KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

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腎臓専門医,糖尿病専門医,看護師,管理栄養士がそれぞれの立場から,
診療・指導技術について解説します。

  • 腎臓専門医の立場から

    太田 哲人

    がん・感染症センター
    都立駒込病院
    腎臓内科 医長

  • 糖尿病専門医の立場から

    片栁 直子

    がん・感染症センター
    都立駒込病院
    糖尿病内科 部長

  • 看護師の立場から

    井奥 真里

    がん・感染症センター
    都立駒込病院
    看護部

  • 管理栄養士の立場から

    竹内 理恵

    がん・感染症センター
    都立駒込病院
    栄養科 科長

糖尿病専門医

片栁先生からの質問

糖尿病内科から腎臓内科に
患者さんを紹介してほしい基準(紹介基準)について
教えてください。

腎臓専門医

太田先生の回答

糖尿病性腎症3期あるいは
CKDステージG3aあたりで
患者さんをご紹介いただき,G3bからは腎臓専門医が
主体的に診療を行っていくのがよいと思います。

基本的には糖尿病専門医の先生が患者さんを診療されていて,何かお困りになったタイミングでご紹介いただければよいと考えていますが,それはおそらく尿蛋白が増え始める糖尿病性腎症3期(顕性腎症期)や,GFRが低下し始めるCKDステージG3aあたりではないでしょうか。そして患者さんをご紹介いただいた場合は,一度こちらで診察させていただき,問題がなければ「このまま治療を続けてください」とか,「クレアチニンがこれくらいになったら改めてご紹介ください」とお伝えします。

一方で糖尿病専門医と腎臓専門医の併診が必要と判断された患者さんは,定期的に腎臓内科を受診していただきながら,糖尿病内科と併診していくことになります。そのとき問題になるのが,どこまでが糖尿病専門医が主体的に診療を行う時期で,どこからが腎臓専門医が主体的に診療を行う時期かということです。

こうしたタイミングは患者さんの置かれている状況や,同じ病院内での連携か否かによって変わってくると思いますが,基本的にはCKDステージG3aまでは,長年患者さんを診療している糖尿病専門医の先生が中心的役割を果たすのが,患者さんにとっても好ましいのではないでしょうか。

一方,GFRが45mL/分/1.73m2を切ってCKDステージG3bに進んでしまった場合は,腎臓専門医が薬剤の管理も含め中心的役割を果たしていくのが,双方の専門医にとって望ましい役割分担ではないかと思います。私は患者さんのスムーズな移行は,医療連携を円滑に進めるうえで,非常に重要なポイントであると考えています。できるだけストレスなく患者さんに受診していただけるよう,日頃から密なやりとりを心がけています。

また,急速な腎機能低下などがあった場合は,糖尿病性腎症以外の腎疾患が潜んでいる可能性もありますし,近年では,典型的な糖尿病性腎症ではないものの,発症や進展に糖尿病と何らかの関係がある腎症が注目されています。少しでも「おかしいな」と感じたら,いつでも紹介していただければと思います。

腎臓専門医

太田先生からの質問

糖尿病性腎症のどのステージで
腎臓内科との併診が必要でしょうか。
また腎臓専門医に期待する点を教えてください。

糖尿病専門医

片栁先生の回答

糖尿病性腎症3期からは併診が
必要と考えています。腎臓専門医の先生には,
薬物療法のコントロールをお願いしたいと思います。

併診に関しては,顕性アルブミン尿が出始めた糖尿病性腎症3期からは,腎臓専門医の先生と一緒に患者さんを診療していくことが必要だと考えています。さらにそれ以前の段階でも,尿アルブミン値がいきなり上昇したり,GFRが急激に低下したりした場合は,患者さんに必ず翌週も続けて来院していただき,変化が持続していた場合は一度腎臓内科を受診していただくようにしています。

