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独立行政法人地域医療機能推進機構 高知西病院
[透析施設最前線]

2020年12月25日公開/2020年12月作成

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病院外観
  • ●病院長:山田 光俊 先生
  • ●開設:1955年10月(高知社会保険病院として)
  • ●所在地:高知県高知市神田317-12

「高知県透析医会VAセンター」を開設し
一般透析施設のシャントを一元管理

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)高知西病院は、県内の公的病院では最も多くの透析患者を受け入れている。また、他の透析施設に通う患者の合併症治療にも幅広く対応。2018年には「高知県透析医会バスキュラーアクセス(VA)センター」を開設し、一般の透析施設ではシャント管理の難しい患者の受け入れや、シャント作成、PTA(経皮的血管形成術)といった手術に対応している。高度な透析医療を提供すると同時に、若手医師の育成にも注力している。

1. 透析医療の歴史 1977年に人工透析室を開設
県内透析施設の中心的存在

桑原 和則 名誉院長

桑原 和則 名誉院長

JCHO高知西病院のルーツである高知社会保険病院は、1955年10月、主に結核の治療を行う施設として発足した。結核患者の減少とともにその役割を終え、1975年5月、厚生年金高知リハビリテーション病院(県内初のリハビリ病院)に生まれ変わって現在の地に設置された。屋上から高知市街や高知城、四国山脈、鏡川などが見渡せる好立地である。

移転2年目の1977年4月に、人工透析室を開設。当初は10床だったが、段階的に増床し、2009年以降は30床を維持している。

法改正に伴い病院名を現在の名称にしたのは2014年4月。同院は、リハビリテーション医療、透析医療、健診をはじめとした保健予防活動を3つの柱とする高知県西部の中核病院で、透析医療については県内40の透析施設の中心的存在である。

「人間愛に満ちた患者様中心の医療」「地域住民との連係を深め、地域のニーズに即した医療」「保健予防活動を積極的に行い、地域住民の健康増進に貢献する医療」を理念とし、「地域における模範的医療の実践」「患者のQOLの向上とインフォームドコンセントの徹底」「高齢者、障害者に優しい医療の提供」「質の高いリハビリテーション医療」「疾病の予防と早期発見」といった文言を盛り込んだ基本方針を掲げている。

「厚生年金病院時代に10年間、病院長を務め、退任して8年になる現在も変わらず透析科の先頭に立って診療を続けている桑原和則名誉院長は、「公的病院として地域の医療を支えていくことが、開設以来変わらぬ当院の使命です。特に、患者さんだけでなく医師の高齢化も深刻化している透析医療においては、他の分野以上に地域の体制強化や若手医師の育成が急務になっています」と語る。

2. 名誉院長の足跡 県内初の透析を実施して以来
50年余りにわたって透析医療を牽引

桑原名誉院長は、高知県で初めて臨床で透析医療を実施した実績を誇る。1960年代後半、高知県立中央病院(現高知医療センター)外科の研修医だったときに、がんなどの手術が成功しても、術後、急性腎不全に陥る患者が多いことにジレンマを感じていたことが、人工透析に興味を持つきっかけになった。あるとき、「すでに院内に人工腎臓の設備があるが動かせる人材がいない」という事実を上司に聞かされ、自ら手を挙げ人工腎臓の担当になった。

岡山大学外科で研修すること1カ月。いまではほとんど見られなくなったコイル型人工腎臓の操作法や灌流液を自分で調整する方法などを身につけて高知に帰還した1週間後、クラッシュ・シンドロームによる急性腎不全と診断された男性患者を人工腎臓による治療で救った。これが県内透析患者の第1号だ。

その後しばらくは人工腎臓室と手術室を兼務し、主に急性期腎不全患者の透析に追われた。「慢性腎不全患者の透析が急激に増えたのは、1972年に人工透析が更正医療の適応になった頃からです」と振り返る。

「社会保障制度が未整備だった時代には、年間数百万円の医療費を患者さんが工面して支払っていました。透析に新鮮血が必要だった時代もあり、患者さんのご家族が献血者を集めたりすることもありました。あれから50年余り。この間に透析技術は飛躍的に進歩し、ほとんど自己負担なく受けられる制度も整いました。いまの透析患者さんがいかに恵まれているかが実感としてわかるだけに、患者さんたちには、自分の体をいたわることの大切さを、根気づよく伝えたいと思っています」と、透析医療の先駆者としての思いを語る。

