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医療法人健清会 那珂記念クリニック
[糖尿病治療最前線]

2021年9月6日公開/2021年9月作成

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病院外観
  • ●理事長・院長:遅野井 健 先生
  • ●開設:2003年10月
  • ●所在地:茨城県那珂市中台745-5

全国屈指の糖尿病治療専門施設
独自の指導システムで約6,000人を継続管理

那珂記念クリニックは、糖尿病をはじめとした生活習慣病の治療・管理を専門とする医療法人健清会グループの中心施設である。十分な患者指導スペースと充実した検査機器、独自の糖尿病療養指導カードシステム、データの蓄積と情報共有のために開発した電子カルテなどを完備。システマティックな外来オペレーションで、常時約6,000人の糖尿病患者を継続管理するほか、19床の病床を擁し入院治療にも対応している。日本糖尿病学会認定教育施設として、専門職の教育、日本糖尿病療養指導士(CDEJ)などの人材育成にも力を入れている。

1. 診療所の概要 診察・検査・指導がワンビジットで受けられる
患者にとって便利で快適な専門施設

清水 美津夫 院長

遅野井 健 理事長・院長

那珂記念クリニックは、JR常磐線水戸駅から北方約5㎞の国道沿いに建つ19床の有床診療所だ。遅野井健院長は、日本糖尿病学会評議員・専門医・指導医で、茨城県糖尿病協会会長なども務める糖尿病診療のエキスパート。1985年に水戸協同病院内科に入職して以来、糖尿病診療に打ち込み、1998年7月に那珂クリニックを開業。翌99年に医療法人健清会を設立して理事長に就任し、2003年10月、那珂記念クリニックを開設。さらに2010年7月には、水戸駅に隣接する駅ビル内に那珂記念MITOクリニックを開設した。

「医師になってすぐから糖尿病診療に携わり、開業前には病院の外来で、1,200~1,300人くらいの糖尿病患者さんを診ていました。その中でいつも気がかりだったのが、診察、検査、結果説明、各種指導などのために別々の日時に来院しなければならないなど、患者さんにかなりの負担をかけてしまっていることでした。また、そうした負担にたえきれず通院をやめてしまい、病状が進んでしまう人をなんとか減らしたいとも考えていました。そこで、基本的にワンビジット(1回の来院)ですべて賄える施設、充実した専門医療を受けながら気持ち良く通院していただける場所を自分でつくろうと考えたのです」と、遅野井院長が開業時の思いを語る。

清水 美津夫 院長

道口 佐多子 副院長・
療養指導部部長・看護師長/
糖尿病療養指導士

こうした方針を実現するためには、専門知識や技術を持つスタッフと検査機器など充実した医療設備が欠かせない。幸い遅野井院長の思いに共感した斎藤三代子医師(現那珂記念MITO クリニック院長)や、道口佐多子看護師(現那珂記念クリニック副院長・療養指導部部長・看護師長)などが開業メンバーに加わってくれたことで人材の課題はクリアできた。また、CT、MRIなども院内に配備し、質の高い糖尿病医療を提供したことで患者も定着。経営を軌道に乗せるために掲げた「1日の外来患者を最低1,000人、できれば2,000人確保する」という目標も、開業直後に達成できたという。

当初は、1つめの施設である那珂クリニックで糖尿病をはじめとした生活習慣病の診療を主に行っていたが、患者数が増えたこと、糖尿病性腎症を発症する患者の受皿が必要になったことなどから、那珂クリニックに隣接して最新の設備を配した那珂記念クリニックをつくり、同時に那珂クリニックを泌尿器科・人工透析施設にリニューアルした。後に開設した那珂記念MITOクリニックはアクセスが抜群に良いことから、新規患者の健清会への窓口的な役割も果たしている。

那珂記念クリニックで継続管理する糖尿病患者数は飛躍的に増えて現在約6,000人を数える。この数は大学病院も含めても国内トップクラスだ。1日の平均外来患者数は約200人で、うち約85%が糖尿病患者。また、いまでも糖尿病の新患を1日平均40人ほど受け入れている。

