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医療法人隆望会 ひがし成人・循環器内科クリニック
[糖尿病治療最前線]

2021年3月30日公開/2021年3月作成

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病院外観
  • ●理事長・院長:東 隆行 先生
  • ●開設:2005年4月
  • ●所在地:熊本県玉名市岩崎665-1-1

「生活習慣病の発症予防 ・合併症予防 」を理念に掲げ
地域の人々の健康づくりに尽力

生活習慣病の発症予防、合併症予防を主たる目的として2005年に開業。以来、迅速な検査に基づく治療、栄養指導、運動指導などに力を注ぎ、地域住民の健康づくりに成果をあげてきた医療法人隆望会 ひがし成人・循環器内科クリニック。糖尿病専門医である東隆行院長以下、看護師、管理栄養士、臨床検査技師、事務職員がチームとなって、患者と家族のトータルサポートに取り組んでいる。2012年に新築した新クリニックには、フィットネススタジオやクッキングスタジオを併設。情報提供や教育だけでなく、患者や地域住民の交流の場としても機能している。

1. クリニックの概要 フィットネスやクッキングスタジオを併設し
患者・家族、地域住民の健康づくりに貢献

清水 美津夫 院長

東 隆行 理事長・院長

ひがし成人・循環器内科クリニックは、日本糖尿病学会専門医(以下、糖尿病専門医)・日本循環器学会専門医である東隆行院長が、2005年4月、熊本県玉名市内のビルで開業した。法人化したのは2009年4月。2012年1月には現在の場所に新築移転し、フィットネススタジオ、プール、クッキングスタジオなどを含む施設、「H3 support」を併設した新クリニックをオープンした。

開業当初から予防に軸足を置き、「生活習慣病の発症予防と合併症予防」をクリニックの理念に掲げている。理念の実践を通した地域貢献も常に意識しているという東院長は、「私が玉名市出身ということもあり、玉名に貢献したいという思いが強くあります。患者さん貢献、スタッフ貢献、そして地域貢献を自分自身のテーマとして、日々の診療を行っています」と語る。

開業して15年。患者・家族のパートナーとしてともに歩んできた結果、当初は月間250人ほどだった外来患者数が、2020年10月現在で2200人/月まで増加した。「患者さんのご家族、ご親戚一同をまるごと診させていただくことも多くなりました」と充実感いっぱいに話す院長。口コミによる評判は県外にも広がり、定期的に通院している患者の中には、大阪や東京など遠方の人もいる。

早期の適切な介入を可能にするべく、血糖値やHbA1c の測定、眼底検査、骨密度測定、心エコー検査、運動負荷心電図検査、ヘリカルCT 検査など、糖尿病や循環器疾患の合併症にかかわるほぼすべての検査がクリニック内で完結できるように、各種検査機器・設備を完備している。

2020年10月には人型ロボット「Pepper」が新しいスタッフとして仲間に加わり、インフルエンザ予防接種の案内など、これまで医師が行ってきた定型的な説明を担い始めている。「スタッフの働き方改革はかなり進めてきたので、これからは自分の働き方改革をしないと」と院長が笑う。

クリニック名にある「成人」は、院長が宮崎医科大学を卒業後、長年在籍した熊本大学医学部代謝内科の前身、体質医学研究所成人科が由来。対象を大人に絞っているという意味ではなく、近年、問題になっている小児の2型糖尿病患者も少なからず通院している。

疾患や治療に関する定型的な説明を担ってもらう目的で、人型ロボット「Pepper」を採用

疾患や治療に関する定型的な説明を担ってもらう目的で、人型ロボット「Pepper」を採用

2. 糖尿病医療 事務職も含めたチームで
患者・家族を総合的にサポート

糖尿病の治療・指導は、前述したスタッフがチームで行っている。診療は予約制で、受付スタッフが予約を管理。診療当日にはメディカルコンシェルジュが丁寧に案内する。医師の診察の前に看護師が、症状や経過、日常の食事や運動習慣、生活状況、服薬状況などを聞き取る。診察には陪席が同席し、わかりやすいカルテを作成して円滑な情報共有を図る。臨床検査技師はおおむね30分以内の素早い検査で診療を支え、患者の待ち時間短縮の面でも大きな役割を果たしている。管理栄養士はさまざまな資材を用いて、その患者に合った具体的な栄養指導を実施。実はひがし成人・循環器内科クリニックは、熊本県で初めて(2005年の開業時)栄養指導室を併設したクリニックで、患者の目標管理をしながら計画的に指導を進めるシステムが定着している。

