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医療法人社団如水会 嶋田病院
[透析施設最前線]

2019年12月12日登載/2019年12月作成

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病院外観
  • ●理事長:嶋田 英敬 先生
  • ●院長:池田 拡行 先生
  • ●開設:1976年
  • ●所在地:熊本県熊本市中央区練兵町24

CKD初期から末期まで幅広い腎医療を提供
痛風専門医療機関として予後改善にも貢献

透析施設として45年の歴史を持つ医療法人社団如水会嶋田病院。患者一人ひとりについて細かく設定した「処方透析」と、「長時間透析」を二大特長とし、多くの透析患者に良好な予後を提供し続けている。また、熊本県下唯一の痛風協力医療機関として専門性の高い痛風医療を実践。痛風の悪化を防ぐとともに、腎不全予防にも貢献している。

1. 病院の概要 透析の先進施設として開業45周年
痛風医療においても地域を牽引

嶋田 英敬
理事長

医療法人社団如水会嶋田病院は1974年、透析クリニックとして開業。その後、病院に発展し、現在は腎臓内科、人工透析内科、代謝内科、内科を標榜している。病床数は48床。如水会ではほかに、上益城郡嘉島町周辺地域の透析医療を担う嘉島クリニック(1989年11月開設)も運営している。

冒頭で触れた通り、処方透析と長時間透析を2大特長として良質な透析医療を提供している。加えて透析に関する技術開発にも力を入れており、たとえば創業者である嶋田英剛現会長は、今日の血液ポンプの基礎ともいえる透析用血液ポンプ「TR-27」(東レメディカル株式会社)の開発者としても知られている。

もう1つ、熊本県下唯一の痛風協力医療機関であることも大きな特長である。これは痛風について研鑽を積み、適切な医療を提供している医療機関として、公益財団法人痛風・尿酸財団が推薦するもので、同院は、痛風患者がまだ日本にそれほど多くなかった1980年にすでにこの推薦を受けている。

自院のみならず地域の痛風医療を牽引する嶋田英敬理事長は、熊本県初にして全国的にもまだ珍しい日本痛風・尿酸核酸学会認定痛風医(同学会・評議員)で、他の医師を指導しながら、約1,000名の痛風患者(痛風発作を起こしていない高尿酸血症を含む)を外来で管理。痛風発作の予防や、痛風結節など重い症状の改善など成果をあげている。

2. 透析室 処方透析と長時間透析で
良好な状態を維持

池田 拡行 院長

甲斐 正信 透析室マネージャー/臨床工学技士

熊本市では2019年9月、熊本城近くの熊本交通センター跡地に大型商業施設がオープンするなど再開発が進んでいる。嶋田病院はこの施設から徒歩2分という市内の中心的な場所にある。病院は6階建てで、1階が外来フロア。2階、3階に透析室があり、2階は外来患者用、3階は主に入院患者用。透析医療にかかわる医師、看護師、臨床工学技士はそれぞれ5名、16名、11名である。

透析ベッドは2フロア合わせて85台あり、これらをA〜Hの8ブロックに分け、それぞれに担当医師、看護師、臨床工学技士がついて管理やケアにあたっている。池田拡行院長は、「責任範囲が明確になるため、患者さん一人ひとりにしっかり対応しようという意識が高まるのがブロック制のメリット」と話す。

同院の透析患者は2019年現在約170名で、平均年齢は69歳。長期にわたって透析を受けている人も多く、中には透析歴40年以上の患者も数名いる。このように、透析を受けながらも日常生活を長く維持できる患者が多数いることの大きな理由が、先に触れた処方透析と長時間透析である。

処方透析とは、透析液の電解質濃度を調整し、患者に合わせて提供することを指す。「当院の場合、ベースとなる透析液が一般のものとは電解質組成が違うオリジナル処方であり、さらに、ナトリウム、カリウム、カルシウムの濃度を変えた調整液を3種類用意しています。これらを入れないケースを含めると、それぞれ4段階あり、計算上は4の3乗、つまり64種類の透析液を使い分けることが可能です。こうした細かな調整を行うことによって心血管系の合併症を予防したり、長時間透析を安全に行ったりすることができ、患者さんの予後を良好に保つことができているのです」と、池田院長が説明する。

長時間透析については、「長ければ長いほどよい」というスタンスで、スタッフ皆で患者にすすめている。甲斐正信透析室マネージャー(臨床工学技士)によれば、同院での透析を開始してから1カ月以内に標準的な4時間から5時間まで延ばすのことを透析室あげての目標としている。「折に触れて長時間透析のメリットをお伝えし、15分単位で延ばしていきます」と甲斐マネージャー。現在の平均透析時間は、4時間の人が比較的多い入院患者を含めても5.2時間だ。

