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医療法人白楊会 白楊会病院
[透析施設最前線]

2020年01月20日登載/2020年01月作成

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病院外観
  • ●院長:山本 明和 先生
  • ●開設:1979年
  • ●所在地:愛知県名古屋市名東区上社4-181

地域の腎医療を多職種で支える
希望に沿った透析で患者の日常を快適に

医療法人白楊会は、名古屋大学医学部附属病院分院で腎医療に携わっていた内科医たちによって、1973年に設立された透析クリニックをルーツとしている。同会は現在、愛知県と岐阜県に計7つの医療機関・高齢者施設を運営。白楊会病院はその中で唯一の病院であり、人工透析をはじめとした腎医療を中心に、生活習慣病の管理などを通して地域の人々の健康づくりをサポートしている。

1. 法人の概要 地域密着型の医療・介護を提供しながら
人材育成にも力を注ぐ

山本 明和
院長

「1970年代初頭、名古屋大学医学部では、附属病院旧分院内科でも慢性腎不全の治療研究を行っていました。この仕事に携わっていた4名の医師が集まって、1973年にメディカルサテライト・名古屋をつくりました。白楊会病院を開設したのはその6年後の1979年。同じ年に法人化し、私自身もこのとき赴任しています。その後は地域のニーズに合わせて順次、愛知県、岐阜県に透析クリニックと老人保健施設、サービス付き高齢者向け住宅をつくり、現在に至っています。私たちが目指したのは、透析医療を中心に、地域に密着した優しい医療と介護を提供すること。開業から47年になりますが、この思いは今も全く変わっていません」と、山本明和院長が、白楊会の歴史と理念を紹介する。

クリニックからスタートし、後に病院、高齢者施設とサービスを広げていった理由を山本院長は、「高齢化した透析患者さんの受皿が必要になったから」と説明する。白楊会が運営する老人保健施設やサービス付き高齢者向け住宅には、それぞれグループの透析クリニックが隣接しており、入所者が通院の負担なく透析医療を継続しながら生活することができるのは大きな利点だ。また、白楊会病院は一般外来や入院機能も持ち、保存期CKDの管理も含め多様なニーズに対応している。

このように透析患者を医療・介護両面から支えることと併行して、白楊会が法人をあげて取り組んでいることに、人材育成がある。その代表的なものが、年に1回実施している学会形式の法人全体勉強会である。病院とクリニックから各2題程度ずつ演題を出して発表してもらい、優秀な演題については関連学会での発表につなげる仕組みだ。臨床だけでなく研究にも力を入れるこうした姿勢も、開業以来の伝統である。

2. 透析室 ワンフロア46床の明るい空間で
多様な透析医療を実施

白楊会病院の透析患者数はおおむね120〜130名で推移している。透析室は2階のワンフロア。入口を入るとゆったりした待合室があり、ここで患者同士はもちろん、患者とスタッフが気軽に言葉をかわす様子が印象的だ。さらに奥に進むと体重測定のコーナーがあり、その先に透析ベッドが46床並んでいる。それらのベッドをほぼ見渡せる位置にスタッフステーションがある。歴史ある病院だが、透析室の内装はリフォーム済みで全体に明るく、機能的である。

透析装置は多種類あり、通常透析のほか、オンラインHDF(HemoDialysis Filtration:血液透析濾過)、IHDF(Intermittent Infusion HemoDiafiltration:間歇補充型血液透析濾過)、リクセル治療、酢酸フリー透析なども行うことができる。46台中1台は個人用だ。また、多人数用透析液供給システムが2台あるため、酢酸透析と酢酸フリー透析を同時に行うことができるのも特長的である。各ベッドにはテレビが設置され、掛け布団はやわらかな花柄。1床に1つずつ、災害時に備えてヘルメットも完備している。

各種検査値や透析当日の投薬内容の管理、バイタルサインの測定・記録・モニタリングなどには、透析総合支援システムを活用している。システム導入後も改良を重ね、よく使う薬剤名、症状名などを登録し、誰もがワンクリックでスピーディーに入力できるようになっている。

従来から透析患者の下肢病変予防に力を入れており、血圧脈波検査、フットケア、エアーマッサージなどを随時実施している。また近年は、運動不足解消や透析効率アップを目的に、下肢エルゴメーターを使った透析中の運動も開始した。

3. チーム医療 各職種がベッドサイドで連携
患者情報収集ではMSWも活躍

看護部主任として透析看護をリードする皆さん。左から中川智恵美、長谷川みつ代、浅野綾香の3氏

竹元 昭彦 臨床工学部主任

透析室ではさまざまな職種が連携して仕事をしている。すべての患者の長期的な治療方針を決めるのは山本院長だ。その方針に沿って、副院長や夜間勤務の医師たちが患者の日々の管理を行う。

