KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

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腎臓専門医,保健師,管理栄養士(行政)がそれぞれの立場から,
診療技術や地域におけるCKD対策の現状について解説します。

  • 腎臓専門医の立場から

    甲斐田 裕介

    久留米大学医学部
    腎臓内科講師/
    副医局長/教育主任

  • 保健師の立場から

    中津 純子

    筑前町役場 健康課
    健康推進係 保健師

  • 管理栄養士の立場から

    酒見 眞由美

    筑前町役場 健康課
    健康推進係 管理栄養士

腎臓専門医

甲斐田先生からの質問

行政として,CKD対策で
積極的に取り組んでいることは何ですか。

保健師

中津さんの回答

CKD重症化予防のため,
個別面談や特定健診の受診勧奨のほか,
若年層を対象とした啓発活動を行っています。

私たち健康推進係は特定健診の結果によって糖尿病,高血圧,慢性腎臓病(CKD),脂質異常症の各病態別に優先順位をつけ,重症化予防の対象者を明確化しています。最優先は未治療の重症者で,2017年度は約120名の対象者に結果説明会を行いました。まず対象者にはがきを郵送し,結果説明会において管理栄養士と保健師が個別面談を実施します。面談は1時間を基本に,対象者の背景に合わせて臨機応変に対応しています。面談では特定健診の結果をフィードバックし,相談にのりながら食事療法の計画などを立て,重症化の予防に努めています。そのほか,重症化予防対象者には訪問や電話による個別の保健指導も実施します。また定期的にレセプトチェックを行い,必要なときにはかかりつけ医と連携しながら,対象者に関わるようにしています。

対象者を把握するには特定健診の受診率を向上させる必要があります。そこで受診していない対象者の特徴を把握し,年度ごとにターゲットを絞って特定健診の受診を呼びかけてきました。また2017年度より特定健診の受診勧奨ハガキの作成を外部機関に委託し,より広い対象に啓発する取り組みも開始しました。

さらに行政が展開する運動事業として,歩数計やラジオ体操グッズの配布,各種運動教室や夜間利用が可能な運動スペースの提供などにも力を入れています。運動スペースの提供は,2016年度より開始。昼間の参加が難しい人に配慮して夜間(18~21時)にスペースを解放し,エアロバイクやゴムチューブ,ボールなどを使った手軽な運動を自由に行っていただいています。運動スペースには運動指導士が常駐しているため,時間内のミニレッスンで運動グッズの活用法や自宅での応用を学ぶこともできます。現在は50代,60代の中高年の方が中心ですが,20代の参加者も少しずつ増え始めています。

久留米大学腎臓内科の深水先生,甲斐田先生をはじめ,腎臓内科の先生方とつながりをもたせていただくようになり,これまでさまざまな対策にご尽力いただいています。今後は町内の医療機関にも協力を仰ぎ,幅広くCKD連携を推進していきたいと考えています。

保健師

中津さんからの質問

腎代替療法の説明時期と内容について
教えてください。

腎臓専門医

甲斐田先生の回答

説明は,CKDステージG4に至った時点から。
家族の方も含め,適切な選択ができるよう丁寧に説明します。

今回(2018年)の診療報酬改定では,腹膜透析や腎移植の推進に資する取り組みや実績などを評価することが盛り込まれ,腎代替療法の選択について患者さんに十分な説明を行うことが重要視されています。血液透析だけでなく腹膜透析,腎移植についてもきちんと説明することが大事です。

腎障害進展予防と腎代替療法へのスムーズな移行CKDステージG3b~5診療ガイドライン2017にも,「CKDステージG4(GFR15~30mL/分/1.73m2)に至った時点で,公平かつ適切な透析療法および腎移植に関する準備のための情報提供を本人および家族に行うことは,腎代替療法開始後の生命予後を改善するのでこれを推奨する」と明記されています1)。また介入時期については腎代替療法の開始が必要となる6~12ヵ月前に情報提供を行うことで,腎代替療法の導入後の生命予後が改善することも報告されています2,3)

