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社会医療法人北楡会 札幌北楡病院[外来化学療法 現場ルポ]

2019年09月12日登載/2019年09月作成

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病院外観
  • ●病院長:目黒順一先生
  • ●創設:1985年1月
  • ●北海道札幌市白石区東札幌6条6丁目5番1号

全国有数の血液疾患治療施設
全室個室の充実した入院環境で高度先進医療を提供

 北海道札幌市にある札幌北楡病院は、血液疾患治療施設として広く知られた病院である。移植医療の先駆者であり、1986年には道内初の同種造血幹細胞移植を実施。以来、移植件数は増え続け、年間移植症例数では常に道内トップを維持している。北海道大学病院と並び、地域の血液疾患医療をリードする存在であり、血液専門医をはじめとした人材育成にも力を注いでいる。

1. 血液内科の概要 あらゆる血液疾患に対応
年間の移植件数は70〜80件

札幌北楡病院は1985年1月、高度先進医療技術の開発と実践を目指した急性期医療施設として、内科、外科を中心とした数名の医師によって開設された。開設当初から人工臓器移植研究所を併設していることはきわめて特徴的である。

設立メンバーに血液専門医がいたこともあり、早期に血液内科が設置され、1986年には全国に先がけて造血幹細胞移植に着手した。近年の移植件数は、自家・同種・非血縁骨髄移植、同末梢血幹細胞移植、臍帯血移植の合計で年間70〜80件で推移。この数を見るだけでも、同院が全国でもトップクラスの血液疾患治療施設であることがわかる。なお、自家移植と同種移植の割合はおよそ3:7である。

2019年現在の標榜科目数は15。血液内科はこの中で最も代表的な診療科で、全281床(うち集中治療室8床、無菌治療室40床)の病床のうち、常時100〜120床を同科が占めている。

血液内科には2019年7月現在、常勤だけで13名の医師が在籍している。このうち10名は日本血液学会指導医・専門医または専門医、残り3名が後期研修医であり、例えるなら地方の大学病院の医局並みの充実ぶりである。ほかに北海道大学病院血液内科の医師などが非常勤で勤務している。また、小児科部長が日本血液学会指導医・専門医であることから小児の血液疾患治療も専門的に行っている。

「当院は、血液疾患については小児から高齢者までカバーできます。また、白血病や悪性リンパ腫といった悪性疾患をはじめ、あらゆる血液疾患に対して、造血幹細胞移植などの高度先進医療を提供しています。治験をはじめとした特殊な場合を除けば大学病院と同レベルの治療が可能です。その意味では、血液疾患の専門病院といえると思います。また、人工透析に力を入れているため、血液疾患患者の腎機能が低下した際などに迅速に対応できることも当院の強みです」と、太田秀一・血液内科診療部長が血液疾患診療における同院の特徴を紹介する。

血液内科には、北海道内全域、ときには道外や海外からも患者がやってくる。紹介元は開業医から地域の基幹病院、大学病院までさまざまだ。

「他の都府県で暮らしておられた北海道出身の患者さんが、故郷に戻って治療を受けることを希望され、当院に紹介されてくることも珍しくありません。全国の病院から紹介患者さんが来られるということは、多くの医師に専門性を認めていただき、信頼していただいていることの証だと自負しています」と、太田診療部長。こうした期待に応えるべく、日々、努力と改善を重ねているという。

太田秀一
血液内科診療部長


2. チーム医療 13名の医師と多職種が
情報交換しながらチーム医療を展開

常勤だけで13名の医師を擁する血液内科では、病棟担当医を9名配置し、3名ごと3グループに分けてそれぞれが30〜40名の入院患者を受け持っている。緊急で入院してくる患者についても、この3グループで分担して対応。夜間対応も3グループによるシフト制である。外来診療は非常勤医を含めて毎日3〜4名で担当。太田診療部長は、自らも外来・入院診療を担いつつ、全体を統括している。

患者情報の共有には電子カルテを活用しているが、実際に顔を合わせての情報交換も重視している。血液内科のカンファレンスは週に2回あり、うち1回は医師全員で行い、難症例などを深く検討するほか、各種論文の抄読会、学術発表の予演会に当てている。1時間から1時間半程度を費やす充実した時間である。

もう1回のカンファレンスは、医師のほか病棟・外来看護師、理学療法士(PT)、歯科医師、歯科衛生士が一同に介し、ケースカンファレンスとして行っている。こちらも2時間から2時間半かけて行う。