なお、高知県の透析患者数は現在、約2,300人。人口100万人あたり約3,500人で、全国的にも透析患者の多い県となっている。

3. 透析室 おおむね4:1の人員配置で
夜間透析もフレキシブルに実施

桑原名誉院長は、同院の透析医療の特徴として第一に、人員の充実を挙げる。現在、透析科に勤務する医師には、専任の桑原名誉院長のほかに、消化器外科診療部診療部長を兼務する河合秀二医師、非常勤医で外科診療部を兼務する井関恒医師がいる。また、月に4回実施しているシャント外来(後述)のために横浜から通ってくれている野口智永医師の存在も大きい。

透析室の看護師は18名、臨床工学技士は7名だ。透析患者数は100名余りなので、おおむね患者4名にスタッフ1名の割合で勤務していることになる。この豊富な人員配置を生かし、最近まで穿刺に伴う作業を3名1組で行っていたというから驚く。安全確保のために1名が穿刺、1名が介助、1名が透析装置の確認と役割分担していたという。いまでこそ介助と装置担当を1名に集約しつつあるが、穿刺時の複数体制は堅持して、安全性を追求している。

透析は4クールで行っている。「月水金、火木土ともに、日中と夜間の2クールで、スタッフも日勤と準夜勤の2交代です。日中は9:00から入室、夜間は17:00から入室が基本ですが、スタート時間は患者さんのご都合に合わせて幅を持たせています。透析中は1名の看護師が7〜8名のケアにあたります。それとは別に患者さんそれぞれに受け持ち看護師がいて、長期的な看護計画をたてて体調管理や生活指導などを行っています」と概要を紹介するのは、筒井香江子看護師長だ。

続いて松田真由美副看護師長が、「夜間透析を行っている方は現在、月水金が22名、火木土が18名の計40名です。大半は仕事を持っておられるので、最後の方の入室が19:00頃になってしまう日もしばしばですが、あくまで仕事を優先していただくようにしています。このように社会復帰を重視して柔軟な対応ができるのも、人員が豊富だからこそだと感じています」と話す。

患者の希望を優先する姿勢は透析時間においても同様だ。現在、最も透析時間の長い患者は6時間だが、この6時間という時間を決めたのは患者本人である。「ご自分でいろいろ調べて勉強する患者さんで、長時間透析の効果もよく理解しておられます。あるとき『長時間透析をやってみたい』とおっしゃったので、『やりましょう』と、即、受け入れました」と、桑原名誉院長がいきさつを語る。長時間透析を実施するにあたり、この患者の透析開始時間は通常より1時間早い16:00に設定している。

医師は日々の診察に加え、2週間ごとに患者個々のデータを確認しており、必要に応じて透析条件や薬の処方を調整する。医師から透析時間を延ばすよう提案することもあるが、実施するかどうかはあくまで患者の判断に任せている。

「栄養指導や服薬指導も、患者さんの希望に合わせて管理栄養士、薬剤師に透析室に来てもらってベッドサイドで行っています。独り暮らしの高齢患者さんなど自宅での生活に不安のある方々には当院の訪問看護師をご紹介し、利用してみたいとおっしゃれば、訪問看護師を派遣して服薬指導や歩行訓練を行ってもらうこともあります」と、筒井看護師長が日常生活サポートを含めて患者の希望に寄り添う姿勢を語る。

一方、透析患者のリハビリテーションは、専門スタッフの集まるリハビリテーション科に任せている。腎臓リハビリとして特別なメニューをこなすのではなく、それぞれが持病や障害のリハビリに取り組むことが、結果的に腎臓にも良い影響を及ぼすという考え方だ。

4. VAセンターの成り立ち 月に1回の「シャント外来」からスタート
後に県内透析施設のシャント管理のセンターに

桑原名誉院長が、透析患者だけでなく、透析に携わる医師の高齢化についても危機意識を持っていることは前述の通りだ。高知西病院では2010年に「シャント外来」を開設し、県内の透析施設から紹介されてきた患者のシャントに関する手術などを行うようになったが、この取り組みも高齢化対策の一環だという。

「近年は高齢患者さんをはじめシャント管理の難しいケースが増えています。また、医師が高齢化するということは、シャント関連の手術をする医師が減るということを意味します。こうした問題意識は、高知県透析医会のメンバーの間ではだいぶ前から共有されていました。そこで、2010年の総会に参加していた知り合いの医師たちに、会として運営するバスキュラーアクセス(VA)センターの立ち上げを提案してみたのです。目的は、自院でのシャント管理が困難な透析施設のニーズに応えること。しかし、なかなか立候補する施設がなかったため、当院で手始めに特殊外来として開設したというわけです」

