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三浦中央医院
[糖尿病治療最前線]

2021年3月16日公開/2021年3月作成

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病院外観
  • ●院長:瀧端 正博 先生
  • ●開設:2014年4月
  • ●所在地:神奈川県三浦市南下浦町上宮田1738-1

糖尿病患者の寿命延伸を目標に
専門性を生かした総合医療を展開

神奈川県・三浦半島の丘の上に、毎月約3,000人が通う診療所がある。三浦ではきわめて希少な糖尿病専門医・指導医、内分泌専門医である瀧端正博院長が営む三浦中央医院である。2014年4月の開業以来、質の高い医療を誠実に提供することに徹したことで患者が急増。外来のプロフェッショナル集団として診療を進める仕組みを確立し、増え続けるニーズに応えている。通院が出来なくなった高齢の患者には訪問診療も行う。いまや地域に欠かすことにできない医療機関となっている。

1. 診療所の概要 地域の糖尿病患者を受け入れるため開業
高齢化率約40%の地域で1日約150人を診療

瀧端 正博 院長

瀧端 正博 院長

三浦中央医院は、京急久里浜線三浦海岸駅から山側に7分ほど歩いた小高い場所にある。海岸が間近に望め、周囲には農園も多いのどかなところだ。

瀧端正博院長がここで開業したのは2014年4月。「大学院時代に三浦市の中核病院である三浦市立病院の非常勤医として糖尿病診療にあたり、教育入院やその後のフォローまで含めた仕組みを確立したのですが、いざ大学に戻ろうとしたときに、病院の外来診療枠を超えて増えた糖尿病患者さんを受け入れることのできる医療機関が、地域にほとんどないことに気づいたのです。そこで、自分でやるしかないと、開業に踏み切りました」と経緯を語る。

開業といっても、医院自体は1984年からそこにあった。開設当時の三浦中央医院は腹部外科を中心とした有床診療所で、後に無床となり、診療領域を広げ、さらに2階に小規模多機能型居宅介護施設、「みうらうみ」を併設したが、前院長が亡くなったことで2013年4月から1年間、閉院状態にあった。この医院を瀧端院長が継承。名称はそのままに、糖尿病など生活習慣病を中心とした総合診療を行う診療所として新生させたのである。

「開業後3年くらいは論文でも書きながらゆっくり診療しようと考えていたのですが、開いてみたらびっくりするほどのスピードで患者さんが増えまして、急遽スタッフを増員して対応しました。その後も患者さんが増えるのに合わせてスタッフを増やし、仕組みを改善し、ということを繰り返してきて、いまがあります」

開業して7年。いまでは1日の受診者数が平均150人、多い日で170人、月平均で3,000人を数えるようになり、「自分1人では限界に近づきつつある」とは言うものの、「この地域にはきわめて少ない糖尿病専門医、内分泌代謝専門医である私を頼ってくれる患者さんを断るわけにはいきません」と、多忙な診療生活を送っている。

患者の主な居住地は、三浦市内が6~7割、横須賀市南部が3~4割。これら2市の2020年の高齢化率は三浦市39.3%(厚生労働省推計)、横須賀市31.8%(横須賀市資料)と、全国平均の28.7%(総務省統計)を大きく上回っている。瀧端院長はこの状況を鑑み、「専門領域である糖尿病や内分泌疾患だけを診るのではなく、これらの疾患を持つ患者さんのすべてを診るというスタンスでないと当院の医療は成り立ちません。近隣の医師もまた高齢化し、専門医が圧倒的に不足しているという状況ですので、診療の質を担保しつつ、患者さんを受け入れるキャパシティーを広げていく必要があると強く感じています」と語る。

2020年8月には、体力的に診療が難しくなってきた地域の開業医に頼まれ、医院運営をサポートする活動も始めた。ゆくゆくは瀧端院長が育てた後輩医師が引き継ぐことで、三浦中央医院と同レベルの医療を提供する医療機関にしていきたい考えだ。

2. チームプレー 質を維持しながら業務を効率化
タスクシフティングを進め医師は診療に専念

伊藤 里恵 医事課外来部門リーダー

伊藤 里恵
医事課外来部門リーダー

三浦中央医院の常勤医は瀧端院長のみで、1日平均150人の外来診療を院長1人で行っている。これを可能にしているのが、冒頭で触れたチームプレーである。ここで言うチームプレーとは、単に多職種が協力するということではなく、各部門が独立して機能し、部門内の問題は部門内で解決。そのうえで個々が協力し合い、総合力で医院を動かしている状況を意味する。「医院をあげて外来に集中し、利便性なども含めて質を追求していく。いわば外来のプロフェッショナル集団です」と院長が言う。

こうした好循環は、瀧端院長のリードでつくったのではなく、自然にできあがったという。「良いスタッフに恵まれたことが当院の最大の強み」と院長。当初は"この人"と思った人材に一人ひとり声をかけて仲間を増やしたが、それだけでは足りなくなり公募でも採用。最初のメンバーが価値観を共有し良い組織をつくってくれていたため、人が増えても その状態が維持できているという。