毎月定期的に行っている糖尿病教室(元気アップ教室)も、医師、糖尿病療養指導士、看護師、管理栄養士、臨床検査技師が協力して行っている。テキストは同クリニックオリジナルの「患者様のための糖尿病ガイドブック」で、日本糖尿病学会編「糖尿病治療ガイド」の内容に沿いつつ、実際の診療内容や使っている薬などについてのわかりやすい解説を加えたものだ。

「H3 support」に所属する管理栄養士(常勤換算で1.5名)、スポーツトレーナー(男女2名ずつ)も、それぞれの立場で糖尿病患者をサポートしている。運動療法は東院長の運動処方せんによって行われ、定期的な検査をもとに処方変更する。体組成や運動内容を管理するシステムはオリジナルで開発したものだ。

「フィットネスやクッキングを通じて患者さん同士のつながりができ、一緒に登山に出かけたりカラオケをしたりと、ここで楽しみを見つけてもらえたのがうれしいです。健康的に暮らすためにも生きがいはとても大事ですから」と東院長。フィットネススタジオの会員は現在約160名。うち7割がひがし成人・循環器内科クリニックの患者、残り3割が一般の近隣住民である。

診療中の東院長。入力業務を担う陪席が横に座っている

診療中の東院長。入力業務を担う陪席が横に座っている

16列ヘリカルCTはじめ心エコー、頸動脈エコー、トレッドミル、全身型骨密度測定装置、眼底カメラなど検査部門には充実した機器が並ぶ

16列ヘリカルCTはじめ心エコー、頸動脈エコー、トレッドミル、全身型骨密度測定装置、眼底カメラなど検査部門には充実した機器が並ぶ

3. インスリン療法 インスリンの導入は100%院内で実施
「導入パス」の活用で多くが6カ月で離脱

糖尿病診療における特徴としては、開業時からインスリン療法の導入をほぼ100%、クリニック外来で行っていることが挙げられる。2015年1月からは、6カ月での離脱を目標にした独自の「インスリン注射導入パス」がスタートし、よりシステマティックな管理が可能になった。

「最初に自己注射と血糖値の自己測定をマスターしていただき、その後は6カ月の間に栄養指導を数回。また、運動体験が1回あり、運動の前後でどれだけ血糖値が変化するかを、それぞれが普段使っている血糖測定器で測って実感していただくようになっています。パスを導入した方については、毎月全職種でパスミーティングを開き、合併症のリスクやご家族の状況など課題を共有し、改善策を話し合います。患者さん一人ひとりに受け持ち看護師をつけて、詳細な記録と管理を行っています」と、東院長がパスの概要を紹介する。

これまでに同パスによるインスリン療法を受けた患者は121人。同クリニックの定めた基準のもと、うち6割にあたる70人余りが6カ月でインスリンより離脱している。

4. 糖尿病性腎症重症化予防 糖尿病の合併症予防の実績を生かし
市の糖尿病性腎症重症化予防プログラムで重要な役割

糖尿病性腎症重症化予防への取り組みは、同クリニックの理念にある「合併症予防」そのものであり、もともと診療の一環として行っていた。さらに2018年度からは、玉名市、玉名郡市医師会、腎臓内科専門医、糖尿病専門医などが連携して進める事業としても行うようになった。

「糖尿病性腎症を重症化させないためには早期に糖尿病を見つけることが大事で、そのためには健診の受診率を上げることが必要です。玉名市の健診受診率は2017年時点では35.9%でした。それが、糖尿病性腎症重症化予防プログラムが始まった1年目の2018年にいきなり40.6%まで改善したのです。いまはこれをもっと高めようと、関係機関が協力して頑張っているところです」と東院長が言う。

■ワーキンググループの立ち上げ

東院長はこの事業のベースをつくった「玉名郡市糖尿病性腎症重症化予防ワーキンググループ」(以下、WG)の一員であり、同グループ立ち上げの陰の立役者である。院長の実績や人脈は地域でもよく知られており、自然な流れの中で世話役が回ってきたようだ。どのように進めたのか、東院長が次のように説明する。

