KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

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日立総合病院 腎臓病・生活習慣病センターを中心とした医療連携について,
専門医,かかりつけ医,行政の立場から課題や今後の目標を話していただきました。

  • 腎臓専門医の立場から

    植田 敦志

    筑波大学附属病院
    日立社会連携教育研究センター 准教授
    株式会社日立製作所
    日立総合病院
    腎臓病・生活習慣病センター センター長/腎臓内科 主任医長

  • かかりつけ医の立場から

    山形 文子

    やまがた内科医院
    院長

  • 行政の立場から

    大森 美恵子

    日立市保健福祉部
    健康づくり推進課 課長

腎臓専門医

植田先生からの質問

CKDの患者さんには疾患についてどのように
説明をされていますか。また,当センターに
期待される役割についてお聞かせください。

かかりつけ医

山形先生の回答

CKDの重要性について理解を
得ることは簡単ではありません。専門医を受診することで
治療に対する意識づけができることを期待しています。

通院されている患者さんに,尿検査で蛋白尿や微量アルブミン尿を認め,その状態が継続している時にはCKDの疑いがあると判断し,ご本人に腎臓が悪くなっているというお話をして,治療の必要性と具体的な塩分やたんぱく質制限の方法について説明します。また,糖尿病で糖尿病性腎症を発症した方には,日頃から使用している公益社団法人日本糖尿病協会発行の「糖尿病連携手帳」を見ていただきながら,ご自身が病期分類のどこに位置しているのかを把握してもらうようにしています。

日立総合病院腎臓病・生活習慣病センター(以下,センター)には,日本腎臓学会の「CKD診療ガイド2012」1)の紹介基準に合致した方をご紹介し,詳細な検査を行ったうえで,その病態に沿った治療方針を決めていただいています。当院では先ほど申し上げたような説明を行っていますが,CKDは自覚症状がありませんので,治療の重要性について十分に理解を得るのは難しい面があり,腎臓専門医に受診することが患者さんに腎臓へ意識を向けていただくよいきっかけになるという点も,意義が大きいと感じています。

また,管理栄養士さんや看護師さんが質の高い療養指導をしてくださることも大変有用です。CKDが進行してくると,どうしてもあれもダメこれもダメという指導になりがちで,患者さんの気持ちが落ち込み,元気がなくなってしまうことがあります。そのような患者さんがセンターで指導を受けた後,実際に運動をするようになり,明るく活発になる例を経験しています。制限するばかりの指導ではなく,前向きに生き生きと生活できるような指導もきめ細かく行っていただけるので,大変ありがたいです。

患者さんによっては,大きな病院に受診することを拒まれることもあります。そのような方には24時間蓄尿検査を実施し,腎機能や塩分とたんぱく質摂取量について把握するようにします。ただ,その後の具体的な指導について十分に時間を割いて行える体制にありませんので,患者さんの理解を得てからセンターに紹介することもあります。

私は日立市医師会のCKD対策推進委員会に参加しています。今後,医師会員の先生方を対象にCKD診療の現状や専門医との連携についてのアンケートを実施して,より双方に有意義な連携を進める仕組みを作っていく予定です。

References

  1. 1.日本腎臓学会 編. CKD 診療ガイド2012. 東京 : 東京医学社 ; 2012.
かかりつけ医

山形先生からの質問

CKD医療連携の中でかかりつけ医が果たすべき
役割についてどのように考えていますか。

腎臓専門医

植田先生の回答

腎臓専門医とかかりつけ医が
協力し合って,お互いの持ち味を生かしながら,地域に
根ざしたCKDの早期発見と進行の抑制を目指しています。

人口27万人の日立二次医療圏には腎臓専門医が2人しかおりません。したがってCKD患者の診療をすべて専門医で行うことは不可能です。この点で専門医とかかりつけ医との診療連携は欠かせないシステムであり,かかりつけ医が果たす役割はとても大きいといえます。現在,日立市医師会ではCKD対策推進委員会を設立し,医師会ぐるみでCKD診療連携パスを作成中です。

