療するうえでとても役に立つ情報を聞き出してくれたスタッフには、その情報がどれだけ診療の助けになったかを、ほかのスタッフにも聞こえるように声で伝えてほめます。すると、こういうことが役立つんだと、ほかの人にもわかってもらえる。これも1つのスタッフ教育だと思っています」

再診以降の検査では、合併症予防を特に意識し、頸部超音波検査、眼底写真撮影、運動負荷心電図検査なども院内で順次実施。年に1回はがん検診も行っている。腎機能については、血液検査と尿検査の結果を合わせてCKD分類で評価。患者ごとに重症度を示した表を手渡して自分の腎臓の状態を知ってもらい、「黄色からオレンジにならないように、オレンジから赤にならないように気をつけましょう」とわかりやすく呼びかけるなど、糖尿病腎症の予防に努めている。

糖尿病問診票で患者情報を詳細に把握しながら診療にあたる厨直美副院長

3. 患者教育 食事会やたのしか運動教室など
生活指導も楽しく

糖尿病教室は毎週木曜日に2部形式で行っている。第1部では1時間かけて、看護師、管理栄養士、リハビリ士がそれぞれ専門的な内容で指導。第2部は45分間を使い、厨副院長が病気の解説や検査値の見方、日々の暮らし方のアドバイスなどを話す。誰でも参加でき、予約の必要もない。

患者対象の教室としてはほかに、「すこやかライフの食事勉強会」も行っている。こちらは第3火曜日と第3木曜日の月2回で、第1部の講義と、第2部の食事・献立説明で構成されている。院内でつくったヘルシーなメニューを、参加者一人ひとりについて副院長が指示したカロリーになるように盛りつけて提供し、適正な味つけや量を体験してもらうため、予約制。内容や当日の進め方は管理栄養士に任されている。

さらに年に3回、皆で料理をして一緒に食事をする場も設けている。これもまた、管理栄養士がアイデアを出し、すべての計画や準備を担当する。「麺の食べ方」「野菜料理の作り方」「男のための料理教室」「芋類を上手に食べる」「低カロリーのお菓子」など、糖尿病に限らず誰もが参考にできる内容で、減塩やカロリーを抑えることに配慮し、しかもなるべく手軽にできるメニューを設定しているとあって、毎回たいへん好評だ。

副院長は、「はじめて行った数年前には、年1回できただけで喜んでいたのに、手応えを感じた管理栄養士ががんばってくれて、年3回まで増えました。管理栄養士は、患者さんがこういうことを知っていてくれたら栄養指導がよりスムーズになる、と思われることを日々の指導の中から見つけ出し、料理と食事という体験を通して教えてくれています。甘いものが大好きな患者さんが、低カロリーのおやつを自分でつくるようになるなど、患者さんの行動にもよい影響が出てきています」と成果を語る。

運動療法に関しては、医師の指示のもとPTやOTがリハビリテーション室で行っている。個別指導のほか、毎日時間を決めて実施している「たのしか運動教室」も好評だ。バランスボールやチューブなどを使ったトレーニングや、リラクゼーション効果もある姿勢矯正ストレッチ、リズムに合わせた運動など、バラエティ豊かな動きが特徴。若返りをテーマに楽しく取り組んでいる。また、パワーリハビリ6種も完備しており、若年層から高齢者までがケガからの回復や筋力アップなどに励んでいる。

このほか、副院長が必要と判断した場合は、早い段階で教育入院を実施する。入院期間は2週間が基本だが、「週末前後の4日間しか日程がとれない」といった、仕事を持つ人などのニーズには可能な限り応え、その間にできる指導を集中的に組む工夫をしている。このとき用いるのは、問診票と同様に皆でつくりあげたオリジナルの「糖尿病教育入院計画書」だ。教育入院には、前述した糖尿病教室や食事会、運動療法も上手に盛り込むようにしている。

