KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

公立学校共済組合 中国中央病院[外来化学療法 現場ルポ]

2019年04月16日登載/2019年4月作成

印刷用PDF

病院外観
  • ●病院長:上岡博先生
  • ●創設:1961年7月
  • ●広島県福山市御幸町大字上岩成148-13

診断から移植まで血液疾患治療を網羅する血液内科
外来化学療法室では多職種連携で患者を支援

 公立学校共済組合中国中央病院は、広島県東部にあたる福山・府中二次医療圏の基幹病院である。「患者さん中心の人にやさしい良質の医療を提供します」を基本理念とし、この地域の急性期・救急医療に力を注いでいる。標榜科目は30以上。中でも血液疾患をはじめとした複数の分野で高い実績を上げている。先進治療や治験なども取り入れながら、血液疾患治療にチームで取り組む血液内科と、外来化学療法室の活動を紹介する。

1. 血液内科の概要 広島県東部の基幹施設として
すべての血液疾患に対応

中国中央病院は、公立学校共済組合組合員と家族の福祉を目的に1961年7月に設立され、後に多くの市民の医療を担うようになった。1979年に総合病院となり、2004年に現在の場所に移転。2018年12月現在、病床数は277床、標榜科目数は31である。

人口約52万人の福山・府中二次医療圏の基幹病院として多様な疾患の治療にあたるが、中でも血液疾患は同院の得意分野の1つで、日本血液学会認定血液研修施設の認定を受けている福山市唯一の病院でもある。

血液内科の木口亨部長が、「当院は名実ともにこの地域の血液疾患治療の中心です。日本血液学会専門医が常勤で複数勤務し、がんや血液疾患に関する専門性を有する看護師や薬剤師、検査技師、リハビリ職などがチーム医療に参加してくれています。診断から最先端の医療までほぼすべてを院内で賄える体制を整えているのは、地方の中小病院としては珍しいことだと思います」と紹介する。

具体的には、血友病、特発性血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血、骨髄増殖性疾患などの良性疾患、急性・慢性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの悪性疾患すべてに対応。「私が赴任してから顆粒球輸血療法、HLA半合致移植(ハプロ移植)なども導入しましたし、骨髄移植の前処置であるTBI(全身放射線照射)も院内でできるようになっています。従来の治療法を駆使しても効果の見られない患者さんに関しては、ご本人と話し合ったうえで、治験の薬や技術を積極的に導入しているのも特徴だと思います」と話す。

木口部長は鹿児島大学医学部出身。血液疾患の専門家で、2011年7月に現職に就任して以来、血液内科の体制強化に力を入れている。日本血液学会専門医・指導医・評議員・中国四国地方会評議員、日本造血細胞移植学会認定医、日本輸血・細胞治療学会認定医・細胞治療認定管理師などの資格を持ち、1987年に設立された白血病の臨床研究グループ、JALSG(日本成人白血病治療共同研究グループ)の監査役も務めている。

木口 亨
血液内科部長

水田昭文放射線治療科部長とともに

TBI(全身放射線照射)を行うリニアック室は木目調で落ち着いた環境。高性能な体表面光学式トラッキングシステム「カタリスト」は2018年1月、全国で3番目に導入した。

2. ビジョンと診療実績 患者数、治験数で国内トップレベルの実績
「世界に冠たる病院」を目指す

木口部長によれば、同院が血液疾患治療に力を入れるようになった背景には、以前は福山市周辺に血液疾患を専門的に診療できる施設がなく、患者が岡山大学病院まで通わねばならないといった現実があったという。この状況を改善すべく、広島県東部の基幹施設である同院の診療体制の充実化が図られた。血液内科の部長職を前任者から引き継いだ木口部長は、この取り組みをさらに推進。前述したような体制を実現したのである。

「地方にあっても、世界に冠たる病院を目指そう」――木口部長が就任以来掲げるビジョンである。「地方だからよい医療が提供できない、というのではなく、地方にいても世界から情報を集め、最先端の医療を提供できるようでありたい」という高い理想をストレートに表現している。

