KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

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中核病院〈糖尿病内科〉,CKD・透析専門クリニック,
かかりつけ医〈糖尿病内科〉の医師がそれぞれの立場から,自施設の診療状況や
日常診療で気をつけるべきポイント,連携で留意すべき点などを紹介します。

  • 中核病院〈糖尿病内科〉の立場から

    森下 尚明

    広島医療生活協同組合
    広島共立病院
    糖尿病内科/ 副院長

  • CKD・透析専門クリニックの立場から

    高橋 直子

    特定医療法人あかね会
    大町土谷クリニック 院長

  • CKD・透析専門クリニックの立場から

    熊谷 純子

    特定医療法人あかね会
    大町土谷クリニック 副院長

  • かかりつけ医〈糖尿病内科〉の立場から

    木ノ原 周平

    木ノ原内科小児科医院
    副院長

CKD・透析専門クリニック

高橋先生からの質問

血糖コントロールのためにどのような診療を
行われていますか。また,教育入院後の再紹介の
基準(バリアンス基準)を教えてください。

中核病院〈糖尿病内科〉

森下先生の回答

血糖コントロールを良好に保つため,
最新の治療法も含めさまざまな
アプローチを行っています。バリアンス基準は
「HbA1c 8.5%以上が2回以上続く」などを設けています。

当院では基本的な食事・運動療法の指導などにチーム医療で取り組むとともに,最新の薬物療法も取り入れて,血糖コントロールの改善を図っています。入院患者で高血糖の場合には,まず糖毒性を解除するためにインスリン療法(basal-bolus療法)を行いますが,インスリン分泌能が保たれていたり,回復してくる場合には,経口血糖降下剤の内服へとシフトしていきます。外来通院中で,徐々に悪化してきたケースではインスリン療法でもBOT(持効型1回注射)から始めていくことも多くなっています。この方法で,入院までせずともインスリン療法がマスターできて,コントロールが改善する場合もかなりあります。経口血糖降下剤ではメトホルミンやSGLT2阻害薬など,心血管イベントに対してエビデンスのある薬剤を処方することが多いですが,日本は超高齢化社会ですので,どうしてもDPP-4阻害薬を用いることも多いです。また血糖測定では,最近ではFGMを使って指先の穿刺をすることなく,瞬時にグルコース値を測定できて,その日内変動をも把握できるようになりました。これらを駆使することで,以前に比べれば随分,血糖コントロールはやりやすくなってきたかと感じています。

当院はそれほど規模の大きい病院ではありませんが,地域丸ごと糖尿病の管理をさせていただいているつもりで,日々の診療を行っています。

しかし,まだまだ不十分な点も確かにあります。連携パスが地域全体に浸透しているとは言えず,現在は紹介元のクリニックも限定的なのが実情です。地域の講演会などを通じてパスの運用を呼びかけたり,連携パスが循環型のパスとして,もっと有機的に機能するように,パス終了1年後,2年後の患者フォローを徹底させたりしながら,運用の拡大を図っていきたいと考えています。もちろん,何よりも当院の糖尿病診療,療養指導のレベルアップを図るべく,私をはじめスタッフ一同が努力して,地域連携の向上に貢献していきたいと思っています。

教育入院終了後のバリアンス基準は,❶血糖コントロール悪化時(1. HbA1c 8.5%以上が2 回以上続く,2. HbA1c 1.5%以上の上昇,3. 空腹時血糖値200mg/dL以上,4. 随時血糖値350mg/dL以上,5. 尿ケトン体強陽性[2+ 以上]),❷低血糖発作頻発時,❸体重の変動(3ヵ月に3 kg以上の増加または減少があった場合),❹腎症の進行・悪化(1. 尿蛋白陽性化が2ヵ月連続,2. eGFR 45 mL/分/1.73 m2未満),❺その他の合併症の臨床症状の顕在化─となっています。1項目でも該当する場合は再紹介していただき,ほかにも気になることがあれば遠慮なくご相談ください。

中核病院〈糖尿病内科〉

森下先生からの質問

CKD対策として,非専門医に
これだけはやってほしいという検査はありますか。

CKD・透析専門クリニック

高橋先生の回答

尿検査で定期的に尿蛋白を
評価していただけるとありがたいです。
糖尿病を合併したCKDや透析の患者さんでは
HbA1cだけではなくグリコアルブミンの測定も重要です。