2. チーム医療 患者を中心としたチームづくりを進め
職種間の壁を取り払って連携

那珂記念クリニックには現在、看護師18名(うちCDEJが9名)、管理栄養士10名(同7名)、臨床検査技師9名(同5名)、薬剤師5名(同2名)、健康運動指導士2名、クラーク15名が常勤で在籍している。診療は遅野井院長を中心に、院長を慕う多くの医師が非常勤医として、曜日担当制で行っている。

ユニークなのは、専門職ごとにそれぞれ構成している「科」を統括する「療養指導部」を組織している点だ(図1)。療養指導部は同クリニック独自の部門で、糖尿病医療の軸ともいえる療養指導を効率的かつ的確に行い、スタッフの育成、管理も同時進行させるために開業と同時に設置された。

「医療機関の組織は一般的に、職種ごとに分かれているため部門間に壁ができがちです。それぞれが自分たちの業務範囲を決め、それ以上はやらないしやらせない。プロ意識があるのはいいのですが、クリニックのように小さな規模でそれをやっていては業務はうまく回りません。そこで療養指導にかかわる職種をすべてまとめて仲間にし、特定の職種にしかできない仕事以外のことは皆で協力して行うことにしたのです」と、同部を率いる道口部長が説明する。

この「皆で行う」ということを実現するために、同クリニックでは療養指導の中身を細かく整理し、それぞれの業務が得意なのはどの職種か、また、職種によって医療法上してはいけない業務は何かなどを明確に示している(図2)。クラークを多数配置し、専門職でなくてもできる仕事を積極的にクラークに移譲している点も特徴的だ。これらにより、一人ひとりのスタッフが自分のできること、やるべきことを理解することで、職種間の協力がより円滑に進むようになったという。

図1 那珂記念クリニック組織図

※那珂記念クリニック提供資料を基に作成(2021年6月現在)

※那珂記念クリニック提供資料を基に作成(2021年6月現在)

図2 業務連携から療養指導上の連携

※那珂記念クリニック提供資料を基に作成

※那珂記念クリニック提供資料を基に作成

3. 外来診療フロー 独特の院内レイアウトで患者の流れをつくり
電子カルテで患者情報をリアルタイムに共有

同クリニックの外来診療は、非常にシステマティックである。患者来院後の流れは図3の通りだ。受付を済ませた患者は最初に「コーディネートカウンター」に立ち寄る。ここはクラーク中心の部署だが、看護師や管理栄養士もシフト制で担当している。ここでその日に行うことを患者それぞれに案内すると、それに沿って患者が動く仕組みだ。

「患者さんに動いていただくことには、効率性だけでなく、待ち時間を感じさせないという利点もあります。患者さんが移動しやすいように各コーナーを配置するなど、院内のレイアウトも工夫してあります」と遅野井院長が紹介する。

身体測定は自動。採血は看護師中心に行い、問診はさまざまな職種が担う。高齢の患者などの案内や介助は皆で行うし、各種指導は専門職が中心となりつつ協力し合って行う。特定のスタッフが患者を担当するという概念はまったくなく、いつどんな患者が来院しても、同じ流れと質で対応できるようになっている。診察は、検査や問診などで当日の患者情報が揃ったところで行う。診察にはCDEJやクラークなどが同席し、入力の代行など医師の業務を補助する。

「この仕組みを支えているのが、当クリニック独自の電子カルテです」と遅野井院長。「電子カルテには患者さんの情報が書き込まれていますが、来院当日に身体測定をしたり、検査を受けたり、患者さんがお話しされたりする中で情報はどんどん更新されていきます。その最新の情報をリアルタイムに共有することで指導や診察がよりスムーズに、有意義に進み、必要に応じて追加の検査や指導も迅速に過不足なくできるのです」と説明する。

この電子カルテは、遅野井院長が企業と共同開発したもので、現在はバージョンアップされ、「糖尿病専門クリニック向け電子カルテ」として全国の医療機関に導入されている。特徴は、用意されたテンプレートに沿って問診を行うことで誰が問診を担当しても情報の抜け漏れが防げること、処方・検体検査・指導などの実施や経過を1画面で確認できるMMIX(複合医療情報参照チャート)機能がついていること、定期的に行うオーダーを患者ごとに設定できること、服薬確認により残薬の記録・管理、今回の処方必要数を計算できること、インスリンについても、投与単位と次回来院予定日より適切な処方数を自動計算できることなどである。