その中で,まずかかりつけ医の先生方にお願いしたいのは,「CKD診療ガイド2012」1)の紹介基準に基づき,CKDの診断基準を満たす患者さんを速やかに専門医にご紹介いただきたいということです。専門医は,慢性糸球体腎炎など「直ちに専門医が診療を継続すべき患者さん」なのか,生活習慣病由来の腎疾患で「かかりつけ医の先生に診療をお願いできる患者さん」なのかを判断します。かかりつけ医の先生に診療をお願いする患者さんについては,今後の検査予定や治療方針など診療の方法を具体的に明記した紹介状を作成し逆紹介します。たとえば,血液検査や尿検査をどのような項目でどの程度の頻度で行うか,体重や血圧管理の目標,禁煙や睡眠などの生活指導について,外来診察時の着目点などをお伝えします。そのうえで,どのような状態になった時に再度専門医にご紹介いただくべきかという基準を示します。毎日多くの患者さんを診療している先生方の診療の負担にならないように,作成中のパスでは,簡便でわかりやすく運用できるよう工夫しました。残念ながら,かかりつけ医の先生の中には,CKDは治癒することが望めないので,積極的な治療介入を敬遠する方もおられます。専門医として医師会を通じCKD診療の重要性や診療方法についての啓発活動を,しっかり行っていく必要があると感じております。

また,患者さん本人の自覚症状が乏しいため,治療の意義を見出しにくく,自ら積極的に治療への参加を放棄してしまう方もおられます。その場合には,かかりつけ医の先生と協力して,患者さんの不安を煽るようなことはせず,食事,運動,禁煙,睡眠など1つ1つの生活習慣の改善が腎臓を守ることにつながるということをじっくり説明していくことが重要です。

CKD診療には近道はありませんが,専門医とかかりつけ医の協力によって,専門医の少ない地域でも充実した医療の提供が実現できると考えています。

References

  1. 1.日本腎臓学会 編. CKD 診療ガイド2012. 東京 : 東京医学社 ; 2012.
行政

大森課長からの質問

CKD対策において行政には
どのようなことを期待されますか。

腎臓専門医

植田先生の回答

全年齢の住民へ向けてのCKDの啓発を期待します。
CKD医療連携においては,専門医や病院医師と
かかりつけ医とをつなぐ架け橋になっていただきたいです。

行政に最も期待することは住民への啓発です。それもCKDになりやすい年齢層に対してのみではなく,すべての年齢に対する啓発をお願いしたいと思っています。CKDは高血圧や糖尿病などに比べ,まだ一般に理解が浸透していません。われわれも市民公開講座などを通じて啓発を行っていますが,そうした場に出席される方は基本的に健康に対して意識の高い人が多い印象があります。より広く啓発するためにどうすればよいのかと,いつも悩んでおり,行政の力をお借りして,学童など若い世代も含めたすべての年齢層への啓発ができれば大きな意味があると考えます。私としては,町内会や企業そして中学校や高等学校など,こちらから出かけて行って,出張(出前)によるCKD教室を行っていただきたいと思います。

今後さらに高齢化が進展することを考えると,症状が悪化して救急搬送された患者さんを治療するのでは,医療資源の面からも医療費の面からも立ちゆかなくなることは明白です。国民一人ひとりが「健康とは何か」を考え,自身の健康は自分で守る意識をもつことが求められます。日立市保健福祉部でも取り組んでいただいているところですが,健康診断の受診率を上げ,異常値を示した方には速やかに病院を受診していただくことが重要です。保健師さんが受診勧奨を行っても病院に行かない人がいらっしゃるのが現実ですが,健診で異常を認められた方が医療機関を受診することが当たり前の社会になるにはどうしたらよいか,社会全体で考える必要があるでしょう。

また,CKD対策推進委員会において,行政が果たす役割はとても大きいと考えています。CKD医療連携に取り組む専門医や病院医師,かかりつけ医はみな同じ医師であり,患者さんの利益のために取り組むという目的意識は共通していますが,患者さんの診療に対する考え方はそれぞれの立場により異なることもあるからです。行政の方が間に入って両者をつなぐ役割を担い,上手にコーディネートしてもらえるとありがたいです。

今後も,行政との連絡を密にとり,住民の方にCKDの考えが根付き,限られた医療資源であっても,地域の医療が充足できるように共に作り上げていきたいと考えています。

腎臓専門医

植田先生からの質問

CKD対策推進委員会発足以降の行政や地域の
具体的な取り組み,構想について教えてください。

行政

大森課長の回答

従来の「腎疾患等重症化予防事業」を
拡大し,生活習慣病由来の新規人工透析患者数の減少,
心筋梗塞の発症・進行予防を目指します。

日立市では,2017年1月,市医師会に「CKD対策推進委員会」が発足したことを受けて,従来の「腎疾患等重症化予防事業」を拡大し,CKD対策を推進していく方針です。今後はCKDの発症予防や重症化予防のための総合的な取り組みを行い,生活習慣病に起因する新規人工透析患者数の減少,心筋梗塞の発症・進行予防を図ります。