CKDだけでなく隠れた腎疾患の早期発見のためには,定期的な尿蛋白の評価は大変重要です。原疾患が糖尿病の患者さんの腎機能が低下したため,当初は糖尿病性腎症かと思って管理していたところ,突然,尿蛋白が増加し,精査の結果,別の腎疾患が明らかになったことがありました。糖尿病だから糖尿病性腎症だろうと決めつけず,定期的に尿検査を行い,尿蛋白の程度などを経時的に評価することが大切です。厚生労働省が2016年に策定した「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」でも,腎不全対策として,糖尿病患者のアルブミン尿やeGFRの定期的な検査の重要性が指摘されています。

もう一つ挙げたいのは,グリコアルブミンの測定です。糖尿病で血糖コントロールはHbA1cで評価していることが多いと思いますが,CKD患者さんや透析患者さんを診療する立場からすると,血清の蛋白質の主成分であるアルブミンが糖化されたグリコアルブミンの測定は,大きな意味をもちます。透析患者さんでは,赤血球寿命の短縮や腎性貧血治療のためのESA製剤(赤血球造血刺激因子製剤)の影響などにより,HbA1cが偽低値を示すことが多く,保存期CKDの患者さんでも貧血が進行した場合に同様の傾向が認められるためです。これに対し,グリコアルブミンは透析下でも血糖コントロール状態を正しく反映します。日本透析医学会からも『血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012』で表1のステートメントが発表されています。

透析医は,月に何度も患者さんに接する機会があります。血糖管理に介入できる機会も多いと思いますので,可能であればグリコアルブミンの測定も是非お願いできたらと思います。

表1

血液透析患者の糖尿病治療ガイド 2012
Ⅰ(- 1)血糖コントロールの意義と指標・目標値 ステートメント

  1. 1.透析開始前の随時血糖値(透析前血糖値)およびグリコアルブミン(glycated albumin;GA)値を血糖コントロール指標として推奨する。
  2. 2.ヘモグロビンA1c(HbA1c)値は貧血や赤血球造血刺激因子製剤の影響により低下し,透析患者の血糖コントロール状態を正しく反映しないため参考程度に用いる。
  3. 3.随時血糖値(透析前血糖値;食後約2時間血糖値)180~200mg/dL未満,GA値20.0%未満,また,心血管イベントの既往歴を有し,低血糖傾向のある対象者にはGA値24.0%未満を血糖コントロールの暫定的目標値として提案する。しかし,確定値の設定には今後の研究成果を待つ必要がある。
  4. 4.低血糖のリスクを回避しつつ,生命予後の向上を目指して随時血糖値(透析前血糖値),GA値などを総合的に判断しながら,血糖コントロールをする必要がある。

(日本透析医学会. 血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012. 透析会誌. 2013 ; 46 : 311-57.)

CKD・透析専門クリニック

熊谷先生からの質問

紹介基準や紹介までに実施しておくべき検査について
教えてください。また,その後の併診時に
求められることは何でしょうか。

中核病院〈糖尿病内科〉

森下先生の回答

血糖コントロールが難しいと感じたら,
特別な検査を行っていない状態でも
気軽にご紹介ください。腎機能が悪化し,併診に
なった際は栄養指導での連携,ご助言をお願いします。

日本糖尿病学会から「かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関への紹介基準」や「腎臓専門医から糖尿病専門医への紹介基準」などが出されていますが,当院では特別な紹介基準は設けていません。紹介の際,基本的な血液検査はすでにしていただいていると思いますし,1 型と2 型の鑑別やインスリン分泌能の評価などはこちらで実施しますので,血糖コントロールが難しいと感じたら気軽に紹介していただければと思います。実際に,地域のかかりつけ医の先生方からは,特別な検査が行われていない状態でも多くの患者さんが紹介されてきています。

ご紹介いただいた後については,腎症がある程度進展している場合は併診になるかと思います。その際に,腎疾患の患者さん向けの専門的な栄養指導をしていただけるとありがたいです。当院でも栄養士が栄養指導を行っているものの,やはり糖尿病一般の指導が主体となっていますので,たんぱく制限などが要求されるレベルになると細かく対応しきれないのが正直なところです。糖尿病の栄養・食事指導から腎臓病の栄養・食事指導に切り替わると,糖尿病の食事は血糖コントロールが中心ですが,糖尿病性腎症の食事は血糖コントロールに加えて腎臓の保護のための内容となり,エネルギー摂取の考え方や制限するものの優先順位が変わるため,患者さんも混乱しやすくなります。そこはやはり,専門知識をもっているスタッフがいる施設が頼りになりますので,これからも,栄養指導での連携,ご助言をお願いしたいと思っています。