たとえば薬については、これまでに使ったことのある薬の一覧表が患者ごとに表示でき、そのうち現在も使っているものにアンダーラインが表示される。また、いわゆるSOAP(Subjective Objective Assessment Plan)については通常は3回分が表示され、必要に応じて長期表示もできるなど、現在に至る過程が把握しやすく実用的だ。

「かかわる皆が情報を入力しやすく、引き出しやすく、全員の仕事が反映されて、患者さんの情報が整理され蓄積されていきます。万一、かけ離れた数値や整合性のないデータが入れられれば自動的にチェックされ、ガイダンスやアラートが表示されるので、内容の質も高いレベルで担保されます。これこそ本来のカルテだと自負しています」と、遅野井院長があらためてこの電子カルテの魅力を語る。

図3 患者来院後の流れ

※那珂記念クリニック提供資料を基に作成

※那珂記念クリニック提供資料を基に作成

来院日に行うことを患者に案内するコーディネートカウンター

来院日に行うことを患者に案内するコーディネートカウンター

身体測定コーナー、採血コーナーなどが順序良く並び自然に患者の流れができる

身体測定コーナー、採血コーナーなどが順序良く並び自然に患者の流れができる

医師による診察はその日の問診や検査の情報が電子カルテに蓄積されてから行う。医師の診察にはCDEJやクラークが同席する

医師による診察はその日の問診や検査の情報が電子カルテに蓄積
されてから行う。医師の診察にはCDEJやクラークが同席する

電子カルテの診察画面は2画面構成。患者ごとの長期的な経過や検査結果、処方内容の変化など欲しい情報が一目で把握できる ※資料提供:DMエキスパート

電子カルテの診察画面は2画面構成。患者ごとの長期的な経過や検査結果、処方内容の変化など欲しい情報が一目で把握できる
※資料提供:DMエキスパート

4. 療養指導 指導計画と記録が同時にできる
独自の「糖尿病療養指導カードシステム」を活用

同クリニックでは、糖尿病療養指導システムも独自に開発している。「糖尿病療養指導カードシステム」がそれで、最初につくったのは2001年。2015年からは日本糖尿病協会の療養指導ツールとして採用されている。「基本的には、患者さんへの指導内容を項目ごとに整理したカードをつくり、それらを組み合わせることで、それぞれの患者さんに合った個別指導ができるようにするものです」と、道口部長が紹介する。

カードは名刺サイズで全99 枚。それぞれに「(1)-1 A概念 血糖について」「(1)-2 A概念 糖尿病とは」「(6)-1 A指導 日常生活の情報収集と問題点」「(13)-4 B指導 腎症重症化予防に向けて」など、記号とテーマが書かれている。テーマは血糖、合併症、薬物療法、運動、食事、妊娠、糖尿病性腎症などさまざまで、それらを概念や実践方法などに細かく分けてある。それぞれのカードには対応するリーフレットがあり、そこに指導のポイントや関連する図、解説などが書かれている。

指導開始時には、同クリニックの「糖尿病基本パス」に沿って情報収集から始め、アセスメントを行ったあと、カードによる指導を実際に行い、最終的に、必要な説明や指導が漏れなく行われるようにする。結果的に30枚くらいのカードを使う患者もいれば、50枚以上になる患者もいる。しかし、その内訳は患者によってそれぞれ違う。ここが、このカードシステムが"テーラーメードな療養指導"と呼ばれる所以である。

カードの活用の仕方は同システムを導入した各クリニックのやり方に任されている。本家本元である那珂記念クリニックでは、患者1人につき1冊のポケット式ファイルを用意し、予めベーシックな順番でカードをセットしておき、それを患者の特性や興味、病状の変化などに応じてアレンジして使っている。指導が終わったカードは指導済みカード専用のページに差し込む。そして、今回指導した指導者が、次回指導してほしいテーマのカードを指導予定カードのページにセットする。このとき、患者の血糖値が上がっていれば血糖値に関するカードを、患者が食事指導を希望すれば栄養指導関連のカードをセットするといった工夫もする。こうした作業を繰り返すことで、いつどんな順番でどんな内容の指導をしたかが記録されると同時に、そのつど次回の指導計画もでき、誰が担当しても適切な指導ができるというわけだ。

