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Dr.Interview

Dr.interview ドクターインタビュー

「連携パス」や
「連携の会」をフル活用
"本当に顔の見える"
関係づくり

広島市安佐地区での取り組み

「連携パス」や 「連携の会」をフル活用 "本当に顔の見える" 関係づくり

広島市安佐地区での取り組み

生活習慣病などに比べ予防策の取り組みが遅れてきたCKD対策は,現在,糖尿病領域でも腎疾患領域でも喫緊の課題となっている。地域連携パスを利用した療養指導や合併症検査の徹底のほか,増加する糖尿病性腎症に対しては糖尿病専門医と腎臓専門医との連携強化が進められるなど,全国でさまざまな試みが行われている。今回は,広島市安佐地区の地域連携をリードする広島共立病院糖尿病内科/副院長の森下尚明氏,地域の数少ない透析施設でCKD診療を専門とする大町土谷クリニック院長の高橋直子氏と副院長の熊谷純子氏,糖尿病専門医・ジェネラリストとして地域連携の促進を図る木ノ原内科小児科医院副院長の木ノ原周平氏の4氏に,糖尿病およびCKDに対する取り組みや地域での役割,今後の地域連携の構想について伺った。

  • 森下尚明

    森下 尚明

    広島医療生活協同組合 広島共立病院 糖尿病内科/ 副院長

    1984年島根医科大学医学部卒業。神戸協同病院,尼崎医療生協病院,東神戸病院,城北病 院,葉山病院,姫路医療生活協同組合共立病院を経て,1995年より広島共立病院内科勤務。 2001年広島共立病院内科部長,2008年より現職。

  • 高橋直子

    高橋 直子

    特定医療法人あかね会 大町土谷クリニック 院長

    1984年福岡大学医学部卒業。1986年広島大学第2内科(腎臓グループ)入局後,医療法人あかね会土 谷総合病院人工臓器部に派遣。1995年医療法人あかね会大町土谷クリニック副院長,2000年より現職。 日本内科学会,日本腎臓学会,日本透析医学会認定医・指導医,日本腎臓リハビリテーション学会代議員。

  • 熊谷純子

    熊谷 純子

    特定医療法人あかね会 大町土谷クリニック 副院長

    1992年産業医科大学医学部卒業。広島大学医学部附属病院内科などにて研修後,三原市医師会病院内科,医療法人あかね会土谷総合病院人工臓器部勤務。2002年広島大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・疾病制御学講座,2004年博愛病院を経て,2005年より現職。日本内科学会認定内科医,日本透析医学会専門医,日本腎臓学会。

  • 木ノ原周平

    木ノ原 周平

    木ノ原内科小児科医院 副院長

    2007年川崎医科大学医学部卒業。本荘第一病院にて研修後,広島大学第2内科入局。三原市医師会病院,JA広島総合病院,吉島病院を経て,2018年より現職。日本内科学会認定内科医,日本糖尿病学会専門医,日本医師会認定産業医。日本内科学会,日本糖尿病学会,日本外来小児科学会。

広島市安佐南区の地域連携をリードする広島共立病院

安佐地区は広島市の中心部から北部に位置するベッドタウンで,市を構成する8つの行政区のうちの安佐南区と安佐北区の総称である。人口は2019年1月末現在で安佐南区が24万4237 人と8 行政区のなかで最も多く,安佐北区は14万5333人で3番目となっている1)。両区を合わせると市の人口119万6099 人の3 割超を占め,特に市の中心部に近い安佐南区では人口増加が続いている。

その安佐南区で中核病院の役割を担っているのが,広島共立病院である。入院病床186床と中小規模ながら,年間約3,800人の入院患者の半数以上を他の医療機関から受け入れ,紹介元の医療機関は150を超える。また,糖尿病では約800人の通院患者を抱え,安佐北区にある広島市立安佐市民病院とともに「安佐医師会 糖尿病地域連携パス」を推進しているのも特徴である。