ビジョンに向かって力を入れてきたのは、人を集めること。「一緒に働くスタッフはもちろん、国内外の医師、患者さんや家族、関連企業の社員、そのほかあらゆる人たちとコミュニケーションをとり、多職種連携の仕組みをつくったり、情報発信に努めたりしてきました」と部長が言う。

その成果として血液内科の患者は増加傾向にあり、たとえば急性骨髄性白血病患者の新患数は年間40人前後と全国でもトップクラス。悪性リンパ腫の新患数が年間120人、多発性骨髄腫が同30人前後である。木口部長就任後の7年間における自家移植件数は約50、同種移植(近親者間のみで実施)件数は約30となっている。

血液内科病棟(4みなみ病棟)には一般病床52床(うち無菌室10床)があるが、血液疾患による入院患者は常時75人ほどおり、他科の病床を借りる状態が続いている。2017年のピーク時には、全病床の3分の1にあたる90床を血液内科の患者が占めた時期もある。新患の多くは他院からの紹介だが、中には治験の情報を聞きつけて、自ら受診する患者もいる。こうした患者すべてを断らずに受け入れるのが同科の方針だ。

血液疾患関連の治験については、2018年10月現在、18件が進行中。この半分は急性骨髄性白血病に関するもので、ほかは骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などに関するものであり、多くは国際共同治験。その他に医師主導型臨床研究にも多く参加しており、すべての患者が何かしらのかたちで臨床試験に参加している。

2019年から京都大学との共同研究として国内10施設で行う予定の次世代型クリニカルシーケンスに関する研究は、同院のみ先行して2018年から実施している。従来の治療法で効果が得られない患者について、がん細胞の遺伝子を網羅的に解析。効果の期待できる治療法が見つかったら、速やかに院内の倫理委員会にかけ、承認を得たうえでその治療を行う体制を整えている。

血液内科病棟(4みなみ病棟)の病室。4人部屋でもすべてのベッドが窓際になるよう設計され、部屋ごとにトイレがついているのは各科共通の仕様だ。

二重扉で仕切られた無菌室は10床。無菌室の水道はセンサー式で滅菌水が出てくるようになっており、お見舞いに来た家族には看護師が手洗い・消毒、荷物を持ち込まないことなどを繰り返し指導する。

がんのリハビリテーションを推奨している同院では、無菌室にもエアロバイクを配している。

3. チーム医療 医師全員がすべての疾患を診て情報共有
2つのカンファレンスで連携強化

血液内科には常勤医が6名、非常勤医が1名在籍している。この7名は、専門による役割分担などはしておらず、あえて全員がすべての疾患を診る体制をしいている。その理由を木口部長は、「得意不得意に関係なく、あらゆる疾患の患者さんの主治医になることで力がつき、視野が広がる。それが血液内科全体の医療レベルを高めると考えているからです」と説明する。

こうした体制を維持するためには、常に最先端の知識や技術を共有することが必要で、同科では毎週月曜日に、医師全員に薬剤師1名が加わって、全入院患者の診断と治療に特化して徹底的に議論・検討する3時間のカンファレンスを行っている。

ここに参加する1名の薬剤師とは、がん薬物療法認定薬剤師、がん専門薬剤師の資格を持つ石井一也主任薬剤師である。石井薬剤師は2人いる血液内科病棟担当薬剤師の1人で、病棟に常駐しており、薬物療法の説明や副作用モニタリング、医師への処方提案などを行っている。カンファレンスでも積極的に薬物療法に関する提案を行うという。

「病棟に薬剤師がいてくれるおかげで、薬物療法に関する医師の説明をしっかりとフォローしてもらえ、患者さんの理解も深まるので助かっています」と木口部長。対して石井薬剤師は、「ドクターたちが薬剤師の専門性を認め、病棟業務を任せてくれるので、それがうれしくてますますやる気が出ます」と言う。

