KYOWA KIRIN

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施設紹介

社会医療法人

製鉄記念八幡病院

「これならできる」と患者のやる気を引き出す療養指導を展開

〒805 - 8508 福岡県北九州市八幡東区春の町一丁目1番1号 http://www.ns.yawata-mhp.or.jp/

施設紹介
  • 井元 博文

    糖尿病内科 部長

    2000年九州大学医学部卒業。同年5月 九州大学病院,2001年5月北九州市立若松病院(現 産業医科大学若松病院)勤務を経て,2001年11月 新日鐵八幡記念病院(現 製鉄記念八幡病院)勤務。その後,聖マリア病院糖尿病内科,九州大学病院第二内科,福岡歯科大学総合医学講座,聖マリア病院糖尿病内分泌内科,公立学校共済組合九州中央病院糖尿病内分泌内科勤務を経て,2014年4月より製鉄記念八幡病院糖尿病内科医長,2016年4月 門司掖済会病院内科部長,2018年4月より製鉄記念八幡病院糖尿病内科部長。研修医時代,治療に前向きでない糖尿病患者さんの様子を見て,専門医になることを決意。

糖尿病治療の基本は,良好な血糖コントロールを維持し,合併症の発症や進展を阻止することにあるのはいうまでもない。各施設では医師や専門職による懸命な療養指導が行われているが,病気と向き合い,主体的かつ積極的に治療に取り組んでもらうことをすべての患者に納得してもらうのは難しい。製鉄記念八幡病院糖尿病内科は1988年以来,30年にわたる糖尿病教育入院の歴史を有しており,患者教育には特に力を入れてきた。現在は,チーム力の活用や,これまでにないユニークな手法の提案によって,患者が「これならできる」と前向きになれる療養指導を実現している。糖尿病内科部長の井元博文先生,看護師の藤島妙子さん,栄養管理部栄養管理課課長の安永勝代さんに,同科の取り組みについてお話を伺った。

患者教育を重視した糖尿病診療を展開

糖尿病内科の診療体制について教えてください。

井元 製鉄記念八幡病院糖尿病内科は,糖尿病専門医である私を筆頭とする医師3名体制で,定期外来通院患者約1,200名,入院患者約200名(うち教育入院約100名)/年に対応しています。

当院のある北九州市は,65歳以上人口の割合が30.1%1)と全国平均の27.7%2)を上回り,高齢化が進んだ地域です。そのため当科の糖尿病診療においては,いかに低血糖を回避しながら,適切な血糖コントロールを行うかが求められています。さらに,さまざまな状態の糖尿病や合併症,シックデイ時の精査加療,糖尿病を合併する他科患者の精査加療などに加え,近隣医療機関より紹介される幅広い症状の患者さんに対応しています。

また,当科は1988年以来,30年にわたる糖尿病教育入院の歴史を有しており,患者教育に特に力を入れているのも特徴です。日本糖尿病療養指導士(CDEJ)13名,地域糖尿病療養指導士(LCDE)20名(重複あり)など療養指導にかかわる専門知識をもったコメディカルの数も多く,糖尿病治療において最も重要な自己管理をきめ細かく指導しています。

私が赴任して間もないこともあり,近隣の医療機関との間で細かい紹介基準はまだ設けていませんが,「初めて糖尿病あるいは境界型糖尿病と診断された方」「血糖コントロール不良の方」「急に血糖コントロールが悪化した方」については是非一度,紹介していただきたいと考えています。

急に血糖コントロールが増悪したケースには,1型糖尿病のほか,何らかの癌が潜んでいる可能性があります。当院の前に勤務していた病院では,精査の結果,年間20名以上に癌が発見されました。癌の見落としは生命に関わるため,急に血糖コントロールが増悪した場合は癌の精査を最優先事項とするよう,院内でも指導を徹底しています。

また,当科は療養指導に携わるコメディカルが多数勤務しています。糖尿病に対する理解が十分でなく,あらためて正しい知識を身につけていただく必要がある患者さんなどには,当院のシステム化された教育入院プログラムを経験してほしいと思います。