動脈硬化につながるMBD(骨・ミネラル代謝異常)解消を目的に、各種検査値と対応法を図表化した「MBDアルゴリズム」も、さまざまな文献を参考に院長が作成している。「月2回の血液検査でカルシウムやリンの値を把握し、2回続けて目標値を逸脱した場合は、その値に応じて薬剤の増減や切り替えを行ってi-PTH値をコントロールします。患者さんごとの検査値の変化は私を含め、複数の医師、看護師が見ていますので、異常を見逃すことはまずありません。異常値に気づいたら素早く対応するから極端に逸脱する例がない、というのがMBDアルゴリズムをスタッフと共有することの利点です」と山本院長。現在、使用しているアルゴリズムは、新薬採用を機に改訂した2018年11月版である。貧血用のアルゴリズムもある。

看護師は15名おり、シフト制で医師の回診補佐担当、処置担当、薬剤担当などに分かれて活動。また、ベッドを7〜8床ごと6グループに区分けして透析中のケアにあたる。それとは別に、年間を通じて患者受持ち制で各自10名前後を担当し、検査値の管理などを行っている。

患者の身体症状や精神状態、生活環境などを把握するために定期的に行っている「愛Pod調査」も看護師の仕事だ。これは、医療法人清永会(山形県山形市)が提唱する愛Pod(Patient oriented dialysis:患者の訴えに基づく透析)を実践するための質問調査で、20の質問に0〜4の5段階評価で答えてもらい、その結果を多職種で共有してトータルサポートにつなげる、というものだ。

「看護師から見て問題だと思うことと、患者さん自身が困っていることが必ずしも一致するとは限りません。普段あまり症状を口にしない患者さんが、思わぬ悩みを抱えていることもあります。愛Pod調査で患者さんが本当に困っている症状や状況を知ることで、より意味のある介入ができるようになりました」と看護部の中川智恵美主任が言う。

同院で愛Pod調査を開始したのは2012年頃で、清永会の活動や成果を知ったスタッフの発案で着手した。以来、毎年4月と10月に調査を行っては必要な介入を行い、介入後の変化を集計。当初最も辛い「4」とされていた痛みや苦痛が、介入後に「2」「1」に改善される例が多々あるなど、さまざまな成果を上げている。

臨床工学技士は5名在籍(育児休暇中1名含む)。やはりシフト制で看護師と同様に患者のケアにあたりながら、機器の管理、水質管理など専門的な業務を行っている。

「私たちは透析中の機器のチェックなどをしながら、できるだけ患者さんとお話しすることを心がけています。医師や看護師とはまた違った立場で接することで、心を開いてくださる患者さんも少なくありません」と話すのは、臨床工学部の竹元昭彦主任だ。

竹元主任ら複数の臨床工学技士は、臨床検査技師の資格も持っており、2018年からは上記業務のほかにシャントエコー検査も行うようになった。現在は、院長からのオーダーに合わせて患者のベッドサイドに超音波検査装置を運び、随時、測定している。

「患者さんによっては、外部の医療機関に検査を受けに行くだけでも大きな負担です。その負担を軽減する意味でも、早期発見という意味でも、院内でのシャントエコーは有効だと感じます。また、狭窄の状態を明確に示すことで、PTAの必要性に対する患者さんの納得感が違ってきます。私たちの検査によって早期治療につながった例が、すでに複数出てきています」と、竹元主任が手応えを語る。

家族関係や経済的状況など周辺状況からアプローチするのは、MSWの役割だ。同院には透析歴の長い患者が多いこともあり、通院している間に事情が変化するケースが少なくない。そこで、透析時間を利用してMSWがベッドサイドに出向いて直接聞き取りを行い、相談に応じたり、状況や希望によっては介護サービスや各種制度を紹介したりしている。ときには家族に連絡を取り、考えや希望を聞くこともあるという。

「介入のきっかけはさまざまですが、特に有用なのは他の職種からの小さな情報です。たとえば、薬を飲み忘れることが増えたとか、家で十分食事ができていないようだとか、車の移乗がしにくくなったといった情報を、各部署のスタッフ、ときには送迎車の運転手から情報を得ては患者さんに会いに行き、できるだけ早く適切なサービスにつなぐようにしています」とMSWが言う。

同様に、管理栄養士も患者のベッドサイドに出向いて個別の対応をしている。また薬剤師は、透析患者の定期処方薬を1週間分配布し、臨時処方薬のベッドサイドでの服薬指導といった形で透析医療に参加している。

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「愛Pod調査」:透析治療に関する自覚症状調査シート

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シャントエコーは臨床検査技師の資格を持つスタッフが透析室内で実施