そのほかにも,私は,患者さんの性格や背景によっても,腎臓内科にご紹介する時期が違ってくると考えています。たとえば治療に取り組む意欲が低下している患者さんの中には,ショック療法の意味で腎臓内科を受診していただくと,モチベーションが高まって血糖コントロールが改善する方がいらっしゃいます。特に,誰か支えてくれる方が身近にいらっしゃる患者さんは,いったんショックを受けても周りのフォローで立ち直れるので,早めに腎臓内科を受診していただくようにしています。一方で一人暮らしの男性のように,周囲の支援が得られにくいケースは,ショックにとても弱いことがあるので,治療意欲が消失しないよう注意を払いながら,必要に応じて腎臓内科の受診を進めています。

腎臓専門医の先生に特にお願いしたいことは,薬物療法のコントロールなどです。貧血やカリウムといった腎不全合併症の管理も,腎臓専門医にお任せするべきだと考えています。また,血糖と血圧の厳格な管理は,CKDの進行抑制には非常に重要です。併診が始まる時期になると,血圧管理の重要性が増してくるので,降圧薬の調整も腎臓専門医にお願いしたほうがよいと思います。さらに尿酸や脂質異常症も,薬剤の投与が必要になった段階では,腎臓専門医に管理をお願いしたいと考えています。一方われわれ糖尿病専門医は,インスリンや経口血糖降下薬の調整を担当するというのが,両者にとって好ましい役割分担ではないでしょうか。

高齢の方は,これら以外にも他科などで複数薬剤を処方されていることが多く,注意が必要です。みんなで協力して患者さんの全身状態の管理をしていけたらと考えています。

管理栄養士

竹内さんからの質問

糖尿病性腎症では糖質についてどのように
指導したらよいですか。また年齢や運動量によって
指導を変えているかについて教えてください。

腎臓専門医

太田先生の回答

当科の患者さんは高齢者や
癌患者が多いので,糖質の摂取量を
増やさざるを得ないような厳格なたんぱく制限や,年齢や
運動量によって指導を変えることは原則的に行っていません。

糖尿病性腎症の食事療法は,腎症が進行してたんぱく制限がかかってくると,体を合成している体たんぱく質が分解しないように十分なエネルギー摂取量を確保することが必要になります。そうすると代替するエネルギー源として,糖質の摂取量を増やさざるを得なくなるのですが,こうした摂取で今度は糖尿病を悪化させる懸念が浮上するのが,難しいところです。

しかし当科を受診される糖尿病性腎症の患者さんは,高齢者や癌患者が多いので,腎症が進行しても0.6g/kg標準体重/日のような厳格なたんぱく制限は実施していません。大部分のケースでは0.8g/kg標準体重/日,場合によっては1.0g/kg標準体重/日程度のたんぱく制限にとどめています。このためたんぱく制限の影響を考慮して,糖質の摂取量を増やさざるを得ないという状況にはなっていません。

また糖尿病性腎症以外のCKDに関しても,低栄養を避けるという意味で,0.6g/kg標準体重/日のような厳格なたんぱく制限は行わないケースが多いです。特に高齢者は一生懸命食事療法に取り組んでくださることが多いので,むしろたんぱく質やエネルギーの摂取が不足してしまわないよう注意を払っています。過剰なたんぱく制限でサルコペニアやフレイルといった問題が生じてQOLが低下したり,生命予後が悪化したりしないよう配慮が必要です。

年齢や運動量による指導の違いに関しては,若くて肥満の糖尿病患者さんのような場合は,厳格なカロリー制限が必要であると思います。しかし当院ではそうした患者さんは,糖尿病内科で指導を受けていることが多く,腎臓内科の患者さんは大部分が65歳以上の高齢者です。ですから今のところ,年齢によって指導内容を変えることはしていません。また運動量に関しても,身体活動量の高い方はエネルギー摂取量を増やす必要がありますが,当科の患者さんは散歩など日常生活を維持する程度の運動が精一杯という方が多いので,指導を変えるまでにはいたっていないのが現状です。

