KYOWA KIRIN

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施設紹介

地方独立行政法人

市立東大阪医療センター

腎臓専門医が少ない東大阪市で果たすCKD診療の中核病院としての役割

〒578-8588 大阪府東大阪市西岩田3-4-5 https://www.higashiosaka-mc.jp/

施設紹介
  • 中田 裕人

    腎臓内科 部長

    1998年愛知医科大学卒業。同年大阪大学第一内科腎臓内科入局。2000年国立大阪病院(現 大阪医療センター),2001年りんくう総合医療センター,2002年NTT西日本大阪病院,2003年関西労災病院,2005年国立循環器病センター,2009年大阪厚生年金病院腎臓内科医長,2012年関西労災病院腎臓内科医長,2013年同病院腎臓内科副部長,2017年4月より市立東大阪医療センター腎臓内科部長。日本内科学会認定医,総合内科専門医,日本腎臓学会専門医・指導医,日本透析医学会専門医・指導医。

  • 原田 環

    腎臓内科 血液浄化部長

    2002年奈良県立医科大学医学部卒業。同年大阪労災病院腎臓内科,2005年国立病院機構大阪南医療センター腎臓内科,2006年東大阪市立総合病院(現 市立東大阪医療センター)内科,2009年同病院腎臓内科医長,2011年より同科主席部長,腎臓内科血液浄化部長兼任。2018年より市立東大阪医療センター腎臓内科血液浄化部長。日本内科学会認定内科医,日本透析医学会専門医,日本腎臓学会専門医・指導医。

東大阪市は人口約50万人。大阪市および堺市の両政令指定都市に次ぐ,大阪府内第3位の人口を擁している。しかし,同市でCKD診療に従事する腎臓専門医は10名前後と少なく,診療を普及させるには地域医療連携の推進が喫緊の課題となっている。病床数547床の中核病院である市立東大阪医療センターは,地域連携パス作成や講演会開催を通して,かかりつけ医との連携強化に積極的に取り組む。腎臓内科部長の中田裕人先生と腎臓内科血液浄化部長の原田環先生に,市立東大阪医療センターの取り組みについてお話を伺った。

東大阪市には医療機関未受診のCKD患者が多い

はじめに,腎臓内科をご専門とされた理由を教えていただけますか。

中田 腎臓は小さな臓器というイメージがありますが,全身の体液や電解質をコントロールするうえで,非常に重要な役割を果たしています。このため腎臓内科では,腎臓だけでなく全身を診ることが重要とされており,そこに大きなやりがいを感じました。

原田 腎臓は循環器の一部であるだけではなく,内分泌,免疫など多様な疾患との関連があります。腎臓内科では,より深く広く医療を学ぶことができるのではないかと考え,同科を志望しました。

ご自身の強みについてお聞かせください。

中田 私はこれまで数多くの病院に勤務してきましたが,いずれの病院もその成り立ちや立地に特徴があり,患者さんの背景や病態に大きな差がありました。幅広い臨床経験を活かして,当院では一人ひとりの患者さんに,最も適した医療を届けたいと考えています。

原田 私は中田先生とは対照的に,当院に長年勤務してきましたので,この地域の患者さんをたくさん診療してきました。今後も,近隣の医院やかかりつけ医の先生と連携しながら,地域に密着した診療を続けていきたいと思っています。

CKD診療における医療環境や,患者さんの特徴について教えてください。

中田 この地域の特徴は,CKD患者数に比べて腎臓専門医が非常に少ないことです。東大阪市には,腎不全保存期から末期までの診療を行っている施設が,石切生喜病院と当院しかありませんので,腎臓専門医は両院を合わせても10名前後にとどまっています。

患者さんの特徴として挙げられるのは,末期腎不全に至ってから来院される方が多いことです。腎臓専門医が少ないので,CKDの管理に関するノウハウが浸透していないのかもしれませんが,それ以前の問題としてこの地域には,本来,健診を受けていれば受診勧奨対象となる状態であるにもかかわらず,医療機関未受診の患者さんが多いことが大きな課題です。こうした患者さんが,糖尿病や高血圧がコントロールされないまま放置され,末期腎不全に進行してしまうという事例が後を絶ちません。