「医師以外の職種も、血液内科の患者さんに専門的に対応できるように勉強してもらっています。病棟師長はじめ3名は血液内科のベテランですし、ほかの看護師も臨床経験を積みながら専門性を高めてくれています。PTは患者さんの入院当初から積極的にかかわって、患者さんの筋力維持や早期退院に貢献してくれていますし、歯科医師、歯科衛生士は週に複数回病棟を回って口腔ケアをしてくれており、患者さんの口腔の状態は非常に良好です。リハビリや口腔ケアは、患者さんの病態に大きく影響しますので、これらのスタッフの取り組みや意見を共有することは、とても大事だと考えています」と、太田診療部長が各職種の役割や多職種で患者にかかわる成果を語る。

病棟で血液疾患患者のケアにあたる上原優香・がん化学療法認定看護師(写真左)と、山口めぐみ看護師・臨床輸血看護師


リハビリテーション室。血液疾患の患者も病状が安定しているときにはここを利用する。PTが病棟に行っ て個別にリハビリテーション指導を行うこともある


3. 診療の流れ 診断・治療を迅速に実施
病態に合わせて多様な対応

血液内科の患者に多いのは、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群など。これらは治療当初から移植を念頭に置く必要があるため、移植手術の実績のある同院に患者が集中する傾向があるのだ。ほかにも特発性血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血、溶血性貧血などの難病指定疾患も含めてあらゆる血液疾患の患者に対応している。

初診の患者の多くは、最初に血液内科の外来で診察を受け、必要な検査を行って、その結果によって入院の要不要を医師が判断する。血液内科の外来は月〜金曜の午前・午後、予約制で各3〜4枠設けられている。土曜日は予約のない患者にも対応する。この段階で通院治療が可能と判断されれば、外来化学療法を中心に外来での治療を行う。「外来化学療法センター」の病床数は9床。専属の看護師が配置され、医師の指示のもとで業務を行っている。

一方、初診で入院治療を要する悪性の血液疾患の疑いがあると診断された場合はすぐに入院となり、骨髄検査などを行う。病気のおおまかなタイプはその日のうちにわかるので、すぐに化学療法の準備にかかり、翌日には治療を始める。緊急性がある場合は、検査当日から治療を始めることもある。

「治療を進める中で、化学療法がどの程度効いているのかを見極め、病態の詳細がわかってきた段階で移植を検討します。そして、移植が必要な病態であり、かつ、年齢や体力面から見て移植が適していると判断されれば速やかにドナーを探します。まずは兄弟を優先し、兄弟のHLA(Human Leukocyte Antigen:ヒト白血球抗原)が合えば早めに移植を実施します。合わない場合は骨髄バンクに登録することになります。患者さんやご家族への説明、相談対応、登録にかかる手続きなどは、当院の医療連携室に在籍する造血細胞移植コーディネーターが専門的に行ってくれるので助かっています」と太田診療部長。

ただし、骨髄バンクに登録した場合は、早くても移植まで3カ月くらいはかかる。この期間、待つことが許されない病態であれば、臍帯血移植や、血縁者からのHLA半合致(ハプロ)移植を検討する。太田診療部長によれば、移植の技術が進んだ現在、以前のようにドナーが見つからなくて移植ができないケースはほとんどなく、もともと複数の病気を併発している、かなりの高齢であるなど、移植に適さない特別な理由がないかぎり、大半の患者が移植可能な状況だという。

こうして移植を受けた患者については、GVHD(Graft Versus Host Disease:移植片対宿主病)に代表される合併症や感染症の予防に努める。一方、移植を受けられなかった患者の場合は、引き続き適切な化学療法を行う。

以上のようなプロセスを経て病状が落ち着けば、退院してもらって外来で管理する。自家移植の患者の場合は、地域連携室を介して地域の開業医などに紹介し、継続管理を託すケースも増えている。近年は、北海道大学病院血液内科を中心に血液疾患患者の移植後のフォローアップについて開業医を教育するシステムもできており、紹介・逆紹介が以前より活発に行われるようになっているという。

なお、治療を行っても改善が見られない場合については、QOLに重きを置き、患者や家族と相談しながら、タイミングをはかって緩和ケアに移行する。同院には緩和ケア病棟も完備されている。

