KYOWA KIRIN

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富士市CKDネットワークが始動して3年あまり。
発足に立ち会われた関係者に現在の状況を語り合っていただきました。

  • 基幹病院・腎臓専門医の立場から

    笠井 健司

    富士市立中央病院
    副院長・腎臓内科部長

  • 開業医・かかりつけ医の立場から

    山田 秀生

    医療法人社団秀生会
    山田医院院長

  • 行政の立場から

    稲葉 清美

    富士市保健部
    健康対策課課長

腎臓専門医

笠井先生からの質問

富士市CKDネットワーク発足後,
開業医・かかりつけ医の先生方の診療に
どのような変化が現れましたか。

かかりつけ医

山田先生の回答

早期の紹介がしやすくなりました。
専門医とのやりとりを通じて,
CKD診療水準の向上も期待できます。

腎機能低下の早期の段階から腎臓専門医のいる病院に患者さんを紹介しやすくなった,というのが最も大きな変化だと思います。私はもともと腎臓内科が専門でしたが,現在は一般内科の開業医をしています。専門外の開業医・かかりつけ医にとって腎臓病は分かりにくい部分があり,どのタイミングで紹介をするのがベストであるのかも不透明な状況でした。富士市CKDネットワークが発足したことで紹介の基準が明確になり,病院側から積極的な患者受け入れの姿勢が示されたことで,「その程度の症状でも気軽に紹介してよいのか」という意識が芽生え,早期診断・早期介入につながっていると思います。特にネットワークを開始した初年度は,それまで蛋白尿がみられたり血清クレアチニン値が上昇したりしていても,紹介するほどの状態なのだろうかとかかりつけ医としては迷いのあった患者さんが,多数,専門医に紹介されました。

ネットワーク始動にあたり,富士市内の特定健診実施医療機関に行政から「富士市慢性腎臓病(CKD)ネットワーク 病診連携マニュアル」が配布されました。専門医への紹介基準や手順が分かりやすく記載されており,そこに示された紹介状書式が簡便で,検査結果の数値などを転記する必要もないことから,紹介時の手間も少なく,開業医・かかりつけ医にとっても受け入れやすい内容になっていると思います。また以前は,紹介すると専門医にバトンタッチするかたちであったため,「患者さんが見捨てられたと感じるのではないか」という心配がありましたが,早期診断による連携の場合には2人主治医制で診ることができるため,その懸念も払拭されました。2人主治医制となった際には「慢性腎臓病(CKD)連絡手帳」を介して専門医と情報交換が行われるため,記載された治療方針や薬剤投与に関するアドバイスを通して,開業医・かかりつけ医のCKD診療水準の向上も期待できると思います。

また,ネットワークでは年に1回,医師会員を対象とした「CKDネットワークに関する研修会」を開催して知識の底上げを図っており,2016年は「糖尿病腎症」をテーマに講演とフロアディスカッションが行われる予定です。透析導入の原疾患として最も多いのは糖尿病腎症ですので,CKDネットワークをベースに糖尿病腎症の早期発見についても開業医の意識が高まれば,透析導入のさらなる減少につながるはずです。

かかりつけ医

山田先生からの質問

富士市CKDネットワークが発足して
どのようなことが見えてきましたか。

腎臓専門医

笠井先生の回答

腎臓内科医本来の役割を再認識することができました。
さまざまな腎臓病への早期介入や心血管疾患予防のみならず,
悪性腫瘍の発見にもつながっています。

富士市CKDネットワークが構築されCKD患者さんへの早期介入が進んだことで,あらためて腎臓内科医の役割の重要性を認識しました。CKD患者さんはたとえ早期介入がなされずに腎不全に至っても,透析導入が可能であれば多くの場合ただちに命に関わることはありません。しかし,腎機能が保たれているうちにご紹介いただき,腎生検できることが多くなったおかげで,IgA腎症などで完全寛解する症例が増えたほか,ファブリ病や家族性アミロイドポリニューロパチーなど比較的まれな腎臓病が診断され,適切な診療ができるようになりました。またCKDには高頻度に悪性腫瘍,特に腎・尿路系悪性腫瘍が合併することも分かってきました。ネットワークの活動を通して,私たち腎臓内科医がこれまで以上に多くのCKD患者さんの透析導入を阻止,あるいは大幅に遅らせることはもちろん,心血管疾患や悪性腫瘍に対する医療にも貢献できる可能性が見えてきました。