取り組みの基本としては,(1)CKDの啓発・早期発見,(2)CKDの発症予防・重症化予防,そして(3)行政,かかりつけ医,専門医の連携システムの構築などにより,CKD対策の総合的な推進体制の整備に取り組んでいきます。

CKDの啓発・早期発見については,市民へCKDに関する情報提供を行い,腎機能検査の実施率を高めるために特定健康診査の受診率の向上に努めます。2016年度に市民を対象に行った「健康の実態と意識に関するアンケート調査」では,CKDの認知度は回答者の6%と低い状況でした。CKDの認知度を高めるために,現在実施している腎臓病予防教室のほか,市内23地区のコミュニティで開催している健康まつりや健康講演会また健診会場などにおいて,健康づくり推進員,食生活改善推進員など地域のボランティアと連携し,CKDの普及啓発,特定健康診査の受診率アップに努めていきます。コミュニティと連携した健康づくり活動は本市の特徴でもあります。市内23地区に1名ずつ配置した保健師の活動は,健康づくり推進員などとの連携がさらに強化され活発さを増しており,CKDの啓発が期待できます。さらにCKDの予防には,青少年期など若い頃からの生活習慣病予防が重要であり,青少年の教育と連携したCKD予防教育の構築について,医師会と協議していきたいと考えています。

一方でCKDの発症予防・重症化予防については,現在行っているCKD要注意者への保健指導に加え,発症予防のための環境づくりや,必要に応じて必要なところで食事指導が受けられる体制づくりに努め,保健所などと連携した健康づくり支援店の拡充や栄養相談の利用拡大を図ります。個別指導では,健康格差により,健康意識や生活背景などを視野に入れた保健指導が求められており,事例検討会などを活用した保健指導のスキル向上に努めていきます。重症化予防については,CKD対策推進委員会における,かかりつけ医・専門医の病診連携および行政とかかりつけ医との連携の構築に関する検討に期待し,重症化のリスクが高い人の受診率の向上を図りたいと考えています。

最後に,本市は,市民のCKDに対する認知度の向上,健診結果で重症化のリスクが高い人の受療率の向上,生活習慣に起因する新規透析導入患者数の減少をCKD対策の指標に掲げています。かかりつけ医,専門医,行政などによるCKD対策の総合的な推進体制のもと,腎機能異常の重症化を防止して慢性腎不全による透析導入への進行を阻止し新規透析導入患者を減少させるとともに,CKDにともなう心筋梗塞,脳血管疾患などの発症を抑制し,ひいては,健康寿命の延伸につなげていくことを目指します。

かかりつけ医

山形先生からの質問

生活習慣病重症化予防に対して,
これまで行ってきた取り組みについて教えてください。

行政

大森課長の回答

2012年度から市独自に
血清クレアチニン検査を追加し,重症化のリスクが
高い人に対し,腎疾患等重症化予防事業を開始しています。

日立市における生活習慣病重症化予防の取り組みは,2011年11月,保健師が兵庫県尼崎市へ先進地視察に行き,腎疾患等重症化予防の取り組みを学んだことを契機として本格化しました。本市は,急性心筋梗塞や脳内出血による死亡比が全国に比べて高いという健康課題があります。また,市の人口約18万人に対し人工透析患者が年間約500人,そのうち新規透析導入者の原因疾患は糖尿病性腎症が最も多いという状況がみられます。そのリスク要因である高血圧,高血糖について,特定健康診査結果を分析したところ,メタボリックシンドロームの有無にかかわらず,受診勧奨判定値であっても医療機関を受診していない人が多くみられました。このため,市医師会との協議を踏まえ,2012年度から市独自に血清クレアチニン検査を追加して,腎機能低下がみられる人や高血圧,高血糖など特に重症化のリスクが高い人に対し,腎疾患等重症化予防事業を開始しています。