「最初にこの事業のお話を聞いたときに考えたのは、中心となって動くのは誰かということでした。そこで、福岡県、佐賀県、熊本市など先進地域から講師をお招きしてお話を聞いたところ、こういった地域ではコーディネートナースが活躍していることがわかりました。しかし、玉名市は状況が違った。そこで、同様の役割を担える職種として、特定保健指導の実績を積んでいた保健師に白羽の矢をたてました。その保健師と一緒に働く人材として栄養士を配置し、これら2職種を医師会、中核病院の専門医、開業している専門医がサポートする体制をつくりました(図表1)。私も糖尿病専門医(開業医)として加わりました」

WGの中で、課題の分析や対応策の立案、関係者との情報共有、調整などを行ったうえで糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定したのは保健師・栄養士。腎臓内科専門医、糖尿病専門医は、これに対し医学的見地から助言を行うほか、地域住民への啓発、医療従事者向け研修などを担当。玉名郡市医師会の担当理事は、事業に関する会員への周知や、専門医とかかりつけ医の連携強化などで協力した。WGの会議は2018年度の1年間で4回実施。事業を進めながらプログラムをよりよいものにしていった。

図表1 玉名郡市糖尿病性腎症重症化予防ワーキンググループ

※資料提供:ひがし成人・循環器内科クリニック

※資料提供:ひがし成人・循環器内科クリニック

■受診者の経年表と糖尿病連携手帳の活用法を提案

WGの発案で実現した取り組みの1つに、「受診者の経年表を医療機関に返す」というものがある(図表2)。これは、受診者一人ひとりの毎年の特定健診の結果を、検査項目ごとに古い順に並べて保健師が一覧表をつくり、その年の健診を担当する医師に提供することを意味する。「これにより経年的な数値の変化を健診担当医が把握できます。たとえば、体重の変遷と血糖値やHbA1cの数値の変遷を関連づけて受診者に説明・指導することができるようになりました。尿蛋白やeGFRも入っていますので、腎症の危険度なども一目でわかります」と東院長が経年表活用の成果を語る。

また、糖尿病連携手帳の活用法に一定のルールを設けたのもWGの提案から実現したものだ。そのルールとは、「医療機関未受診者、治療中断者ではbA1c6.5%以上または空腹時血糖が126mg/dl以上の場合は糖尿病連携手帳を渡す」というもので、この手帳を渡す権限を、玉名郡市医師会理事会で承認を得たうえで保健師に与えた点が画期的だ。このことは医師会報などを通じて周知された。同事業で使う手帳は玉名市が日本糖尿病協会から購入している。

「特定保健指導を行った保健師は、受診者に手帳を渡す際に、健診結果や行った指導について、医師に向けたコメントを記入します。そして、『これを持って医療機関に行ってください』と、きちんと治療を受けるようにうながします。糖尿病で医療機関にかかったことがない人には病院や診療所の紹介もします。要は治療につながりやすくするためです」と、こちらも目的が明確だ。

図表2 保健師が作成し医療機関に提供している「定期健康診断結果一覧」

※資料提供:ひがし成人・循環器内科クリニック

※資料提供:ひがし成人・循環器内科クリニック

■医療従事者向け講演会と市民向け公開講座で双方を啓発

もう1つ、医療従事者向け講演会と、市民公開講座もWG主導で行った。前者は医師、看護師、薬剤師、保健師などを対象にしたもので、50人ほどが参加。後者は患者や一般住民が対象で、約100人が集まった。会場では血糖測定や検尿も実施し、その場で結果を書いて渡したという。

こうした取り組みと同時に、玉名市は従来2カ月とっていた特定健診の期間を、7カ月に延長。これにより市民が健診を受けやすくなったことも、健診受診率の向上につながったと考えられる。

5. CKDステッカー 最新のeGFRが一目でわかる
手づくりステッカーを糖尿病連携手帳に貼付

ひがし成人・循環器内科クリニックでは、糖尿病性腎症重症化予防に活用している糖尿病連携手帳に独自の工夫を加えている。オリジナルのCKDステッカーを作成し、手帳の持ち主のeGFRの値と西暦の日付を書き込んで、表紙に貼っているのである。