また,2人主治医制の導入により,軽症~中等症のCKD患者さんをかかりつけ医のもとにお返しできるようになり,基幹病院への患者集中が緩和されました。2人主治医制をとることで,数年以内に透析導入が予想されるとして当院で診療を続けてきた患者さんを開業医(かかりつけ医)へ紹介できるようになりました。病院勤務の専門医がCKDの患者さんをかかりつけ医の先生方に紹介すると,負担を押しつけたように思われるのではないかと心配していました。ところが,患者さんが紹介されたり,戻ってこられたりすることを喜んでくださる先生方が多く,自分に誤った思い込みがあったことも発見でした。

また,かかりつけ医と腎臓専門医が患者さんを通して情報交換を行い,高め合うことで両者が成長し,地域の医療水準が上がっていると実感しています。たとえば,専門医の提案によって持続型赤血球造血刺激因子製剤ESAを投与し,患者さんの腎性貧血が改善した場合などには,薬剤使用のタイミングを理解され,次第にかかりつけ医の先生方の判断で使用できるようになっていかれます。

地域医療においては,1人の患者さんを1人の医師だけで診るのではなく,かかりつけ医が全人的な診療を提供しながら,必要に応じて専門医が随時介入するというのがひとつの理想のかたちだと思います。そのための無駄がない連携の流れをつくることができるのが医療連携ネットワークの意義であると感じています。

行政

稲葉課長からの質問

市民にとって富士市CKDネットワークは
どのような意味があるでしょうか。
また,今後の展望についてどのようにお考えですか。

腎臓専門医

笠井先生の回答

未来の市民一人ひとりの尊厳を守るために必要なシステム。
汎用性が高いので,あらゆる非感染性疾患(NCD)に
展開することが可能です。

CKDはそれ自体が治療の対象として重要なだけでなく,心血管疾患,悪性腫瘍などを見出すきっかけ(目印)になる疾患としても重要なことが分かってきました。CKDの診療が行き渡ることで,地域の健康度は必ず向上すると実感しています。また,かかりつけ医と専門医がCKDを一緒に診療することで知識と経験が共有され,地域の医療水準は間違いなく向上します。さらに,行政が関わることで市民全体と医療者がつながることができます。CKDの予測・予防も可能になるわけです。地域医療をより盤石なものにするためには,こうした土壌を育むことが必要です。

日本は世界でも類をみない「超高齢社会」に突入しました。今後のさらなる高齢化の進展を考えると,多数の患者さんが地域の基幹病院に押し寄せた場合,一人ひとりに十分な医療が提供できなくなる可能性があります。地域医療が崩壊し,患者さんの尊厳が守りきれなくなっては大変です。社会の変化に負けない強靭な地域医療体制をつくり上げる必要があり,そのためには今からさまざまな病状の患者さんに柔軟に対応できる仕組みを整え,備えておく必要があります。

私たちは,そのひとつのかたちが富士市CKDネットワークのような医療連携システムであると考えています。本ネットワークのように行政やそれぞれの医療機関の果たす役割が明確なシステムをつくり,それが共通の理解となっていれば,人はシステムの流れにのって自然と動くことができます。地域医療に関わる人員を増やすことは簡単には叶いませんが,システムを整えることで個々の力を引き出し,単純な増員に勝る人材の育成も可能になるわけです。行政の力,診療所の力,病院の力を引き出すための医療連携の仕組みをつくり,次世代の若い医師たちが是非ここで仕事をしたいと思う環境を用意することも,地域の未来に大切なことだと思います。