原田 私も東大阪市は,定期健診を受けていない方が多いと感じています。初めて来院された時点ですでに末期腎不全で,緊急的な透析導入が必要となる方がたくさんいらっしゃいます。こうした患者さんは,近隣の医院を受診して当院に緊急紹介されたり,倦怠感や呼吸苦を訴えて当院に直接来院されますが,ご自身が腎不全であることを全くご存知ありません。

中田 この地域の特徴としてもう一つ注目されるのは,ANCA(抗好中球細胞質抗体)関連腎炎が多いことです。理由はよくわかりませんが,これまでに勤務した他の病院に比べて,非常に大勢の患者さんが集積しています。ANCA関連腎炎は,発症頻度は高くありませんが,生命を脅かす可能性がある重篤な疾患です。急速に腎機能が低下するため早期介入が難しいのですが,かかりつけ医の先生にはこういった疾患も念頭に,異常がみられた場合には早めに専門医に紹介していただけるようお願いできればと思います。

腎臓内科および同科血液浄化部の取り組み

腎臓内科および同科血液浄化部では,どのような診療を行っているのですか。

清潔で明るい透析室.主として透析導入期の管理や合併症で入院中の患者の血液透析のほか,血漿交換療法や免疫吸着,LDL吸着などの特殊血液浄化法を行っている.

中田 腎臓内科では,慢性腎不全や腎炎などの腎疾患に加えて,ループス腎炎のような全身性疾患の腎障害を診療しています。さらに当院は癌患者さんが大勢受診されるので,抗癌剤の副作用である腎障害の予防や治療を腎臓内科が担当しています。6名の医師で,毎月200~300例の外来患者さんを診療し,年間の腎生検数は40~50件です。

原田 当院は急性期病院であることから,血液浄化部では透析導入期の管理をお引受けし,維持透析は近隣の透析クリニックをご紹介しています。特殊血液浄化療法としては,持続血液透析濾過(CHDF),血漿交換,免疫吸着,エンドトキシン吸着,LDL吸着,白血球除去などを実施しています。維持透析の患者さんが手術などで入院された際には,主科と連携して診療にあたります。こうした連携で多いのは,心臓のカテーテル治療や検査で入院される患者さんの透析を担当することです。スタッフは,腎臓内科の医師が当番制で診療を担当し,透析専属看護師が4名,腎臓内科専門病棟の看護師が数名,臨床工学技士10名のうち2~3名が交替で担当しています。病床数は15床,年間透析導入数は70~80件で,うち10件以上が緊急導入です。こうした緊急の透析導入は依然として多く,特に冬場は循環器系合併症を発症して透析導入される患者さんが多くなります。

透析導入を担う病院として,どのような注意を払われていますか。

原田 腎代替療法の選択肢には,血液透析以外にも腎移植や腹膜透析があり,特に腎移植は透析治療を経ずに早い段階で実施することも近年では増えてきています。当院では腎不全教育入院時にDVD鑑賞や個別説明を実施するなどして,さまざまな選択肢を早い時期に患者さんにお示しすることを心がけています。

また,透析導入を開始する際には,患者さんのメンタル面をサポートすることに力を注いでいます。具体的には,担当の看護師が訪室して導入前カウンセリングを実施したり,透析中もベッドサイドで適宜説明や指導を行ったりするなど,患者さんに寄り添うかたちでの取り組みを推進しています。

そのほかにも透析導入にあたっては,採血で栄養状態やMBD(骨ミネラル代謝異常)を評価したり,心エコーや腹部エコーで合併症を検査するなど,導入後もスムーズな診療を続けられるための対策を講じています。また尿毒症や呼吸不全などでADLが低下した患者さんには,適宜リハビリを実施しています。

透析導入が完了した後は,維持透析をお願いする透析クリニックをご紹介します。その際には,患者さんに複数の施設を見学してもらい,ご希望に沿うクリニックを決めていただきます。通院が困難な患者さんには,入居可能な維持透析施設をご紹介しています。

高齢者への透析導入について,どのようにお考えですか。

原田 年齢が高いから透析導入できない,あるいはしないほうがよい,ということはありません。しかし認知症の患者さんに関しては,透析導入することでQOLが向上すればいいのですが,必ずしもそうでないケースがあることが問題となっています。