処方透析と長時間透析の成果はさまざまなデータにも表れている。たとえば20年以上透析を続けている人の比率は、全国の8.3%に対し、如水会は25.6%。2013年からの5年間に心血管系合併症で亡くなった透析患者の比率は、全国の約40%に対し如水会は19.4%。甲斐マネージャーは、「単純比較はできませんが、合併症予防の成果は確実に出ていると思います」と語る。

なお、透析室の災害対策としては、2016年4月の熊本地震における断水を教訓に病院裏に掘った井戸がある。これにより断水時にも平常通りの透析が可能になった。さらに、いざというときには地域の人々にも水を提供できるよう、災害時用蛇口も完備している。

3. シャントトラブル対応 日頃の観察でトラブルを早期発見
院長によるPTAで血管を温存

西村 梨花 看護師

シャントの狭窄や閉塞といったトラブルの際は、院内でPTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty:経皮的血管形成術)を行う。PTAは池田院長が一手に引き受けており、年間の症例数は200例前後である。閉塞を繰り返す患者でもなるべく再建を避け、PTAで対応することで血管を温存するのが同院の方針だ。

同院のPTAには、オペ担当の透析室看護師が立ち合う。4名いるオペ担当看護師の責任者を務める西村梨花看護師によると、透析室スタッフは、穿刺の前に必ずシャントの観察を行い、何か気づいたときにはすぐにオペ担当看護師に報告することになっている。

「シャントの観察結果は、シャント・トラブル・スコアリング(S・T・S)シートに記録します。これを見て担当看護師が必要と判断した場合は即、PTAの予約を入れます。この仕組みを取り入れたことでトラブルの発見からPTAまでの期間が大幅に短くなりました」と西村看護師。今後はシャントの閉塞例をさらに減らすことを目指している。

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シャント・トラブル・スコアリング(S・T・S)シート

4. 栄養指導 ベッドサイドで個別指導
根気強い指導で患者に意識づけ

左から大森 和代 栄養管理室主任・管理栄養士、松本 絵理 管理栄養士、山中 由佳 管理栄養士

透析患者の栄養指導は担当医からの介入依頼に基づき、3名の管理栄養士が交代で透析室に出向いてベッドサイドで個別に行うのが基本だ。また、入院患者に提供している透析食を希望に応じて外来患者にも提供し、食材の味を生かした減塩食の啓発につなげている。

大森和代栄養管理室主任(管理栄養士)は、「高齢者を中心に、低栄養状態の患者さんが目立ってきています。一方で、仕事を持っている方などは、塩分や水分の取り過ぎで体重が増えてしまうケースが多く、栄養に関する問題は、両極端になっている印象があります」と話す。また、山中由佳管理栄養士は、「1回の指導で理解していただくのは難しいので、一度介入した患者さんにはさまざまな機会を利用して、同じことを繰り返しお話しするようにしています」と、指導における心がけを話す。

指導を1回で終わらせないという方針は、CKD患者や痛風患者に関しても同様で、検査入院をした患者のうちBMIが25以上の人については、食事習慣の聞き取りと減量などの目標設定、達成度の確認などを含めて必ず3回の栄養指導を行うことにしている。目標達成ができていなければさらに3回の指導を行うなど、根気強くかかわり、患者の意識を変えることを目指している。

5. リハビリテーション 透析中のリハビリを強化
理事長主導の腎臓リハチームも活動

山室 暁 理学療法士/心臓リハビリテーション指導士

リハビリテーション室には4名のPTが在籍。左から田中 蒼 PT、三柴 凌 PT、山室 暁 PT、米口 瑞記 PT

嶋田病院では、透析患者のリハビリテーションにも早くから取り組んできた。その取り組みは2019年5月、心臓リハビリテーション指導士の資格も持つ山室暁理学療法士(PT)が赴任したことで、さらに強化された。山室PTは、「非透析日の活動量を上げることを第一の目的として、心肺機能、下肢動脈などの評価を行いながら、合併症予防も視野に入れたリハビリを、透析中の時間を有効に使って行っています」と話す。

具体的には、エルゴメーターを使った有酸素運動(平均15分)と、セラバンドによる大腿四頭筋などのレジスタンストレーニング(目標50回)をセットにして、患者の体力に合わせて実施。筋肉の廃用が進んだ患者については、総合刺激電気装置(G-TES)を透析室に持ち込み、大腿四頭筋やふくらはぎの筋力アップを図っている。運動内容や負荷の設定は山室PTが行い、継続的なサポートは、透析室スタッフが引き継ぐ。PTによる定期的な筋力評価も行っている。