当院では,特に治療困難例については,身体面だけでなくその方の社会面や生活面,心理面にも配慮した医療をチーム医療で行うように心がけています。当院は医療生活協同組合の施設ということもあり,他院でドロップアウトしたコントロール不良の患者さんも多く通院されています。医療ソーシャルワーカーなども交えながら,問題や困難を抱える患者さんの背景をとらえ,日常生活や仕事,医療費などさまざまな方面の相談に乗りながら,診療を行っています。病院の総合力を生かし,患者さんの療養生活を支えるという視点で,地域の組織や他施設とも連携しながら対処することが必要だと感じています。

中核病院〈糖尿病内科〉

森下先生からの質問

糖尿病性腎症の患者さんの栄養・食事療法は,
どのように指導されていますか。
また,紹介の目安を教えてください。

CKD・透析専門クリニック

熊谷さんの回答

患者さん向けにわかりやすい冊子を
作成し,診療時に利用しています。
紹介は,日本腎臓学会の基準に則りながらも,
何か困ったことがあればいつでもご相談ください。

たんぱく制限は食事療法のなかでも特に難しく,牛乳をあまり飲まないようにしましょうなど,いろいろと具体的に患者さんにお伝えしますが,厳密に実行してもらうのは困難です。電解質管理についても同様で,主にはカリウム制限ですが,1日に減少させられるカリウムの量は限られており,制限を継続することが必要になりますので,やはり難しいのが実情だと思います。

当院では『食事管理のための日常食品成分表』『慢性腎臓病(CKD)/ 食事のポイントについて』 『CKD/カリウムコントロールのポイント』『CKD/リンコントロールのポイント』『塩分コントロールのポイント』『飲料/早見成分表(カリウム・リン)』といったオリジナルの冊子やリーフレットを栄養士が作成し,診療時に利用しています(12 ページ参照)。『食事管理のための日常食品成分表』では食品を「穀類」や「砂糖及び甘味類」「野菜類」「きのこ類」「魚介類」「肉類」「菓子類」「し好飲料類」など17項目に分け,食品ごとのたんぱく質やカリウム,リンなどの含有量を表示しています。たとえば,穀類のそばは「生」か「ゆで」か,パン粉は「乾燥」か「生」か「半生」かといった具合に,かなり細かく記載しています。そのほかのリーフレットもイラストなどを交えながら,目で見て実感できる内容になっており,患者さんにとても好評です。

食事療法のなかで,どのポイントを患者さんに頑張ってもらうかについては,いちばんわかりやすく効果的なのは減塩です。当院ではほぼ毎回の診察で随時尿による尿検査を行っています。併せて,ナトリウム量から塩分量を換算する式を表にして患者さんにお渡ししていますので,高い意識で減塩に取り組んでもらえています。「薄味にしています」と話す患者さんに,尿検査のデータをもとにした推定塩分摂取量を見てもらうと,時に反省,時に励ましの材料になり,効果的です。

カリウム制限や代謝性アシドーシスなどへの対処が必要な段階では,かかりつけ医の先生や専門外の先生が診療するのは難しいことも多いと思います。そのようなときは,日本腎臓学会の「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」に則ってご紹介いただくのはもちろん,急速な腎機能低下など何か困ったことがあればいつでもご相談ください。

かかりつけ医〈糖尿病内科〉

木ノ原先生からの質問

特に高齢者では,血液検査に加えて尿検査を受けることに
抵抗がある方もいらっしゃいます。
検査を受けてもらうための工夫があれば,教えてください。

CKD・透析専門クリニック

高橋先生,熊谷先生の回答

ほかの施設への紹介受診を
促してみるなど,
『そのくらい重要な検査なのか』と
意識してもらうことが大切です。
検査結果の数値を示しながら説明すると,
説得力があるように感じています。

