KYOWA KIRIN

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腎臓専門医,糖尿病専門医,かかりつけ医が
それぞれの立場からお互いの診療技術・スキルを解説します。

  • 腎臓専門医の立場から

    和田 健太朗

    日本鋼管福山病院 内科 腎臓専門部長/
    透析センター長/臨床工学室長

  • 糖尿病専門医の立場から

    大石 菜摘子

    医療法人社団大仁会
    大石病院 内科・
    消化器内科・糖尿病内科

  • かかりつけ医の立場から

    住井 賢吾

    住井内科 院長

腎臓専門医

和田先生からの質問

糖尿病患者さんを
指導するコツを教えてください。

糖尿病専門医

大石先生の回答

患者さんがご自身の生活を振り返ることで,
積極的に治療に取り組めるよう支援しています。

当院では診察室の患者さんの背中側の扉に,食材1単位の量を掲示しています。そうすると聴診のため患者さんが後ろを向いた際に,必ず掲示が目に入るので,そのタイミングを見計らって食事の量などについてお話しています。掲示する食材は,患者さんに実感をもって受けとめてもらえるよう,秋にはカキやリンゴ,冬にはお餅というように,季節に合わせた内容にしています。

また近年では高齢者のフレイルが問題になっていますが,高齢者は簡単に食べられる菓子パンやお茶漬けといった,炭水化物中心の食事に偏る傾向があります。ご自分で調理するのが難しい方も多いので,糖尿病患者用の出来合いのお弁当をご紹介することもありますが,「味が合わない」とか「飽きる」という理由で,長続きしないケースが少なくありません。こうした患者さんにはたんぱく質不足を補うために,納豆,豆腐,刺身といった調理の手間がかからない食材を具体的にご紹介することを心がけています。食事の内容については,「ごはんを食べていますか」ではなくて,「おかずを食べていますか」とお尋ねしています。

糖尿病患者さんの指導で難しいと感じるのは,同じようにお声がけしてもすぐに行動が変わる方と,そうでない方がいらっしゃることです。こうしたお声がけに関して最近私自身が変わってきたと思うのは,私が話す時間よりも,患者さんが話す時間が長くなってきたということです。最初の頃はお伝えしたいことが沢山あるので,こちらからの情報提供が中心になっていましたが,今では患者さんに1ヵ月間を振り返っていただいて,今日の血糖値はどうだったかとか,それをどう思ったかについてお尋ねしています。そうすると「やっぱり食べ過ぎた」とか,「実はあれがいけなかった」というお話が出るので,相手の自主性や行動力を引き出すコーチングの手法を取り入れて,患者さんのお話をオウム返しでお伝えします。これを繰り返すと患者さんが自ら,問題点に気づき「果物を控える」とか,「運動に取り組む」と目標を決めてくださるようになるので,それを記録して次回の指導に繋げています。

しかし近年では,患者さんとのコミュニケーションだけでは解決できない問題も浮上しています。それは,高齢の患者さんが末期腎不全に近づいてきたときに,ご家族が近くにいらっしゃらないと,透析導入の判断ができないことです。こうしたケースでは,年末年始やお盆といったご家族が集まる時期に,患者さんの状況を説明した書類をお渡しして,ご相談していただくことをお願いしています。当院の患者さんにも,独居や老老介護の高齢者が増えていますので,今後は全国で同様な問題が起きてくるのではないかと思います。

糖尿病専門医

大石先生からの質問

ESAが投与されているCKD患者さんは,
どの段階で腎臓専門医にご紹介すればいいですか。

腎臓専門医

和田先生の回答

高用量のESAが必要な患者さんは,
eGFRの程度によらず一度ご相談ください。

赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis stimulating agents;ESA)を使い始める時期は症例によってかなり幅があり,同じ糖尿病性腎症でも腎性貧血の程度によって早期からESAが必要になるケースがある一方で,かなり進行してもESAが必要にならないケースもあります。ですから一概に判断することはできませんが,高用量のESAが必要な患者さんは,推定糸球体濾過量(eGFR)の程度によらず一度腎臓専門医にご相談いただいたほうがよいと思います。そのほかにも,蛋白尿の程度が激しい患者さんや,透析の家族歴がある患者さんは,将来透析が必要になるリスクが非常に高いことに注意が必要です。特に高度蛋白尿が出ていて,それが1回だけでなく3ヵ月くらい続く場合は,早期に腎臓専門医にご紹介いただくことをお勧めします。

