KYOWA KIRIN

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専門医・専門職がもつお互いの診療技術・スキルを解説します。

  • 腎臓専門医の立場から

    若井 幸子

    公益財団法人
    東京都保健医療公社
    大久保病院腎内科部長

  • 透析医の立場から

    田中 好子

    医療法人社団
    石川記念会
    新宿石川クリニック院長

  • 糖尿病専門医の立場から

    實重 真吾

    医療法人社団糖真会
    上落合真クリニック院長

腎臓専門医

若井先生からの質問

透析患者さんの高齢化に対しては
どのように対応されていますか。

透析医

田中先生の回答

送迎サービスの導入,医療相談室との連携などによる
支援のほか,転倒の問題にも配慮しています。

当院は東京の新宿駅前にあるため,比較的若い透析患者さんが多いのですが,開院から30年あまり経ちますので長年通院されている患者さんが高齢になるなど,高齢化問題にも直面しています。高齢の患者さんの中には,自力で通院することが難しい方もいらっしゃいますので,当院では2年ほど前から送迎サービスを開始し,近隣の方々にご利用いただいています。一方,送迎ルート以外の地域にお住いの患者さんで,当院への通院が難しい方には,ご希望に応じて転院先を紹介しています。

独居の高齢者,家族と同居していても家族が十分に関われない高齢者,そういった方々の週3回の外来透析治療を継続するためには日常生活のサポートも必要です。当院では医療相談室の相談員が患者さんの悩み,問題点を患者さんや家族から聞き出して福祉担当者と連絡を取り合ったり,介護保険の手続きの補助をしたり,ケアマネジャーやヘルパーとの間に入って通院や生活,リハビリがうまくいくように患者さんを中心とした支援体制をつくる大きな役目を果たしてくれています。認知症の合併症も問題です。内服管理がひとりで不可能な患者さんには,患者さんとヘルパーや訪問看護などとでできる内服の仕方を考えて内服回数や種類を減らしたりすることもあります。

さらに,高齢者にとって日常的に最も注意が必要な問題のひとつが「転倒」です。筋力が低下している高齢者は転倒しやすく,骨折して入院するケースも少なくありません。こうした場合,退院後もそれまで通り通院できるかが重要であるため,退院前に医療相談室のスタッフが入院先に出向いて患者さんの状態を確認して通院の可否を見極め,通院可能であれば必要なサポート体制を整えるようにしています。

また,透析後の起立性低血圧による転倒にも注意が必要です。透析中や透析直後は血圧が正常範囲に保たれていても,帰宅する途中にふらつきが現れて転倒することもありますので,ドライウエイトを適度に調節して脱水状態にならないよう十分配慮しています。今後は,転倒予防に向けた筋力強化対策も検討する必要があると感じています。

透析医

田中先生からの質問

基幹病院がサテライト透析施設に
求める要件にはどのようなものがありますか。

腎臓専門医

若井先生の回答

基本的な管理,早いタイミングでの
入院依頼のほか,治療選択肢に関して患者さんに
しっかり説明していただくことが必要であると感じています。

近年わが国では,透析導入の原疾患として慢性腎炎が減少しているのに対し,年齢が上がるとともに多くなる糖尿病腎症および腎硬化症が増加しています1)。透析施設における実態としても,若年の患者さんが減り,血管合併症を有する高齢者の透析導入が増えていると感じています。透析患者さんの高齢化が進むと,維持期における管理がより重要になりますが,なかには基本的な管理が実践できていない施設もあるように思います。たとえば,体液管理において最大透析間隔日の体重増加は6%未満が望ましいとされていますが2),実際にはドライウエイトの管理が徹底されていないと思われる状態で当院に入院依頼となるケースもありました。日々のイベント発症がなく,安定した状態にある維持期の患者さんに対し,毎回の透析で管理・指導を漏れなく行うことは大変だと思いますが,流れ作業にならないよう透析治療に携わる医師,看護師および臨床工学技士がチームとなり,基本的な管理を徹底することが何より重要であると考えます。

また,感染症など合併症治療を目的とした入院依頼について,紹介のタイミングが適切な施設と遅い施設があります。透析患者さんは抵抗力が弱く,病状の進行が早いケースもあります。敗血症に至る危険性も高いため,まだ早いかなと思われる段階でも躊躇せずに相談や依頼をしていただきたいと思います。

そのほか,当院では腎移植も行っており,サテライト透析施設から患者さんをご紹介いただくことがありますが,なかには透析導入時に腎臓代替療法の選択肢についての説明を受けずに維持透析をされている方もいらっしゃるようです。日常的に患者さんと接する機会の多いサテライト透析施設においてこそ,血液透析以外にも腹膜透析や腎移植という選択肢があることをご説明いただき,患者さんが理解して治療に臨める環境を整えていただくことが必要であると感じています。

References

  1. 1.日本透析医学会統計調査委員会. 2014年末の慢性透析患者に関する基礎集計
  2. 2.日本透析医学会.維持血液透析ガイドライン: 血液透析処方. 透析会誌. 2013; 46: 587-632.
糖尿病専門医