4. 長時間透析 気軽に長時間透析ができるよう
6時間透析を隔週1回から実施

透析スケジュールは月・水・金・土が朝・午前・午後・夜間の4クール、火・木が朝・午前・午後の3クールで、各曜日とも、入室や開始時間が細かく設定されている。同院では長時間透析を推奨しており、透析時間によって入室時間をずらしているためだ。朝クールの入室時間は8:00で4時間以下。午前クール入室時間は、入院の人は8:30、5時間以上の人が8:45、通常の外来通院の人は9:25。午後クールの入室時間は11:45以降で4時間以下のみ。夜間クールの入室時間は、5時間以上の人は16:20、通常のみ外来通院の人は16:45である。土曜の夜間は長時間透析の人は15:20入室、通常の外来通院の人は15:50入室といった感じだ。夜クールの終了時間は23:00(土曜日は22:00)である。

同院で長時間透析への取り組みを本格化させたのは2014年1月。きっかけは何人かの患者から、「長時間透析をやってみたい」という声があがってきたことだった。患者の声を聞いた透析室スタッフは、長時間透析研究会(前田利朗会長)に参加したり、先進施設を視察したりしてノウハウを習得。「さっそく希望者を対象に実施すると、ある患者さんが『透析後のモヤモヤが晴れた』とおっしゃいました。この言葉を聞いて、長時間透析の良さを実感しました」と竹元主任が振り返る。

「時間をかけて透析を行うと、身体の変化もゆるやかで負担が少ないのです。増えた体重を6時間かけて戻すのと4時間で戻すのとでは、患者さんが感じるしんどさが違います。長時間透析を行っている人は目に見えて元気。食欲がアップするので、食事内容には注意が必要ですが、血圧の安定や栄養状態の改善、不定愁訴の緩和など、さまざまなメリットがあります。私からはこうした長時間透析に関する医学的なデータをお伝えし、メリットをわかっていただくように努めています」と山本院長。

長時間透析といっても、必ずしも週に18時間以上という定義にこだわらないのが同院の方針だ。

「3回のうち1回は6時間、ほか2回は5時間とか、祝日の前だけ6時間で普段は4時間などでも構いません。週1回でも2回でも、隔週1回でもいいからやってみませんか、とおすすめしています。少しでも長く透析を受けることで、より元気になっていただきたいというのが私たちの願いです」と看護部の浅野綾香主任が言う。

「私たち看護師からは、医学的な解説ではなく、患者さんの体験談をお伝えして、良さをわかっていただくことに努めています。長時間透析を続けてみたら身体が軽くなったとか、食べものがおいしく感じるとか、普段の生活が楽になったとか、そういった体験談が一番患者さんに響く気がしています」と、長時間透析をすすめるコツを話すのは同じく看護部の長谷川みつ代主任である。

拘束時間の長さなどデメリットもあり、長時間透析に抵抗を示す患者もまだまだいるが、現在までに6時間透析を週3回実施している患者が3名、週1回でも6時間透析を受けている患者が5名まで増えた。5時間透析を受けている患者は20数名にのぼる。「今後もその良さを地道に伝えて、少しずつでも増やしていければ」と、院長以下スタッフが口を揃える。

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患者がいつでも読めるように待合室に置いてある長時間透析に関する手づくりの資料

5. 今後の課題・展望 日常を支える視点を引き続き重視
最大の課題は高齢者対策の強化

今後の課題として看護部では、患者の日常生活の充実を挙げる。「私たち看護師は、患者さんが透析をするために生きる訳ではなく、生活が充実できるよう、透析をしていない時間も十分に楽しめるように、ということをいつも考えています。今後もそういった視点を大事にしていきたい」と長谷川主任が言う。

患者の人生を豊かにする1つの取り組みとして、患者会への協力がある。同院で透析を受けている患者、70〜80人で組織される「白楊親和会」では、会員主導でカラオケ温泉旅行、おしゃべり会、バス旅行、医療懇談会(病院スタッフと患者の対話)などを実施しているが、山本院長はじめ看護師、臨床検査技師なども賛助会員としてこれらに参加し、交流を図ったり、情報提供したりしている。こうした患者会へのサポートは、今後も積極的に行っていく方針だ。

山本院長は、今後の最大の課題として「高齢化対策の強化」を挙げる。透析患者の送迎、介護との連携など、すでにさまざまな対策を講じているが、「ますます高齢化する患者さんに、どこまで、どんなサービスを提供するかは難しい問題」と指摘。「とにかく、患者さんが1日でも長く元気でいられるように、スタッフと一緒に頑張っていきます」と、思いを新たにしている。

KK-19-11-27312(1904)

透析施設最前線

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