KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

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「静岡市糖尿病性腎症重症化予防プログラム」による地域医療連携について,
腎臓内科医,糖尿病専門医,かかりつけ医・医師会,行政の立場から
取り組みの状況や今後の展望を話していただきました。

  • かかりつけ医・医師会の立場から

    袴田 光治

    一般社団法人
    静岡市静岡医師会 会長


  • 糖尿病専門医の立場から

    脇 昌子

    地方独立行政法人
    静岡市立静岡病院副病院長/内分泌・代謝内科主任科長/教育研修管理室長

  • 腎臓内科医の立場から

    森 典子

    地方独立行政法人
    静岡県立病院機構
    静岡県立総合病院 副院長/
    腎臓内科部長/情報管理部長

  • 行政の立場から

    深澤 倫乃

    静岡市 保健福祉長寿局
    健康福祉部 保険年金管理課
    健診・保健指導係
    主幹兼係長

かかりつけ医・医師会

袴田先生からの質問

一般医家が糖尿病患者さんを診療するうえでの
注意点やポイントを教えてください。

糖尿病専門医

脇先生の回答

血糖コントロールのみならず合併症予防も治療の要。
治療の選択に迷った時は専門施設に気軽に相談してください。

糖尿病の患者さんを診察する際には,血糖コントロールが1番の関心事になりがちですが,合併症予防の観点から血圧や脂質,体重など包括的な診療を行うことが重要であり,血糖値と同等の重みがあるものとしてフォローしていただきたいと思います。また,合併症がどの程度進行しているのか定期的に確認することも重要です。評価項目のひとつとして「静岡市糖腎防(とうじんぼう)の会」では尿中アルブミン定量の測定をお願いしています。

糖尿病治療の主役は患者さんご自身です。食事療法や運動療法の指導が必要ですが,一般医家の先生方が診察時間に十分な時間を割くことは難しいことと思います。また,患者さんも一度に多くの知識を吸収するのは大変ですから,ステップバイステップで様子をみながら,ワンポイント・アドバイスを重ねていく方法がよいと思います。特に会話の中から,患者さんご自身が気づいていなかった問題点に気づくことができれば,大きな意味があります。たとえば,「暑くなってきましたね。飲み物は何を飲んでいますか?」と聞くと,「スポーツ飲料を飲んでいます」と答える方が結構いらっしゃいます。スポーツ飲料の中には血糖値の上昇を招くものもあるのですが,患者さんがスポーツ飲料は体によいと思い込まれていることもまれではありません。ほんの少しそうした知識を持ってもらうだけでも,患者さんの行動や血糖値は随分変わると思います。また,病院では看護師や管理栄養士が時間をかけて療養指導を実施できますので,療養指導のみの連携もお気軽にお問い合わせいただきたいです。

糖尿病で最も怖いのは治療の中断です。たとえ患者さんが食事療法や運動療法がうまくできておらず,血糖コントロールが不良の場合でも,忍耐強く見守り,少しでもできていることがあれば褒めながら接することが重要です。たとえ生活がなかなか変えられなくても,医療機関を継続して受診できているだけで,患者さんは褒められるべきなのです。

薬物療法では,血糖コントロールがうまくいかない場合や,飲み忘れが多いなどコンプライアンスが悪い場合には,薬剤を変えることが患者さんにとっていい意味で気持ちの切り替えになることがあります。糖尿病治療薬は選択肢が増え,一人ひとりの患者さんにフィットする薬剤を探せる時代になりました。一方で,非専門の先生には選択が難しい場合もあると思いますが,処方や治療方針で迷った時には是非,専門施設を活用いただき,気軽にご相談いただきたいと思います。