實重先生からの質問

CKD保存期における貧血治療開始の
適切なタイミングを教えてください。

腎臓専門医

若井先生の回答

ガイドラインの開始基準(Hb値11g/dL未満)を基本とし,
個々の患者さんの腎機能や来院頻度などを考慮して
開始のタイミングを決めています。

原則として,日本透析医学会がまとめた「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」1)(以下,ガイドライン)の開始基準に則って,貧血治療を開始しています。ガイドラインで推奨されているように,成人の保存期CKDの場合,複数回の検査でヘモグロビン(Hb)値が11g/dL未満となった時点で赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による治療を開始し,必要に応じて投与間隔の延長や減量を行いながら目標Hb値11~13g/dL未満の維持を目指します。また,鉄欠乏を認める場合[トランスフェリン飽和度(TSAT)20%未満,血清フェリチン値100ng/mL未満]には,ESA投与に先行して鉄剤を投与しています。

ただし,Hb値が貧血治療開始基準を満たしていても無症状なことも多く,GFR値が50mL/分/1.73m2前後で腎機能がそれほど悪化していない患者さんの中には,経済的理由からESAの使用を断る方がいらっしゃいます。特に,食事療法を真面目に続け,たんぱく質制限をしっかり守っていると,貧血が進行しやすい傾向にあります。そういった腎機能障害が軽度で,腎性貧血が進行している患者さんに対しては,貧血を改善することで腎機能が保ちやすくなることを説明しESAの使用を勧めています。それでも納得していただけない場合には,医療費の自己負担が助成される腎臓機能障害の認定基準2)を満たした段階でESAの開始を検討します。

また,来院頻度が1~2ヵ月に1回程度の患者さんについては,ESA投与後のHb値の変動や副作用の観察が十分に行えないため,ESA導入はなかなか難しいのが実情です。そのため,当院ではHb値による開始基準値を目安に,個々の患者さんの腎機能や来院頻度なども考慮しながらESA治療開始のタイミングを計っています。

References

  1. 1.2015年版 日本透析医学会 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン. 透析会誌. 2016; 49: 89-158.
  2. 2.東京都福祉保健局. 東京都身体障害認定基準(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.html)
腎臓専門医

若井先生からの質問

患者さんを腎臓専門医に紹介するタイミングは,
どのように判断されていますか。

糖尿病専門医

實重先生の回答

GFRと蛋白尿からCKDの進行状況を評価し,
腎臓専門医と相談しながら早めの紹介を心がけています。

紹介にあたってひとつの目安としているのは,日本腎臓学会作成の「医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル」に掲載されている「腎臓専門医への紹介基準」です1)。本基準では,糸球体濾過量(GFR)に基づく腎機能と蛋白尿(尿中蛋白量,糖尿病の場合は尿中アルブミン量)からCKDの進行状況を評価し,高度の蛋白尿(尿蛋白/クレアチニン比が0.50g/gCr以上,尿アルブミン/クレアチニン比が300mg/gCr以上または2+以上)を認める場合,蛋白尿と血尿がともに陽性(1+以上)の場合,あるいはGFRが60mL/分/1.73m2未満の場合には腎臓専門医に紹介することが推奨されています。しかし,実際には正常アルブミン尿,微量アルブミン尿などの症例2)でも,紹介基準には当てはまらないものの腎機能の悪化が懸念される患者さんも多く,夏場などには脱水を起こして一気に病状が進行することもあります。そのため,患者さんの状態をきめ細かく把握し,連携先の腎臓専門医と相談しながら早めに紹介することを心がけています。

なお,血清クレアチニンを用いたeGFRは,算出する計算式は難しいため,検査会社に依頼すると代行可能なこともあります。私の失敗談として,多忙な外来で腎機能評価を血清クレアチニンのみで判断してしまうことがあります。血清クレアチニンが正常域であっても,高度の蛋白尿からネフローゼ症候群を合併し,急速に全身性の浮腫と時に急性心不全が出現して,慌てて腎臓専門医に搬送する症例を経験することもあり,紹介するタイミングの難しさを痛感するとともに,定期的な尿検査の励行を心がけています。

腎機能は,当然,血清クレアチニン値だけで評価できるものではありません。GFRはもちろんのこと,尿蛋白(アルブミン)なども測定して総合的に腎臓の状態を評価し,CKDを管理することが重要だと思います。特に中高年層の患者さんは,塩分の多い食品や高たんぱく食を好んだり,糖尿病を有していたりと,腎機能が悪化しやすい傾向にあることから注意が必要です。

References

  1. 1.日本腎臓学会 監. 医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル. 東京: 東京医学社; 2015.
  2. 2.日本腎臓学会 編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013. 東京: 東京医学社; 2013.
透析医

