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医療法人社団 誠仁会 みはま成田クリニック
[透析施設最前線]

2021年3月4日公開/2021年3月作成

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病院外観
  • ●院長:村上 康一 先生
  • ●開設:1987年9月
  • ●所在地:千葉県成田市飯田町129-1

「よく食べしっかり透析をする」をモットーに
考えうる最大・最良の個別透析を提供

人工透析の目的は延命でなく社会復帰。そのためにもよく食べ、しっかり透析をする。そして元気に長生きするーー。吉田豊彦前理事長のこうした教えに則り、1979年の設立以来、質の高い透析を追求し続けている医療法人社団 誠仁会。みはま成田クリニックは同会の分院の1つで、本院であるみはま病院と連携しながら、合併症対策、人材育成などにも力を入れる。通常の血液透析のほか、患者のADLや希望を十分考慮し、夜間透析、血液濾過透析(HDF)、長時間透析にも積極的に対応している。

1. 法人の概要と理念 いまできる最良の医療の提供を目指す
泌尿器科とCKDの専門グループ

村上 康一 院長

村上 康一 院長

みはま成田クリニックは1987年9月、泌尿器科と人工透析の専門施設、「京葉泌尿器クリニック」(1975年開業)の2つめの分院として、「京葉泌尿器クリニック成田」の名称で開設された。その後、本院は病院に移行し、「医療法人社団 誠仁会 みはま病院」になった。同クリニックも2000年9月、みはま成田クリニックに名称変更し、現在の場所に新築移転した。18床の病床を持つ有床診療所で、「泌尿器科」「人工透析」「CKD(慢性腎臓病)」を診療の3本柱としている。

同クリニックのある成田市の人口は約13万3,000人(2019年12月現在)で、全国的に人口減少が進む地方都市が目立つ中、2014年比で1.0%増加している。成田空港滑走路の拡充などさらなる国際化も期待される地域である。1995年には医療特区として国際医療福祉大学が開設され附属病院も開院。成田市の基幹病院は成田赤十字病院で、隣接する印旛エリアには日本医科大学千葉北総病院も存在している。成田市を含む印旛医療圏は、7市2町、約70万人の人口を抱える広大なエリアである。

「当クリニックには泌尿器科医である私と腎臓内科医の2名が常勤しており、ほかにも常時、千葉大学、東邦大学、国際医療福祉大学などから派遣される非常勤医師が複数勤務しています。外来は泌尿器科とCKD外来の2つが柱。泌尿器科外来では、一般泌尿器科から泌尿器がんの外来治療と定期検査まで幅広く基幹病院と連携して行っています。CKD外来では、CKDに関連する疾患全般を管理・治療の対象としています。また、病棟では、急性期疾患から通院困難となった透析患者さんの終末期まで診させていただいています」と、泌尿器・腎医療に特化したトータルな取り組みを紹介するのは、村上康一院長だ。

誠仁会の理念は、「現時点で自分達ができる最良の医療を提供し続けていく。そのために常日頃、切磋琢磨し、研究・開発し続けていく」であり、具体策として、スペシャリストの育成に力を入れている。各職種とも、入職後しばらくは本院で研修。その後、分院に配属され、数年ごとに勤務先を異動し、実践経験を積んでいく仕組みだ。

「国内外の最新の情報を収集・解析し、それを臨床に、高い技術力として還元できる力を身につけられるよう、各職種の学会参加、発表を支援しています。一方で独りよがりにならないように、大学病院の先生方と共同研究を行ったり、ご指南をもらいながら取り組みを進めています。また、自ら開発した独創的な医療機器を現場に導入することあります」と、理念を実践する様子を村上院長が語る。

