KYOWA KIRIN

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専門医・専門職がもつお互いの診療技術・スキルを解説します。

  • 腎臓専門医の立場から

    柳田 太平

    社会医療法人
    製鉄記念八幡病院
    腎臓内科部長/
    腎センター部長

  • CKDを専門とする
    管理栄養士
    の立場から

    安永 勝代

    社会医療法人
    製鉄記念八幡病院
    栄養管理部栄養管理課
    課長

  • 糖尿病(DM)を
    専門とする
    管理栄養士
    の立場から

    有山 由紀子

    杉本クリニック
    管理栄養士


腎臓専門医

柳田先生からの質問

CKDの食事療法とはどのようなものでしょうか。
患者さんを指導する際に苦労する点はありますか。

管理栄養士 CKD

安永先生の回答

CKDでは食塩制限,たんぱく制限,
必要エネルギーの確保が必須。
食事の作り手がいない場合の指導も課題です。

CKD(慢性腎臓病)の食事療法では「食塩制限」,「たんぱく制限」,「必要エネルギーの確保」が必須で,場合によっては「カリウム制限」が必要になります。当院では,「食塩制限」に関しては?橋卓也院長が監修した「塩分チェックシート」注1)を使用して,減塩指導を行っています。このチェックシートは,塩分過剰の要因が明確になるように作られているので,改善項目が患者さんと指導者の双方に把握しやすく,有効な媒体であると考えています。そのほかにも実際の食塩摂取状況を把握するために,随時尿や可能な場合は24時間蓄尿から推定食塩摂取量を算出して,患者さんの指導に反映させています。

「たんぱく制限」に関しては,CKDの食事療法では低たんぱく食品の使用が必要です。まず現状のたんぱく質摂取量を把握したうえで,どの程度の制限が必要であるかを患者さんにイメージしていただきます。続いて低たんぱく食品をご紹介し,最初に主食の切り替えを提案します。たんぱく質も食塩と同様に,食事記録や蓄尿から摂取量を算出して,患者さんの指導に反映させています。

「必要エネルギーの確保」に関しては,まずは患者さんに,たんぱく制限を行ううえで必要なものであることを十分ご説明します。そして無理なくエネルギーを確保するため,最初に主食を十分量摂取するよう指導し,それでも不足する場合は油脂類やでんぷん食品の使用をお勧めします。

「カリウム制限」に関しては,患者さんにカリウム含有量が多い食品をご紹介して,調理でカリウムを減らす工夫を説明しています。

このような食事指導を実践するうえで問題になるのは,CKD患者さんは年金生活の高齢者が多いので,費用面で低たんぱく食品が使用できないケースがあることです。食事療法も治療の一環と考えて,保険が適用されることを希望しています。

また,独居の高齢者や男性の患者さんで,家で食事を作る方がいらっしゃらないというのも,指導が難しいケースです。そのような場合はできることから実践していきますが,優先順位が高いのは減塩の指導です。具体的には,「コンビニ弁当は塩分をチェックして」とか,「外食で丼物は避けてください」といったことを申し上げて食事への意識づけを支援し,費用の問題がない場合は腎臓病用の宅配食をご紹介しています。

注1)クリニカルパス・その他ツール 参照

管理栄養士 CKD

安永先生からの質問

CKDで懸念される合併症と,たんぱく制限を
導入する時期について教えてください。

腎臓専門医

柳田先生の回答

CKDでは心血管イベントのリスクが
増大することに注意が必要です。たんぱく制限は
患者さんの状態に応じて個別に導入しています。

CKDが進行して腎機能が5~8%くらいにまで低下すると,尿毒素が蓄積して尿毒症が発生するため,透析や腎臓移植といった腎代替療法を行わないと,生命の危機に瀕することになります。そのほかにもCKDでは,脳梗塞や心筋梗塞といった心血管イベントのリスクが高まるので,透析に至る前にこれらの心血管イベントを発症し,お亡くなりになる患者さんが沢山いらっしゃいます。CKDの診療においては,腎臓を診るだけではなく,心臓や脳にも注意しながら治療を進めることが重要です。

次に,たんぱく制限を導入する時期に関しては,ガイドライン上ではeGFR(推算糸球体濾過量)が60mL/min/1.73m2を切るステージG3から開始することが推奨されています1)。しかし推奨がすべての患者さんに当てはまるわけではなく,個々の患者さんのリスクやアドヒアランスを考慮する必要があります。たとえば,食事が十分摂取されていないケースでは,たんぱく制限を行ってしまうと患者さんは痩せていくばかりで,病態がかえって悪化することが懸念されます。また,腎機能の低下が遅く,蛋白尿もあまり出ていない場合は,早々にたんぱく制限を行う意義はあまり大きくないと思います。

そのため,糖尿病腎症,多発性嚢胞腎,蛋白尿があまり出ていない75 歳以上の高齢者では,たんぱく制限が有効であったというエビデンスが少ないことを考慮して,腎機能の低下が進行していない限り,たんぱく制限を積極的にはお勧めしていません。

