KYOWA KIRIN

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専門医・専門職がもつお互いの診療技術・スキルを解説します。

  • 祖父江 理

    香川大学医学部附属病院
    腎臓内科 講師

  • 北代 雅也

    医療法人社団
    きただい医院 院長

  • 溝渕 茂樹

    医療法人社団
    溝渕内科
    循環器クリニック 院長

祖父江先生からの質問

心血管疾患(CVD)阻止のための
リスク管理はどのようにされていますか。

北代先生の回答

CVDの予防においては,患者さん自身が
家庭血圧・体重を自己管理することも重要です。

慢性腎臓病(CKD)における心血管疾患(CVD)阻止のためのリスク管理は,標準体重の維持と血圧・脂質コントロール,そして血糖コントロールが基本となります。標準体重の維持は生活習慣改善の一環として行われるもので,CVD 阻止において重要な役割を果たします。

高血圧はCKDの原疾患であることも多く,CKDにおける降圧の意義はCKDの進行およびCVDの発症・進展の抑制です。CVDの既往がなければ外来血圧130/80 mmHg 以下を目標に血圧コントロールを行いますが,一方で家庭血圧を測定し,血圧日内変動を把握することも重要です1)。当院では患者さんに血圧を自己管理していただき,毎日の家庭血圧と外来随時血圧のすり合わせを行っています。

脂質異常症も高血圧と同様にCKDの発症と進行,およびCVD発症のリスク因子となります。適切な脂質管理によってLDLコレステロール(LDL-C)を低下させ,CVDの発症リスクを軽減することが重要です。そこで脂質異常症を合併するCKD症例ではLDL-C 120mg/dL未満を管理目標とし,さらに可能であればLDL- C 100mg/dL未満を目指したコントロールを行います1)

耐糖能異常・糖尿病は末期腎不全(ESKD)に至る最大のリスク因子であるだけでなく,大血管障害を合併するリスク因子でもあります。糖尿病合併CKDではHbA1c 6.9%(NGSP)未満を目標に血糖コントロールを行いますが1),糖尿病性腎症のCKDステージG3 以降の症例,また糖尿病罹病期間が長い高齢者では重症低血糖リスクが高まるため,厳格な血糖コントロールではなく,個別の目標値を設定する必要があります。また,糖尿病非合併CKD 症例においても早期に耐糖能異常を発見し,CVD 阻止につなげることが重要です。当院では外来での検尿とともに食後1~2時間の血糖値を測定し,潜在的な糖尿病予備軍のスクリーニングを実施しています。

References

  1. 1.日本腎臓学会 編. CKD 診療ガイド2012. 東京 : 東京医学社 ; 2012.

北代先生からの質問

CKD保存期の治療で
気を付けることはありますか。

祖父江先生の回答

降圧や血糖値管理のほか,
高尿酸血症や代謝性アシドーシスにも注意が必要です。

降圧や血糖値の管理,貧血管理に加えて,見逃されがちになるのがCKD 進行にともない出現する高尿酸血症,代謝性アシドーシスです。

高尿酸血症は痛風発作がなくとも,CKD 患者さんでは8.0 mg/dLを上回る場合に治療適応となりますが,治療によるCKD 進展抑制効果が期待できるのかどうか,現在,大規模臨床研究が進行中です。減塩がうまく守れないCKD患者さんでは浮腫を認めることが多くなりますが,この状態で利尿剤を使用しますと尿酸値やCr 値の上昇を認めることが多くあります。一日6g 以下の減塩は 降圧のみならず,浮腫の軽減,ひいては利尿剤による急性腎障害の予防にも有用です。

腎障害にともない出現する代謝性アシドーシスはCKD 進行・心臓血管病発症のリスク因子であることが示されています1)。なかなか外来で血液ガスを評価することは難しいですが,アニオンギャップの式[Na+-(Cl-+HCO3-)]から逆算すると,血清Na 値とCl 値の差(Na - Cl:正常値36 mEq/L)から血清重炭酸濃度を推測することが可能です。血清Cl 値の上昇(Na- Cl<30mEq/L)で代謝性アシドーシスの存在を疑い,治療介入することができます。治療は重曹(炭酸水素Na)の内服を行います。アシドーシスを補正しますと高カリウム血症も改善いたしますので,不要な高カリウム血症治療薬を減量することも可能です。

そのほか,禁煙や減量もCKD 進行予防には重要です。

References

  1. 1.日本腎臓学会 編. CKD 診療ガイド2012. 東京 : 東京医学社 ; 2012.