なお、本院には千葉県内の泌尿器科専門病院としては最多の11名の常勤医が在籍しており、一般的な泌尿器疾患だけでなく、高度な専門性や緊急を要する症例にも対応可能だ。みはま成田クリニックを含むほかの3施設も手術室を完備し、簡単な泌尿器科手術をはじめ、バスキュラーアクセス(VA)手術など透析関連の手術は自施設で実施している。誠仁会グループの医療機関はそれぞれ東関道自動車道に隣接しているため、災害時などに迅速に患者移送ができる環境にあるのも大きな特長だ。

2. 透析医療 広範な医療圏から360名の維持透析患者が通院
低栄養にならない最大限の透析量を実現

土屋 正二 ME部 部長

土屋 正二 ME部 部長

誠仁会では、グループ全体で325台の透析装置を擁し、合計1,135名の維持透析を行っている。みはま成田クリニックは同グループの3つの分院の中で最も規模が大きく、透析装置96台、維持透析患者数は360名。CKD外来からの自施設での年間透析導入患者数は約20名となっている。

医師以外のスタッフは看護師30名、臨床工学技士15名、管理栄養士2名、薬剤師4名(非常勤含む)、臨床検査技師2名。透析室の人員配置は、看護師が患者8名に対して1名、臨床工学技士が患者11名に対して1名で、両職種が協力して安全な透析と看護を提供している。

透析スケジュールは、月水金が午前・午後・夜間の3クール、火木土が午前・午後の2クールである。透析室は2階の第1透析室と1階の第2透析室に分かれ、患者のADLを考慮し、ベッドとリクライニングチェアの選択ができるようになっている。

5時間以上の長時間透析も可能で、2020年10月現在、30名弱の患者が長時間透析を受けている。長時間透析は医療上必要なケースに限らず、患者の希望があればそれに応えるかたちで実施している。長時間透析が生命予後によいことを日頃から繰り返し患者に伝えていることもあり、希望者は増えているという。

透析液については、「RO(逆浸透膜濾過)装置の導入を全国に先駆けて行うなど、その時代に利用できる最も有効な方法を用いて、考えられる限り安全な透析用水を作製し使用してきました。つくり立ての透析液で透析を行うための送液方法、パラレルシングルパスを用いたり、送液管に保温材を巻いたり。また、末端で加温しないシステムを用いることで、pHの変動を防いでいます。さらに、透析液供給装置での透析液の状態チェックを1日何回も行い、安全に使用できる状態であることをいつもモニタリングしています」と村上院長が説明する。

ME部の土屋正二部長(分院担当)は、こうした透析液へのこだわりは、質の高い透析を追求する法人のあり方そのものだと語る。

「先人から受け継いだ信念と技術をベースに、プロフェッショナルとして誇りの持てる仕事をするという意識を部内で共有しています。そのための設備投資は惜しみませんし、人材育成にも力を入れています」

土屋部長の上司であるME部の内野順司上席部長は、千葉県臨床工学技士会副会長、日本臨床工学技士会代議員・常任理事などとして日本のME界を牽引している人物だ。「内野上席部長のようなスペシャリスト中のスペシャリストの下で仕事をすることが、何よりの勉強です」と、土屋部長が言う。

村上院長はさらに、「"よく食べ、しっかり透析する"を実行するためには、各職種が専門的知識を生かすことはもちろん、それを有機的に統合するチーム医療を実践することが何より大切」と話し、院長自身も院内各職種との情報交換を活発に行い、毎月のデータを基に個々の患者に最も適したダイアライザーの大きさや機能、透析時の体外循環血流量などを検討している。

「至適透析量は低栄養にならない最大限の透析量とし、4時間透析の患者さんには、最高血液流量450ml/minを実践している方も多くいます。大量の体液を置換することになりますので、精密な設定と慎重な管理が必要になります。このほか6時間の長時間透析、HDF(血液濾過透析)はもちろんのこと、透析液のNa濃度、重炭酸濃度を調整した個別透析によって、透析困難症、過度の体重増加、透析直後の過アルカローシスへの対応も行っています」