もちろん,腎機能の状態によりますが,透析に移行する可能性を見極め,そのほかの疾患を引き起こす可能性とのバランスをとりながら指導を行うことが大切だと思います。

腎臓専門医

太田先生からの質問

慢性腎臓病(CKD),糖尿病性腎症の
患者さんへ栄養食事指導を行ううえで,
どのような点を意識して指導されていますか。

管理栄養士

竹内さんの回答

栄養食事指導において
最も重要なポイントは,患者さんご自身が
その食事療法を無理なく続けられるかどうかです。

栄養食事指導では,初回指導時に食生活の聞き取りをします。ご家族と同居されている患者さんの場合,食事を作っている方にもできるだけ同席いただき,現状の食事内容を評価・指導していきます。ただし,最初から厳しい制限をいくつも課すのではなく,まずは患者さんの生活に合わせて,「次回までにこれだけはやってみましょう」「これはできそうですか」と確認・相談し,最低限行う必要がある改善点を少しずつ指導していくようにしています。

個別の栄養食事指導としては,高血圧や浮腫の改善を目的とした食塩制限が重要です。対象患者さんは比較的高齢者が多く,ご本人は減塩しているつもりでも実際にはできていないことが少なくありません。指導時に「食塩も醤油も控えています」と話していても,具体的な食事内容を聞くと,ごはんと塩鮭,漬物といった内容で食塩過剰であったりするのです。また加工食品に含まれる塩分が考慮されていないことも多く,ハム・ソーセージや蒲鉾などの練り製品は,食塩量を確認して食事に取り入れていただく必要があります。減塩製品も「減塩醤油だから大丈夫」と過剰に使用してしまわないよう,計量して覚えるようにお伝えしています。

また,高齢者のたんぱく制限では,エネルギー摂取不足による栄養不良に陥らないように注意が必要です。エネルギーが不足するとたんぱく異化亢進が起こって窒素代謝物が増え,糸球体過剰濾過が進行するため,たんぱく価の高い動物性たんぱく質食品を選んでいただくようにしています。脂質制限・糖質制限に慣れた糖尿病患者さんは意識的に脂質・糖質を控えてしまい,エネルギーが不足しがちです。ご飯の量がとれる患者さんは,低たんぱく米やたんぱく調整ごはんをうまく利用し,その分肉や魚などのおかずを増やして脂質と糖質でカロリーを補うよう指導します。カリウムは,たんぱく制限が適正であれば,程度にはよりますがそれほど厳しくする必要はないと考えています。

栄養食事指導において最も重要なポイントは,患者さんがその食事療法を無理なく続けられるかどうかです。独居で料理をしない高齢患者さんに対しては宅配腎臓病食や援助型宅配サービスの利用をお勧めすることもあります。宅配食のごはんやおかずを残して治療食品で調節するなど具体的な食事のとり方を説明しています。

看護師

井奥さんからの質問

患者さんのモチベーションの上げ方で
工夫していることや,指導が上手くいく患者さんと,
指導効果に乏しい患者さんの特徴について教えてください。

糖尿病専門医

片栁先生の回答

患者さんを否定せず,
共感することを心がけています。
ご自身の失敗談を話していただけるようになれば,
指導が上手くいきます。

患者さんのモチベーションの上げ方に関しては,指導がマンネリ化することを避けるため,"びっくりポイント"をたくさん作っています。最初は緊張感をもって取り組んでいても,同じような内容の指導を継続していると患者さんにもだんだん慣れやだれが出てきてしまうものです。そこで,たとえば教育入院や腎臓内科の受診などの刺激を適当な時期に取り入れることで,患者さんに治療に対する意欲を保ってもらえるようにしています。