溝渕先生からの質問

CKD患者さんの血圧管理で
特に注意すべきことは何でしょうか。

祖父江先生の回答

患者さんの特性に適した
降圧目標の設定と薬剤選択が重要です。

「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2013」1)ではCKD 患者さんの降圧療法と目標値,第一選択薬が定められています。糖尿病・蛋白尿を有するCKD患者さんは130/80 mmHg以下を降圧目標値とし,第一選択薬もアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬/アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の使用が推奨されています。

しかしながら,2015 年香川県特定健診のCKD調査におきましても,受診勧奨となった方の約半数(47%)は蛋白尿陰性で推算糸球体濾過量(eGFR)の低下のみを認めた方でした。これら蛋白尿・高血圧を有さない加齢・腎硬化症を背景とすると思われる多くのCKD 患者さんにおいては,必ずしもARBを使用する必要はなく,カルシウム拮抗薬(CCB)も第一選択薬として推奨されています。

また,特に75 歳以上の高齢者では過度の降圧がQOL 低下や転倒のリスク因子にもなることから,140/90 mmHg 未満が降圧目標値2)になってきます。このように,蛋白尿を有さない高齢CKD 患者さんの多くはCCBを中心とした緩徐な降圧が推奨されます2)

一方,降圧利尿剤はCKD 患者さんでは効果減弱となることが多く,CKD 患者さんでは第一選択薬としては使用しづらくなっています。ほかにも減塩や睡眠時無呼吸症候群の治療,原発性アルドステロン症や腎動脈狭窄症などの二次性高血圧の精査も重要です。

References

  1. 1.日本腎臓学会 編 : エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013. 東京 : 東京医学社 ; 2013.
  2. 2.日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編 : 高血圧治療ガイドライン2014. 東京 : ライフサイエンス出版 ; 2014.

祖父江先生からの質問

健診受診後の患者さんに対し,CKD予防について
どのように注意を促していますか。

溝渕先生の回答

CVDとCKDの密接な関係を理解いただき,
生活習慣の維持・定期的な検査を推奨します。

健診で検査異常・腎機能障害をともに認めなかった患者さんでも,翌年の健診までの間にCKDを新規発症するケースはしばしば認められます。CKDでないのであれば,その状態を維持しCKD 発症を予防する生活習慣を継続することが重要です。予防の重要性を患者さんに理解していただくために,まず私はCKDはわが国の成人人口の12.9%,およそ1,330 万人が治療介入を必要とする1),身近な疾患であるとお伝えしています。また,患者さんには「CVDのリスク因子としてのCKD 予防」を意識していただくことが重要です。たとえばCKDの進行によって透析導入となる患者数よりもCVDによって死亡する患者数のほうが多いとする米国の報告などを紹介し2),CKDによりほかの重大な病気が起こるリスクを具体的に説明するようにしています。

健診受診者で10 年間の経過観察中にCKDステージ1~ 2(尿蛋白陽性)となるリスク因子としては,年齢,血尿,高血圧,耐糖能異常・糖尿病,脂質異常症,肥満,喫煙が挙げられます1)

特に高血圧・糖尿病治療中の患者さんはCKDハイリスク群であるため,高血圧,耐糖能異常・糖尿病のほか脂質異常症,肥満などCKDのリスク因子となる原疾患の治療・管理を適切に行う必要があります。特に高血圧では血圧が高いほど尿蛋白陽性となるリスクが高くなり,ESKDに進展する可能性も高まることから1),早期からの血圧コントロールはきわめて重要なCKD 対策のひとつです。同様に,十分な血糖管理を行うことでCKDの発症予防および進行抑制が期待されます。

さらに,健診をきっかけに禁煙・減塩などのよりよい生活習慣を推奨するとともに,自覚症状が乏しいCKDを早期発見するため,定期的な腎機能検査や尿検査の受診を推奨することも重要です。

References

  1. 1.日本腎臓学会 編. CKD 診療ガイド2012. 東京 : 東京医学社 ; 2012.
  2. 2.Keith DS, Nichols GA, Gullion CM, et al. Arch Intern Med. 2004 ;164 : 659 - 63.

