KYOWA KIRIN

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糖尿病専門医,看護師,保健師がそれぞれの立場から,
糖尿病重症化予防の取り組みや他職種カンファレンスの成果などについて解説します。

  • 糖尿病専門医の立場から

    池島 進

    大館市立総合病院
    内分泌・代謝・神経内科
    部長

  • 看護師の立場から

    畠山 晴美

    大館市立総合病院
    内分泌・代謝・神経内科
    看護師

  • 保健師の立場から

    若松 麻美

    大館市福祉部健康課
    健康づくり係 主査

糖尿病専門医

池島先生からの質問

連携パスを用いた『2人主治医制』に対する
患者さんの反応はどうでしょうか。

看護師

畠山さんの回答

高齢の方が多く,本来の目的や
意義について理解してもらうには時間がかかりますが,
徐々に"当たり前のこと"として根づきつつあります。

糖尿病の合併症は,網膜症でも腎臓でも自覚症状がほとんどなく,症状が出たときにはすでに重症化しているのが一般的です。網膜症については,池島先生が患者さんに,次回の当院受診時までに眼科に行くよう促していますが,失明のリスクについてまったく無頓着な様子の方もいます。なかには,網膜症がかなり進行し,ほとんど見えていない状態で外来に来る方もいて,血糖値のコントロールだけでなく合併症の重症化予防の重要性を理解してもらうことの難しさを感じています。

また,連携パスの目的,『2人主治医制』の意義についても池島先生が診察中に説明し,看護師も補足していますが,反応はまちまちです。しっかり目的を理解している方もいれば,連携先の開業医で「言われたので来ました」と話す方もいるらしく,そういう方は大抵,糖尿病連携手帳を持参して来なかったと開業医の先生から連絡が入ります。

連携パスの対象となっている患者さんが当院を受診されるのは,原則6ヵ月に1回ですが,なかには当院のみの受診を希望する方がいるのも事実です。当院は,敷地内のロータリーに大館市のすべての路線バスが停車し,バスターミナルのような役割も果たしています。足腰が弱い患者さんにとっては,この病院のつくりが便利で,「外来が終わったらロータリーからすぐにバスに乗って帰りたい」という方もいらっしゃいます。特に高齢の,整形外科などを受診されている患者さんには多いです。

ただ,連携パスの導入から4年近くが経過し,徐々に地域で『2人主治医制』が浸透してきていると感じています。患者さんも,普段は開業医で診てもらい,症状が悪化したときは当院が診るというシステムを,当たり前のことと受けとめるようになってきています。

池島先生はよく「具合が悪くなったときは,いつでもこちらで診ますよ」とお話されるのですが,患者さんはその言葉を聞いて安心するようです。実際,合併症が出て当院での入院が必要となった方などは,一時的に『2人主治医制』を中断しますが,状態がよくなれば「戻ります」という方がほとんどです。特に働いている方の場合,開業医のほうが待ち時間が少ないので,通院の負担が減るというメリットも大きいのではないでしょうか。

ずっと当院を受診していた患者さんで,血糖コントロールがよくなって開業医に通い始め,「違う環境で違う先生と,いろいろな話ができてよかった」と言っていた方がいました。『2人主治医制』の導入が,患者さんが治療に対し前向きになるきっかけとなるとよいと思います。

看護師

畠山さんからの質問

糖尿病サポーター制度を通して,
地域に期待することは何でしょうか。

糖尿病専門医

池島先生の回答

医療資源が乏しい大館市で,
1人でも多くの多職種の方が糖尿病への理解を深め,
市全体として対策に取り組んでいくことを期待しています。

大館市立総合病院がこれまでに取り組んできた糖尿病重症化予防の取り組みは,開業医の先生との連携パスの運用,行政と協力した多職種カンファレンスの実施,地域の多職種が参加する糖尿病サポーター制度など,徐々に関わる人が増えてきています。

こうした取り組みの背景には,大館市の医療資源が乏しく,十分な糖尿病診療が行えないことがありました。糖尿病専門医が当院の2名しかいないことに加え,内科系クリニックは医師の高齢化により閉鎖が相次いでいる状況です。

救急患者もある程度は当院で対応可能ですが,高度なレベルなら東北自動車道やドクターヘリ経由で弘前大学医学部附属病院に送ることもあります。大館市では,医療の多くが市内で完結できていないのです。