コメディカルスタッフによる最新の療養指導

システム化された教育入院プログラムとは,どのようなものですか。

井元 当院の教育入院プログラムは,13日間の日程で,基本的な食事・運動療法の知識を身につけてもらうとともに,退院後も継続できるオーダーメイド治療を患者さんと一緒に考えることを目的としたものです。

教育入院中は,持続血糖モニタリングシステム「FreeStyleリブレPro」を使って,血糖値が食事や運動,薬剤などの影響で変動することを患者さんに実感してもらいます。食事・運動療法の知識は,講義のほか調理実習や運動指導など,実際に体験しながら習得できるシステムとなっています。

藤島 ほかには,グループで話し合いながら学び合う「糖尿病カンバセーション・マップTM」を用いたグループ学習を行っているのも,特徴です。「糖尿病カンバセーション・マップTM」とは,日本糖尿病協会が推進する学習教材で,6つのテーマ「糖尿病とともに歩む」「糖尿病とはどんな病気ですか?」「食事療法と運動療法」「インスリン注射」「フットケア」「糖尿病合併症」の中から1つを選び,ファシリテーターである医療スタッフの進行に従って,グループで1時間ほどかけて話し合いを行います。参加者はお互いの会話を通じて知識を整理したり,前向きな目標を立てたりすることを目指します。

井元 最後に教育入院の仕上げとして,管理栄養士が個別指導を行い,患者さん一人ひとりに合わせた食事療法の内容を一緒に考えていきます。教育入院で身につけたことは,退院後,かかりつけの先生方のもとで継続してもらいますが,近隣の先生方からは,当院の教育入院プログラムを経験した患者さんは,糖尿病に対する理解力が大幅に向上して戻ってくると評価していただいています。

退院後はどのように患者さんをフォローしていくのでしょうか。

井元 退院後は1,3,6,12ヵ月後に当科を外来受診してもらい,医師の診察のほか,生活指導,栄養指導,運動指導により患者さんをフォローしていきます。かかりつけの先生方とは,糖尿病連携手帳(糖尿病協会作成)を活用。当院で行った合併症の評価や,療養指導の内容について記載するほか,今後の目標や患者さんへのアドバイスも記入するなど,情報の共有に努めています。

安永 なお,2016年1月~2017年3月までに当科で教育入院した患者さん109名のうち,途中脱落と欠損データを除いた41名について調べたところ,受講後にBMI,HbA1cのいずれも低下し,6ヵ月後,12ヵ月後も低下した状態をほぼ維持できていました。

井元 糖尿病は自覚症状があらわれにくい病気であるため,まだ症状があらわれていない時期の入院時には,どこか他人事のように受講している方が多いのも事実です。

したがって,教育入院については1回での完結が必ずしも最善なわけではなく,患者さんが真剣に自身の病気に向き合えるようになるのであれば,複数回入院することも意義があるのではないかと考えています。

今後,どのような方に教育入院をしていただきたいとお考えでしょうか。

井元 教育入院の適応があると思われる方には,1人でも多く参加してもらいたいところですが,実際には,近隣のかかりつけの先生方の勧めがあっても,積極的に受講する患者さんはそれほど多くはありません。

働き盛りの世代の方であれば13日間の入院は調整が難しいでしょうし,高齢の方でもそれぞれ家庭の事情などがあって,簡単には入院できないことも多いようです。教育入院に参加され,私の目の前に座っている患者さんの姿を見ると,かかりつけの先生方の相当なご苦労や説得があってのことだと有り難く思います。

また,入院に積極的になれないのは,単に患者さんに教育入院の意義が理解されていない場合もあります。糖尿病療養指導に携わっているスタッフの協力を得ながら,外来で粘り強く教育入院の必要性を説明し,少しずつでも患者さんが関心をもてるようにこちらも努力したいと思います。