シャント外来を開設当初から担当してくれているのは、先に紹介した野口智永医師である。野口医師は研修医時代を高知で過ごし、県内の病院に勤務したあと、横浜第一病院の関連施設で研鑽を積んでいた。桑原名誉院長のプランに賛同した野口医師は、さっそく月に1回、横浜から飛行機を使って高知に出勤してくれるようになった。シャント外来に対する地域のニーズは想像以上で、予約枠はすぐにいっぱいになった。

同院のシャント外来が、正式に高知県透析医会VAセンターに移行したのは2018年8月だ。センターの概要は、桑原名誉院長、野口医師、井上啓史・高知大学医学部泌尿器科教授、大田和道・高知高須病院院長、沼田明・同名誉院長が集まって同年5月に開かれた懇談会で話し合われた。そこで同院の人員的な余裕や実績、公的病院であることが評価され、センターの開設施設に選ばれた。これを機にシャント外来はVA外来となり、月2回に増えた。

「VA外来の位置づけが明確になると、ますます患者さんが増え、外来枠を増やすとまた患者さんが増えるの繰り返しで、結局、いまでは月4回です。医師も野口医師を含めて3名になりました」と、桑原名誉院長がここ10年の経緯を語る。4回中1回はPTAのみとすることでより効率化し、早め早めの対応が可能となって、手術に至るケースを減らすことにもつながったという。

5. VA外来 外来日の診療計画を看護師が作成
後に県内透析施設のシャント管理のセンターに

竹又 正敏 看護師

竹又 正敏 看護師

VA外来の診療計画を、看護師長、副看護師長と相談しながら作成するのは、竹又正敏看護師である。同院の看護師は通常、数年ほどで部署を異動することが多いが、竹又看護師はシャント外来開設当時から透析科に所属しており、担当医とのやりとりにも慣れている。

「限られた時間を最大限有効に使うためにも、事前にわれわれ看護師が患者さんの情報をしっかり把握しておくことが大事です。血管の状況はどうか、血液凝固阻止剤を服用していないか、心機能はどうか、前回の治療はいつでどんな内容だったのかなどについて、各施設から提供される診療情報や院内カンファレンスなどを通して確認し、その内容からどんな治療になるかを予測して当日のタイムスケジュールを考えます」と竹又看護師。

全身状態の悪い深刻なシャントトラブルを起こしている患者が紹介されてきた場合は、VA外来の前に桑原名誉院長が診察をして必要な検査などを済ませておく。このときの検査結果やカルテの内容も、VA外来の参考資料となる。

こうしてつくった診療計画のたたき台を患者情報とともに事前に担当医にメールで送信。意見を聞いて計画を練り直し、細かな調整を行ったうえで計画を完成させる。

VA外来には透析室から2名、手術室から1名の看護師が参加し、午前の診察から午後の手術まで一貫して担当する。「当日は手術室の看護師が手術の補助を、透析室の看護師がPTAの補助を行い、医師が手術室と放射線室を行ったり来たりするかたちになります。常に現場は忙しく、緊張感があります」と松田副師長が言う。

VA外来の全受診者数は初年度の2010年度は90名で、そのうち他施設からの受診者が11名(12.2%)、紹介施設数は4だったが、徐々に利用が増え、VAセンター発足後の2019年度は全受診者数346名、うち他施設からの受診者数204名(59.0%)、紹介施設数21となった(図)。この数字を見るだけでも、VAセンターが地域のセンターとしてしっかり機能し、存在感を高めていることがうかがえる。

「VAセンターは地域の患者さんに安心・安全なシャント管理を提供するだけでなく、当院の医療機能を特徴づけるツールとしても、経営的側面から見ても、大きなプラスをもたらしてくれています」と、桑原名誉院長がVAセンターの成功を喜ぶ。

6. 今後の課題・展望 医師にとっての透析医療の魅力を
いかに若い世代に伝えていくか

桑原名誉院長は、「今後の透析医療の最大の課題は高齢化対策」と言い、高知県透析医会VAセンターを開設したのと同様に、今後も高知の透析医療を、地域全体で再構築していく必要があると指摘する。

その一環として、若手医師の育成にも注力。「慢性腎不全は治癒が見込めないこともあり、若い世代からは敬遠されがちのように思います。しかし、透析医療の質を高めながら、患者さんの人生を長年にわたって支え続けるところに医師としての喜びがあります。それに気づいてくれる医師に出会いたい。そして高知の透析医療を発展させてもらえたらうれしいです」と語り、引き続き近隣施設と協力しながら、知恵を絞っていく考えだ。

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