こうした取り組みと並行して、嶋田理事長を中心とした腎臓リハビリテーションチームを結成し、毎月2回の勉強会も継続している。また2019年10月には、院内改装に伴い外来リハビリテーション室を新設。透析のない日にもリハビリができる環境を整えた。

現在はチームで各種評価表を作成し、体成分分析装置と合わせた評価を行って患者にフィードバックすることを計画中。将来的には心肺運動負荷試験(CPX)なども導入し、成果につなげたいという。

6. CKD・生活習慣病対策 開業医、高次病院と連携しCKD診療
生活習慣病外来も好評

藤本 晴香 診療部長

中嶋 淑心 医師

CKD対策を担当するのは、中嶋淑心(よしみ)医師だ。熊本市慢性腎臓病(CKD)病診連携システム「CKD専門医療機関」として登録している同院では、健診結果で尿たん白陽性と出た人、開業医で腎機能の低下を指摘された人などを専門的に検査・治療したり、腎生検が必要なケースなどを高次病院へ紹介したりといった機能を果たしている。

「初診では30分の枠をとり、CKDとは何か、今後、どんな検査や治療が必要になるかといった概略をお伝えします。自覚症状のない疾患ですので、継続的な受診の動機づけを最初にしっかり行うことが大事だと考えています」と中嶋医師が言う。

腎機能検査入院の仕組みもある。心血管系の検査、体組成検査、栄養や運動に関する学習、空腹時採血などで構成され、所要時間は1日半。この間に24時間畜尿検査も行い、塩分摂取量などを正確に把握する。腎機能検査入院の対象となるのは主に、急に腎機能が低下した人、もともと腎臓病があって数値が悪化した人、生活習慣病のコントロールが不良の人などで、教育入院を兼ねるケースもある。

毎月、第4月曜に実施している「しまじん教室」も、CKD患者が対象である。医師、看護師、管理栄養士、臨床工学技士、薬剤師、PT、MSWなどが講師を務め、おやつの時間をはさみながら楽しく学習してもらっている。

生活習慣病対策は、藤本晴香(せいこ)診療部長が統括している。高血圧や糖尿病を合併している透析患者の管理はもちろん、複数の生活習慣病を併発している紹介患者、検査で異常を指摘されたばかりの一般の患者なども受け入れ、定期的に診るほか、治療方針を決定して開業医に逆紹介するなどの対応をしている。「とにかく早い段階で適切な医療につなぐことを重視しています」と藤本診療部長が言う。

生活習慣病外来は、系列の嘉島クリニックでも2017年秋から始まっている。藤本診療部長が週2回外来診療を行い、嶋田病院に準じる対応をしている。「嘉島地域には代謝内科・腎臓内科がほとんどないこともあり、検査で異常を指摘されながらも放置されているケースが少なくありません。そういう方を嶋田病院の医師とも相談しながら継続的に診ています。また、嶋田病院に紹介して検査を受けていただくこともあります。近隣のリハビリテーション病院と連携した骨粗鬆症対策や、フレイル対策などにも力を入れています」と藤本診療部長。

生活習慣病外来のニーズは高く、予約枠は常に満杯状態。現在、一般外来の枠を広げることも検討中である。

7. 今後の課題・展望 外部評価を参考に改善を重ね
"人をつくる病院"を目指す

嶋田理事長は近年の大きな課題として、特に人材育成を重視しており、「当院で仕事をしてもらうことで、職員が人間として成長し、自己実現を図ることができればうれしく思います。このことを私は、"人をつくる病院"と表現しています」と言う。

人をつくるために嶋田理事長が取り組んでいるのが、理念をはじめロゴマークの意味、職員の行動指針、役割や歴史、年間行事の内容や目的などを明文化して職員と共有することだ。これらはポケットサイズの「職員手帳」にまとめて配付し、常に携帯してもらっている。また、文章の真の意味を共有できるよう、日頃から職員とのコミュニケーションをとても大事にしている。

嶋田理事長の経営者としての信条は、「完璧だと思った瞬間が次の始まり」。透析施設の先駆者として良い医療の提供に努め、その結果として大きく発展してきた嶋田病院。その取り組みが完璧かどうかを測る指針として、日本医療機能評価機構の認定や、ISO9001の認証を取得し、これらの結果をふまえて改善を重ねている。

再開発が進むのに伴い、訪れる人々の層にも変化が見られるという熊本市にあって、「変化を敏感に感じ取り、ニーズに的確に応えていくのも医療機関の使命」と語る嶋田理事長。今後は透析医療をベースにしつつも、幅広い医療を提供できる身近な病院として、さらなる発展を目指していく方針だ。

KK-19-11-27262

透析施設最前線

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