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Dr.Interview

Dr.interview ドクターインタビュー

CKDからOnco-nephrologyまで
腎臓病診療全般を請け負い

地域の基幹病院で癌治療拠点病院 都立駒込病院腎臓内科の取り組み

CKDからOnco-nephrologyまで
腎臓病診療全般を請け負い

地域の基幹病院で癌治療拠点病院 都立駒込病院腎臓内科の取り組み

都立駒込病院が位置する文京区には,複数の大学病院がひしめき合う。その中で同院が果たす役割は,基幹病院として地域医療を支えること。さらに,高度な診療機能を備えた癌およびHIVをはじめとする感染症治療の拠点病院としても,重要な役割を果たしている。こうした背景のもと同院腎臓内科は,地域の医療機関や院内のさまざまな診療科と連携して,幅広い腎臓疾患を診療している。都立駒込病院腎臓内科医長太田哲人氏に,同科の取り組みについてお話を伺った。

  • 太田 哲人

    太田 哲人

    がん・感染症センター 都立駒込病院 腎臓内科 医長

    1999年山形大学卒業。東京医科歯科大学第二内科入局。2001年横須賀共済病院腎センター勤務,2003年東京医科歯科大学医学部附属病院腎臓内科,2008年同大学大学院医歯薬総合研究科卒業。2011~2013年英国ダンディ大学留学,2013年東京医科歯科大学腎臓内科助教。2014年から都立駒込病院腎臓内科,同年より現職。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医,日本腎臓学会腎臓専門医,日本透析医学会透析専門医・指導医。

地域医療連携と院内連携で患者を支える

都立駒込病院腎臓内科では,常勤医3名と非常勤医3名が診療を担っている。病床数は15床で,腎生検,教育入院,腎代替療法の準備などに使用される。同科医長の太田哲人氏は腎臓専門医を目指した理由について,「内科の研修医としていろいろな診療科を回った際に,2つの小さなソラマメみたいな形をした腎臓が,体内の恒常性を精密にコントロールしていることに大変驚き,魅力を感じました。そして,この臓器についてもっと勉強したいと思ったのです」と語る。

都立駒込病院は二次医療機関であり,腎臓内科を受診するのは原則として近隣の医療機関からの紹介患者。最も多いのは同院が立地する文京区の患者だが,北区,荒川区,足立区からも来院がある。特徴は,地域の高齢化を反映して高齢者が多いこと。その典型例が,GFRが低下した腎硬化症の高齢者である。一方で糖尿病患者は,腎臓内科ではなく糖尿病内科に紹介されることが多く,そうした患者の腎症が進行した段階で,同科と連携して診療に取り組む。糖尿病内科との院内連携について太田氏は,「当院は大学病院に比べて診療科同士の垣根が低いので,連携という面ではやりやすいと思います」と話す。

腎臓内科が担うもう一つの重要な院内連携は,癌患者を主科と協力して治療すること。近年では抗癌剤として分子標的治療薬の使用が拡大しているが,治療の経過中に腎障害が発生することがある1)。その対策について太田氏は,「われわれは早い段階で腎障害の発生を検知して,そのまま治療を継続することが可能か,あるいは治療薬などを変更する必要があるかを,主科の医師とお互いに相談して治療方針を決めています。当院は癌の患者さんが多いので,Onco-nephrologyに積極的に取り組んでいます」と説明する。

造血器腫瘍の分野でも都立駒込病院は,造血幹細胞移植推進拠点病院として同移植に取り組んでいる。「造血幹細胞移植では急性腎不全が発生することがあり,そうした場合はわれわれが血液浄化療法を担当します」と太田氏。そのほかにも,手術後に透析が必要になった患者の管理や,透析患者が手術を行う際の術前・術後管理を,腎臓内科が担当するという。