北代先生からの質問

かかりつけ医において,CKD症例の
血圧管理で特に注意すべきことは何でしょうか。

溝渕先生の回答

血圧の値だけでなく,蛋白尿・アルブミン尿も
血圧管理においては重要な指標です。

eGFRの低下を最小限にとどめるためには,血圧の上昇にともなって陽性となる尿蛋白,および糖尿病性腎症におけるアルブミン尿の排泄量を改善することが重要です。血圧コントロール時には血圧の値だけでなく,忘れがちな蛋白尿,アルブミン尿も治療・管理上の指標となります。

ガイドラインによれば1),尿蛋白量0.15 g/gCr未満の正常蛋白尿で糖尿病非合併CKDでは降圧薬の種類は問いません。一方,糖尿病合併CKD,尿蛋白量0.15 g/gCr以上の蛋白尿を呈する糖尿病非合併CKDでは,レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬(ARB,ACE阻害薬)を第一選択薬として外来血圧130/80mmHg以下を目指して血圧コントロールをします1)。RAS阻害薬や利尿薬の投与を開始する際にはeGFRと血清K値をモニタリングし,投与開始から3ヵ月までの時点で前値の30%未満の低下は薬理効果としてそのまま投与を継続しますが,前値の30%以上のeGFRの低下を認めるケースや血清K 値が5.5mEq/L以上に上昇するケースでは降圧薬を減量するか,中止して腎臓・高血圧専門医にコンサルトしていただくとよいでしょう1)。逆に糖尿病合併CKDでアルブミン尿・蛋白尿がみられない場合,RAS阻害薬の投与によって腎機能障害が増悪する症例もみられ,投与時にはモニタリングが必須です。

そのほか特に高齢者では,まず140/90mmHgを目標に,降圧薬は低用量から慎重に開始し,腎機能悪化や臓器の虚血症状を認めない場合は130/80mmHg 以下を目標に降圧していきます。また,収縮期血圧110mmHg未満への過剰降圧がみられる場合は降圧薬を減量ないし中止するなど注意深い観察が必要です1)。高齢のCKD 患者さんには複合的病態を前提としたテーラーメードな血圧コントロールが求められます。

References

  1. 1.日本腎臓学会 編. CKD 診療ガイド2012. 東京 : 東京医学社 ; 2012.

溝渕先生からの質問

腎機能が低下した心不全患者の治療について,
気を付けていることや工夫を教えてください。

北代先生の回答

CKD合併心不全症例では,心不全治療による
CKD増悪や高K血症に十分注意します。

心不全治療においてはARB,ACE 阻害薬などのRAS 阻害薬が主な治療選択肢となりますが,CKDを合併する心不全症例に対する治療コンセンサスはまだ確立されていません1,2)。ARBおよびACE 阻害薬はいずれも短期的に腎機能を低下させ,高K 血症を惹起する可能性がありますが,長期的には蛋白尿の改善や腎保護作用,血圧コントロールにおいて有用であることが報告されています3,4)。高K 血症リスクを避けるためには,高度腎機能低下症例や高齢者CKDでは初期投与量を少量から開始するなどの工夫が必要です。

また心不全症例の多くは体液貯留傾向にあり,食事療法による厳密な塩分制限が基本となります。CKDを合併する心不全患者さんにはCVD 予防と同様に家庭血圧の自己管理を行っていただきますが,当院では体重の自己管理も推奨しています。心不全では悪化にともなって体液貯留が発現するため,体重の増加量が病態を反映する指標となり,悪化を早期に発見できるようになります。具体的には1.5~2.0kgの急激な体重増加を認めた場合,すみやかに外来を受診していただくよう指導しています。

利尿薬の使用については抵抗性の課題があり5),ループ利尿薬と作用部位の異なるサイアザイド系利尿薬や抗アルドステロン薬の併用が利尿作用を増強することがあります6)。ただし利尿薬を過剰投与すると,心拍出量の低下から腎機能の低下を引き起こす可能性があります7)。特に心不全を合併しやすい高齢者は降圧薬や利尿薬の処方例も多いため,食事摂取ができていない場合や嘔吐,下痢,発熱などがある場合はすみやかに外来受診していただくようお伝えすることが重要です。

References

  1. 1.Coca SG, et al. JAMA. 2006 ; 296 : 1377- 84.
  2. 2.Davenport A, et al. Nephrol Dial Transplant. 2010 ; 25 : 2077 - 89.
  3. 3.Jessup M, et al. Circulation. 2009 ; 119 : 1977 - 2016.
  4. 4.Mancia G, et al. J Hypertens. 2007 ; 25 : 110 5 - 87.
  5. 5.循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2009 年度合同研究班報告):慢性心不全治療ガイドライン(2010 年改訂版).
  6. 6.浦 信行 ほか 編. 腎臓ナビゲーター. 東京 : メディカルレビュー社 ; 2004.
  7. 7.Ali Ahmed, et al. Eur Heart J. 2006 ; 27 : 1431 - 9.

KK-17-02-17297

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