一方で,eGFRが60mL/min/1.73m2を切り,蛋白尿がたくさん出ていて,しかも腎機能の低下が進行している場合は,その方の食事の状況などをみながら,個別にたんぱく制限を導入しています。一律にどのレベルになったら,たんぱく制限を導入するというわけではありません。

References

  1. 1.日本腎臓学会 編. CKD 診療ガイド2012. 東京 : 東京医学社 ; 2012.
腎臓専門医

柳田先生からの質問

最近の糖尿病食事療法の特徴と,腎症を
発症した際の問題点について教えてください。

管理栄養士 DM

有山先生の回答

近年,炭水化物の摂取に関する考え方が変わりつつあります。
腎症発症時には食事の切り替えが難しいことが問題です。

最近の糖尿病食事療法では,炭水化物の摂取量に関する考え方が大きく変わってきています。その背景には,数年前から炭水化物を極端に減らした食事が一般に流行していることがあり,患者さんの中には医療者に告げることなく主食をかなり減らした食事を実践している方もいらっしゃいます。

このような社会的関心の高まりを受け糖尿病学会でも,炭水化物の適正な摂取量に関して検討が重ねられました。そして2013 年に改訂された「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7 版」では,食事に占める炭水化物の割合について,従来は摂取エネルギーに対して60%の配分例のみが示されていたのですが,新たに55%,50%の配分例が追加されることになりました1)

当院でもBMIやHbA1cが高い患者さんでは,炭水化物の配分を50%にすることがあるのですが,この時に問題になるのが,減少したエネルギーを何で補うかということです。患者さんによっては,脂質を増やすと脂質異常症が懸念されますし,たんぱく質を増やすと腎症の進行が懸念されます。この辺は,栄養指導の中で十分な聞き取りを行い,慎重に対応していく必要があると考えています。

次に,腎症を発症した際の問題点として挙げられるのは,このような場合には血糖コントロールをしたうえで腎臓を守る食事に切り替えられるのですが,糖尿病と腎臓病の食事療法では相反する部分があるので,スムーズな移行が大変難しいことです。具体的には,糖尿病の患者さんは長年にわたり「カロリーを抑制するために脂質を減らしてください」とか,「血糖値が上がり過ぎないように甘いものは控えてください」という指導を受けているのですが,腎症を発症すると今度は,「腎臓を守るためにたんぱく質を減らすので,カロリー確保のために脂質や炭水化物も摂ってください」という指導が行われるようになるため,混乱が生じるのです。そこで,食事療法を切り替える際には,十分に時間をかけて準備を行うようにしています。

また主治医からも食事療法についてフォローしていただきます。

References

  1. 1.日本糖尿病学会 編・著. 糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版. 東京 : 文光堂 ; 2013.
管理栄養士 DM

有山先生からの質問

糖尿病腎症第3期のたんぱく制限と,患者紹介の
タイミングについてどのようにお考えですか。

腎臓専門医

柳田先生の回答

糖尿病腎症第3期にたんぱく制限0.8~1.0g/kg体重/日が
推奨されているのは適切です。蛋白尿が出現した際には
一度専門医への診察を依頼してください。

糖尿病治療ガイド1)は糖尿病腎症第3期(顕性アルブミン尿注1)あるいは持続性蛋白尿注2))にたんぱく制限0.8~1.0 g/kg体重/日を推奨していますが,その背景には第1期や第2期にたんぱく制限を実施しても,腎症が改善したというエビデンスが示されていないことがあります。たんぱく質を多量に摂取すると糸球体過剰濾過が悪化したり,蛋白尿が増加して尿細管障害が発生するので,理論的にたんぱく制限は微量アルブミン尿の時期(第2期)から効果が期待されるのですが,残念ながらヒトでの結果が示されていません。ガイドラインとして第3期にたんぱく制限を推奨するのは,適切だと考えています。

一方で患者さんが過剰にたんぱく質を摂取している場合は,第1期や第2期でも是正する必要があると思います。糖尿病治療ガイドも,第1期や第2期では一般的な糖尿病の食事基準と同様のたんぱく質摂取(1.0 ~1.2 g /kg体重/日)を推奨していますので,これを超える場合はたんぱく質の摂り過ぎと考え,過食などに対する指導が必要だと思います。

そのほか,過食の患者さんでは,肥満に注意が必要です。肥満はCKDの重要な危険因子であり,糖尿病や高血圧がなくても肥満単独でCKDのリスクを増大させます。その機序と考えられているのが,肥満が糸球体濾過量を増大させ,蛋白尿を出現させることです。したがって,患者さんの体重を適正に管理することは,糖尿病腎症を抑制するうえで非常に重要な課題です。

