KYOWA KIRIN

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施設紹介

埼玉医科大学国際医療センター

大学病院における医療の質向上と患者安全にむけて

〒350 -1298 埼玉県日高市山根1397 -1 http://www.saitama-med.ac.jp/kokusai/

施設紹介
  • 小山 勇

    埼玉医科大学国際医療センター 病院長

    1977年東京医科歯科大学医学部卒業後,三井記念病院に勤務。
    1982年から3年間,Johns Hopkins 大学外科へ留学後,2007年に埼玉医科大学国際医療センター副院長(管理・運営担当),2011 年4 月に同センター病院長に就任。
    「患者中心の医療」を具現化するため,新時代の医療を拓く病院をめざし日夜邁進している。

埼玉医科大学国際医療センターは世界水準からみても極めて高いレベルの医療を実践する医療機関を目指して2007年4月に開院した。直接生命にかかわる,「がん」「心臓病」「脳卒中を含めた救命救急」の高度専門医療を提供する病院である。病院長の小山氏は,日本の病院機能評価にとどまらず,医療の質の向上や患者中心の医療を評価するJC(I Joint Commission International:国際病院評価機構)認定取得に向けてリーダーシップを発揮した。今回,JCI認定取得に至った動機とその経緯や医療の質向上の取り組みについて,また,埼玉医科大学国際医療センターにおける地域の役割,大学病院が抱える問題点について,小山氏に話を伺った。

大学病院で日本初のJCIを取得した動機とその経緯

JCI 認定取得の動機を教えていただけますか。

米国では病院機能評価に関する歴史は古く,1950年代からいくつかの学会が集まって第三者機関であるJC(Joint Commission)を立ち上げ,医療の質に対して第三者評価を受けようという流れがありました。その国際基準を作ろうということで発足したのがJCIです。米国の基準を基に国際基準を設け,世界中の医療機関の「医療の質の向上と患者安全」を評価しています。私は開院当初から副院長を務め,2011 年に病院長に就任しましたが,最初の目標は,がん,心臓病,脳卒中の分野において,日本でもトップクラスのハイボリュームセンター(多数例を手術する施設)として認められることでした。この流れから,次に私たちが目標に掲げたのは,量に加え質を担保する施策でした。「国際」という名に相応しく,かつ元々世界的にも質の高い病院にしようという観点から「国際医療センター」と名付けましたので,そういった面においてもJCIの認定取得を目指すようになったわけです。

当院がJCI 認定を取得する際,日本国内でJCI 認定を取得している医療機関は「病院」「長期ケア」「外来診療」の各プログラムでの取得でした。当院は大学病院であることから,教育機関向けの認証「Academic Medical Center Hospital」のプログラムに挑戦することにしましたが,大学病院としての認証取得は国内初でした。認証取得はあくまで手段であり1つの通過点に過ぎず,医療の質の向上のためのチャレンジであると捉えました。

前庭の美しい乙女像は「愛,希望,祈り」がテーマ.「我々は人類に奉仕するために医療を行う」とした創立者丸木清美氏の思いが込められている.

JCI の認証取得に向けてどのような準備をされましたか。

認証取得に向けて準備を始めたのは,2012年の時でした。院内に委員会を立ち上げましたが,最初は手探りの状態でした。2013 年には作業が本格化し,2014年9 月にモックサーベイ(模擬調査)を受けることが決まりましたが,2014 年4 月から審査基準のバージョンが4 から5にアップされることが分かりました。これにより,ガバナンスとリーダーシップ(Governance and Leadership(GLD):管理と指導力)に関して新しい基準が設けられました。私たちがモックサーベイを受けた時は,バージョン5になってまだ5ヵ月で,日本語版が完成していませんでした。英語で書かれている原文の判定項目を関係スタッフ総出で日本語に翻訳し,理解しようとしましたが,抽象的な内容で何を求められているのか分からず,参考のため,すでに認証取得している国内外の医療機関に見学に行ったりしました。

審査を受ける半年前のモックサーベイには本試験を審査する審査委員と同じ研修を行ったサーベイヤー(調査士)がコンサルタントとして訪れ,本試験と同じような審査を行いました。この時に,「ポリシーとは何か」を考え,そこから当院のポリシーを作り出しました。

2015年2月の本試験では,16の評価分野,304の基準,1,218の判定項目について,患者さんの視点でシステム(system:体制),ポリシー(policy:方針),プロシージャ―(procedure:手順)が審査され,その実践についての検証が5 日間にわたって行われました。

JCIの認定証.3年後の再審査では,患者さんの安全性担保,質の高い医療提供への取り組みについてさらなる向上が求められる.