重症化のリスクが高い,いわゆるハイリスク者は,毎年,集団健診受診者のおよそ6%,約400人にみられます。保健師,管理栄養士らが,教室や訪問で個別に健診結果の見方や医療機関受診の必要性を説明し,医療機関につながっていない人には受診勧奨を行っています。しかし,自覚症状がないため受療行動に結びつかないケースが多く,特に治療中断者や受診拒否者については,かかりつけ医や専門医と連携する仕組みづくりの必要性を強く感じさせられました。

これらの課題を共有・検討する場として,2014年8月に,医師会が事務局を担当する日立市地域医療協議会の中に,「生活習慣病重症化予防専門委員会」を設置していただきました。山形文子先生が委員長を務めておられ,生活習慣病の発症予防や重症化予防のために関係機関が連携できることは何かを協議しています。さらに,2016年6月,日立総合病院に腎臓病・生活習慣病センターが開設し,腎臓内科専門医でセンター長の植田敦志先生から,「地域と連携して重症化予防に取り組んでいきたい」と熱いプッシュがありました。打ち合わせを進めていく中で,医師会副会長の山形先生のご尽力により,2017年1月,市医師会に,かかりつけ医・専門医・行政で構成する「CKD対策推進委員会」を設置するに至りました。現在は,かかりつけ医,専門医,行政などによるCKD対策の総合的な推進体制の構築に向け検討しており,本市におけるCKD対策が大きく前進しようとしているところです。

今後は,CKDにおける病診連携のシステムが構築されて,CKDの進行予防,重症化予防につながることを期待しています。また,健診結果に基づく受診勧奨および保健指導において,行政とかかりつけ医との連携システムが確立されることを願い,治療中断者へのアプローチも含め,かかりつけ医と連携した生活習慣病の発症予防およびCKD等重症化予防に努めていきたいと思います。そのためには保健師などが,かかりつけ医の先生と連携するための具体的な方法などについてスピード感をもって検討し,CKD対策推進委員会において提案して,医師会の先生方にご指導をいただきながら,地域ぐるみのCKD対策を目指していきたいと思います。

行政

大森課長からの質問

開業医の先生が行政の保健師との連携を
必要とされるのはどのようなケースでしょうか。

かかりつけ医

山形先生の回答

治療に難渋しているケースに
家庭訪問し,生活の実態に即した保健指導を行って
いければ重症化予防に大きな意義があると思います。

現在,日立市保健福祉部健康づくり推進課では,特定健診の結果から受診の必要性が高い方に対して保健師さんが受診勧奨を行い,受診がなされなければ家庭訪問を実施されています。血圧値・血糖値が高い,尿蛋白が出ている,血清クレアチニン値が高いという結果を受けて来院された方に対し,当院ではまず再検査を行います。再検査の結果,また異常を認めた方は治療に進みます。正常値であった方も,一般的な健康管理についてお話をし,定期的な検査をお勧めしています。実際,当院には保健師さんのお声がけがあったから受診されたという方も来院されますので,受診勧奨は成果を上げているように感じます。

そのうえで今後は,特定健診受診者のみならず,医療機関に通院中あるいは治療から脱落してしまった患者さんに関しても連携することができればと思います。CKDや糖尿病性腎症の治療や療養指導は,患者さんの生活実態や病気に対する思いを聞き出し,それに応じた内容で行うことが重要ですが,こちらが一生懸命に聞き出そうと努めても,どうしても詳しいお話をしていただけず,本当の状態がみえない方がいます。それでも検査値のコントロールが良好であれば大きな問題にはなりませんが,なかなか改善しない場合,対応が手詰まりになってしまうこともあるのです。そのような方のところに行政の保健師さんが訪問していただけると,家庭の環境や実際の状況がわかり,改善できないでいる問題点がみえてくるのではないかと思います。病院ではなかなかお話されない方も,ご自宅であれば本音を語られるでしょう。そのうえで実情に即した保健指導を行っていただくことができれば,病気の重症化予防や合併症対策の大きな力になると思います。また,当院では以前,特定健診後の受診勧奨により受診され,その後通院が途絶えてしまった重症患者さんに対して,特別に保健師さんに家庭訪問を依頼し,連携を図ったことがありました。地域で治療の脱落者を出さないように,そうした働きかけが自然に行えるシステムが確立されることも期待します。

糖尿病性腎症について厚生労働省は,重症化予防の取り組みを全国展開していくために「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定し,行政と医療関係者の連携強化を求めています。地域で疾患の重症化予防を行い,住民の健康維持と医療費削減を実現できるよう,是非,力を合わせていきたいと考えています。

KK-17-07-19376

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