かかりつけ医のもとでの治療継続を支援

2018年2月に日本腎臓学会は,「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」を公表した(https://www.jsn.or.jp/data/180227-001.pdf)。太田氏はこうした紹介に関して,「紹介の時期は,基本的にかかりつけ医の先生のご判断にお任せしていますが,CKDステージG3b前後の紹介が多くなっています。私が医師になった20年前のように,透析導入直前の患者さんが紹介されてくるというケースは,今ではほとんどなくなっています」と説明する。

患者を紹介された後の対応に関しては,「ご紹介いただいた患者さんを,すべて単独で継続診療するわけではありません。かかりつけ医の先生と併診を行って,当科には3~4ヵ月に1回くらいの頻度で来院していただくケースが大部分です」と太田氏。併診が開始された後は,同科が栄養指導と各種検査を実施し,データをかかりつけ医にフィードバックする。気になるデータがあった場合は,「カリウムが上がってきたのでご注意ください。こちらでも栄養指導を強化しました」というような手紙を添え,かかりつけ医に連絡するという。

薬の管理はかかりつけ医の希望に沿うかたちで対応し,要請があれば同科がESA 製剤(erythropoiesis stimulating agent)の注射を行う。太田氏はこうした連携における基幹病院の役割に関して,「CKDステージG3aからG3bがかかりつけ医の先生と併診を行う段階で,G4 以降になると当科の診療がメインになると考えています。われわれは患者さんがかかりつけ医の先生のもとで,できるだけ長く治療を受け続けることを支援したいと思っています」と語った。

もっと栄養指導の活用を

かかりつけ医からの要請で最も多いのは,栄養指導の実施である。太田氏も,「栄養指導はわれわれの重要な役割の一つであると考えています」という。同科は原則として1~2週間の教育入院を行った後に栄養指導を実施しており,その内容は塩分,たんぱく質,カロリーの管理が基本である。「CKDステージG3b 以降の患者さんは,ほぼ全例に栄養指導を行っています」。

栄養指導の効果に関して太田氏は,「当科では診察前に血液検査を行い,その結果を確認しながら指導ができるので,患者さんは何が原因で検査値が変化したかを理解しやすく,生活習慣改善への動機づけの面で効果が期待されます」と説明する。「CKDのステージが進むと,高カリウム血症などの電解質異常が出現して治療に難渋しますが,こうした問題は栄養指導を入れることでかなり防止できます。かかりつけ医の先生には早い時期に患者さんをご紹介いただいて,栄養指導を活用していただきたいと思います」。

腎代替療法に関して幅広い選択肢を提示したい

腎不全が進行して腎代替療法が避けられなくなった場合,患者への説明をかかりつけ医が行うべきか,それとも腎臓専門医が行うべきかは,難しい問題である。太田氏はこうした説明について,「基幹病院が腎代替療法の選択肢を提示するほうが,スムーズではないかと思います」という。「CKDステージG4くらいの時期から準備を開始すれば,血液透析以外の選択肢を患者さんに提示することができます。当科の患者さんは高齢者が多いので,かかりつけ医の先生が在宅医療を担当する場合は,血液透析よりも腹膜透析が適しているケースがあるのではないでしょうか。われわれも,患者さんとの関係を構築していく必要があるので,早めの紹介をお願いしたいと思います」。

HIVに対する社会の誤解を解くために

太田氏らはHIV感染患者に対しても,透析導入を行っている。しかしその後の維持透析を引き受けてくれる施設を探すことに,苦労しているという。HIVは感染力が弱く,針刺し事故による感染率はB型肝炎やC型肝炎に比べてもかなり低いが2),日本では依然として誤解が多い。

こうした現状を変えていくため太田氏らは,透析クリニックを対象とした勉強会を開催し,HIVに関する最新情報を伝達している。また医療スタッフに針刺し事故が起きた場合は,責任をもってサポートすることを約束している。「HIVに対する社会の誤解を解いていくことも,われわれHIV感染患者を診療している医療者の重要な使命であると考えています」。

引用文献

  1. 1. 太田哲人. 医薬ジャーナル. 2016; 52: 2079-85.
  2. 2. CDC MMWR. 2001; 50: RR-11.
Dr.interview ドクターインタビュー