同院では外来化学療法をスタートする患者、レジメン変更を使用する患者には必ず一度入院してもらっているため、病棟薬剤師は外来化学療法の導入に際しても重要な役割を果たしている。また、入院から外来に移行する患者については、石井薬剤師から後述する外来担当の神原康佑主任薬剤師へ、詳細な情報提供がなされるため、患者一人ひとりに合った対応ができる。「いわば院内の薬薬連携であり、患者さんにより良い環境で化学療法を受けていただくためにも欠かせないものです」と木口部長が評価する。

一方、木曜日には看護師、薬剤師、検査技師、リハビリ職、管理栄養士、MSWなども参加する多職種カンファレンスを実施し、新患の紹介、情報交換などを行っている。

木口部長はこうしたチーム医療体制の成果について、「医師はお互いの患者を預け合うことができるので、出張や休暇で病院を留守にすることがしやすくなりました。また、個人の考えやそれぞれ違った情報を持ちつつも、同じ方向性をもって歩むことができるようになった気がします。他の職種も、カンファレンスで情報を共有したり、疑問点を解決したりできるので、お互いの意思疎通がスムーズになってきています。医療は連携なくして成り立ちません。その意味でもいい方向に向かってきていると思います」と話す。

血液内科では、さまざまな場面で多職種連携を実践している。外来でインフォームド・コンセント(IC)を行う際には必ず医師とがん関連の認定看護師が同席するといったことはその一例である。

がん関連の認定看護師としては現在、緩和ケア看護2名、がん性疼痛看護1名、がん化学療法看護2名がいる。この5名は、医師のICに同席するほか、単独で患者や家族と面談し、療養を支援している。

がん化学療法看護認定看護師で2018年に外来から血液内科病棟に異動になった村上智美看護師によると、一般のがん患者の場合、一定の検査を終えて診断がつき、治療方針が決まってから入院することが多いのに対し、血液内科の患者の場合は病名がわからない段階で入院することが少なくない。そのためICが病棟で行われることもある。今後は、病棟でのICについても認定看護師の同席が必須となるように体制を整えていきたいという。

石井 一也
血液内科病棟薬剤師(日本医療薬学会 がん専門薬剤師)

村上 智美
血液内科病棟看護師(がん化学療法看護認定看護師)

血液内科病棟のスタッフが集まる「4S/みなみステーション」

病棟のスタッフステーションに設置されている、薬剤師など多職種が使えるフリースペース。スタッフ間の情報交換の場にもなっている。

多職種カンファレンスを行う部屋

4. 外来化学療法室 化学療法委員会が運営
年間実施件数は2500~3000件

血液内科は、同院の外来化学療法室の利用率が最も高い診療科で、2016年度が24%、2017年度が31%と増加傾向にある。これは、患者数が多いのに加え、週1回、週2回といった頻回の薬剤を投与するレジメンが血液がん治療に比較的多いことも関係しているという。

村上看護師と同じくがん化学療法認定看護師で、外来化学療法室専任の楠岡菊江看護師が、外来化学療法室の概要を次のように紹介する。

「電動ベッド8台、リクライニングチェア2台の10床体制で完全予約制です。化学療法の件数は年間で2500~3000件、月換算で200~250件です。2018年度は利用件数が増加傾向にあります。血液がんの患者さんをはじめ、肺がん、乳がん、大腸がん、胃がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍のほか、リウマチやクローン病の患者さんも利用されています。看護師は私のほか8名ほどがかかわっており、私以外は交代で1日4名ほどが勤務します。薬剤の運搬などは看護助手が行ってくれます」

外来化学療法室は中庭に面していて、カーテンを開けると空や木々が眺められる。また、ベッドは小型モニタつきで、テレビ番組やDVDの視聴も自由だ。

外来化学療法室を利用する患者は、来院して受付をすませたら予め体重測定や血圧測定を行ってから同室に来る。そこでまず看護師の問診と採血を受ける。「副作用はどうか、ご自宅で困ったことはなかったか、つらい症状はないかなどを丁寧に確認します」と楠岡看護師。採血の結果が出るまで約1時間。その結果を持って各科で診察を受け、その日の化学療法の内容を確認。その後、外来化学療法室に戻って化学療法を開始する。何事もなく終了すれば会計をすませて帰宅する、というのが一連の流れだ。