「安佐医師会 糖尿病地域連携パス」は,安佐医師会病診・診診連携委員会の指導のもと,16人のメンバーからなるワーキングクループが中心となり2015年に運用が開始された。ドロップアウトすることが多い初期患者の教育に重点が置かれ,初めて糖尿病と診断された患者が対象となっている。治療中のコントロール不良例や合併症出現時などは,通常紹介の対象だ。

安佐南区では広島共立病院,安佐北区では広島市立安佐市民病院がパス計画管理病院として受け入れを担い,クリニックでの対応が難しい食事療法や運動療法などの療養指導,薬物療法の提案・調整・評価,合併症の評価などを行う。1週間の教育入院を推奨しているが,入院が難しいケースでは1ヵ月間隔で計3回の外来教育を実施し,いずれも治療方針などを検討したのちに療養計画書を添付してクリニックに逆紹介する。その後,1 年ごと,気になる患者には6ヵ月ごとに両病院で再評価し,2年間で連携が終了する循環型のパスとなっている。

ワーキングクループのメンバーである広島共立病院糖尿病内科/ 副院長の森下尚明氏は,パスの成果について「紹介状の記入が簡略化されていることもあって,紹介数は増えました。また,クリニックの先生にこちらで行った指導内容を伝えやすくなり,地域全体の診療レベル向上にも寄与していると思います。看護師や栄養士をはじめとした医療スタッフの意識が高まるなど院内でのメリットも大きく,カンファレンスも従来に比べて密に開催されるようになりました」と説明する。

遅れがちなCKD 対策は大町土谷クリニックとの連携強化で対応

糖尿病では一定の成果がみられている一方,森下氏が不十分と認識するのはCKD診療を専門とする施設との連携である。糖尿病性腎症患者が増加するなか,広島共立病院には腎臓専門医が在籍していないため,CKD 対策がどうしても遅れがちになるという。「CKDのステージが早いほうが望ましいのはわかっているのですが,G4以降での紹介になってしまうこともあります。今後は日本腎臓学会が提唱する紹介基準に則って,患者さんを紹介しなければと考えています」と話す。その対策として進めているのが,大町土谷クリニックとの連携強化だ。同じ安佐南区にある腎不全保存「連携パス」や「連携の会」をフル活用"本当に顔の見える"関係づくり広島市安佐地区での取り組み期の治療や透析治療を中心としたクリニックで,広島共立病院からは1kmほどの距離にある。

大町土谷クリニック院長の高橋直子氏によると,安佐南区と安佐北区の両区は人口が多いものの腎臓専門医が常勤する基幹病院がないため,病診連携・診診連携を問わず,透析やCKDの患者が数多く紹介されてくるという。2018年の月別平均受診者数は約150人で,そのうち,新規紹介は10人であった。糖尿病合併率は4~5割を占め,血液透析患者は2019年1月現在で383人(うち腹膜透析との併用患者は12 人)となっている。

CKD対策として,大町土谷クリニックが特に力を入れているのが栄養指導である。副院長の熊谷純子氏は「かかりつけ医の先生はたくさんの患者さんを診ているため,一人ひとりにあまり時間をかけられないのが実情だと思います。その点をフォローできればと,当院では1人の患者さんの診療時間を長めにとり,具体的にお話することを心がけています」と説明する。その際に重宝しているのが,『食事管理のための日常食品成分表』(12ページ参照)だ。大町土谷クリニックの栄養士が作成したもので,日常で目にする大抵の食品の可食量やエネルギー量,糖質,たんぱく質,カリウム,リン,食塩の含有量が70ページ近くに及ぶ冊子にまとめられている。また,減塩への取り組みでは,月に1回,随時尿による塩分摂取量の確認を行うほか,食品パッケージなどに表示されているナトリウム量を食塩量に換算する式を表にして患者に渡し,減塩の自己管理に努めてもらうようにしている。