病気ではなく
患者と向き合った
糖尿病治療を実践

寄り添う指導で患者を支える
都立駒込病院糖尿病内科の取り組み

病気ではなく
患者と向き合った
糖尿病治療を実践

寄り添う指導で患者を支える
都立駒込病院糖尿病内科の取り組み

糖尿病患者は癌を発症するリスクが高く,癌は慢性腎不全を含む血管障害を抜いて糖尿病の死因第1位となった1)。都立駒込病院は癌治療の拠点病院であり,同院糖尿病内科は,癌患者の糖尿病治療に豊富な臨床実績を有している。しかし同科の役割はそれだけにとどまらない。地域の基幹病院として糖尿病の病診連携を積極的に推進する。都立駒込病院糖尿病内科部長片栁直子氏に,同科の取り組みについてお話を伺った。

  • 片栁 直子

    片栁 直子

    がん・感染症センター 都立駒込病院 糖尿病内科 部長

    1991年東邦大学卒業。同大学第一内科入局,学位取得。1996年都立駒込病院糖尿病内科勤務,2008年同院糖尿病内科医長に就任,2017年より現職。日本内科学会指導医・認定医,日本糖尿病学会専門医。

人間が好き だから糖尿病の診療が面白い

都立駒込病院糖尿病内科は病床数6床,常勤医3名,非常勤医2名,研修医1名の体制で診療に臨んでいる。部長として同科を統括する片栁直子氏は,糖尿病診療に従事することになった経緯を次のように話す。「私は大学で内分泌学を専攻し,当院にも内分泌科の医師として着任したつもりでした。ところが実際に来てみると,糖尿病の患者さんがたくさんいたのです。それで最初は仕方ないかという気持ちをもちながら診療を開始したのですが,実はこれが自分に大変合っていました。私はもともと人間が好きで,患者さんがどんな人で,どんな暮らしをしているのか,そしてどんな手助けがあれば一番上手くいくかを考えるのが,とても面白かったのです。自分がわがままな性格なので,そういう人でも治療に取り組める方法を考えるのは誰よりも得意です」。

糖尿病内科を受診する患者の内訳は,地域の医療機関からの紹介が2~3割,残りは癌やHIVを他科で治療中の患者。癌患者の糖尿病を診療する機会が多いことが同科の特徴で,従来こうした治療の目的は,手術に向けて血糖値を改善することであった。しかし近年では,癌患者の生存率が向上したことにともない,長期予後を見据えた血糖管理が求められるようになった。癌患者と向き合う際に片栁氏は,「手術が上手くいったのに糖尿病で具合が悪くなったら,手術してくれた先生に申し訳ないよね。一緒に頑張って,長く元気でいましょう」と語りかける。「癌の患者さんは血糖値が改善すると,とても喜んでくださいます。ご自分の病気が良くなることに,希望を見出しているのだと思います」。

糖尿病透析予防指導への取り組み

糖尿病内科では糖尿病透析予防指導を50~60名の患者さんに毎月もしくは隔月に実施し,年間約600件実施している。年間約600件実施している。本指導の対象となる腎症2期(早期腎症期)は,治療への取り組みがおろそかになりやすく,腎臓が悪くなり始める時期。そこで片栁氏は最初に,「腎症は5期(透析療法期)になると透析ですが,今はまだ2期。冥土の土産に腎症2期を持っていきましょう」と話すという。その目的は,患者のやる気をそがずに緊張感を高めること。必ず「透析」に言及する一方,予防に取り組めばQOLが改善することを伝える。

糖尿病透析予防指導が必要と判断された患者には,可能であればその日から指導を開始する。管理栄養士が食事について指導した後に,看護師が生活面の指導や服薬状況の確認を行い,最後に医師が診察する。「この順番は,"反省","目標設定","報告"という役割分担を反映しています」と片栁氏。管理栄養士のもとで食事について"反省"し,看護師のもとで次回の受診に向けて"目標"を決め,最後にその内容を医師に"報告"するという役割分担だ。