このような状況を打開するため,まずは地域での効率的な糖尿病診療を目指し,開業医の先生との連携パス運用に着手しました。4年近く運用していますが,開業医の先生の中から尿中アルブミン値の測定を手がける動きが出てくるなど,地域における糖尿病に関する知識や診療のレベルアップという効果も生まれ始めています。

また,地域全体で糖尿病に対する関心が高まりつつある中,行政の保健師の協力を得て,自宅での保健指導を踏まえた多職種カンファレンスもスタートさせました。日頃から地域に密着し,住民と関わっている保健師ならではの視点で,病院スタッフに新たな気づきをもたらしてくれており,重症化予防のためのよりきめ細かな指導に貢献していただいています。

ただ,地域全体のマンパワーが不足しており,今後,透析導入の阻止という明確なアウトカムを達成するには,大館市において糖尿病に関する理解の裾野を広げていく必要があります。そこで重要な役割を果たすのが,日常的に患者さんの身近なところで接している介護・福祉職などの存在です。今後は,医療という枠を越えた職種にも連携の場を広げていけたらと考えています。糖尿病患者さんを取り巻く多職種が,1人でも多く正しい知識をもち,地域全体のレベルを向上していければ,より理想的なかたちで糖尿病診療を提供できるのではないでしょうか。

専門医のいる病院だけが頑張っても,いずれ疲弊して限界がやってきます。これまでの取り組みを維持し,より発展させていくためにも,『糖尿病サポーター制度』を活かすことで,地域連携の輪をさらに広げていけるのではないかと期待しています。

保健師

若松さんからの質問

多職種カンファレンスを行ってみて,
どのような成果を感じていますか。

糖尿病専門医

池島先生の回答

多職種の専門性を活かした
ハイリスクアプローチにより,大館市全体の糖尿病診療の
向上とアウトカム獲得につながっていると実感しています。

これまで,地域ぐるみで取り組む糖尿病重症化予防の一環として,市からの依頼を受け,市民を対象とした公開講座などは何回か行ってきました。一般的な予防法について広く啓発することはもちろん必要ですが,一部には本当にリスクの高い方がいますので,その方たちには別途,ピンポイントで介入していく必要があります。特に,大館市や当院の状況を踏まえると,最小限の資源投入で最大効果を得られるようなハイリスクアプローチの推進が求められていました。

そこで,取り組みの最優先課題として,顕性腎症(腎症3期)以降で5年以内に透析になると予想される患者さんを透析導入ハイリスク患者とし,多職種による積極介入を行って,介入前後のeGFRの変化や透析導入予想時期を遅らせることなどを検証することにしたのです。

透析導入ハイリスク例の抽出には,製薬企業が無償で提供する疾患管理テンプレートを利用し,減塩,脱水予防,薬剤選択の見直しを中心とした積極介入を行いました。それに加え,保健師を含めた多職種カンファレンスを月1回実施し,特にリスクの高い患者さんに焦点を絞って個別アプローチも進めました。

病院内での連携も重要ですが,外部から保健師が加わり,行政との連携を密にしてよかったと思います。看護師や管理栄養士にも,自分たちの指導が患者さんにどのように伝わっているのか,指導の内容が自宅の状況に適しているのか,これまで知り得なかった情報が次々と入ってくるようになりました。それを次の指導に活かすことで,より患者さん個々に合った介入が実現しつつあると思います。

そのことは,介入前後の検証において,明確なアウトカムとして証明されています。『5年以内の透析導入』が想定された患者さんのうち,半数以上で導入想定時期を遅らせることができ,eGFRの低下スピードもかなりゆるやかになりました。透析の年間コストを考えると,おそらく大館市の国民健康保険財政の負担軽減にもつながると期待されます。

それ以外にも,現在,国民健康保険データベースのレセプト分析から,新たなアウトカムが見えつつあります。これらの成果が,糖尿病重症化予防という観点にとどまらず,大館市全体の糖尿病診療の質向上につながっているのは間違いないと思います。

対象を絞ったハイリスクアプローチのアウトカムが地域全体に波及すれば,医療資源に乏しい地域ですので,そのインパクトはより大きなものとなるでしょう。小さな規模から始めた取り組みですが,いま,広く地域に浸透し始め,大きな手ごたえを感じています。