認知症の患者さんに透析導入が予測される場合,当院ではあらかじめご家族との話し合いを行って,患者さんをサポートする体制や,ご家族の考え方を確認しています。その結果,透析導入を選択するか否かはさまざまで,はじめから透析は行わないと判断されるご家族もあります。またいったん透析導入を希望しても,自己抜針などが繰り返され,透析自体がリスクになってしまう場合は,途中で継続を断念せざるを得ないケースもあります。

保存期腎不全患者に向けた「腎不全教室」「腎不全教育入院」
透析患者に向けた「透析教室」を開催

保存期腎不全の患者さんに対する,教育の取り組みについて教えてください。

中田 当院では患者さんがご自身の病気について理解を深め,積極的に治療に取り組んでいただくことを目的として,外来での「腎不全教室」と,入院による「腎不全教育入院」を開催しています。

「腎不全教室」では腎不全の症状や検査値について医師が説明を行います。CKDステージ3以降では透析導入までの期間延長が治療の主な目的となることや,糖尿病や高血圧といった原疾患,貧血などの合併症管理が重要であることをお話します。減塩やたんぱく制限の重要性については,管理栄養士が具体例を挙げながら説明します。本教室の開催日は毎月第1・3木曜日で,時間は約1時間半となっていますが,栄養指導は集団指導だけでなく,毎回の診察後に個別指導も実施しています。

「腎不全教育入院」では1週間程度入院していただいて,食事療法や日常生活での注意点について指導を行うとともに,合併症を精査します。特にCKDが進行した患者さんは,循環器疾患などの合併症を抱えていることが多いので,教育入院へのご参加をおすすめしています。

透析患者さんの教育については,どのような取り組みをされているのですか。

原田 透析を導入するというのはどういうことかを理解していただくために,「透析教室」を開催しています。本教室では,透析導入の意義や生活の注意点,ブラッドアクセス管理などについて,医師,看護師,薬剤師,管理栄養士がそれぞれの立場から説明します。開催日は毎月第2木曜日で,時間は約1時間半です。

慢性腎不全地域連携クリニカルパスで地域医療連携を推進

図1 CKD 連携 紹介基準(案)

かかりつけ医の先生からCKD患者さんを紹介していただく基準について教えてください。

中田 大阪府には腎臓専門医が集まって発足した大阪慢性腎臓病対策協議会(O-CKDI)という組織があり,CKDの啓発に向けてさまざまな活動を展開しています。活動のひとつとしてO-CKDIは,日本腎臓学会作成の「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」(表11)に準じるものとして,「CKD連携紹介基準」(図1)を公表しています。大阪府では多くの医療機関がO-CKDIの紹介基準を採用しており,当院もかかりつけ医の先生に,原則として本基準に沿って患者さんをご紹介いただくことをお願いしています。

表1 かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準

慢性腎不全地域連携クリニカルパスを作成されたそうですね。その内容について教えてください。

中田 クリニカルパスの主旨は,東大阪市には腎臓専門医が少ないので,かかりつけ医の先生を支援することでCKD診療を広めていくことにあります(https://www.higashiosaka-mc.jp/community/pass2.html)。本クリニカルパスはスムーズな連携を促すために,腎臓専門医が介入するバリアンスを設定しています。具体的には,予約を早めて受診していただく指標のバリアンスIが,① 進行する腎機能障害(Cr≧1.0mg/dL 上昇),② 貧血の進行(≧1.0g/dL のHb 低下),③ 浮腫増強,④ 体重増加(≧3kg/月),⑤ 管理困難な重症高血圧,⑥ 感染症など合併症の併発です。緊急受診の指標であるバリアンスIIは,① 心不全徴候,② 高カリウム血症(K≧6.0mEq/L以上)です。そのほかにも円滑なコミュニケーションを推進するため,腎臓専門医からのコメントや,かかりつけ医からの連絡事項の欄を設けています。

診療の役割分担は,基本的にかかりつけ医の先生のご希望に沿うかたちで対応しています。薬剤の処方も,ここでは多くの場合,かかりつけ医の先生が担当されていて,調整が必要な場合はご連絡を差し上げています。当院は,かかりつけ医の先生との連携を非常に重視しており,定期的に近隣の先生方をお招きして各診療科が講演を行う,"スクラム会"という取り組みを行っています。