糖尿病専門医

脇先生からの質問

一般医家の先生方が糖尿病専門施設に
期待することは何でしょうか。

かかりつけ医・医師会

袴田先生の回答

地域医療連携は日常診療の
勉強になることも重要。糖尿病治療薬選択の理由や
栄養指導の内容などを教えてほしいです。

われわれかかりつけ医が診ている患者さんは,多くが近くにお住まいです。そのため長年にわたりさまざまな疾患を診療し,健康管理のお手伝いをしています。つまり,糖尿病だけでなく,他の疾患も併せて診ていることがほとんどですので,専門の先生に診ていただいた後は,専門の視点を反映した治療を行いながら,可能な限りわれわれが患者さんの全身を継続して診ていきたいという思いがあります。一方で,糖尿病治療薬は新しい作用機序をもつ薬剤が近年,次々に登場し,内服薬も注射薬も選択肢が多数あり,以前よりも専門性が高まっているように感じます。糖尿病専門の先生には,逆紹介で患者さんをお戻しいただく際に,なぜその薬剤を選択したのか,また今後,少しでも悪化した時にどのような対応をすればよいのかなどを教えていただければ大変助かります。

地域医療連携・病診連携は,一般医家にとっては診療上の勉強になることが非常に重要だと考えています。たとえば,使用したことのなかった新しい糖尿病治療薬も,専門施設と連携して治療をしていくことで使い方が身につくのが理想です。そのためには,なぜこの患者さんにこの治療薬を選択したのかも知りたいのです。もちろん治療薬の作用機序や適応は専門書や論文には書いてあるわけですが,やはり症例を通し,実際に自分で使用してみて初めてわかることは多いものです。薬剤の選択の理由に加えて,栄養指導やインスリン導入指導,血糖自己測定の指導などについてもある程度,内容の伝達があると有難いです。

また,糖尿病の患者さんで難しいのは,血糖コントロールが不良であると次にすべき治療がみえなくなってしまうことです。専門の先生からみると,「もっと早く紹介してくれればよかったのに」と思われることもあるかもしれません。ただ実際には,紹介のタイミングが早かったり遅すぎたりというのは,教えてもらわなければわからないところがあります。現在,静岡市では,糖尿病やCKD,心疾患の勉強会が定期的に開催されており,専門施設と医師会員との顔の見える関係ができつつあります。連携の感想を忌憚なく言い合える関係づくりを日頃から行っておくことが,お互いの力を最大限に発揮するうえで重要であると感じています。

かかりつけ医・医師会

袴田先生からの質問

地域医療連携は,病院の専門医には
どのような意義がありますか。

腎臓内科医

森先生の回答

早期発見が可能な一般医家の先生方と連携することは
疾患の重症化予防のため,大きな意義があります。

CKDの段階で適切な医療介入がなされれば,腎機能の悪化を抑制して人工透析導入患者数を減少できたり,心血管疾患の発症・重症化を抑制できたりする可能性があり,地域住民にとって大きなメリットになります。一方,CKD患者数は成人人口の約12.9%と推計されており1),とても専門施設のみで診療できる数ではありません。病院の勤務医としては,1日に何人もの患者さんについて紹介元の先生に返書を書き,治療方針をお伝えするのは楽ではありませんが,地域住民の健康維持は医師共通の使命です。是非,医師会員の先生方にもCKD診療,糖尿病性腎症診療に積極的に関わっていただきたいと考えています。

病院で診療する腎臓内科医が痛切に感じているのは,糖尿病の患者さんが糖尿病性腎症になり人工透析に至ると非常に予後が悪いということです。その頃には全身の血管が脆く弱くなっていますので,脳梗塞や心筋梗塞,手足の壊疽なども起こしやすく,患者さんのQOLが著しく低下し,医療経済的にも医療資源の面でも負担が大きくなります。糖尿病性腎症を予防するにはどうすればよいかを考えた時,カギとなるのは早期発見が可能な一般医家の先生方の目と健診なのです。

特に若い糖尿病患者さんについては,定期的に尿中アルブミン定量を測定して,早期に腎機能の低下を見つけ出し,まずは一度専門施設にご紹介いただくということを「静岡市糖腎防の会」の方針としました。腎機能の低下は早期には自覚症状がありませんので,一般医家の先生には是非,患者さんを専門施設受診に導いていただきたいと思います。一方で,かなりご高齢で病院に通うことがご負担な場合や,総合的に考えてQOLと治療の両立が難しい方は,ご自宅から近いかかりつけの先生のところで診療を継続していただくのもひとつの方法かと思います。そのあたりは,全身状態や家族構成などを把握している先生方に複合的に判断していただき,もし,病院への通院は難しそうだけれども,対応が不安という場合には,どのように治療を行えばよいかなどお電話で気軽にご相談いただければと思います。