田中先生からの質問

糖尿病腎症に関する管理は
どのようにされていますか。

糖尿病専門医

實重先生の回答

日本腎臓学会作成の
マニュアルに基づき,血糖値管理,血圧管理,
塩分制限,たんぱく質制限を4大柱としています。

当院では,糖尿病をはじめとする生活習慣病の外来診療を中心に行っており,ステージG1~G3のCKDに該当する糖尿病腎症患者の方が多くいらっしゃいます。CKDでは腎機能を維持することは非常に難しいのですが,早期から血糖値や血圧などの管理を行わないと重症化してしまうため,日本腎臓学会が作成した「医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル」1)(以下,マニュアル)を参考にしながら,患者指導ならびに血圧,血糖値,脂質,貧血などの管理を行っています。腎機能の維持で特にポイントとなるのは,血糖値管理(管理目標:HbA1c 7.0%未満),血圧管理(管理目標:130/80mmHg未満)および食事指導(塩分制限,たんぱく質制限)です。ただし,血糖値が管理目標に達しても腎機能が悪化するケースもあることから,塩分およびたんぱく質の摂取制限を基本に糖尿病腎症患者さんの管理を行っています。

たんぱく質の摂取制限については,CKDのステージに応じて考慮するようマニュアルで示されており,CKDステージG1およびG2では制限の必要はありませんが,G3aおよびG3bでは0.8~1.0g/kg体重/日に制限することを検討します。また,塩分とたんぱく質制限の説明を受けただけではうまく食生活の改善につなげられない患者さんもいるため,当院では糖尿病療養指導士の資格をもつ管理栄養士が「糖尿病腎症の食品交換表」2)を用いて,実際の食事に関する細かい指導を行っています。

そのほか,CKDステージG3以降では腎性貧血が生じうることから,ヘモグロビン(Hb)値が10g/dL未満まで低下した場合,鉄欠乏がなく腎性貧血が疑われる場合などには赤血球造血刺激因子製剤(ESA)の投与を考慮し,貧血管理に努めています。また,糖尿病腎症は細小血管障害であり,心血管障害や脳血管障害といった動脈硬化性血管障害を高頻度に合併します。その点も意識しながら,糖尿病腎症が重症化しないよう予防・管理することが大切です。現状としては糖尿病腎症そのものを治す薬剤が存在しないため,動脈硬化性血管障害の予防に向けた血圧管理を中心に行っています。

References

  1. 1.日本腎臓学会 監. 医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル. 東京: 東京医学社; 2015.
  2. 2.日本糖尿病学会 編. 糖尿病腎症の食品交換表 第3版. 東京: 文光堂; 2016.
糖尿病専門医

實重先生からの質問

透析患者さんの血糖管理は
どのように行っていますか。

透析医

田中先生の回答

糖尿病の程度に応じて院内の糖尿病専門医とも連携し,
低血糖に十分注意しながら管理しています。

当院で透析治療を受けている患者さんの約25%が糖尿病を合併しており,そのうち約半数はインスリン使用で,残りは経口血糖降下薬使用と非薬物治療がそれぞれ4分の1程度を占めています。インスリンを使用している患者さん,あるいは経口血糖降下薬を使用している患者さんで血糖コントロールが不良なケースは,当院の糖尿病・生活習慣病センター内の糖尿病内科で専門医に診察していただいたうえで,血糖管理を行っています。一方,血糖コントロールが容易なケースについては,腎臓内科医が直接管理を行う場合もあります。

透析患者さんの血糖管理では,グリコアルブミン(GA)値を血糖コントロールの指標とし,GA値20%未満(心血管イベントの既往歴を有し,低血糖傾向がある場合には24%未満)を目標にコントロールしています1)。しかし,インスリンを使用している患者さんの中には,低血糖を心配して適切な量のインスリンを使用できず,GA値30~35%程度で停滞しているケースもあります。そのような患者さんに対しては,厳格な目標値の達成だけにこだわらず,検査値以外の背景を考慮し柔軟に対応することが透析治療の継続につながると考えています。また,薬剤の選択においても糖尿病専門医と相談しながら持効型インスリン製剤を使用したり,食後の血糖値上昇を抑制する透析患者さんにも使用できるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬を併用したりして低血糖リスクの軽減を図っています。認知症の進行をともなう患者さんの場合には,インスリンの打ち過ぎによって低血糖をきたす恐れがあり非常に危険です。場合によっては,入院で血糖管理を行うこともあります。

インスリン使用中の場合,当院では週3回実施する透析治療の前後に必ず血糖値を測定するため,血糖値の異常変動を早期に発見することが可能です。また,透析前に高血糖がみられる場合には,透析中の血糖変動に注意し,必要であればインスリンを追加するなどの対応をしています。透析患者さんの血糖管理においては,多少の血糖値の変動に一喜一憂せず,体調を見極めたうえで,食事指導や薬物治療をすることで気長に血糖コントロールを行うことも重要であると考えています。

References

  1. 1.日本透析医学会. 血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012. 透析会誌. 2013; 46: 311-57.

KK-17-04-18225

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