また,診療の際には患者さんに共感して,絶対に否定しない姿勢を大切にしています。血糖コントロールが悪化したときは,患者さんは必ず何かを食べ過ぎているので,その原因を患者さんご自身がわかっている場合には,それ以上駄目を出すことはしません。しかし,患者さんが原因をわかっていない場合は,それがわかるまで30 分かけても一緒に考えます。何をどのくらい食べたのか丁寧に聞き取りを行い,インターネットの通販などで食料品を購入している患者さんの血糖コントロールが悪化したときは,購入履歴を一緒に調べて,原因を突き止めたこともあります。

指導の効果に関しては,上手くいくのはコミュニケーションが取れる患者さん,上手くいかないのはコミュニケーションが取れない患者さんです。ここでいうコミュニケーションとは,会話ができるか否かではなく,心を開いて本当のことを話せるか否かです。たくさん話をしても,ご自身の失敗については話せないという方がいらっしゃいます。患者さんの失敗を絶対に責めないようにしているつもりですが,話してくれない患者さんからみると,私の態度のどこかにそんな気配があるのかもしれません。こうした患者さんとのコミュニケーションをどのように取っていくかが,現在の私の最大のテーマです。

私は糖尿病の医師というのは,隣のおばちゃんのような存在がいいと思っています。話しやすくて,いろいろなことをちょっとよく知っているけれど,いかにも医師らしくはしていないおばちゃんです。患者さんにとって話しやすくないと,どうして血糖コントロールが悪化したかもわからず,こちらも根本的な指導はできません。ですから「医者にはみえませんね」というのが,私にとって最高のほめ言葉です。

糖尿病専門医

片栁先生からの質問

糖尿病透析予防指導において
患者さんのモチベーションを上げる方法,
工夫について教えてください。

看護師

井奥さんの回答

「医師や看護師に会いたい」と思っていただくことが
一番のモチベーションになると考えています。

糖尿病透析予防指導では,最初に患者さんの1日の生活サイクルを把握し,改善できそうなところを一緒に考えていきます。間食が多いのであればなぜ多いのか,その原因を一緒に探り,患者さんと同じ目線で改善策を考える過程も重要です。たとえばご近所の寄り合いでお菓子を食べながら談話していた患者さんのケースでは,その寄り合いに参加すること自体をやめてしまうのではなく,医療者からの「間食を控えましょう」というお手紙を談話の場に持参していただきました。すると寄り合いのリーダーの方が「お菓子を持ち寄らないように」と皆さんに話してくださったらしく,その月から患者さんの血糖値が大幅に改善したのです。

糖尿病患者さんは「検査データが悪いと怒られるのでは」と固い表情で来院されることが多いのですが,「先生や看護師に会いたい」と思っていただくことが一番のモチベーションになると考えています。そのため,当院の予防指導では何か1つでも指導したことができていたら,「よく頑張ったね」と褒めることを心がけています。また指導時に検査値だけで判断せず,「何か日常生活で困っていることはありますか」「頑張ったことはありますか」と具体的にお聞きしています。「はい」「いいえ」で終わってしまう質問は避け,患者さん自身の言葉で話していただくようにすると患者さんの表情も徐々に柔らかくなります。また,私の苗字は珍しいので,まず名前を覚えてもらうために「"独身だけどいい奥さん"で覚えてくださいね」と自己紹介して,皆さんの緊張を和らげるようにしています。

指導の際,家庭での食事内容や血圧を記録したノートを持参していただくのですが,当院ではお返事の代わりに「OK」「ファイト!」「その調子」といったハンコを押してお返ししています(クリニカルパス・その他ツール 参照)。また,高齢の患者さんには,「お薬の残量を確認してください」「食事量が少ないので増やしてください」といった具体的な指示を手紙に記載して預け,帰宅後ご家族にお渡しいただくようにしています。

私たちのモットーは,自分にできないことは患者さんにも強制しないこと。高齢の患者さんなら「自分の親にできるだろうか」と考えてから指導します。指導といっても上から押し付けるのではなく,患者さんと同じ目線で「いい方法はないでしょうか」と一緒に考えていく関わり方を心がけています。

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