「その日に担当したCDEJがまだ新米で、予定されていたテーマの説明が十分できないといった場合には、そのカードを後日に移し、自分が得意な分野を先に指導するといったアレンジをしても構いません。大事なのは指導の順番ではなく、しっかりした指導を協力して最後まで行うことだという点を、皆で共有しています」と道口部長。こうしたある意味で緩いルールにより、誰もが指導に参加できるようになったことで、熟練したCDEJに過度な負担がかかることもなくなってきている。

図4 糖尿病療養カードシステム

※資料提供:公益社団法人日本糖尿病協会

※資料提供:公益社団法人日本糖尿病協会

5. カードの応用 医療連携のツールとしての可能性と
CDEJ育成の教材としての活用にも期待

このカードシステムは、地域連携の観点からも、また、人材育成の面からもおおいに活用できるものと期待されている。

たとえば地域連携の場合、ある病院でファイルにセットしたカードの半分まで指導が終わった段階で、患者が地域のクリニックに紹介されたとする。このときに紹介状とともにカードをセットしたファイルを渡せば、紹介先のクリニックで指導の後半を行ってもらうことができる。遅野井院長は、「この方法なら指導内容が無用に重なることを防ぐとともに、つながりのある指導が行えることになります」と解説する。

また、人材育成の面では道口部長が、「何を指導すべきかが明確になることに大きな意味があります」と指摘する。部長によれば、糖尿病の療養指導にかかわっていれば、どんな人でもある程度は説明ができるようになるという。ただし、「適切に過不足なく」となると難しい。「たとえば、血糖値について指導する、といったときに、血糖値の何をどう語ればいいのか。そのことを整理してあるのが糖尿病療養指導カードシステムなのです。カードに書かれたテーマに沿って話す。話せないテーマがあればその部分を勉強する。説明できるカードが増えていくことがその人の成長の証にもなります。そういう使い方をすることで、知識が整理されていくのです」と道口部長は言う。

近年はカードを使った指導方法の講習会を院外で継続的に開催している(現在はCOVID-19の影響で休止中)。那珂記念クリニックのCDEJもこの講習会にファシリテーターとして参加し、ますます指導力を高めている。

CDEJの育成においては、患者向けの集団教育である「糖尿病教室」で、職種に限らずさまざまなテーマで患者への説明を体験させたりもしている。人前で話すこと、話す内容をまとめる作業などをまず身につけさせたうえで、個別指導を担当してもらうなど段階的な教育を行っている。

6. 今後の課題・展望 運動療法を本格化させ
筋力アップによるフレイル予防を目指す

遅野井院長は、那珂記念クリニックの現状について、「患者さんが療養しやすい環境をつくり、その中で診察・検査・指導を継続的に行っていきたいという開業時の目的はほぼ達成できました。ただ、指導内容がどうしても、食べ過ぎてはダメです、検査値を下げましょうなど、抑制的な方向になりがちだったのは否めません」と話す。このことを踏まえ、「近年は、高齢になったらフレイル予防のためにも、少しくらい肥満ぎみでもよいという考え方になっているように、健康の概念は変化しています。これからはそうした変化をキャッチアップし、適切に対応していきたいと思っています」と展望を語る。

患者の健康増進のためにいま院長が計画しているのは、運動療法の本格化だ。同クリニックでは開業時から、運動施設として、トレーニングマシンなどを配した「ウェルネスNAKA」を併設している。これまでは診療と療養指導に重点を置くあまり、せっかくの施設が十分に活用できずにいたが、これからはあらためて整備し直し、2名いる健康運動指導士の力を生かしながら、最大限活用していく考えだ。

遅野井院長は、「私たちが行おうとしている運動療法の目的は、血糖値を下げることではなく、あくまでも体力アップです」と明言。「運動に治療効果を期待するのではなく、運動して筋力をつけて、活動的になることで結果的に血糖値が下がるような方向にもっていきたい」と話し、楽しく効果的な運動プログラムを構築すべく準備を進めている。

KKC-2021-00943-1

糖尿病治療最前線

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