次に,糖尿病専門医の先生から患者さんを紹介していただくタイミングに関して,以前は血清クレアチニン2.0mg/dLが紹介の基準といわれており,それ以前に腎臓専門医が患者さんを診る機会はほとんどありませんでした。しかし最近では紹介のタイミングが早まっており,糖尿病治療ガイドも顕性腎症になった時には,腎臓専門医に診察を依頼することを推奨しています。また近年,糖尿病腎症だと思って治療していた患者さんを腎生検で調べてみると,経過が似ているほかの腎疾患が含まれていたという知見が散見されています。本当に糖尿病腎症かを確認するために,網膜症がない,血尿が出ている,eGFRが急速に低下しているというようなケースは,できるだけ早い時期に腎臓専門医への診察を依頼していただきたいと思います。

注1)尿アルブミン値300mg/gCr以上
注2)尿蛋白値0.5g/gCr以上

References

  1. 1.日本糖尿病学会 編・著. 糖尿病治療ガイド 2014-2015, 東京 : 文光堂, 2014
管理栄養士 DM

有山先生からの質問

CKD患者さんの食事指導を
実践するうえでの工夫を教えてください。

管理栄養士 CKD

安永先生の回答

治療用特殊食品を美味しく食べていただくための
取り組みを推進しています。

食事療法でたんぱく質の制限をする場合には,砂糖・油脂,春雨・葛,片栗粉などたんぱく質を含まずエネルギーのある食品の利用を多くする方法もありますが,CKDの食事療法ではコレステロールや血糖コントロールの必要もあるほか,通常の食品では指示エネルギー量を満たすのが難しくなるという問題などがあるため,低たんぱく食品などの治療用特殊食品を使用することが多いです。ごはんやパンなどの主食にも意外と多くのたんぱく質が含まれているため,主食を低たんぱく食品に置き換えると副食のたんぱく質に余裕ができ,献立の選択肢を広げることができます。また,副食で必須アミノ酸を含む食品を多く摂り入れることができますので,バランスのよい食事の実現が可能です。

しかし,このような特殊食品は調理を工夫しないと,美味しく食べていただけないという特徴があります。毎日食べる主食を特殊食品に置き換えるので,いかに美味しく食べていただけるかというのが,CKDの食事療法を継続するための重要なポイントであると考えています。

そこで当院では,治療用特殊食品を使用した「低たんぱく食調理実習」を,年に3 回程度開催しています。このような実習を実施する際には,季節ごとに気をつけなければならない課題を考慮して,「減塩」や「時短」といったテーマを設定しています。春や秋には果物や野菜がたくさん出回るので自然とカリウムの摂取が多くなったり,冬になるとクリスマスやお正月で食べ過ぎたり,夏になると脱水になって過剰な減塩が問題になるといったことがありますので,このような点に配慮してその都度,適切なテーマを選択しています。

低たんぱく弁当を作ってお花見会を開催するといった趣向も取り入れていますので,1 回参加した患者さんは,その後も繰り返し参加してくださるようになります。現在は,より多くの方に参加していただくための工夫に取り組んでいるところです。

また,腎臓病教室では,腎不全の保存期の患者さんに対する食事指導を行っています。

管理栄養士 CKD

安永先生からの質問

糖尿病腎症の患者さんへの指導で
心がけていることは何ですか。

管理栄養士 DM

有山先生の回答

腎症を発症すると食事療法の内容が変わることを,
事前に患者さんにご説明しています。

糖尿病の患者さんが腎症を発症した場合は,食事療法も糖尿病食から腎臓病食に切り替えられるので,内容が大きく変化します。患者さんには,事前に腎症の食事療法についてご説明する時間を確保し,食事療法が変わることについての心構えをもっていただくようにしています。

実際の方法としては,血清クレアチニンが少し上がってきたり,微量アルブミン尿が出てきたというタイミングを捉えて,腎症の食事療法のやり方について何回かにわたってお話します。そして,現実に腎症の食事療法を開始することになった時には,「以前に何回かお話しましたが,先生から指示が出ましたので,腎症の食事を始めましょう」という流れになるよう,スムーズな切り替えを目指しています。

もうひとつ心がけているのは,糖尿病腎症が透析導入原疾患の第一位であることを踏まえて,「透析に移行しないように一緒に頑張っていきましょう」というスタンスで,患者さんを支援することです。今日ではさまざまな糖尿病治療薬やインスリンが使用可能となっているので,糖尿病に関してはこれらを使えばある程度コントロールすることができるのですが,腎症に関しては残念ながら腎機能を改善する薬剤がほとんどありません。患者さんに,腎臓を守るには食事療法が非常に重要であることをご説明して,透析回避への意識づけを高めるようにしています。

杉本クリニックを含む5医療機関で作った美味しい糖尿病食のレシピ本『Bon appe´tit!』.

患者さんの中には,腎症を発症したことが契機となって,食事療法へのモチベーションが高まる方がいらっしゃいます。特に糖尿病の患者さんは,薬は服用してくださるのですが,食事療法に積極的に取り組んでいただけない方もいらっしゃいます。しかし,腎症を発症したり,透析のためシャントを作成するという話が出た時に栄養指導に来られると,それまでとは違って「少し話を聞いてみようか」とか,「心配だから食事を改善しなければならないかもしれない」という姿勢に変わってくることがあります。そのような機会を捉えて,患者さんの積極的な取り組みを支援することを心がけています。

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