糖尿病透析予防外来の取り組みについても教えてください。

安永 当科では,HbA1c 6.5%以上の糖尿病性腎症第2期(早期腎症期)以上の患者さんを対象に,医師が糖尿病透析予防に関する指導の必要があると認めた場合,透析導入の予防や腎症の進展予防を目的として,医師,看護師,管理栄養士の3職種からなる透析予防診療チームが重点的に指導を行います。

糖尿病の指導では,各職種がそれぞれで患者さんをサポートしている場合も多いと思いますが,当科のチームは,3職種が同席して同時に1人の患者さんを指導するのが特徴です。医師,看護師,管理栄養士,患者さんとその家族が診察室に集まり,みんなで生活習慣における改善点などを話し合っています。患者さんとご家族も合わせて1つのチームといってもいいかも知れません。

たとえば,24時間蓄尿検査の結果,1日の塩分摂取量の過剰が判明すれば,食事のどこに問題があるのか,管理栄養士を中心にチェックシートを使用しながら確認し,腎症予防のための具体策をみんなで考えます。

井元 当院の医療スタッフは,それぞれの専門性を生かしながらも連携することを意識して,みな活動しています。3職種が同じ空間で指導を行い,患者さんや家族の反応を共有することで,各職種間の見解や指導方針が統一されやすく,その患者さんにより適した指導や目標設定の提案を可能にしていると思います。

患者さんを変えるには,医療側がやり方を変えてみる

療養指導において啓発キャラクターを活用するなど独自の手法を採り入れていらっしゃいます。きっかけを教えてください。

井元 私が糖尿病専門医になろうと考えたのは,いまから17年前,研修医2年目のことです。当時は,産業医科大学若松病院(旧:北九州市立若松病院)に勤務し,内科外来を担当していました。そこで患者さんに「治療を頑張りましょうね」と励ますと,ほかの疾患の患者さんはこちらの期待する通りに頑張ってくれることが多いのですが,糖尿病の患者さんの多くは,あまり治療に積極的ではありませんでした。

患者さんの理解力を深め,正しい方向へと導くことは療養指導の基本ですが,私はふと,「もしかしたら,もっと別のよいやり方があるのでは」と考えたのです。患者さんを変えるには,医療側もやり方を変える必要があるのではないか― そうした疑問を抱いたことをきっかけに,糖尿病という疾患そのものに興味をもち,糖尿病内科医を目指すことにしました。

その後も糖尿病内科医として先の問いに対する答えを模索し続ける中,当院に医長として勤務していた2015年に後輩医師とともに作成したのが,当院の生活習慣病啓発キャラクター「さとしお」です。さとしおは,砂糖と塩を両手に持ったメタボ風の妖精という設定で,糖質と塩分の節制が重要であることを,患者さんに楽しく伝えることを目的としたキャラクターです。「さとしお」は製鉄記念八幡病院の名義で,商標登録も行っています。

さとしおの着ぐるみは,啓発イベントでも世代を超えて人気です。また,さとしおのイラストが入った生活習慣病の啓発カレンダーや運動時に使えるスポーツタオル,生活習慣に関する標語を記したポスター20種類などを作成して(図1図2),近隣の先生方に配布しています。いずれも,患者さんに,ニコニコ笑顔で食事療法や運動療法にいそしんでもらえたらという思いを込めて作りました。

医療従事者と患者さんとの間に,さとしおという親しみやすいキャラクターを介在させることで,同じ指導内容であっても柔らかく,楽しく伝えることができているのか,指導中に笑顔をみせてくれる患者さんも多く,前向きに生活習慣改善に取り組むきっかけのひとつになっていると実感しています。

図1

図1さとしおグッズ

図2

図2生活習慣病啓発ポスター

運動療法においても,ユニークな取り組みを展開されていますね。

井元 運動療法については,2016年に赴任した門司掖済会病院において「オールディーズde 運動療法」を発案し,各種患者会やイベントで披露しています(図3)。

私は10年ほど前から,オールディーズ(1950~1960年代の曲)の楽曲の生演奏が行われるライブハウスで踊ることを趣味としており,いつか患者さんと一緒に踊りたいと考えていました。すると,門司掖済会病院に勤務していた看護師が,たまたま北九州市内で活躍するオールディーズバンドに所属しており,そのご縁からバンドの協力を得ることが可能となったのです。そして2016年9月に病院で初めて患者さん向けのライブを行い,オールディーズの生演奏にあわせて患者さんと踊りたいという私の夢も実現しました。