つまり説明の時期については,CKDステージG4に至った時点,もしくはあと1年くらいで腎代替療法が必要だろうと考えられた段階となります。特に,透析療法を経ずに移植を受ける先行的腎移植(pre-emptive kidney transplantation;PEKT)に関しては,術前評価に時間がかかることもあり,またeGFR15mL/分/1.73m2以上で移植リストにのった患者群が,有意に移植後の生命予後が良好であるなどの報告4)もあることなどから,早い時期での介入が望ましいです。また近年高齢化にともない1人暮らしや要介護状態のCKD患者さんも増加し,治療同意能力が低下していることから,患者さん個人のみならず家族を含めて十分な説明のうえで治療選択を行う必要があります。

最近では,多くの施設で腎代替療法選択外来などが設置されてきています。久留米大学病院でも腎代替療法選択に特化した入院パスを作成し,1週間程度で血液透析,腹膜透析,腎移植について患者さんや家族に勉強していただくシステムを構築しています。

References

  1. 1.腎障害進展予防と腎代替療法へのスムーズな移行 CKDステージG3b~5診療ガイドライン2017. 日腎会誌. 2017; 59: 1093-216.
  2. 2.Roderick P, et al. Nephrol Dial Transplant. 2002; 17: 1252-9.
  3. 3.Lin CL, et al. Ren Fail. 2003; 25: 455-64.
  4. 4.Fissell RB, et al. Nephrol Dial Transplant. 2012; 27: 3321-9.
管理栄養士

酒見さんからの質問

地域医療における
腎臓専門医の役割は何ですか。

腎臓専門医

甲斐田先生の回答

CKDの原因精査から腎代替療法の導入まで,
主に3段階に分かれます。

CKD診療において腎臓専門医の役割としては,主に3つの段階に分かれると思います。

1つめが血尿,蛋白尿,腎機能低下などの原因精査です。特に血尿,蛋白尿の患者さんを早期に紹介していただいた場合,腎生検で原疾患を特定することが可能です。腎生検を行い,早い段階でIgA腎症などを診断することで治療につながり,進行を抑制することができます。近年,慢性糸球体腎炎による透析導入患者が減少してきていますが1),IgA腎症の多くは無症状で,健康診断などの尿所見異常で発見されることが多いです。IgA腎症などを早期発見・治療することで,さらに透析患者さんを減らすことができると考えます。

2つめは腎機能低下の進行抑制,保存期腎不全の管理です。ガイドライン2)では「わが国においては戦略研究(FROM-J)により多職種によるチーム医療がCKDステージG3の腎機能保持と受診率の向上に有効であるとの結果が示されている」とされており,特に最近では腎臓専門医を含めた,専門の看護師,管理栄養士,薬剤師などによる多職種によるチーム医療でCKD患者に関わることがCKDの進行抑制につながると考えられます。専門のCKDチームとかかかりつけ医の橋渡しを行っていくことも,腎臓専門医の役割のひとつです。かかりつけ医とCKDチームが力をあわせてCKD診療に取り組んでいくことで,確実に透析予防につながります。

3つめの役割は腎代替療法(血液透析[HD],腹膜透析[PD],腎移植)の導入です。残念ながら腎機能が低下し,透析療法が必要となった場合に患者さんや家族に腎代替療法についてきちんと説明し,療法選択の機会を与えること,緊急導入を回避することも専門医の大事な仕事です。仮に腎代替療法が必要になった場合でも腎専門医が適切な時期に関わっていくことで,腎代替療法の導入後の患者さんの生命予後を改善します。

References

  1. 1.日本透析医学会 統計調査委員会 編. 図説 わが国の慢性透析療法の現況(2016年12月31日現在). 東京; 2016.
  2. 2.腎障害進展予防と腎代替療法へのスムーズな移行 CKDステージG3b~5診療ガイドライン2017. 日腎会誌. 2017; 59: 1093-216.
腎臓専門医