認証審査を受けて重要だと感じた点を教えていただけますか。

認証審査の中にQPS(Quality and Patient Safety:医療の質と患者の安全)という項目があります。これは認証審査において極めて重要かつベースとなる項目です。そして,医療の質を日常的に改善していくことの重要性が今回の審査であるバージョン5 で最も強調されました。医療の質の定義は「患者に対して行われる医療が望ましい健康アウトカムをもたらす可能性の高さ,その時々の専門知識に合致している度合」とされていて,その医療の質を測る物差し(ツール)としてQ(I Quality Indicator:診療の質指標)があります。これは,医療の質を定量的に表現し,改善するためのツールですが,この物差しが病院のどの部署においても同じレベルでなくてはいけません。つまり,病院全体が医療の質管理に対して同じ方向,同じ目標に向かっていくことが重要であるといえます。たとえば,1 人の患者さんが入院したら,退院するまでの間に,「どの場面で」「誰が」「何を行うのか」をそれぞれ時間経過とともにチェックしていくといったステップが各部署で問われます。各部署における品質管理もPDCAもしくはPDSA(Plan:計画+Do:実行+ Check:評価もしくはStudy:学び+ Act:改善)で実施されますので,問題点に対する改善目標が常に提議されています。

また,認証審査にはGLD(Governance and Leadership)という項目があります。管理者側である理事や理事会にはどのような役割があって,きちんと自己評価がなされているのか,その役割を果たしているのか,病院長はどのように評価を受けているのか,などもGLDには含まれます。つまり,組織がきちんと機能していなければ,何か問題が生じた時に現場も機能しないという考え方です。病院には改善すべき点が山のようにありますが,解決すべき問題に対して優先順位を付けるのは病院の執行部の役目ですし,どのような場面においても常にリーダーシップを発揮する必要があります。

地域医療における埼玉医科大学国際医療センターの役割

この地域における貴院の役割について,どのようにお考えでしょうか。

当院は大学病院ではありますが,埼玉県の医療整備計画(第4 次埼玉県地域保健医療計画)に応募し,がん,心臓病に対する高度専門医療や脳卒中を含む救命救急医療を提供する,いわば3 大成人病の拠点病院とでもいうべき形で2007 年4月に開設されました。当院は埼玉県全県1区の,最も広域の高度急性期医療を提供する病院と位置付けられています。近隣都県からの依頼があれば,急性期の患者さんを積極的に受け入れていくことが使命と考えています。

エントランスホールに掲げられた医学の父ヒポクラテスと看護の母ナイチンゲールの 絵画は,
「限りなき愛」の象徴.3 階まで吹き抜けの空間が来院者に解放感を与える.

しかし,問題は当院で高度急性期の治療をしたあとのケアです。現在,日本の医療システムの構造,医療環境が変わってきています。包括ケアシステムが導入されましたが,実際にはそのシステムがまだ確立されていない状況です。さらに,高度急性期,急性期,回復期,慢性期というように,病期によって病床機能を分化し,その流れを地域にも取り込んでいこうという動きがあります。当院での高度急性期医療を終了したあとに地域の病院等に患者さんを帰すことになるわけですが,当院と同じようなケアが連続してその施設でも受けられるのかが非常に重要です。ただ転院するだけでなく,社会復帰するまでの間,患者さん1人ひとりに寄り添うような医療を行い,さまざまな医療機関と協同して一緒に診ていく─ これが地域包括ケアシステムの目的ですが,そこにケアの連続性があるのかが課題です。

貴院と地域の施設との間でどのような医療連携システムを構築しようとお考えでしょうか。

院内を自動走行し薬剤や検体を搬送するロボット「HOSPI」.看護師が持ち場の業務に専念できるなど病院運営の効率化を実現.

当院は高度急性期病院ですが,患者さんが地域医療に戻った際に紹介状のやりとりだけで終わってしまう関係は望ましくないと考えています。患者さんが最終的に受ける地域医療の輪に私たちも入っていき,その患者さんを地域の先生と一緒に診ていけるようなシステムを構築していこうといった取り組みを現在,行っています。もちろん,患者さんを主に診ていくのは地域の先生ですが,それをサポートできるような体制を構築している最中です。また,2015年には総合診療・地域医療科という診療科を新たに開設しましたが,この科は当院におけるホスピタリスト的存在で,総合診療医がすべての疾患を総合的に診療します。私たちはこの部門を育てていくと同時に,地域の先生方とコミュニケーションを図り,連携を強化していこうと日々努力しています。また,当院は埼玉県内6地区の医師会と,地域連携の会議やカンファレンスを数多く開催しています。この地区の医師会の先生方とは非常に仲が良く,密に連絡を取れるような関係性が築けています。患者さんの転院では,患者さんを紹介状という形のみで紹介したり紹介されたりという顔の見えない関係性ではなく,当院が地域の包括ケアシステムの窓口と連携し,当院のスタッフもその地域に溶け込んで患者さんを診ていくことを理想に,そこを目指しています。今はそのシステムを作るための足場固めの段階といえます。