それからESAを使用する際には,適切な用量が投与されているか注意を払うことが重要です。今日ではESAが広く使用されていますが,実際には用量が不適切であるため,貧血が改善されていない患者さんがかなり大勢いらっしゃいます。こうした事態を改善するには,定期的に血液検査を実施して,目標とするヘモグロビン(Hb)値の達成を確認することが重要です。ESAは高価な治療であることを考えると,使用するのであれば,貧血を確実に改善することが望まれます。

さらに患者さんをご紹介いただく場合は,6ヵ月以上の準備期間が必要となります。尿毒症が重症化してからのご紹介では,シャントを作らず緊急透析を行うことになるので,そうしたケースでは入院期間が長引きますし,死亡率も高まります。インフォームド・コンセントに関しても,透析患者さんは癌の患者さんよりも難しい面があるので,時間をかけた信頼関係の構築が必要です。同じように透析を導入するにしても,事前にきちんとした教育や治療を受けた患者さんと,コミュニケーションがとれないまま透析を開始した患者さんでは,QOLや予後が全く異なってきます。

腎臓専門医に患者さんをご紹介いただいた場合に,必ずしもすべてのケースで透析が回避できるわけではありません。しかし透析に入るまでの期間をできるだけ延長して,場合によっては透析に入らず天寿を全うできる患者さんを増やしたいと思っています。そのためには,腎臓専門医,かかりつけ医,糖尿病専門医が知識を共有し,CKDの進展を抑制するための介入を早い時期から開始することが重要です。われわれ腎臓専門医は,こうした早期介入の効果に大きな期待を寄せています。

かかりつけ医

住井先生からの質問

CKD保存期の治療管理で,
気を付けるべきポイントを教えてください。

腎臓専門医

和田先生の回答

保存期の段階からリンやカルシウムの異常に
注意を払っていただくことをお勧めします。

患者さんがCKDを発症された際に最初に行っていただきたいのは,お薬を見直すことです。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や一部の抗菌薬は,CKD患者さんに使用すると腎障害を引き起こすことも懸念されるので,できるだけ中止あるいは使用量を抑えることが推奨されます。また,普段使っている血圧のお薬が,腎機能に悪影響を及ぼしている可能性があることにも注意が必要です。特に動脈硬化症が進展している高齢者では,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などの降圧薬を投与しすぎると,腎血流量が低下して腎機能が低下することがあります。高齢のCKD患者さんでは,高血圧もよくありませんが,血圧の下げすぎにも注意が必要です。

CKD患者さんでは,心腎連関という言葉があるように,心臓の疾患に注意を払うことも,重要なポイントです。CKDの中でも糖尿病性腎症は,心血管イベントを発症するリスクが非常に高いので,普段から心電図や心エコーをチェックしておくことが大切です。心臓の働きがしっかりしていないと,末期腎不全を発症しても透析ができなくなってしまうので,心臓を守る治療を心がけるとよいと思います。

こうした治療として私がお勧めしているのは,保存期の段階からリンやカルシウムの異常に注意を払うことです。特に糖尿病性腎症では,血管の石灰化が進行しやすいので,リンやカルシウムの血中濃度を測定しながら食事療法や薬物療法に取り組むことが望まれます。リンやカルシウムは安価な検査ですが,意外と測定されていないケースが多いので,是非日常診療に取り入れていただきたいと思います。

CKD患者さんでは,ポリファーマシーを避けることも大切です。その対策として私は,近年注目されているmultimorbidityつまり「多疾患罹患」の問題を踏まえて,漢方薬を活用しています1, 2)。これは,1人の患者さんが多数の病気を合併している場合は,一番重要なところにフォーカスして,そうでない部分はまとめて治療するという考え方に基づいています。複数の成分を含む漢方薬はCKDの治療に取り入れやすく,患者さんの希望があれば八味地黄丸(はちみじおうがん)や七物降下湯(しちもつこうかとう)を処方しています。

また,フレイルやサルコペニアを防止するためには,運動も重要です。従来CKDでは安静が必要といわれていましたが,最近は適度な運動はQOLを高めると考えられており,透析患者さんもジムに通っていたり,透析中の足漕ぎ運動が広く行われるようになっています。ですから保存期のCKD患者さんには,ウォーキングのような軽く汗ばむ運動を週3回30分間程度実施することや,ヨガやストレッチといった柔軟運動を取り入れることを勧めるのもよいと思います。