腎疾患では必ず尿検査は行いますので,患者さんが尿検査のハードルが高いと感じることは当院ではまれですが,検査が追加されることに難色を示す高齢の患者さんは確かにいらっしゃいます。その場合は,大学病院や市民病院といった大きな病院に1回ご紹介しましょうか,などとお話することがあります。そうすると,患者さんはやはりドキッとするようで,病気に対する向き合い方や治療に対する意識を変えてくれることが多いです。

患者さんに腎機能低下の意味をしっかりと理解してもらうことも大切です。糖尿病が悪化して腎症を併発し腎機能が低下すれば,週2~3回の通院が求められる透析治療のリスクが高くなる,その予防のため,モニターのために尿検査は不可欠なのだ,ということを強く意識してもらうことが重要なのです。それでも検査を拒むような場合には,私たちのようなクリニックを検査のみのために利用していただくのも,ひとつの方法かと思います。

また,患者さんの行動変容を促すのに効果的なのは,検査結果を"証拠"として提示することだと感じています。診察の際,「先生に教わったように薄味にしています」「たんぱく質は控えるようにしています」と患者さんがお話されていても,実際に医師の目から見れば不十分なことはよくあると思います。そのような場合には,検査結果の数値を示して確認してもらうと,患者さんは自分が思っているほどには実行できていないことを認識して,「注意していたつもりでも,こんなに摂っていたのか」などの自覚が芽生え,行動変容のきっかけになることがあります。

そのほか,日本腎臓学会承認サイトの腎臓ネットが提供する食事療法の無料アプリなどを診察室で活用するのもおすすめです。年齢,体重,身長,随時尿クレアチニン,随時尿ナトリウムなどの値を入力するだけで1日の食塩摂取量が即座に計算されるので,診察時の指導にとても便利です。1日のたんぱく摂取量を計算するアプリなどもあります。このような患者さんに興味をもってもらえそうなツールを,診察に取り入れてみるのもよいと思います。

CKD・透析専門クリニック

高橋先生,熊谷先生からの質問

血糖コントロール目的で紹介させていただく際に
お知らせすべき情報や,紹介までに
実施しておいたほうがよい検査を教えてください。

かかりつけ医〈糖尿病内科〉

木ノ原先生の回答

栄養・食事指導の具体的な内容を
お知らせいただけますと助かります。
実施していただきたい検査は,腹部エコーです。

血糖コントロール目的でご紹介いただいた場合,現状の食事指導の情報を教えていただけるとありがたいです。CKDの方は合併症予防・重症化予防のために栄養指導を受けられていますが,ステージ3以降の方などでたんぱく制限をされている場合は,日常の食事でさまざまな工夫をされていることが多いので,紹介の際にはできるだけ具体的な内容をお知らせいただけると助かります。

また,検査については,腹部エコーを実施しておいていただけると大変ありがたいです。所見欄に記載がない場合は,こちらが腎臓の専門ではないということもあり,悪化原因などを見落としてしまう可能性があります。ときどき,エコーは実施しているものの全例の所見は書かないという先生もいらっしゃいますが,CKDの原因疾患をはじめとして必要な情報はなるべく多くご提供いただけると,当院に来てからの診療もスムーズに進めることができます。

一方,われわれかかりつけ医・腎臓専門外施設の側も,これからは尿検査を徹底しなければならないと考えています。尿検査を拒む患者さんも少なくありませんが,腎臓専門医や腎臓専門診療施設との連携がさらに求められるなか,患者さんにその重要性を丁寧に説明しながら,同意を得ていきたいと考えています。特に高齢の患者さんは,「もう残りの人生は好きなように生きるんだ」という方も多く,なかなか行動を変えてくれない傾向があります。減塩に比べてたんぱく制限が難しいことも十分実感していますので,患者さんとはできるだけ時間をかけて接するようにし,当院で再開した糖尿病教室の場なども利用しながら患者さんの行動変容を促していきたいと思います。

今後,当院でも糖尿病性腎症の患者さんがますます増えていくことが予想されます。患者増の抑制や重症化予防のためには,糖尿病の地域連携はもちろん,糖尿病を診療している施設と腎臓病を診療している施設のタッグが不可欠ですので,「安佐医師会糖尿病地域連携パス」を活用して広島市立安佐市民病院や広島共立病院などの中核病院,あるいは大町土谷クリニックをはじめとする腎臓専門クリニックとの連携を密にする必要があります。また,ジェネラリストの立場からも,地域の先生方との"顔の見える関係"を大切にし,連携をより強固なものにしていきたいと考えています。

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