現在の外来スタッフの配置は、看護師6~7名、薬剤師1名、管理栄養士1名、事務職員7~8名と医師1名に対し非常に多い。この豊富な人材に積極的にタスクシフティングし、瀧端院長は診察と治療計画、検査の説明、処方内容の決定など医師にしかできない業務に徹している。こうした仕組みこそが同院の大きな特徴である。

問診のオンライン化もすでにかなり浸透し、多くの患者が来院前にウェブ問診票を記入してくれている。また、さまざまな疾患や障害を併せ持っているとしても、基本的には糖尿病患者が多いので比較的対応を統一しやすいこと、継続診療中で症状が安定している患者が多いことなども、院内のオペレーションがスムーズに進むポイントのようだ。

医事課外来部門の伊藤里恵リーダーが、受付からの流れを次のように説明する。「当院は予約制を基本としており、患者さんが来院したら私たち事務職員が予約内容をまず確認します。初診、再診、定期受診、健康診断など受診目的は多岐にわたり、検査や各種指導、フットケアなどの指示が医師から事前に出ていることも多いので、それらに合わせて素早く、的確な順番で患者さんを振り分けます。この振り分けがその後の流れを左右しますので、しくじらないように細心の注意をはらっています」。

煩雑な業務の中でも特に気にかけているのは、患者を立ったまま待たせないことだ。そのために予約の一覧表を薬剤師につくってもらったり、当日の案内を管理栄養士に頼んだり、採血伝票を看護師に書いてもらったりと、他のセクションの人材にもサポートしてもらっている。「その日の診療全体の組み立てを医事課で行い、それに沿って全体が動くようなイメージです」と伊藤リーダー。

時折予約のない人がやってきたり、患者から問い合わせを受けたりすることもあるが、それらについても事務職員の采配で全体の流れの中に組み込んでいく。薬は院内処方。POCT(Point Of Care Testing)機器を採用して主な検査結果が約5分で出るようになっていることもあり、受付から薬をわたして患者を送り出すまでの時間は、概ね1時間以内である。

入口脇にある受付

入口脇にある受付

3. 糖尿病医療 血糖値の下げ方の質を高め、
糖尿病患者の寿命延伸を目指す

鈴木 挙也 臨床検査技師

鈴木 挙也 臨床検査技師

同院に通う月3,000人ほどの患者のうち、糖尿病患者は約8割。糖尿病専門医として瀧端院長が心がけているのは、「血糖値の下げ方の質を上げること」だ。「同じ糖尿病の薬でも、心臓を保護するタイプ、腎臓を保護するタイプなどいろいろ出てきているので、その中から一人ひとりの患者さんに最も適した薬を選ぶことに注力しています。糖尿病治療の目的は言うまでもなく、血糖値を下げることではなく、糖尿病患者さんの寿命を延ばし、幸せに生きていただくことです。糖尿病患者さんの平均寿命は、日本人全体の平均より男性で約10年、女性で約13年短いというデータがあります。この期間を取り戻したいのです」と瀧端院長は言う。

そのために行っているのが、患者の合併症やそのリスクを丹念に調べること。「この患者さんはどの疾患で倒れるリスクが高いのか、言い換えれば、その人の人生で何が一番危ないのか。そこを一人ひとり評価して、先回りして止めていきます。そして要所要所で、その患者さんの寿命が最も延びると思われる選択をするわけです」

合併症の有無やリスクを知るためには計画的に検査を行う。初診から1年間通院した時点で糖尿病の合併症検査がほぼ網羅できることを目安に治療計画に検査を入れていく。たとえばある患者が初診で来院した場合、血液検査は月1回ペース、尿検査は3カ月に1回ペースで行う。その中で、コレステロール値が高いなど動脈硬化のリスクが高いと判断されれば頸動脈エコーを早い段階で実施する。同じく心疾患のリスクが高ければ心エコー検査を、肝疾患のリスクが高ければ腹部エコー検査を組み込んでいく。腎機能は血液検査、尿検査で追う。体重過多であれば、体重に影響しやすい甲状腺機能や副腎皮質ホルモンなどの検査も1年以内に行うことにしている。

こうした検査結果を一手に管理し、瀧端院長の求めるかたちで表示できるよう整理しているのは、鈴木挙也臨床検査技師だ。鈴木臨床検査技師は、准看護師、第2種臨床工学技士、システムアドミニストレータ(現システムアナリスト)などさまざまな資格を持っている。瀧端院長が開業したときに入職し、当初は看護の仕事もしていたが、スタッフが増えてからは独立した立場でデータ管理とエコー検査を主に担うようになった。

「データは抜けがないように、毎日更新しています。たとえば検査データは、検査会社から送られてきたものをすべて取り込み、エラーを排除して患者さんごとに整理します。また、新薬を採用したらすぐに入力します。院長は処方時に必ず肝機能、腎機能などを確認するので、そういった数値を見やすい位置に表示する工夫もしています」と鈴木臨床検査技師。最近では瀧端院長の希望で、ある薬を服用し始めた患者の一覧表をつくり、その体重の変化を時系列で表示できるようにしたところ、体重に与える薬の影響が明確になるなど大きな成果につながった。