富士市CKDネットワークはあらゆる領域に応用できる仕組みです。非感染性疾患(non- communicable disease;NCD)に対しては,早期に発見して医療介入し,患者さんの病状に応じて段階的にかかりつけ医から専門医に治療の比重を移していくという手法が有効であり,本ネットワークのシステムが活用できると思います。たしかに,医療の世界にも縦割り社会の文化が残っており,すぐに連携しにくいということもあるかもしれません。それでも,行政が参画することで,「地域に暮らす人のために」という視点からシステムを立ち上げ,連携を広げていく可能性がひらけます。特に,保健・医療・福祉に精通した保健師はこれからの地域医療に重要な存在になります。富士市CKDネットワークの成功も保健師の市民,医師会,医療機関をつなぐはたらきがあってのことでした。日本のいたるところで,このような医療連携が広がっていけば,日本の医療は必ず変わっていくのではないでしょうか。

腎臓専門医

笠井先生からの質問

富士市CKDネットワーク発足後,保健師さんの
意識や活動に変化は生まれましたか。

行政

稲葉課長の回答

重症化予防の取り組みを
強化できるようになりました。受診勧奨後の保健指導を
通してさらにスキルを高めたいと思っています。

市の保健師は,乳幼児の健診や家庭訪問,大人のためのがん検診や健康教室,健康相談といった市民の健康増進のための活動を行っていますが,富士市CKDネットワークに参加したことで生活習慣病の重症化予防に力を入れることができるようになりました。

私の所属する保健部健康対策課では,富士市国保の特定健康診査(特定健診)の結果,生活習慣病の発症リスクの高い方に対して特定保健指導を行ってきましたが,その活動を通して,指導の対象とならない「健診の数値が異常でも病院を受診せず放置している人」や「生活習慣病の治療をしているけれどコントロール不良の人」へのアプローチが必要であると感じていました。そのような時に笠井先生より「医療連携に行政も加わってほしい」とのお話をいただき,特定健診で異常があった未受診の方を訪問して受診を勧めるCKDの「受診勧奨」を実施することが可能になったのです。

ネットワーク発足後は,市民のCKDへの理解と関心を高めるため,講演会を開催するほか,市の広報紙や地方新聞に特集を掲載したり,街へ出てチラシを配ったりするなど,啓発活動を積極的に行っています。また,OJTや事例検討を行ったり,富士市立中央病院の腎臓内科の先生に講師をお願いして勉強会を開催し,保健指導の疑問に助言をいただいたりするなど,担当者のスキルアップに努めています。

新たに2016年から,特定健診の結果により受診勧奨を行い受診につながった患者さんに対し,医師より要請のあった場合 (「特定健診受診結果連絡票」参照)に保健師,管理栄養士が受診者宅を再訪問し,保健指導を提供する取り組みを開始しました。一般的な保健師の活動と比べるとかなり踏み込んだ内容だと思いますが,CKDネットワークが運用されているからこそ実現した取り組みであり,市の保健師の活動の幅が広がりました。保健指導のスキル向上のためには各個人が経験を積むことが必要です。今後は,どのように伝えれば相手が前向きになるかという実体験を情報として共有し,それぞれが経験を積みながら自分の中に引き出しを多くもてるようにしていきたいと考えています。

重症化予防の観点からは,CKDのみならず糖尿病や高血圧に対しても予防的な介入を行う必要があります。特に糖尿病腎症は透析導入の大きな要因です。糖尿病は薬物療法のみではコントロールが難しく生活指導が重要な疾患であり,保健師や管理栄養士の果たすべき役割は大きいと思われます。今後は,CKDネットワークを糖尿病の早期介入につなげる新たな展開が実現できるよう各所に働きかけていきたいと考えています。

かかりつけ医

山田先生からの質問

富士市CKDネットワークはどうしてこのように
短期間で活動開始できたのでしょうか。

行政

稲葉課長の回答

準備会発足から半年で始動できたのは
関係者の熱意があったから。
事務作業で行政がお役に立てたところも
あったのではないかと思います。

笠井先生が富士市CKDネットワーク構築の相談のために富士市役所を初めて訪れたのが2011年12月のこと。その後双方の意向を確認して2012年9月に設立準備会が発足し,約半年間の準備期間を経て,本ネットワークは2013年4月に始動しました。このような短期間で活動が開始できた理由のひとつとして,当初の年間計画にはなかった取り組みの提案を受け,保健部長がすぐに健康対策課や国民健康保険課の課長に打診したことが挙げられます。当時の保健部長をはじめ,両課の課長の理解があったことが,よい方向へ作用したのだと思います。加えて,私たち保健師はもともと特定保健指導の活動を通して,受診勧奨などの重症化予防対策こそが重要であるとの思いをもっていました。医療連携への参加に保健師の「是非とも」との熱い思いがあったことも推進力になったと思います。