References

  1. 1.和田健太朗. 透析で使う漢方薬―患者のQOL向上のために. 東京 : 中山書店 ; 2008.
  2. 2.和田健太朗. 透析医のための漢方薬テキスト―西洋医学で対応しきれない透析合併症に漢方で挑む!. 東京 : アトムス ; 2018.
腎臓専門医

和田先生からの質問

かかりつけ医の先生は
さまざまな疾患を診療されていますが,
CKDの診療についてどのようにお考えですか。

かかりつけ医

住井先生の回答

学生時代には腎臓が苦手でしたが,
今ではCKDの診療に積極的に取り組んでいます。

実は私は学生時代に腎臓を一番苦手にしていまして,専門を決める際にも腎臓を避けて,肝臓・消化器を選択しました。その理由は,当時腎臓病の薬はステロイドくらいしかなく,治療が非常に難しかったためです。その頃は腎臓のことを,ブラックボックスのようによくわからない臓器であると思っていました。しかし近年では,腎臓病の治療が進歩したことで,コントロールできない病気という印象はなくなりつつあります。腎臓病の病態やメカニズムに関しても研究が進み,興味深い発見が相次いでいます。ですから私も腎臓に対する興味が高まり,今ではCKDの診療に積極的に取り組むようになりました。

福山市では2014年度からCKD予防対策が開始され,特定健康診査などの結果が基準値以上の方には,かかりつけ医への受診を勧める通知が届くようになりました。この通知が赤い用紙であることから,多くの患者さんがその色に触発され,急いで当院を受診されます。こうした方々がすべて介入の対象になるわけではありませんが,病識がないままCKDが進行してしまうことを防ぐには,有用な取り組みであると思います。

CKD患者さんの診療を行うにあたって助けになっているのは,日本腎臓学会によって作成される「CKD診療ガイド」が,改訂を重ねる度にわかりやすくなっていることです。われわれかかりつけ医にとっては,コンパクトでシンプルなガイドラインや診療ガイドが使いやすいので,今後もそのようなテキストが増えることを期待しています。

さらに腎臓がご専門の槇野博史先生(岡山大学学長)が,当院に近接する寺岡記念病院で,月1回外来を担当されているのも心強いことです。槇野先生には,CKDが進んできた患者さんの併診をお願いしており,貧血の管理などについてアドバイスをいただいています。もしCKDが非常に重症化した場合は,岡山大学にご紹介することになりますが,これまでそうした対応が必要になったケースはほとんどありません。

CKD患者さんの診療を行っていてつくづく感じるのは,私が医師になった30年前に比べると,医療が格段に進歩していることです。当時は,β遮断薬を心不全に使ってはいけないとされていましたし,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬も腎不全には禁忌でした。C型肝炎もその頃発見されましたが,今では寛解が達成されるようになっています。腎不全に関しても現在いろいろな治療法が開発されているので,近い将来,低下した腎機能の回復が可能になるのではないでしょうか。こうした進歩についていくには,われわれかかりつけ医は常に研鑽を積む必要があり,今後も新しい知識を積極的に吸収していきたいと思います。

糖尿病専門医

大石先生からの質問

CKDの診療で注意されていることや,
心がけていることについて教えてください。

かかりつけ医

住井先生の回答

かかりつけ医として患者さんの立場に立った
診療や指導を心がけています。

CKD患者さんは糖尿病や高血圧を合併していることが多いので,まずは血糖,血圧,脂質をきちんと管理することに力を入れています。食事に関しては塩分制限が重要ですが,あまり厳格に制限して食欲がなくなってしまうのも問題ですので,バランスを考えながら指導するようにしています。

CKDの診療で悩むのは,高齢者で異常が発見された際に,どこまで積極的に介入すべきかということです。わが国では80歳以上の4割以上がCKDを合併しているので1),こうした方々への介入については,常に自問自答を繰り返しています。食事制限に関しても,自分がそういう状態になった場合は,腎臓専門医の先生に怒られてしまうかもしれませんが,美味しいものを食べて過ごしたいと考えてしまうと思います。透析件数が増えるのは医療経済的に問題ですが,そこは患者さんに近いかかりつけ医として,悩みが多いところです。