内容をコンパクトにした紹介状で相互連携がスムーズに

では実際,連携はどのように行われているのか。高橋氏によると,現在,広島共立病院との間では双方向の紹介が進められているという。「広島共立病院から当院にはCKDの患者さんをご紹介いただいていますが,逆に他の施設から当院に紹介のあったCKD患者さんや当院で血液透析中の患者さんの合併症の検査,あるいは当院で診療できない整形外科や皮膚科といった他科疾患の対応を広島共立病院にお願いする機会も増えました」と話す。

その良好な関係の基盤になっているのが,新規に導入した紹介状(『紹介状・診療情報提供書(CKD外来受診用)』,12ページ参照)である。森下氏らのリクエストを受け,熊谷氏が中心になって様式を考えた。広島共立病院が紹介元となる際に使用する書面で,必要事項がA4用紙1枚にコンパクトに集約され,紹介の支障になっていた記載の煩雑さが軽減されている。

「紹介については,紹介状の作成が1つのネックになっているとの声がありました。森下先生たちと検討を重ね,2019年1月,ようやく本格運用にこぎつけることができました」と熊谷氏は振り返る。当初は糖尿病内科のみとの連携を想定していたが,広島共立病院の村田裕彦院長の承諾を得て対象が内科系全科に拡大され,相互連携がよりスムーズに進められるようになったという。

両院はともにJR可部線の大町駅を最寄り駅とし,大町土谷クリニックは駅から徒歩1分,広島共立病院には駅から無料送迎バスが運行されている。比較的近い距離にあるため,患者もストレスなく行き来できているようだと高橋氏は話す。森下氏は運用実績はまだ十分でないとしながらも,「連携強化を模索するなかで,高橋先生や熊谷先生と顔の見える関係が築けたことは大きな財産です。紹介のタイミングなども,これから連携を重ねていくことで,より一層改善されると思います」と期待感を示した。

安佐北区では木ノ原内科小児科医院がトリアージ役として地域連携に貢献

安佐南区では広島共立病院と大町土谷クリニックが先導して連携を進める一方,安佐北区では広島市立安佐市民病院が中核病院としての役割を担い,「糖尿病地域連携パス」のほかにも「脳卒中クリニカルパス」「がん地域連携パス」「在宅緩和ケア地域連携クリニカルパス」などを推進している。

その安佐北区でジェネラリストとしての役割を果たすのが,木ノ原内科小児科医院である。標榜は内科と小児科だが,がんの在宅緩和ケアや高齢患者の看取りなどにも携わっている。また,安佐地区のトリアージ役として地域連携にも力を注ぎ,広島市立安佐市民病院はもちろん,広島共立病院の緩和ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟などとも連携を強めている。

さらに,糖尿病では2018 年4月に就任した副院長の木ノ原周平氏が,その専門性を生かして診療の充実を図っている。HbA1c即日測定器と頸動脈エコーを導入し,尿検査の定期実施や糖尿病教室の再開などにも着手した。木ノ原氏は「基本的な部分はもちろん当院で診れますが,合併症の検査などは当院では完全には対応できず,教育入院が必要な患者さんも少なくありません。糖尿病地域連携パスの重要性は森下先生からもご指導いただていますので,必要なときには早い段階で活用することを心がけています」と話す。

木ノ原氏が診療の際,最も意識しているのは患者との向き合い方だ。患者には高齢者が多く,治療アドヒアランスが低下しがちになるという。「医療者本位にならないよう,よくコミュニケーションをとりながら治療を進めていくことが肝要だと感じています。そのためには患者さんと良好な関係を築き,行動変容を促していきたいと思いながら,日々,診療に臨んでいます」と説明する。

『CKD連携の会』の発足" 顔の見える関係"のさらなる構築を図る

地域連携に取り組む安佐地区だが,課題も残る。そのひとつが,さらに広く深い"顔の見える関係"の構築である。熊谷氏は「紹介元の医療機関には面識のない先生も多く,お互いに恐る恐る手探りでの紹介も少なくありません。以前は,こんな患者さんを紹介したらどう思われるだろうか,こんな状態で患者さんをお返ししたら困るだろうか,などと気を遣いながらの紹介が目立っていました。その点を少しでも改善し,みんなが気持ちよく連携できる雰囲気にしたいと『安佐地区CKD連携の会』を立ち上げたのです」と話す。