透析患者の薬は院内処方で、薬剤師が定期薬を患者一人ひとりに配薬しているので、薬歴管理から服薬管理・指導までを一貫して行うことが可能だ。配薬前には残薬チェックも行うので、薬が無駄になることも防ぐことができている。服薬指導は透析中にベッドサイドで行うこともあり、1対1で比較的ゆっくり話すことができる。

3. 合併症対策 全患者のオーダー会議を毎月実施
10の専門チームを組織しより良い透析を目指す

「透析治療において合併症を生じさせないことが一番大切」と言う村上院長は、中でも長期透析患者に生じえる破壊性脊椎炎による四肢麻痺に着目。「透析によって十分回避可能」と考え、その予防に努めている。

週末透析後もβ2-ミクログロブリンを低値に保つべく全患者の透析効率を評価し、血液検査結果の推移を縦断的に観察・対応するオーダー会議を月1回、全職種が一堂に会して行っているのも、合併症予防が大きな目的だ。その会議で翌月のドライウエイト、定期処方薬、注射薬、栄養指示などが検討され、治療に反映される。「つまり、十分な透析量を確保し、無機リン摂取を極力減らす適切な食事療法を行い、それでも賄いきれない部分を薬剤で補うという考え方です」と、村上院長が明確な方針を語る。

また、栄養回診を医師・管理栄養士・薬剤師・看護師がチームで行い、患者個々にあった食事について提案している。これにより動脈硬化の進行を抑制し、定期的にCAVI(心臓足首血管指数)、ABI(足関節上腕血圧比)を測定することで下肢病変を早期に発見し、連携する基幹病院で治療を行ってもらっている。心血管、弁膜疾患についても同様で、超音波検査などを含む定期検査をシステム化している。

透析医療を円滑に行い、かつ患者満足度の向上を図るため、2020年10月には新たにMICS(Mihama Integrated Care System)も組織した。10の専門チーム(心血管チーム、栄養代謝チーム、骨代謝・貧血チーム、溢水防止チーム、透析効率チーム、シャント管理チーム、感染対策チーム、生活支援チーム、患者送迎チーム、危機管理チーム)を結成し、そのいずれかに全職員が所属。1~2カ月に1回、それぞれのチームがテーマに沿って個別に会議を行い、その結果を前述したオーダー会議に提案することとした。

村上院長は、「これまで以上に、専門職として自ら考えて動けるスタッフを増やしたい。スタッフは私よりずっと患者さんの家族や生活背景を理解していますから、彼ら彼女らが知恵を絞ってくれることが、より良い医療につながると思います。透析医療は、ともするとルーチンワークに終始してしまいがちですが、考え、提案するチャンスをつくることでモチベーションが上がり、創造的な仕事ができると思います」と話し、常に職場の改善や活性化に努めている。

4. VA管理 ポータブルエコーなどでVAの状態を把握
必要に応じてスタッフから院長に手術を提案

患者ごとの処方透析量を順守するべく、VA管理も慎重に行っている。たとえば、患者一人ひとりのVAの状態を常に把握し、異常が疑われれば、臨床工学技士または看護師が各透析室に常備しているポータブルエコーを用いて速やかにサーベイランスを行う。さらに精密検査が必要と判断した場合は、臨床検査技師による検査・評価がなされる。

「スタッフが必要と判断したときには、適した手術的治療法を私に提案してくれます。その後の術後評価もスタッフで共有し、モニタリングにも反映されるというふうに、よい循環ができています。当クリニックでは透析医療の経験・知識が豊富な医師、看護師、臨床工学技士がVAの状態をたえず観察し、チームとして個々の患者さんに最良の治療を提供しています」と、自信をもって語る村上院長だ。