瀧端院長は数多くの講演や論文発表を行っているので、それに必要なデータの整理も手伝っている。院長のデスクに3台のモニタが並ぶのは、こうしたデータを同時に確認できるようにするため。鈴木臨床検査技師は、「データに基づく医療の実践や、それを広く知らせるためのサポートができているのを実感するときにやりがいを感じます」と笑顔を見せる。

とにかく細かくリスクを追って把握し、必要に応じて治療を行うというのが瀧端院長のやり方だ。「スタッフにとっても患者さんにとっても、手間のかかるやり方ではありますが、病気の進行を遅らせて生活の質を上げるという主旨を皆が理解してくれているので実現できています。理想的な診療のかたちを構築できたのは、スタッフと患者さんのおかげです」と瀧端院長が感謝する。

4. 早期介入 死亡リスクが高まるラインを受診基準として明示
合併症を先回りして食い止める

瀧端院長は、「長年糖尿病を放置してしまい、臓器にダメージを受けてしまうと、それを回復させることは難しくなります。その意味で、心不全や腎不全は起こす前に治療が必要」と言い、「臓器が傷む前に止めなければなりません」と、合併症を先回りして食い止めることの重要性をあらためて指摘する。

合併症が起こる前に食い止めるには、患者が自覚症状を訴えて来院するのを待っていたのでは遅過ぎる。そこで院長は、自治体の健康診断などで異常値を指摘された人には早めに受診するよう呼びかけ、「当院の受診基準」として各種検査の数値を自院のウェブサイトで明示している。

たとえば、HbA1cの場合は、「6.0%以上」を受診対象としている。「一般に、6.0%ならまだ大丈夫と言われている患者さんも少なからずいるようですが、それはあくまで病院を受診する人の中での話で、健康な人でHbA1c6.0%以上という人はめったにいません。6.0%を超えると死亡リスクが上がることは国内外のデータで明らかです。この段階では薬はまだ使いませんが、エビデンスに基づく生活指導など医学的介入は必要です。死亡リスクが上がる数値を受診基準とするのは、ほかの検査値についても同じです」と、検査数値に対する明確な方針を瀧端院長が語る。

同様に、空腹時血糖値は110mg/dL(境界型)以上と、70mg/dL以下の低血糖が受診対象。特に40mg/dL以下は「即受診」と表示して警鐘を鳴らしている。収縮期血圧は、「高血圧治療ガイドライン」に則り120mmHg以上が受診対象、80mmHg以下と220mmHg以上が即受診対象だ。ほかに脈拍、LDLコレステロール、中性脂肪、BMI、eGFR、カリウムなどの受診基準を明確にしている。

5. 在宅医療 通院困難になったかかりつけ患者を
在宅医療チームが訪問

同院を利用しているかかりつけ患者の中には、高齢や疾患が原因で通院困難になった人も相当数いる。そんな患者には、訪問による医療を提供している。大学院時代に診ていた糖尿病患者の受け入れ先がなかったことから自分で受皿となる医院をつくったのと同様に、通えなくなった患者さんを見捨てるわけにはいかないとの考えで、開業時から在宅医療を実践。現在は非常勤医師や訪問看護師、介護職からなる在宅医療チームを結成して対応している。

在宅医療の利用者は120人ほどまで増えた時期もあったが、いまは50人程度で落ち着いている。訪問診療に取り組む医師が増え、高齢者施設を任せたことが影響している。在宅医療に対する瀧端院長のスタンスは、「あくまで必要としている患者さんに提供し、医院側の都合で増やしたり減らしたりはしない」というもの。そして、自らが訪問していない患者についても、カルテには目を通し、医学的管理は責任をもって統括している。

6. 今後の課題・展望 喫緊の課題は悪性腫瘍対策
地域の医師と連携し早期発見の仕組み確立を目指す

瀧端院長は同院の現状について、「地域に不可欠な医療機関に成長できたと自負しています」としながらも、「高齢化が全国に先がけて進行している地域の医療を担っているだけにまだまだ課題はあります。特に早急な対応が必要なのは悪性腫瘍です」との問題意識を持っている。

「糖尿病患者さんの死因で最も多いのが悪性腫瘍である限り、悪性腫瘍の早期発見・治療なくして糖尿病患者さんの寿命延伸はないでしょう。悪性腫瘍をはじめ制御できない病気については、早く見つけて適切な治療をするしか患者さんを救う方法はありません。現在も自治体の健診などを活用しながら早期発見に努めていますが、ほとんどがステージ4まで進行してはじめて見つかる膵臓がんとどう戦うかなど、地域の医師たちと一緒に戦略を練る必要を感じています」と語る。

悪性腫瘍の発見を遅らせないためには、三浦半島の住民全員に精密な検査を行うことが理想だが、現実的には難しい。となると、やはりかかりつけ医の導きがより重要になってくる。瀧端院長が開業以来取り組んでいる合併症への先回り対策が、今後、他の地域にも広がっていくことが期待される。

KKC-2021-00189-1

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