甲斐田先生からの質問

これまでの行政の取り組みにおいて,
どのような課題がありますか。

管理栄養士

酒見さんの回答

遠方の病院との連携や,若年層への啓発などが
今後解決していきたい課題です。

重症化予防の対象者以外でも,「病院でたんぱく質とカリウムを制限しなさいと言われましたが,どうすればいいですか」と困って相談に来庁される方がおられます。病院で受けた栄養指導の理解が十分でなく,また家庭での調理に戸惑いを感じる方が少なくないようです。管理栄養士が栄養アセスメントを行う際にはまずスクリーニングを行い,その後ガイドラインに沿って栄養指導を進めていきますが,遠方の規模の大きい病院とは連携をとることがなかなか難しく,正確な検査結果を知るのは難しい状況です。

また町内に腎臓専門医がいないため,専門医の意見を聞いて指導を行えないという不安があります。食事指導の際に塩分制限についてもお話しますが,利尿薬を処方されている方,特に高齢者での塩分制限は低ナトリウム血症のリスクがあります。専門医に適宜相談し,指示を仰げる体制を構築するため,現在甲斐田先生にご相談しています。

毎年開催しているCKD予防講演会は若年層の取り込みを目指していますが,現状では70代以上の高齢者の参加が主となっています。3歳児健診時にお母さんにも血圧測定を実施するなどの取り組みを継続的に行っているものの,20 ~30代の若い世代はご自身のことよりも子育てが忙しく,CKD予防講演会に足を運んでいただく余裕はなかなかないようです。CKD予防講演会を子ども向けのタイトルにして小学校でチラシを配布し,保護者の方に参加いただきやすいよう日曜日に開催したこともありますが,残念ながら保護者よりも学校関係者が多いという結果でした。若い世代に関心をもってもらう難しさを実感しています。

CKD予防のためには,若年からの教育・意識づけが非常に重要です。3歳児健診時にはカルシウム豊富なおやつを提供し,カップ麺の塩分量を試験管で視覚化して展示する試みを実施しています。また小学4年生を対象とした授業では健康な体づくりの意義を理解してもらい,子どもが親を巻き込むかたちでCKD・生活習慣病に意識を向けてもらえればと考えています。そのためにも3歳児健診および小学校での授業を受けた児童を今後フォローし,その結果を医療にフィードバックしていくことも重要ではないかと考えています。

保健師

中津さんからの質問

食改善推進員さんは,
どのような取り組みを行っていますか。
また,今後取り組みたいことを教えてください。

管理栄養士

酒見さんの回答

塩分0.6%の味噌汁を提供するなど,感じて
「わかる」減塩推進スキルアップ事業に取り組んでいます。

筑前町の食改善推進員は現在12人おり,食に関するさまざまな取り組みを行っています。日常の食生活において,特に問題となるのは塩分の摂取量です。日本では1日の塩分摂取量は男性は8g未満,女性は7g未満が目標とされていますが1),実際にはそれより多く摂取している方が多いのが実情です。

食改善推進員の減塩推進スキルアップ事業では,食改善推進員が家庭訪問し,味噌汁の塩分濃度チェックや,1日の塩分摂取量と野菜摂取量に関するアンケートを実施しています。また,住民健診時に塩分0.6%の味噌汁を提供し,ご自身の家庭での味と比較してもらっています。0.6%味噌汁の提供を今年度は6回実施し,計430名の方に提供しました。