5. CKD外来と地域連携 CKD外来への紹介基準の明示と
紹介後のフィードバックで円滑に連携

みはま成田クリニックは一般内科の診療を行っていないこともあり、受診する患者のほとんどは近隣医療機関の紹介患者である。急性期病院で透析導入となった患者が維持透析のために紹介されてきたり、近隣の診療所で腎機能の低下を指摘された人が、CKD外来に紹介されてきたり、といった流れだ。

反対に、同クリニックから基幹病院に紹介するのは、心疾患をはじめ合併症の治療が必要な場合や、特別な検査が必要な場合である。医療圏内に基幹病院が多く存在するため、何かあればいつでも大病院で診てもらえるという状況が、患者の安心感にもつながっているようだ。

CKD外来は、もう1人の常勤医である稲山えみ医師が担当している。稲山医師は日本透析医学会専門医であり日本腎臓学会専門医でもある。腎臓内科医は成田周辺では希少で、同院のCKD外来の存在はたいへん大きい。そんな専門外来を上手に生かすため、同クリニックでは近隣医療機関と年に数回、地域連携の会を開催し、その中でCKD外来への紹介基準なども示している()。地域連携の会はコロナ渦においてもウェブを活用して継続開催している。

村上院長は長年の経験から、「CKD疾患全般に関して病診、診診連携を強化する、と言葉で言うのはたやすいのですが、それを構築し、維持、強化していくのは簡単ではありません」と指摘。「連携体制をうまく機能させるためにも、定期的な勉強会などで連携の主旨を理解していただくこと。そして、ご紹介いただいた患者さんのその後の状況をフィードバックすることがとても重要です。患者さんを第一に考えているのは皆一緒で、その方法論が違うだけですので、お互いの得意な領域を生かし、苦手な部分を補い合えるようなシステムづくりが大切だと思っています」と、地域連携に対する考え方を語る。

6. 今後の課題・展望 地域連携を強化しPD、HHDの普及を目指す
様変わりする環境の中、危機管理も重視

みはま病院グループに入職して20年。地域の泌尿器・腎医療の充実に尽力してきた村上院長だが、課題はまだまだあるという。

たとえばCKD領域では、2016年に策定された「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」の推進がある。「成田印旛医療圏では少しずつ動き始めてきた段階です。今後は保健所などを介した健診事業の励行、異常が見つかった人の医療機関への受診勧奨、医師会を通じたかかりつけ医への啓発、多職種の教育体制の構築まで、専門家としてお手伝いできたらと思います」と院長が言う。日本では、2017年1年間に透析導入となった患者数がはじめて4万人台の大台を超えるなど深刻な状況が続いているが、一方で、新規透析導入患者数の減少に成功している先進地域もある。

村上院長は、「2028年までに年間新規透析患者数を3万5,000人以下に減少させる」「透析患者および腎移植患者を含むCKD患者のQOLの維持向上を図る」といった具体的目標が、腎疾患対策検討会で出されていることを踏まえ、「その目標達成のためCKD全般に関する知識の底上げを、医療圏内の医師のみならず他の医療スタッフ、地域住民にも浸透させていきたい」と語る。

もう1つ、腹膜透析(PD)の普及も大きな課題と考えている。「国をあげて推進されている地域包括ケアシステムの中では、高齢者の生活の場は自宅であり、在宅での治療が基本となってくることが示されています。したがって高齢者を中心とした透析医療もこのシステムを前提とするのが望ましく、PD、HHD(在宅血液透析)のさらなる普及が必至です」と村上院長。「今後は我々のような専門施設とかかりつけ医との連携がいま以上に重要になってくるでしょう」と指摘し、地域づくりに積極的に参加していく方針だ。

「自然災害が頻発する中でコロナ渦に巻き込まれ、いろいろなことがこれまでとは様変わりしています。医療安全、危機管理がこれまで異常に重要になってきたことは言うまでもありません。そんな中、諸問題に対する対応、準備を、柔軟な発想で粛々と進めたいと考えています」と、今後を冷静に見つめている。

KKC-2021-00121-1

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