糖尿病透析予防指導で片栁氏が重視するのは,実行可能なプランを策定して,具体的な指導を行うこと。「食事が作れず毎日外食している患者さんを指導する場合は,よく行くお店のメニューを入手して,何を食べればいいかを一緒に考えます。アイスクリームを1日に5個食べる患者さんを指導する場合は,いつ食べるかを確認して,まずは4個に減らすことを提案します。指導者の理想ではなく,患者さんができることを優先するようにしています」。

患者を不安にさせないために

糖尿病性腎症の食事療法では,腎症の進行とともに総エネルギー量とたんぱく質量がダイナミックに変化する。糖尿病治療ガイド(日本糖尿病学会編)も腎症3期から4期に移行すると,総エネルギーが25~30から25~35kcal/kg標準体重/日,たんぱく質が0.8~1.0から0.6~0.8g/kg標準体重/日へと推奨値が変わる2)。しかし片栁氏は総エネルギーを,3期と4期の両方に当てはまる30kcal/kg標準体重/日前後として指導を継続している。その理由を「当院の患者さんは高齢者や癌患者が多いので,それほど厳しいたんぱく制限は行いません。また急に指導内容を変えると患者さんは,今まで頑張ってきたことが否定されたという失望と,病気が進行したという不安を抱きます。ですから指導内容に一貫性をもたせ,付け加えのコメントとして『少しくらいであれば食べ過ぎても大丈夫ですよ』とお伝えしています」と説明する。

糖尿病透析予防指導では患者の生活に介入していくため,指導者と患者との距離が近づく。距離の近さは,患者の積極的な取り組みを促す重要な要因である一方,かかりつけ医への逆紹介に際して患者が不安を感じることがある。片栁氏は,「逆紹介する場合は,ご紹介先の医院を私が知っていることを患者さんにお伝えしています」という。そして,「糖尿病の治療では,自分の生活に文句をつけられる。先生との相性が悪ければ人間同士なので仕方がない。戻ってくれば紹介状は100回まで書くから大丈夫」と約束して,患者を送り出している。

糖尿病と診断された時点で患者教育を実践 かかりつけ医に戻したい

糖尿病専門医に患者が紹介されるタイミングには,2つのピークがある。一つは初めて糖尿病と診断されたタイミングで,もう一つは合併症が出現したタイミングだが,圧倒的に多いのは後者。こうした現状について片栁氏は,「日本の保険診療を維持するには,医療費削減が重要な課題です。そのためには糖尿病と診断された時点で患者さんをご紹介いただき,教育してお戻しする取り組みを推進したいと思います」と早期紹介の重要性を強調する。

かかりつけ医が紹介を躊躇することが多い高齢者に関しても,「高齢者にはそれほど厳しい指導は行わないので,心配せずご紹介ください。いつ頃までに患者さんを戻してもらいたいかをお知らせいただければ,その時期を終了の目安として患者さんにお伝えして,指導に取り組みます」と片栁氏。さらに同氏は手話が得意で,聴覚に障害のある方,手話通訳者対象の勉強会も計画しており,聴覚に障害のある方の紹介も歓迎するという。また日本語を話さない患者に対しては,看護師がいろいろな言語の教材を準備している。「われわれのアピールポイントは,患者さんとのコミュニケーション力です。どんな患者さんでもご紹介いただければ,最善を尽くします」。

最後に片栁氏は,自身の診療スタイルについて次のように語った。「私が一番重視しているのは,患者さんが自信をもつことです。薬だけで血糖値が下がっても,それは患者さんの自信につながらないし,長期的にもよくありません。私は単純な人間なので,患者さんが頑張って『よしできた』と喜ぶと,自分も嬉しくなるのです。それが私自身のモチベーションにもつながっています」。

引用文献

  1. 中村二郎 他. 糖尿病. 2016 ; 59 : 667-84.
  2. 日本糖尿病学会 編・著. 糖尿病治療ガイド2018-2019. 東京: 文光堂 ; 2018.

KK-18-08-23148

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