ただ,単に「減塩しましょう」や,「塩何グラム」と言ってもピンとこない方も多いと思います。カップ麺などに含まれる塩分量や,塩分1gを含むフードモデルを展示して目で見てわかるようにし,男性8g未満,女性7g未満にするために心がけなければいけないことや,和食は健康によいとされるが,塩分を摂りすぎる傾向にあるので注意が必要なことなどをお伝えしています。市販のだしの素には食塩やブドウ糖などが添加されているものもあり,知らないうちに塩分や糖分の摂取量が増えていることもあります。そこで,簡単なだしの摂り方と1回の味噌の量のほか,飲み物に含まれる砂糖の量や食品に含まれる塩分,1日に摂るべき野菜の量なども展示して説明しています。また,年1回適塩(減塩)料理教室で,1食塩分2g未満の食事を体験していただいています。

3歳児健診時には,保護者に3歳児に食べてもらうとよいおやつについて紹介し,試食(現在,筑前町特産のクロダマルを使ったおやつを試作中)をお渡ししています。また,3歳児の野菜の量を大人の量と比較して展示するほか,スナック菓子と同カロリーのバランスよい食事をカロリーカードで示して,油やカロリーの摂りすぎに注意し,バランスのよい食事をしてもらえるよう説明しています。

2018年度からは,保健師が実施している地区の出前講座の血圧測定に同行し,塩分1gが含まれるフードモデルを使った減塩の説明や,適塩(減塩)味噌汁の提供を実施したいと考えています。また,学校との連携がとれれば,朝食の欠食を防ぐため,朝食の大切さや,子どもが作れる簡単な朝ごはんのメニューを伝える食育活動をしていきたいと考えています。

References

  1. 1.厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2015年版). 2015.
管理栄養士

酒見さんからの質問

会って指導したいけれど
対象者の反応が乏しく会えない場合には,
どのように関わっていけばよいでしょうか。

保健師

中津さんの回答

まずは相手に心をひらいていただくことが大切。
一人ひとりに合わせたアプローチを丁寧に行うよう
心がけています。

「病院に通っているから大丈夫」「指導は必要ない」「自分の身体は自分が一番わかっている」などと,住民の方が私たち保健師の関わりを拒否するケースはよくあります。

こうした方たちに保健指導をさせていただくには,まず相手に心をひらいていただくことが必要です。拒否感をもっていらっしゃる方に,しつこく電話をかけたり訪問したりしても不快にさせてしまうだけなので,レセプトで医療機関の受診状況や服薬内容を確認するほか,場合によってはかかりつけ医に連絡して具体的な状況を確認するなどしています。そして,たとえすぐに保健指導が実現できなくても,町が主催している運動教室や講演会のお知らせをする名目で機会をみつけて電話や訪問をし,「あなたのことを気にかけていますよ」というアピールはするようにしています。そうして定期的に連絡をし,相手が少しずつ心をひらいてくれるのをじっくりと待ちながら,こちらの顔をなるべく覚えてもらえるよう努力します。

健診の数値が悪かったにもかかわらず,その後に医療機関の受診につながっていない方も同じです。腎機能などの数値が悪い人を放っておくことはできませんので,いったん拒否されることがあってもいろいろなかたちで関わりをもてるように工夫し,誠意が伝わるよう努めています。

住民に一斉に送付する通知でも,気になる人には私は一言メッセージを添えて送るようにしています。講演会のお知らせなど,ぜひ来てほしいけれど来てくれないだろうなと思うような人には,「お待ちしています」などと手書きのメッセージを添えるだけでも,受け取ったときの印象は変わるのではないでしょうか。多くの方に関わらせていただく中で,時間的にも労力としても大変なこともありますが,できるだけ一人ひとりに丁寧に関わっていきたいと思っています。

その方の性格や反応,生活状況によって関わり方を変えることも大切です。訪問,電話,呼び出し,手紙など,関わるための手段はいくつかあるので,相手の方の事情に合わせて臨機応変に対応しています。また,町内には腎専門医が不在です。町内の医療機関と久留米大学腎臓内科,行政とが上手に連携して対象者に関われるよう,今後は,CKD連携も進めていきたいと考えています。

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