ベッドとリクライニングチェア、計9床が稼働する外来化学療法センター

造血細胞移植、免疫細胞移植、腎移植の各移植コーディネーター2名ずつと、ソーシャルワーカー、看護 師など計 1 6 名が在籍する地域連携室

4. 移植医療 全室個室でうち40床は無菌室
厳重な感染対策で治療の質を高める

北楡病院の病室は281床すべてが個室である。これは、プライバシー保護もさることながら、感染予防を何より大きな目的としている。さらに、2つある血液内科病棟では、合計40床の無菌室を擁している。

「一般の病室を無菌室に変える工事を毎年少しずつ重ねています。免疫力の落ちている血液疾患の患者さんの治療を、より安全な環境で行うことを目指しています」と太田診療部長が言う。

2つの血液内科病棟とは、5病棟と7病棟。このうち5病棟は、「造血細胞移植センター」と呼ばれており、主に同種移植を行う病棟と位置づけられている。前述した無菌室の大半である35床はこちらにあり、うち4床は清浄度の高いクラス100の無菌室である。7病棟の無菌室は5床で、主に自家移植を行っている。

造血幹細胞移植を行うための末梢血幹細胞採取は、院内にある「AOC人工臓器治療センター」で行う。同センターは主に人工透析を行う施設で、93床の透析ベッドがあり、入院・外来患者合計約300人が利用している。その一角に末梢血幹細胞採取用の装置が4台並び、臨床工学技士が医師の指示のもと採取を行っている。

病室は全室個室で厳重な感染予防対策がなされている。

35床の無菌 室を擁する5病棟(造血細胞移植センター)のナースステーション。中津 正志 看護師(写真 右は、自らの移植経験を機に看護師を志したという

クラス100の無菌室。特に免疫力の低下が著しい患者などが入院している

5. 人材育成 日々の診療を通して患者から学び
国内外の学会で情報収集・発信

北楡病院血液内科は、日本血液学会認定血液研修施設の認定を受けている。現在も3名の後期研修医が籍を置き、日々の診療を通して血液疾患医療を学んでいる。

太田診療部長は、「研修医には、学会参加や論文作成に積極的に取り組むように話しています。当院に蓄積されている多種多様な患者さんの記録を整理してまとめるだけでも、次の治療につながる有意義な研究ができます。また、当院には血液疾患の患者さんが多いですから、日々の業務を行うことそのものが勉強であり、研究であるといえます。私たちのようなベテラン医師も、患者さんから学ぶという姿勢を常に忘れず、後輩の模範になりたいと思っています」と、医師育成への思いを語る。

学会参加の目的はもう1つある。日進月歩の進化を続ける血液疾患医療の最新情報を得ることである。この意味で、研修医のみならず、中堅、ベテラン医師の学会参加も推奨している。日本内科学会、日本血液学会、日本造血細胞移植学会といった国内学会のみならず、米国血液学会、欧州血液学会など海外の学会にも診療のシフトをやりくりしながら、可能なかぎり出向くようにしている。このほか全国組織の臨床研究や、グローバルの治験にも積極的に参加している。

6. 今後の課題・展望 最大の課題は多職種の育成
血液疾患医療全体の向上に貢献したい

人員、病床数、設備など、あらゆる面で充実している北楡病院血液内科。しかし、「これでもまだ十分とは言えません」と太田診療部長。「高齢化が進行すれば、悪性疾患は自然に増加します。血液疾患も例外ではなく、日本では悪性の血液疾患は今後も増え続けると予想されます。当院の患者さんもまだまだ増えると考えると、対応能力をより高めていくことが不可欠です。そのためにはまず人材が必要ですし、施設の拡充もしなければなりません」と課題を語る。

さらに、「当院だけ、あるいは札幌市内だけが充実するだけでは不十分で、北海道全体、ひいては日本全体で、この課題に取り組んでいく必要があります。移植のできる医療機関を増やしたり、新しい治療法を取り入れたり、病診連携を活発化したりということを考えると、やはり、医師はもちろん、血液疾患医療に携わるあらゆる職種の人材育成が急務です。こうした人材育成も専門施設の役割の1つであり、当院もさまざまなかたちで貢献していきたいと思います」と力強く語る。

今後も学会などを通した情報発信もちろん、スキルアップや人材育成を目的とした各種勉強会などにも積極的にかかわっていく方針だ。血液疾患治療の先駆者としての同院の役割は、ますます重要性を増している。

KK-19-08-26388(1904)

外来化学療法 現場ルポ

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