なお、同院では主治医が必要と判断した患者については入院前に口腔外科を受診する仕組みになっている。この口腔外科受診が、外来化学療法が始まっても続いているケースもある。また、リハビリについても、同院が「がんリハビリテーションセット」と称して積極的に取り組むがん患者のリハビリを、入院中から継続している患者もいる。外来化学療法室ではそうした患者の個々の状況を把握し、関係職種と連携して支援している。精神面のサポートについては日頃から室内で実施するほか、緩和ケアスクリーニングなどで点数の高かった患者については緩和ケア認定看護師や精神科・心療内科につなぐなどのフォローをしている。

外来化学療法室の運営は、レジメンの審査委員会も兼ねる「化学療法委員会」が行っている。腫瘍内科部長が委員長を務め、内科医、外科医、婦人科医、病棟の看護師長、外来の看護師長、薬剤師、事務職など11名がメンバーだ。同委員会は月に1度会合を開き、新規レジメンの審査・登録のほか、外来化学療法室はじめ各部門からの報告なども行っている。

楠岡 菊江
外来化学療法専任看護師(がん化学療法看護認定看護師)

5. 薬剤師のかかわり 内服の抗がん剤を服用している全員を
「がんサポート薬剤師外来」でフォロー

外来化学療法に際しては、薬剤師も重要な役割をはたしている。前述したように外来化学療法を受けるために来院した患者は受付から会計まで一連の流れに沿って行動するが、薬剤師はこの流れの中でタイミングをはかって介入する。看護師の問診時や外来の待ち時間などに患者と話して副作用について聞いたり、レジメンに沿った検査がきちんと受けられているかをチェックしたり、化学療法中にベッドサイドで様子を確認したり、といったかたちである。

こうした随時の対応のほかに、薬剤師による外来も開設している。名称は「がんサポート薬剤師外来」、対象は内服の抗がん剤を使用している患者全員である。

「点滴の抗がん剤治療を受けられる患者さんは医師の診察前に看護師の問診がありますし、点滴中に薬剤師との面談もあります。しかし、外来で内服抗がん剤による治療を行われている患者さんは、以前は病院での医療者での接点は主に医師のみでした。そこで2016年7月から「がんサポート薬剤師外来」を開設し、医師の診察前の待ち時間を利用して患者さんから治療上の相談を聞いたり、副作用のチェックや服薬状況の確認、必要に応じて医師に処方提案などを行うことで患者さんの安全な薬物療法を支援しています。また、医師の外来診療前に薬剤師が確認し、医師に伝達することで、医師はあらかじめ患者さんの訴えや副作用の発現状況などを把握した状態で診察できるため、多忙な医師の外来診療負担を軽減する意味もあります」と説明するのは、がん専門薬剤師の資格を持ち、外来のがん化学療法業務を一手に担っている神原康佑薬剤師だ。

点滴の抗がん剤治療の揚合も常に薬剤師の立場から患者の状態を評価し、医師や看護師と連携をとりながら有効で安全な薬物療法が行えるよう取り組んでいるという。

神原 康佑
外来担当薬剤師(⽇本医療薬学会 がん専門薬剤師)

がんサポート薬剤師外来は患者にとって身近な存在だ。

6. 薬薬連携 検査値、レジメン名を記載した処方せんと
トレースレポートで患者情報を共有

内服の抗がん剤の処方については薬薬連携も重視している。神原薬剤師が保険薬局との薬薬連携について次のように紹介する。

「当院は治験薬など特殊な薬剤を除いて基本的に院外処方なのですが、保険薬局の薬剤師が、処方内容が適正かどうかを確認するためには、病院から積極的に患者さんに関する情報を提供する必要があります。その方法として当院では、処方せんに患者さんの臨床検査値と現在行っている化学療法のレジメンを記載する仕組みになっています。レジメンの詳細な内容は当院のウェブサイトの薬剤部のページで開示。これにより保険薬局の薬剤師も、肝機能や腎機能を見ながら処方内容をチェックすることが可能になります」