在宅医療は患者さんが自宅で安心して生活しながら医療を受けるための医療サービスですが,当院の地域医療科の先生たちは,在宅医療に積極的に取り組もうとしています。当院に入院した患者さんを地域医療に戻した時,地域の先生がカバーできない部分を私たちがサポートしながら,しかも私たちも在宅診療に行って,地域の先生に情報提供をしながら一緒に診ていくというのが理想です。また,医師だけでなく,地域医療科の看護師も必要です。訪問看護ステーションは自分のところで抱えている患者さんを看るわけですが,地域包括ケアシステムがきちんと構築されれば,患者さんを自分だけで抱える必要はなくなります。今後は在宅も含め,地域の先生方と一緒に取り組んでいければと思います。

地域連携で積極的に取り入れるべきと思われる具体的なシステムを教えていただけますか。

地域医療で今後,重要になってくるのは,IT の分野といえます。遠隔診療を行っているクリニックも出てきているご時世ですから,もっと簡単に地域包括ケアシステムに導入できれば随分と違うかもしれません。日本の電子カルテは統一化されていませんし,病院内でさえ情報が共有化されていないこともあります。患者さんが自分の情報を持ち出したいと希望されても難しいのが現状です。患者さんが自分のデータに自由にアクセスできるようなシステムを作ることが必要ではないかと考えています。

当院にかかっていた患者さんが地域医療に戻った時,地域の先生が外来や在宅診療で分からないことがあったとします。たとえば,白血球の急激な上昇がみられる場合,原疾患と何か関係があるのかなど,疑問に感じたことや分からないことを当院のホームページからメールで質問することができます。質問に対して24時間以内に回答を返信しなくてはならないシステムになっています。当院ではこのメールを常時チェックする体制が整っています。当院と連携している地域の病院やクリニックは登録施設として管理され,簡単なパスワードを入力すれば,当院の診療科の先生に直接質問ができるようになっています。

大学病院が抱える問題と求められる医療とは

大学病院が抱える問題点について,どのようにお考えですか。

当院はJCIの教育機関向けの承認プログラムである「Academic Medical Center Hospital」部門の認CKD Liaison No.1 19ホスピタリティ医療の質と安全管理安定した経営基盤ガバナンスとリーダーシップ証を国内で初めて取得しました。JCI 認証は3 年ごとに更新されますが,非常に優れたシステムとプロセスで,患者さんに対する医療の質と安全管理はきちんと対応できるようになっています。当院は医療の質の向上を常に目指し,継続して努力していくつもりです。その取り組みの中のひとつが総合診療医を育成することです。患者さんは一つの疾患だけとは限りませんが,専門家だけの集団だと,お互いに自分の領域でないからと譲りあってしまう傾向があります。真に心のこもった質の高い医療を実践するためには,専門を深めることも重要ですが,それより,むしろ自分たちの守備範囲を広げてお互いに重なりあうことが大切だと思っています。

しかし,若い先生方が総合診療医,いわゆる「お医者さん(一般医)」に憧れていたとしても,日本の医療の教育システム全体が専門医を養成するシステムになっており,一般医を養成するシステムになってはいません。特に大学病院は,専門医制度を重要視していて,「お医者さん」と呼べるような医師は多くありません。サッカーでも固定したポジションの時代からポジションが自由に変わるトータルサッカーへ時代が変わりつつあるように,キーパーでも時には攻撃に参加できるような,そうしたトータルな医療が基本にあるべきです。そして,プロフェッショナル(専門性)も持ちあわせ,お互いにコンサルテーションで足りていない部分を相談・補完していくというチーム医療が今後の大学病院には求められるのではないでしょうか。

現在の日本の医療で不足していることは何でしょうか。

日本では医療従事者の意識として,自分たちがサービス産業に従事しているという認識が不足していると思います。大学病院では自分たちのしたい最先端の研究を行って,その成果を提供することに注力されがちです。相手が満足するような医療を提供するという,「ホスピタリティ」,すなわち,「心のこもったサービス」の提供という最終目標がしばしば忘れられているように思えてなりません。特に緩和医療など人生の終末期を迎える場面などもあり,今の時代はそうした,「ホスピタリティ」が一番問われていると思います。

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