「日本糖尿病協会が提供している『糖尿病連携手帳用自己管理応援シール』を参考にデザインしました。文字はこすると消えるペンで書くので、1度貼れば、検査値を更新しながら繰り返し使えます」と東院長。同様に、お薬手帳にも貼っている。「患者さんの腎機能に対する意識向上や、医師が薬剤を処方する際の注意喚起などを目的に作成しました」と言う。

CKDステッカーを使い始めたのは2019年7月。1年余り経った2020年10月初旬には、このステッカーの効果を調べるべくアンケート調査を実施。132人(男性85人、女性47人)の患者から回答を得て、その結果をまとめた。132人中、CKDステッカーを使っているのは98人、使っていないのは34人。年齢や腎機能の分布、基礎疾患の有無は図表3の通りである。

アンケートの質問項目は、図表4の左側に並ぶ、「腎機能について、薬局あるいはその他の医療機関で話しをする機会があった」「腎機能について家族と話すことはある」「腎機能が悪い事で自分の将来など不安になる事がある」など11項目。結果は同じく図表4の右側のグラフで、「自分の腎機能について、その程度を理解している」「腎機能の改善のために、自分で生活改善など何か行動している」「主治医やスタッフと腎機能について話をすることがある」「腎機能について家族と話すことがある」「腎機能が悪化したことで、今までに栄養指導を受けたことがある」でCKDステッカーを使っている患者のほうが有意に高い点数となった。

東院長は、「このアンケート結果から、CKDステッカーに患者さんの意識の変化や行動変容をもたらしたり、家庭での腎機能に関する会話をうながしたりといった効果があることが確認できます」と分析。また、「整形外科の処方せんと一緒にCKDステッカーを貼ったお薬手帳を薬局で提示したら、それまで出ていたNSAIDs をほかの抗炎症薬にかえることになったなど、患者さんから直接このステッカーの効果を聞かせてもらえる機会も増えています」と言い、今後も糖尿病性腎症の患者にはできるだけ活用してもらう方針だ。

オリジナルのCKDステッカー。数値と日付を毎回書き換えて使用する

オリジナルのCKDステッカー。
数値と日付を毎回書き換えて使用する

図表3 CKDステッカーアンケート:患者背景

※資料提供:ひがし成人・循環器内科クリニック

**:P<0.05 CKDステッカーなし 対 CKDステッカー有り z test
*:P<0.05 CKDステッカーなし 対 CKDステッカー有り unpared t test
NS:Not significant
※資料提供:ひがし成人・循環器内科クリニック

図表4 CKDステッカー有無での本人意識・周囲とのかかわりの違い

※資料提供:ひがし成人・循環器内科クリニック

※資料提供:ひがし成人・循環器内科クリニック

6. 今後の課題・展望 DXで受診しやすさ、働きやすさを追求
オリジナルデータに基づく糖尿病医療を推進

東院長は今後予定している取り組みとして第一に、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)を挙げる。新型コロナウイルス感染症の流行を機に、より受診しやすい環境をつくることが必要だとあらためて感じたという。

「生活習慣病の患者さんがほとんどですから、治療を継続していただくことが何をするにも大前提です。ウェブ問診やオンライン診療の仕組みはすでに構築していますが、もっと利用しやすく改善して、すべての患者さんがきちんと治療を続けていただけるようにしたいと思っています」と使命感をこめて語る。

スタッフの働き方改革についてはすでに2019年から本格的に取り組んでいるが、今後さらに進めるためにもDXが役立つと考えている。子育て中でも、年齢を重ねても、仕事が無理なく継続できるように、効率化できる部分はデジタル化によってどんどん効率化していく方針だ。

「もう1つ、医療の質の向上という観点からもDXは有効です」と院長は言う。現在進めているのは、同クリニックの糖尿病患者について、どのような治療や生活改善を行ったら、どれくらいの効果が見込めるかを示すデータの集積だ。患者に具体的な将来像を示すことで治療のモチベーションを上げてもらうことが最大の目的だが、糖尿病患者の集まる専門クリニックならではの臨床研究でもあり、医療界にとっても貴重なデータとなりそうだ。

「まだまだやりたいこと、やれることはたくさんあるし、アイデアが浮かんだらすぐに行動に移します」と言う東院長。生活習慣病予防へのチャレンジは、これからもずっと続いていく。

KKC-2021-00046-3

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