多くの患者さんは運動療法に対し「きつい,大変,面倒くさい」というイメージを抱きがちです。でも,「オールディーズde運動療法」であれば,患者さんが若い頃に慣れ親しんだ曲を聴きながら,健康だった時代を思い出し,お金をかけずに身体を動かすことが可能です。座ったまま,上半身だけで踊れる振り付けも考案済みで,実際に体験してもらうと,患者さんも「こんなに簡単で楽しいのならできる」と,考え方が変わるようです。

私が17年前,糖尿病専門医になることを決めるきっかけとなった「医療側もやり方を変えるべきではないか。何かよいやり方があるのではないか」という疑問に対して,ある程度の答えが得られたと感じています。

図3

図3 世界糖尿病デーで披露したオールディーズde運動療法

糖尿病は発症予防から合併症予防,その重症化予防まで含め,生涯にわたって自己管理が必要な疾患です。ただ,糖尿病の療養指導は,真面目に頑張らなければならないという側面を強調しすぎると,患者さんのモチベーションは長続きしません。相手に変わってほしいのであれば,まず自分が変わってみること。指導する側が工夫をすることで,患者さんが頑張る動機付けや行動変容のきっかけになると確信しています。

基幹病院としての今後の課題

糖尿病内科の今後について,構想をお聞かせください。

井元 当科では,充実したチーム体制のもと,糖尿病発症前の予防から合併症の管理まで,幅広い糖尿病診療を実施してきました。そして,チームによる指導をシステム化し,地域医療支援病院としてより一層,近隣の医療機関から信頼される糖尿病内科となることを目指して頑張っているところです。

今後は,さらにチーム力を強化することが目標です。現在,糖尿病透析予防外来などへの関与は看護師と管理栄養士に限られていますが,今後は臨床検査技師の協力も得て,検査データを積極的に活用した指導なども行いたいと考えています。

また,院内での取り組みにとどまらず,今後は広く地域住民の健康づくりにも貢献できるよう,さまざまな活動を展開していきたいと思います。当院の土橋卓也病院長は高血圧専門医であり,病院の理念として「地域の健康寿命を支える病院でありたい」を掲げています。さとしおも,院長が生活習慣病対策の一環として,啓発キャラクターとすることを後押ししてくださいました。

院内では,2015年から当院ロビーを地域住民に開放して毎年10月に「健康・減塩フェスタinせいてつ病院」(参加費無料)を行い,「オールディーズde運動療法」を取り入れたイベントを開催しています。さらに2017年4月以降は,地域のショッピングモールからの依頼で健康をテーマとした啓発イベントに協力するなど,院外にも活動の場を広げているところです。

院内で実施すると,どうしても参加者は健康意識が高い方が中心となりますが,街中のショッピングモールなら,偶然居合わせた住民の方に血糖測定を行い,異常がみられればその場で受診を促すことも可能です。すでに糖尿病に罹患している方の血糖コントロールや合併症予防も重要ですが,並行して,地域住民に糖尿病や生活習慣病についてよりよく知ってもらうための普及活動にも取り組んでいきたいと考えています。

地域における啓発活動は,地域医療支援病院の医療従事者の責務です。今後も院内で培った療養指導のノウハウを駆使して,地域全体の健康度の向上に貢献していきたいと思います。

さとしおと糖尿病内科スタッフのみなさん.抜群のチームワークで,明るく楽しく,そしてきめ細かく
一人ひとりの患者さんを指導する.1番右が藤島妙子さん,左から2番目が安永勝代さん.

References

  1. 1.北九州市の人口[町別](2018年3月31日現在. 住民基本台帳より集計).
  2. 2.内閣府. 平成30年版高齢社会白書.

KK-18-12-24334

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