糖尿病専門医

池島先生からの質問

糖尿病重症化予防で
重点的に取り組んでいることは何でしょうか。

保健師

若松さんの回答

CKDの理解を深め減塩への理解と実践を
進めることを重視しています。

大館市では,糖尿病性腎症の重症化予防の取り組みを始めて4年目となりました。病院と違い,市で活用できるデータは年1回行う特定健康診査の受診結果と国保データベースによるレセプト情報しかないため,そのデータから条件を絞ってハイリスク者を抽出し,さまざまなアプローチをしています。

市民と関わる中で感じることは,CKDに対する理解や関心の低さです。血糖や血圧,コレステロールなどはこれまで指導を受けたことがあっても,腎臓に関してはいままで聞いたことがないという方がほとんどで,健診結果もあまり意識していない方が多いように感じます。腎機能に関する情報提供を行いながら,腎症の重症化予防として,減塩の取り組みを進めています。秋田県の塩分摂取量は以前に比べて減少傾向にあるものの,しょっぱい味付けが好まれる土地柄もあって,男性11.6g/日,女性9.6g/日と全国平均(男性10.8g,女性9.2g)を上回り1),県の目標値(8.0g/日,成人)2)に届かない状況です。

秋田県は胃癌や脳血管疾患の死亡率も高く,そうした観点からも減塩の取り組みは積極的に進めていかなくてはなりません。塩分の摂取量を減らせれば腎機能低下が抑制でき,附随してカロリーコントロールも可能となります。そこで,広く市民のみなさんに「糖尿病も減塩が大事」と呼びかけていますが,住民のみなさんにとって糖尿病は,高血圧などと違ってなかなか減塩に結びつきにくいようです。

大館市では,池島先生から依頼を受けた患者さんの自宅を訪問し,保健指導を行っていますが,病院で減塩を指導された患者さんでも,自宅での実践は難しいようです。そのため,患者さんと一緒にその日に食べたものの内容を細かく確認し,推定塩分摂取量を見ながら,自宅での減塩につなげられるよう工夫をしています。ある程度生活の中に踏み込んだ指導をしないと,日々の食事の改善は難しいと痛感しています。

秋田県は現在,健康寿命が全国でも下位のほうに位置していますが,10年間で「健康寿命日本一」を目指すと宣言しています。糖尿病重症化予防への取り組みもその中の重点課題ですので,地域住民の健康づくりに広く貢献していきたいと考えています。

また,大館市国民健康保険加入者の特定健診受診率は,全国や秋田県の平均を大きく下回っています。糖尿病重症化予防の取り組みを進めるにあたり,特定健診の受診率が低いことは,糖尿病を発症するリスクを保有している,あるいはすでに発症している市民の把握ができず,ベースとなる特定健診の受診率向上は大きな課題といえ,そのための取り組みを進めることが必要だと感じています。

References

  1. 1.厚生労働省 平成28年度国民健康・栄養調査報告.
  2. 2.第2期健康秋田21計画.
看護師

畠山さんからの質問

病院と連携し,ハイリスク患者に保健指導を
行う中で気づいたことや課題はありますか。

保健師

若松さんの回答

自宅を訪問することで見える
患者さんの生活背景や問題点を共有するため,
より密な情報共有が望まれます。

大館市の保健師として,地域住民の疾患の発症予防や健康づくりの支援に努めてきましたが,病院で治療中の患者さんを対象に保健指導を行うのは初めての経験でした。具体的には,池島先生の依頼により,大館市立総合病院の外来を受診している透析導入ハイリスクの患者さんの自宅を訪問後,そのときの状況を多職種カンファレンスで報告し,病院での指導に活かしてもらう流れです。

病院内のカンファレンスに出席するのは初めてでしたし,最初のうちは戸惑いもありました。保健指導では,患者さんに自宅での様子をうかがい,病院での指導をきちんと実践できているかを確認するのですが,そこで得た情報をどのように伝えれば病院での診療に役立つのか,試行錯誤の日々がいまも続いています。

現在,訪問時の状況については,カンファレンス前にいったん『連絡シート』の形式で要点をまとめて池島先生にお伝えし,カンファレンスでは,病院に把握しておいてほしい情報を中心に,あらためて詳細を報告しています。