この、検査値とレジメン名の記載を開始したのは2014年2月頃。当時、同様の取り組みを京都大学が先行して行っていたことが話題となり、全国に波及し始めていたことから、同院でも薬剤部内にワーキンググループを立ちあげて検討し、導入に至った。

これとは反対に、保険薬局が得た患者情報を同院に提供してもらうための仕組みもある。やはり同院ウェブサイトの薬剤部ページからダウンロードできる「医師・薬剤部 トレースレポート」(服薬情報提供書)を使って情報を記入しファックスなどで送ってもらうやり方だ。こうして病院薬剤師と薬局薬剤師は常時、情報を共有できている。

薬局薬剤師対象の勉強会も、年に1~2回実施している。内容は医師による講義や、疾患ごとの薬物療法の検討など。参加者は平均60~70人。多いときは100人以上になる。検査値とレジメン名の記載を開始して一定期間が経った頃には、効果についてのアンケート調査を実施し、集計結果に対する意見交換会なども行っている。

このときは、処方せんを機に検査値の勉強をし、注意が必要な薬剤の一覧表を掲示するようになった薬局や、レジメンのチェック表を作成してくれた薬局などもあることがわかった。

この勉強会では今後、症例検討会なども行っていく計画だ。

7. 人材育成 専門資格の取得を推奨
研究会や学会参加でさらにスキルアップ

石井薬剤師ががん医療治療に関する専門資格を取得した理由の1つには、木口部長のアドバイスがあったからだという。その意義について部長は、「がんに興味を持ってもらえるのが大きな利点ですし、資格取得のために積極的に勉強することでさらに興味が深まり、知識も増えていきます。また、がんについて熱心に勉強している仲間がいることで、チーム全体に向上心が生まれます」と指摘。

実際に資格を取った薬剤師については、「私が赴任した頃と比べて段違いに力がつき、自信もついてきて、いろいろな意見を言ってくれるようになりました。関連学会や研究会で病院代表として発表することも多く、幅広く活躍してくれているのは私から見ても頼もしい限りです。こうした活躍は薬剤部だけでなく、ほかの職種にもよい影響を与えています」と言う。

資格取得が全体のレベルアップにつながっているのは看護師も同様だ。前述したがん関連の認定看護師はもちろん、血液内科では特に、日本輸血・細胞治療学会が認定するアフェレーシスナースの資格取得を推奨している。というのも、同院では輸血の必要な血液疾患の治療を多数行っており、全国的にも輸血量の多い広島赤十字・原爆病院に次いで、県内2番目の規模で輸血を行っている。「輸血を安全に行うためには、輸血前の照合や輸血中のチェック、拒絶反応が起こった場合の迅速な対応などが必要で、これらをしっかり行うためにも専門知識・技術が欠かせません」と木口部長。学会認定のアフェレーシスナースの資格を持つ看護師は現在1名、臨床輸血看護師が8名いる。この豊富な人員体制により血液内科病棟では、他科も含めて輸血に関するトラブルや疑問が生じた際の相談窓口としての機能も果たしている。

同院のアフェレーシスナースたちは血液内科のバックアップを受けながら、資格取得後も学会参加や他施設見学などを続け、研鑽を重ねている。また、まだ資格を取っていない看護師の指導役も担っている。

村上、楠岡両看護師は、「当院の看護師にとって学会は、以前は遠い存在だったのですが、木口部長からいろいろなアドバイスをいただき、そのイメージが変わっていきました。いまではどの診療科の看護師も学会発表をしたり、専門資格を取得したりするようになっています」と声を揃える。