References

  1. 1.日本腎臓学会 編. CKD 診療ガイド2012. 東京 : 東京医学社 ; 2012.
腎臓内科医

森先生からの質問

一般医家の先生は,糖尿病性腎症予防の
地域医療連携にどのような期待を寄せていますか。

かかりつけ医・医師会

袴田先生の回答

一般医家にとって腎臓疾患は対応が
難しいイメージがあります。症例を通して新しい知識を
取り入れ,腎臓疾患に対する理解を深めたいです。

一般医家には「腎臓疾患は難しい」というイメージがあります。全身を診なければ病態の理解が難しい面があり,治療についても血圧管理や体重管理,食事療法など気をつけるべき要素が多いため,対応にも難しさを感じます。特に,食事療法についてはCKDの勉強会でも何回かテーマになっていますが,実際に自分たちが患者さんに指導できるほど理解が及んでいるとまではいえません。

また,どの領域も同じかと思いますが,治療にはトレンドがあり,最近では高齢者へのたんぱく制限についてはそれほど厳しく行わない方針が主流と聞きますし,透析患者さんについてもリンを摂り過ぎないよう肉や魚の摂取を減らす指導を厳しくしすぎると低たんぱく状態になるため,低リン食品を上手くつかって調整するようになっていると聞きます。われわれ一般医家は,もともとの専門ではない領域については,なかなか臨床現場で勉強できる機会がなく,専門外の領域について知識が更新されていないことが多々あります。

地域医療連携で専門施設の先生方と情報交換できるのは,われわれにとっては専門外の勉強ができる数少ないチャンスです。紹介した患者さんを逆紹介いただく時には,是非,患者さんの状態や今後の治療方針についてご意見をいただき,どの程度悪化した場合には治療をこう変更したほうがよい,などといった見通しまで教えていただけると大変助かります。専門の先生にはお手間かと思いますが,返書を読むことは勉強にもなりますし,「このように考えて治療をすればよいのか」と学べるのが楽しみなのです。腎臓疾患は理解が難しいと言いましたが,患者さんを通して勉強することで,腎臓疾患に対する理解が深まっていくことを私自身,期待しています。

私も以前は糖尿病の患者さんについて尿検査をせずにフォローしていましたが,「静岡市糖腎防の会」のメンバーとなり,専門の先生方のご意見を聞くことで尿検査の重要性を理解し,現在は尿中蛋白陰性の患者さんにも尿中アルブミン定量検査を定期的に実施するようになりました。地域医療連携で専門の先生とのやりとりが増え,新しい知識が入ってくることで,一般医家の日頃の診療が変わり,地域全体の医療の質の向上につながることが期待されます。

かかりつけ医・医師会

袴田先生からの質問

糖尿病性腎症予防の地域医療連携が
本格的に始動しました。
行政としてはどのような手応えを感じていますか。

行政

深澤さんの回答

始動前に「静岡市糖腎防の会」の
先生方が医師会員の先生方へ丁寧にご説明くださったことで,
順調なスタートを切ることができました。

静岡市は特定健診が開始された時から,クレアチニンを検査項目に入れ,腎機能低下を早期に発見し保健指導・受診勧奨を行う取り組みを医師会,病院とともに行ってきました。一方で糖尿病に関しては,特定健診受診者のHbA1c値をみると,保健指導から受診勧奨に至る方が増加傾向にありました。糖尿病性腎症の予防が必要であると強く感じていたところへ,静岡県立総合病院の森典子先生からお声がけがあり「静岡市糖腎防の会」に参加することができました。その半年後に厚生労働省から「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定について」の通知が出されました。この通知をきっかけに,糖腎防の会の先生方の協力を得て,静岡市民のための静岡市版のプログラムが策定できました。