患者さんは普段,池島先生が診ている方ですが,先生は診察中にゆっくり時間を割いて話すことは難しいと思います。しかし,自宅では,診察室ではわからない患者さんの姿や,病気に対する考え方などに触れることができます。

患者さんは病院で看護師や管理栄養士から指導を受けても,100%理解できているケースはまれだと思います。そのため,「病院でどういうお話がありましたか」と聞いたうえで,家庭内の状況にあわせ,より取り組みやすいようアドバイスをすることもあります。

また,患者さんの理解度や,指導内容に対する実践の状況については個人差が大きく,その方に合わせた指導が必要だと痛感しています。病院で受けた指導についてご本人に確認しても,本当にそういう指導だったのかがあやふやで,カンファレンスであらためて確認することもあります。そこで本人の話が事実と異なる場合,次回訪問時に指導をやり直すことになるため,病院での指導の状況も可能な範囲で『連絡シート』のような形式で提供していただけると,リアルタイムでやりとりができ,情報共有がよりスムーズにできると思います。

カンファレンスは2016年から開始し,現在,3名の患者さんに保健指導を行っています。その中で,外来受診時の検査データが改善し,そろそろ訪問を卒業できそうな方も出始めており,介入の効果の手ごたえを感じています。

始めたときは手探り状態でしたが,医療と行政で指導の場所を変え,病院と地域・家庭それぞれの場所で介入している意義は大きいと思います。情報共有を密にして,よりよい支援を提供していきたいと思います。

保健師

若松さんからの質問

地域の保健師から提供する情報は,
どのように活用していますか。

看護師

畠山さんの回答

保健指導から得られる情報は,
患者さんの"その人らしさ"を反映した貴重な内容です。
多忙な外来で,きめ細かな指導を行うのに大変役立っています。

月に1回の多職種カンファレンスでは,最初に,透析導入ハイリスク患者のeGFRの数値と透析導入の予測時期が提示されます。それを踏まえて,池島先生から,患者さんの病状や検査データに基づいて1例ずつ説明があり,その後の指導をどう行うべきかを話し合っています。

たとえば,外来受診時の推定塩分摂取量が多く,食事指導による減塩が必要となれば,管理栄養士が指導を行うと同時に,保健師が自宅訪問時の保健指導でも確認する流れとなります。そこで得た情報については,カンファレンスの場であらためて保健師からフィードバックされ,病院側の指導の再検討などにつなげています。

患者さんは,診察室で医師を前にしてはなかなか本音を口にしないことも考えられますし,こちらも大切なことを聞き出せていない場合があると思います。また,私たちは病院に来ている患者さんの姿しか知らないので,ケアされていない足などを見ると,ご自宅ではご家族とどのように過ごされているのかなどが気になります。

そこで,保健師が自宅を訪問し,患者さんから「足に痛いところがある」と聞き出していただけた場合は,私が診察前に確認し,必要であれば池島先生に皮膚科へのコンサルトを提案するなどしています。通りいっぺんの指導ではなく,患者さんが自宅でできることを提案するためにも,自宅での状況を教えてもらうと参考になります。

以前,減塩指導をしている患者さんで,ある1日の尿検査で推定塩分摂取量が10gを超えたことがありました。食事内容を聞くと,きりたんぽだと言います。大館市でよく食されるきりたんぽは,味付けが濃く塩分量が多いので,続けて食べると塩分過多となってしまうのですが,最近は男性患者さんで40~50代独身,高齢の母親と2人暮らしなどの方が増えており,家族の人数が少ないとどうしても1日では食べきれず,2日連続などで食べてしまうようです。

このように,患者さんの家族構成や食事の様子といった生活風景を知ることは,病院側が指導を行ううえで非常に役に立ちます。

看護師の役割のひとつに,カンファレンスで提供された情報を踏まえ,診察の前後に患者さんとお話をし,必要な情報を収集することがあります。少しでも患者さんと長くお話し,さまざまな情報を引き出せるよう努めていますが,日々の多忙な外来の中では難しいときもあります。地域の保健師からの情報は,それをサポートしていただける意味合いもあり,患者さんと病院とのよりよい関係づくりに貢献してくれる,橋渡し役としても機能していると感じています。

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