高齢のCKD患者さんに対して当院では,まずはお薬の見直しを行って,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を中止しています。それから脱水を防ぐために,十分に水分を摂っていただくよう指導しています。これらはいずれも基本的な内容の取り組みですが,幸いなことに今までの診療の中で,透析が必要になった患者さんはほとんど経験していません。何例かの80歳以上の高齢者では,血清クレアチニンが3.7~3.8mg/dLにまで上昇しましたが,透析導入は免れています。これらの方々は,痛みがあってもNSAIDsは服用しませんし,減塩にも積極的に取り組んでいます。今後もこうした患者さんを支えて,透析を必要とせず元気で過ごせる期間を延ばしていきたいと思います。

CKDの診療で難しいのは,自覚症状がほとんどないので,患者さんが病識をもてないことです。心血管イベントのリスクも高まりますが,それも実際に起きるまでは,患者さんに不都合は生じません。ですから血清クレアチニンが3.0mg/dLを超えても,「自分は大丈夫だ」と主張する方もいらっしゃいます。このような患者さんにはリスクを正しく認識していただくため,「このままでは透析になってしまいますが,それでもいいのですか」と,率直に申し上げています。本来は過剰に不安を与えることを避けるため,「透析にならないように頑張りましょうね」とお話するのですが,それでは伝わらないケースもあります。こうした対応にはマニュアルがないので,その加減が難しいところです。

References

  1. 1.日本腎臓学会 編. CKD診療ガイド2012. 東京 : 東京医学社 ; 2012.
かかりつけ医

住井先生からの質問

「糖尿病教室」と糖尿病友の会「オレンジ」の
活動内容や取り組みについて教えてください。

糖尿病専門医

大石先生の回答

医療スタッフが中心となって,
患者さんを支えるための講演会や食事会を
開催しています。

「糖尿病教室」では病気に対する理解を深めてもらうために,1時間の講演会を2ヵ月に1回の割合で,年に6回開催しています。テーマは毎年ほぼ固定しており,糖尿病や合併症について私が2回,食事について管理栄養士が1回,薬について薬剤師が1回,フットケアや低血糖について看護師が1回,運動について運動療法士が1回講演を行います(https://www.oishi-hp.or.jp/)。参加者は毎回20~30人で,その多くは当院の患者さんとそのご家族ですが,患者さん同士のつながりで他院の患者さんが参加されることもあります。

「オレンジ」は日本糖尿病協会「友の会」の組織で,会員の方には「月刊糖尿病ライフ さかえ」(日本糖尿病協会編)を配布しています。活動の内容は,食事会の開催,ウォークラリーへの参加,オレンジ通信によるレシピの紹介などがあります。「オレンジ」の会員の大部分は,「糖尿病教室」にご参加いただいている当院の患者さんですが,他院からのご紹介で入院された患者さんが退院後も「オレンジ」だけには参加したいということで,入会されているケースもあります。

「オレンジ」の活動の中で最も好評を博しているのは,食事会です。こうした食事会は当初年に2回開催していましたが,予約がすぐに埋まってしまうので,今では同じメニューを2回繰り返すことで年4回に増やしています。内容は毎回バラエティをもたせるようにし,ある年はバイキング形式にして患者さんに食事を盛りつけていただいた後,管理栄養士が適正な量とバランスをチェックしました。その結果,盛りつける量が多すぎる患者さんだけでなく,少なすぎる患者さんがいらっしゃることがわかりました。そのほかにも,患者さんが普段使っているお茶碗にご飯をよそっていただき,重さを量って指導を行いました。おでんを作った年もありましたが,おでんの食材は塩分が多く野菜が少ないので,管理栄養士が玉ねぎやトマトを入れるなどの工夫を紹介しました。

「糖尿病教室」や「オレンジ」の活動で中心的役割を果たしているのは,管理栄養士,看護師,薬剤師,理学療法士といった医療スタッフです。糖尿病は診断して治療を開始するまでは医師が中心ですが,患者さんにとってはその後の糖尿病を抱えながら生活していく期間が,人生の大部分を占めることになります。こうした患者さんの普段の生活を支えていくには,医師よりも医療スタッフの力が重要ですので,彼らが存分に活躍できる職場にしていきたいと考えています。

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