連携の会は,大町土谷クリニックが中心となり,2014年に活動がスタートした。主な取り組みは,安佐医師会館での年2回の講演会である。これまでに8回開催し,広島大学腎臓内科教授のほか,薬剤師や栄養士,広島市地域包括支援センターの職員なども演者に招いた。

高橋氏は「一般的な講演会のように演者と聴講者が向かい合うスクール形式をやめ,みんなが車座になり,ざっくばらんに意見交換できるようにしました。参加者も不特定多数に呼びかけるのではなく,原則として,日ごろ患者さんをご紹介いただいているようなお付き合いのある先生方とし,地域 の先生方に顔の見える関係を築いてもらうことに主眼を置いています」と説明する。

木ノ原氏も地域の課題として,同様の点を挙げた。「この地域では,病診連携に比べ,診診連携が不十分だと感じています。私が就任2 年目と短く,まだ周囲とうまく連携できていないこともあるのかもしれませんが,診診連携パスがあるわけではないので,地域の講演会の場などを利用しながら関わりを増やし,早く地元の先生方と顔の見える関係を築いていきたいと思っています」と話す。

連携に関して高橋氏が課題と考えているのは,身体障害者手帳の申請ができる患者の紹介時期である。1~3級の身体障害者手帳所持者は本人・配偶者および扶養義務者の前年所得が制限額以下の場合,重度心身障害者医療費助成制度が適用され,医療費の自己負担額が0円になる。3級の「腎臓機能障害」※に該当する場合は透析導入が検討されるが,大町土谷クリニックが属するあかね会の土谷総合病院(広島市中区)にバスキュラーアクセスの手術で入院すると,DPC(診断群分類による包括評価)算定により1割負担の患者で約8万円,3割負担の患者では約25 万円の自己負担が生じるという。身体障害者福祉法指定医で診断書・意見書の作成に携わる高橋氏は「申請から手帳の交付までには1ヵ月ほどかかります。この間の医療費は全額,患 者さんの立て替えになってしまいますので,ある程度の時間的余裕をもってご紹介いただけると,患者さんの負担軽減にもなると思います」と話す。

最後に,連携強化に向け,森下氏は次のように指摘した。「①紹介元のクリニックが限られている,②パス終了1 年後,2 年後の患者さんのフォローが十分でない,③『糖尿病連携手帳』が十分に活用されていない──この3点がいまの課題です。①は連携の流れが地域全体に浸透しているとはいえないので,地域講演会などを利用してパスのさらなる運用を呼びかける,②は自施設の地域連携機能を再構築するなど患者さんのフォローを徹底する,③は地区オリジナルの治療計画表があるため,それを添付して『糖尿病連携手帳』の活用度を上げる工夫などを周知する,ということなどを計画しています。本格的な連携はもう少し先になりそうですが,手の届くことから地道な取り組みを続けていきたいと思います」。

※ 内因性クレアチニンクリアランス値が10mL/分以上,20mL/分未満,または血清クレアチニン濃度が5.0mg/dL以上,8.0mg/dL未満であって,かつ家庭内での極めて温和な日常生活活動には支障はないが,それ以上の活動は著しく制限されるか,または次のいずれか2つ以上の所見があるもの。a 腎不全に基づく末梢神経症,b 腎不全に基づく消化器症状,c 水分電解質異常,d 腎不全に基づく精神異常,e エックス線写真所見における骨異栄養症,f 腎性貧血,g 代謝性アシドーシス,h 重篤な高血圧症,i 腎疾患に直接関連するその他の症状。血清クレアチニンの異常に替え,eGFRが10mL/分/1.73m2未満のときは3 級と取り扱うことも可能。

引用文献

  1. 1) 広島市住民基本台帳

KK-19-09-26600

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