薬剤師、看護師のほか、臨床検査技師などのがん関連資格取得も推奨している。「高い意識と知識・技術を持つチームがあるからこそ血液内科の診療が成り立つ。人材に恵まれたことに感謝しています」と木口部長がしみじみ語る。

各種教室などが行われるホールへの通路は美術館のよう。

8. 今後の課題・展望 希望と笑顔を忘れず
御幸町をメディカルタウンに

就任以来、理想の高さとバイタリティー、アイデアとユーモアによって仲間を増やし、診療体制、多職種連携体制を強化してきた木口部長は、2018年、ベストドクターズ社(本社:米国)が、「もし自分または大切な人の治療を自分以外の医師に委ねるなら?」という視点で、他の医師による客観的評価を行って選出する「Best Doctors in Japan」に選ばれた。

木口部長は、「自己評価ではなく、自分以外の医師に選んでいただけたことが誇らしいです。そして、私への評価が患者さんの安心感につながること、ほかのスタッフへの信頼感にもつながることが何よりもうれしい」と笑顔を見せる。後輩医師に対しては、「私を参考にするなりなんなりして、よい医師になれるよう努力してもらえれば」と呼びかける。

今後については「いままで同様、希望と笑顔を忘れずにポジティブに取り組みたい」と、病院の発展に尽くしていく構えだ。また、「希望と笑顔は、患者さんにとっても生涯必要だし、最期まで持ち続けることができるものです。長くご無沙汰していた人に会える、好きなおやつが少しだけ食べられるなど、何でもいい。人は亡くなる直前まで希望が持てるということを、私は患者さんに伝え続けたいと思います」と語る。

さらに、部長の頭の中ではいま、同院をがんセンターに、同院のある御幸町をメディカルタウンに発展させる構想が膨らんでいる。

「血液内科での実績は全国に知られつつあり、他科にも派生しつつあります。すべての科が血液内科のように充実すれば、私設のがんセンターになることも夢ではありません。病院の魅力が増せば、自然に優秀な人材が集まるでしょう。すると医療に関連する企業もこの地域に進出するかもしれない。実際にこういった動きは出てきています。こうして病院で働く人、周辺企業で働く人が増えれば、自然にメディカルタウンができていくのではないでしょうか。一方で、当院で治療を受けたいと御幸町に転居した患者さんも少なからずいます。人が集まることはその地域の発展につながる。私はこれを『血液内科から始まる物語』として頭の中に描き続けているのです」

具体的な課題としては、全国でもトップクラスにある治験への取り組みをさらに強化し、日本の血液疾患医療をリードする存在になることを挙げ、それに伴って、先進医療に興味を持つ若手医師が増えることにも期待する。近い将来、福山の医療が大きく変わるかもしれない。

木口部長が受賞した「Best Doctors in Japan」の証書。患者の安心感、スタッフへの信頼感につながるため院内の各所に掲示している。

木口部長(中央)と取材にご協力いただいた皆さん

KK-19-04-25171

外来化学療法 現場ルポ

年末年始休業のお知らせ

下記の期間は年末年始休業とさせていただきます。
2019年12月28日(土)~ 2020年1月5日(日)
期間中はご不便をおかけいたしますが、ご容赦くださいますよう何卒お願い申し上げます。

おすすめ情報

  • おすすめ情報は、協和キリンのウェブサイトにおける個人情報の取扱い方針に基づき、お客様が閲覧したページのアクセス情報を取得し、一定の条件に基づき自動的に表示しています。
    そのため、現在ご覧いただいているページの情報との関連性を示唆するものではございません。

くすり相談窓口

弊社は、日本製薬工業協会が提唱するくすり相談窓口の役割・使命に則り、くすりの適正使用情報をご提供しています。
弊社医薬品に関するお問い合わせは、下記の電話窓口で承っております。

フリーコール

0120-850-150

受付時間 9:00~17:30
(土・日・祝日および弊社休日
を除く)

※お電話の内容を正確に承るため、また、対応品質の維持・向上等のため通話を録音させていただいております。あらかじめご了承ください。

お問い合わせ