この「静岡市糖尿病性腎症重症化予防プログラム」による地域医療連携の取り組みは,2017年4月から静岡市国保を対象に開始されました。現在,行政が保健指導・受診勧奨を行った患者さんが少しずつ一般医家の先生のもとを訪れています。本プログラムは,未受診者・治療中断者ばかりでなく,対象者の抽出基準に該当する方は治療中の方でも,お手紙を患者さんから診療されている先生方にお渡しすることになっています。また,尿中アルブミン定量測定をしてほしい,必要な方は専門施設に紹介してほしい,はがきを返送してほしいなど,お願いごとが多いため,日常診療でお忙しい一般医家の先生から苦情があることも覚悟していましたが,現在のところそういった反応は寄せられていません。それは本プログラムの連携を開始するにあたり,森先生が静岡医師会と清水医師会の会合に足を運んでプログラムの意義を説明してくださったり,袴田先生が旗振り役となって医師会で積極的に広報してくださったりと,医師会会員の先生方にご理解いただけるよう力を尽くしてくださったからです。特に袴田先生はご自身が連携に積極的に参加され,医師会としての方向性を体現してくださっています。現在,プログラムの中で先生方から行政に返送されるはがきが増えており,本プログラムの順調なスタートを実感し大変励みになっています。

今後も一般医家の先生方のご理解とご協力により本プログラムを広め,糖尿病性腎症による新規人工透析導入患者数が減少,そして健康維持ができるよう地道にアプローチしていきたいと思います。

行政

深澤さんからの質問

静岡市ではかかりつけ医に通院中の方も基準を満たせば
保健指導や受診勧奨の対象になりましたが,
診療現場ではどのような変化がありましたか。

かかりつけ医・医師会

袴田先生の回答

ハイリスクの基準を満たす患者さんは
専門施設への受診を促すなど,連携への意識が高まりました。

これまで特定健診では,糖代謝異常,血圧高値,脂質代謝異常が認められた未受診の方に市の保健師による保健指導・受診勧奨が行われてきました。つまり,従来はかかりつけ医がいる場合には,行政からのアプローチはなかったわけです。今回の「静岡市糖尿病性腎症重症化予防プログラム」による地域医療連携では,HbA1c 6.5%以上の方は,医療機関の未受診者のみならず,受診中断者,通院中でもハイリスク者には保健指導および受診勧奨がなされます。さらに,対象者には,「尿中アルブミン定量検査を実施し紹介基準に該当する方は専門施設へ紹介してほしい」と記載された依頼状持参での受診が促されるという点で,1歩も2歩も踏み込んだ内容になっているといえます。

それはある意味,通院患者さんの血糖コントロール不良を指摘されているようで,なかには気を悪くされる先生もいるかもしれません。ただし,コントロール不良というのは,医師の治療がうまくいっていない場合だけではなく,患者さんの協力が得られなかったり,急速に悪化するタイプの方であったりすることも多いと思います。そうした患者さんをかかりつけ医で抱え込まないことは患者さんのためにも重要であり,本プログラムでの行政の介入は専門施設受診のよいきっかけになると思います。その意義については,われわれ医師会の人間が会員へ丁寧に説明を続けていく必要がありますし,一例でも連携がうまくいき有効であるとの感触が得られれば,みな前向きに取り組むようになるのではないかと思います。専門の先生から治療のアドバイスをいただき,自身の診療の幅が広がれば,連携が患者さんにも自身の診療技術にもプラスになると必ず理解していただけるはずです。また,本プログラムでは市役所にはがきを返送し,受診率や専門施設への紹介率,尿中アルブミン定量測定率,糖尿病性腎症による新規透析導入患者数について定期的に評価がなされることになっています。連携の成果がかたちとしてみえてくれば,より多くの先生方の心に響くと思います。

医師会にはさまざまなお考え,立場の先生がおられ,全員が足並みを揃えることの難しさは感じますが,ここ10年で地域医療連携は大きく進展した印象があります。専門施設の先生方と医師会員,行政担当者の顔の見える関係ができつつありますので,糖尿病性腎症予防の地域医療連携も今後ますます発展することを期待しています。

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