富士市医師会と富士市立中央病院との関係が良好であったことも連携をスムーズにしました。笠井先生は富士市医師会と2005年に富士市高血圧・腎疾患勉強会を発足し,お互いに顔の見える関係を築いており,定期的に活動を重ねる中で病診連携の必要性を共通の認識としていました。一方で,市はそれまでにもがん検診や予防接種などの業務で医師会と連携しており,医師会で開かれる理事会などの会議予定や,事案の諮り方などを承知していたことから,タイミングを逃すことなく書類を整え,速やかに会議にかけて検討していただくことができました。そして何より,医師会の先生方に特定健診の結果票にeGFRを加えることや2人主治医制の意義をご理解いただき,快く受け入れていただけたことが大きかったと思います。

笠井先生はご多忙な中でも,本ネットワーク立ち上げのため各方面への説明に労を惜しまず奔走されました。設立準備会に参加してくださった医師会の先生方も協力的な姿勢で取り組んでくださり,私たち行政はネットワークのフローチャートや運営のための要領などの書類作成をスピード感をもって進めるように心がけました。システムを動かすのは"人"です。基幹病院,医師会,行政に熱意ある人材が揃っていたことが,短期間でスタートできた何よりも大きな理由ではないかと思います。

行政

稲葉課長からの質問

富士市CKDネットワークの活動を通して
行政や保健師に対する印象は変わりましたか。

かかりつけ医

山田先生の回答

想像以上に大きな力を発揮してくれているという印象。
保健指導の提供は開業医・かかりつけ医には嬉しい支援です。

病院と診療所の医療連携は高齢化や医療機関の機能分化を背景に全国的に進められていますが,富士市ではそこに行政がシステムを担う一員として加わったことが大きな特徴です。もともと市で保健師さんが活動されていることは知っていましたが,具体的にどのようなはたらきをしているのかということまでは把握しておらず,漠然としか理解していませんでした。しかし,医師会からのメンバーとして本ネットワークの設立準備会から参加し,実際に保健師さんとの交流が生まれると,保健師の方がみな,市民の健康増進,特に生活習慣病の重症化予防に対して私たち医師の想像をはるかに上回る熱い思いをもっていらっしゃることが分かりました。

医療者は病院や診療所に自ら来た患者さんを診ることが基本になりますが,行政は市民への啓発や健診によって未受診のCKD患者さんの掘り起しを行うことが可能です。本ネットワークでは,特定健診で異常値が認められた未受診者に対して保健師さんが受診勧奨を行い,患者さんと医療機関をつなげるという大きな役割を担います。これは医療者にはできるものではなく,行政だからこそできる取り組みです。

また,本ネットワークの事務局を富士市保健部健康対策課に置いたことで,取り組みの目的や目標を定め,実績を評価する行政の手法が適用されました。紹介先である富士市立中央病院と聖隷富士病院から本ネットワークを利用した受診者の情報が市に送られ,毎年データ集計が行われます。この数字はただちに私たちの診療の役に立つものではありませんが,富士市CKDネットワークは透析導入の減少と心血管疾患発症の予防を図るという5年後・10年後を見据えた取り組みであり,継続的にデータ管理が行われ評価につながるというのは非常に重要なことです。

2016年から新たに,受診勧奨を行った患者さんを対象に,医師の希望に応じて保健師さんが保健指導を提供する取り組みが開始されました。生活習慣病の治療においては生活指導が重要であることは分かっていても,診療所の人員では生活指導を提供することは難しいのが現状です。それを市の保健師さんに依頼できるのは大変有り難いことだと感じています。

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