糖尿病教室、食事勉強会の案内

4. スタッフ育成 日本糖尿病協会分会の活動や
独自の研究発表会を通して成長

くりや内科医院は、日本糖尿病協会の分会として、「あぜみち」という糖尿病患者と家族のための会を組織している。患者同士、家族同士が交流し合い、意見を聞いたり、相談し合ったりできる場として大きな役割を果たしている。この会の総会を毎年10月に実施しており、同院のスタッフが交代で運営を担当している。企画から各種手配など準備には1年かける。部門ごとに担当者を決め、その年の担当者を翌年の担当者が補佐するかたちで業務内容を伝達している。

「皆で集まって意見を出し合い、考えて、当日のイベントを成功させることで担当者は成長し、結束も強まります。会自体は患者さんと家族のためのものですが、それを運営することがスタッフ教育につながるのです」と厨副院長が言う。

直接的なスタッフ教育としては、やはり年に1回、世界糖尿病デーの前後に行っている、医療法人社団創平会あげての研究発表会がある。各部門でテーマを決めて研究活動を行い、持ち時間7分の学会形式で発表してもらう。特徴的なのは、質疑応答時間を長くとっていること。単に内容に関することだけでなく、研究に際して苦労したことや感じたことなどもどんどん聞く。それにより研究の背景や部門の状況などを法人全体で共有でき、視野が広がることに期待している。

発表会の会場は関連施設として2005年に開設した「デイサービスさしがた」の大きな部屋だ。研修施設としても利用することを想定し、建築の際に予めスクリーンや音響、照明などの設備を備えておいた部屋である。発表会は休日に半日かけて行い、出勤扱いで給与も支給される。

「2008年に看護師の発案で始めたのですが、最初は負担を訴える声もありました。でも、回を重ねながら工夫し、院長賞などご褒美を用意するなど楽しい要素も取り入れることで定着させてきました。良い発表は関連学会で発表できるようサポートもしています」と副院長。「生活習慣病、特に糖尿病はチームでの対応が不可欠です。だからこそ、スタッフにも勉強して新しい情報をキャッチしてほしいし、いろいろなことを理解してほしいと思うのです。そのための機会はできる限り提供したいと思っています」と話す。

メーカー主催の勉強会なども積極的に活用する。勉強会の最後には、副院長自ら補足の解説を加え、その会の内容の中で、「これだけは覚えてほしい」というポイントを、明確に伝えるようにしている。

「あぜみち」への参加を呼びかけるポスター

5. 今後の課題・展望 食事療法、運動療法を
いかに継続してもらうかが永遠のテーマ

今後の課題として厨副院長が挙げるのは、食事療法や運動療法を患者に継続して実行してもらうこと。開業からこれまで、そのための工夫を数々重ねてきたが、「患者さんに高い意識を持ち続けていただくのは本当に難しい。永遠のテーマです」と実感をこめる。

患者が指導内要を実践できるようにするために副院長が特に心がけているのは、できなかったことを指摘せず、できたことをほめることだ。

「歩いた歩数を記録してもらって、1万歩以上歩けた日があったら、その日はどうやって過ごしていたのかをくわしく聞き、1万歩なんてよく歩けましたね、すごい、すごいと、強調します。2,000歩、3,000歩と歩数の少ない日については話題にもしません。食生活も同じです。また、食事会やたのしか運動教室などもそうですが、皆で楽しくできることを取り入れ、新しい活動を順次加えるなど、興味を持ち続けていただけるようにスタッフ一同アイデアを絞り出しています」と話す。

開業から四半世紀、くりや内科医院が糖尿病と循環器疾患の専門性を有することは広く知られるようになった。その一方で、風邪や腰痛、認知症など一般的な疾患や障がいにもしっかりと対応している。住民の健康管理に力を注ぎ、介護やリハビリにも取り組む同院の存在感は、これからの時代、ますます高まっていくに違いない。

糖尿病をはじめさまざまな患者の治療・指導に取り組む厨平院長(前列中央)、厨直美副院長とスタッフの皆さん

KK-19-10-27125

糖尿病治療最前線

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