かかりつけ医の先生に対して,どのようなアドバイスをされることが多いですか。

中田 クリニカルパスの運用を開始して約1年になりますが,やはり多いのは薬剤に関するアドバイスです。鎮痛薬のように腎不全への影響が懸念される薬剤が使用されていたり,血圧の管理が不十分である場合には,処方変更や薬剤の追加を提案します。また糖尿病の患者さんは,腎機能が低下すると糖尿病治療薬の調整や変更が必要になるので,その辺についてアドバイスすることもあります。

原田 高齢者の骨粗鬆症にビタミンD製剤が使用されている場合は,急性腎不全に注意が必要だと思います。当院でここ数年の間で薬剤性の急性腎不全で特に多かったのが,ビタミンD製剤からの高カルシウム血症によるものでした。高齢者は血清クレアチニンがそれほど高くなくても,潜在的にCKDのリスクを抱えているので,定期的な血液検査でカルシウムやクレアチニンをモニターすることが重要です。モニターが行われないと,知らないうちに高カルシウム血症が持続し,急性腎不全が発生するケースが増えると考えられます。

地域医療連携の課題と今後の展望

かかりつけ医の先生に望むのはどのようなことですか。

中田 いちばんお願いしたいのは,できるだけ早期に患者さんをご紹介いただくことです。近年ではCKDの概念が普及したことで,以前に比べてご紹介の時期が早まってきましたが,進行してしまってからのご紹介もまだ多く見受けられます。特に蛋白尿は,尿検査を必ず定期的に実施してチェックしていただくとよいのではないかと思います。

原田 私はかかりつけ医の先生が何か気になることがある場合は,紹介基準を満たしていなくても,一度患者さんをご紹介いただければと思っています。それで問題がなければ患者さんをお返ししますし,必要であれば併診させていただきます。必要に応じて専門医にご紹介いただいたり併診したりすることは,患者さんの病識が高まるという意味でも,メリットが大きいのではないでしょうか。

腎臓専門医が早期から介入する意義について,どのようにお考えですか。

原田 早期にご紹介いただいた患者さんは,CKDだけでなく循環器疾患などに対しても,早期対応を行うことができます。一方で,末期腎不全になってから来院された患者さんは,MBDの管理が不十分で,全身の血管石灰化が進行しているケースが少なくありません。こうしたMBD,アシドーシス,貧血の管理というのは,腎臓内科医の重要な役割ですので,やはり早期介入が大事だと思います。

今後の計画や展望についてお聞かせください。

中田 当院は地域連携クリニカルパスを作成したことで,かかりつけ医の先生と連携して,CKD患者さんをスムーズに診療する体制が構築されてきました。今後は本クリニカルパスをさらに普及させるために,最初のステップである紹介の垣根を低くする取り組みを推進していきたいと考えています。また石切生喜病院と連携することで,本クリニカルパスの使用を東大阪市全域に拡大することも検討中です。

市民の啓発に関しては,先ほどご紹介したO-CKDIと関連するかたちで,東大阪市で市民公開講座を開催することを計画しています。当院で緊急的に透析導入を行った患者さんの大部分が,医療機関未受診であったことを考えると,市民の啓発は非常に重要な課題であると考えています。

原田 現在,糖尿病性腎症専門外来の開設に向けて,準備を進めています。糖尿病性腎症は,保存期になると急速に腎機能低下が進行するので,より早期からの進展予防が必要です。外来開設の目的は,患者さんに糖尿病性腎症に関する知識を高めていただくとともに,生活習慣の指導や治療をより積極的に推進することで,腎不全の進行を防止することです。スタッフは担当医の私と,看護師,管理栄養士が各1名で,週1回の外来を予定しています。かかりつけ医の先生が糖尿病性腎症の患者さんを診療されている場合は,ぜひ一度ご紹介いただければと思います。

中田 われわれはこれからもかかりつけ医の先生と連携して,東大阪市における透析導入の増加に,歯止めをかけていきたいと考えています。

腎臓内科のスタッフのみなさん.腎不全教室や透析教室では,医師,看護師,薬剤師,管理栄養士がチームを組み,疾病指導を行う.

Reference

  1. 1.日本腎臓学会 編.エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018.東京:東京医学社;2018.

KK-18-10-23729

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