KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
このサイトのご利用に際しては、協和キリンメディカルサイトのご利用条件が適用されます。

医療法人 虹緑会 岸田クリニック
[透析施設最前線]

2021年5月27日公開/2021年9月作成

印刷用PDF

病院外観
  • ●理事長・院長:岸田 堅 先生
  • ●開設:1978年
  • ●所在地:大阪府豊中市本町5丁目6-3

集団・個別の患者教育で理解度をアップ
自己決定をベースにテーラーメイドの透析を実践

大阪府北部における透析医療の先駆けとして、開業以来40年以上にわたり地域の腎不全患者をサポートし続けている岸田クリニック。開業当初から患者それぞれの病態に応じた管理を信条とし、検査データを駆使した透析医療に取り組んできた。2代目である岸田堅理事長の時代になってからは、そうしたデータ管理により力を入れたうえで、 患者が自らの病状をよく理解し、シャントや体調などを自己管理できるよう教育面を強化 。患者が主体的に治療にかかわっていく治療アドヒアランス改善を後押しすることで、食事や趣味を楽しめる人が増え、生活の質向上などに大きな効果を上げている。

1. 法人の概要 大阪府北部の透析医療の老舗
現在は一般外来にも幅広く対応

岸田堅 虹緑会理事長

岸田堅 虹緑会理事長

岸田クリニックは1978年、岸田直博・現医療法人虹緑会会長によって設立された。岸田会長は、日本初の重症救急専門施設として大阪大学医学部附属病院に1967年に創設され、その軌跡が2002年のNHK「プロジェクトX」にも取り上げられた、特殊救急部の立ち上げメンバーで外科医だ。この特殊救急部を軌道に乗せた後、今度は北摂地域(大阪府北部)の透析医療を充実させるべく、透析中核病院の社会医療法人愛仁会井上病院のサテライトクリニックとして外来透析専門施設の岸田クリニックを開業したのである 。

会長の息子である岸田堅・現医療法人虹緑会理事長兼岸田クリニック院長が同クリニックで診療するようになったのは、2012年のことである。当時は大阪大学医学部講師を続けながら非常勤医としての参加だった。正式な代替わりは2014年で、2016年には法人化した。

「法人名の虹緑会には、これまでの基盤に、さらにいろいろなかたちで改革やチャレンジをし、地域医療に貢献していきたいという気持ちをこめました。父の代のクリニックのイメージカラーはグリーンで、透析に特化した医療を提供してきました。私の代では緑色から多色の虹色へ、大きく幅を広げて発展していきたいと思っています」と岸田理事長が語る。

岸田理事長は会長の影響もあって、医師になった当初は救命救急医を目指して循環器科に進み、しばらくは心臓カテーテル手術などに専門的に取り組んでいた。しかし、メタボリックシンドロームの提唱者として知られる松澤佑次先生の研究室に所属した縁で、糖尿病をはじめとした生活習慣病の研究や診療を数多く手がけるようになった。現在までに日本内科学会専門医、日本循環器学会専門医、日本糖尿病学会専門医、日本動脈硬化学会専門医を取得している。

現在はこうした豊富な経験を生かし、透析のみならず、腎臓病・糖尿病・内分泌・代謝内科(甲状腺疾患)・循環器疾患・高尿酸血症(痛風発作)・睡眠時無呼吸・禁煙などの専門分野の一般外来診療にも力を注いでいる。たとえばCKDの場合は、外来での保存期管理から、腎代替療法の選択支援、導入、維持透析まで一貫して対応しており、それが患者の安心感につながっている。

コロナ禍にある現在こそ一般外来は勤務医の中辻秀朗診療部長にほぼ任せ、自らは会長とともに透析患者の管理を担当しているが、一般外来患者の動向にも常に目を配り、緊急の患者や難しいケースには 感染対策を万全にしたうえで対応している。なお、外来診療は昼休みなく9:00 から18:00までずっと行っている。大阪国際空港(伊丹空港)から車で約10分という立地がら、旅行者や出張中のビジネスパーソンなどの受診も多い。

2. 透析医療 「しっかり食べしっかり治療する」がモットー
長時間透析、頻回透析にも積極的に対応

岸田クリニックのスタッフは、理事長、会長(非常勤)、外来担当の常勤勤務医1名、看護師17 名(うちDLN慢性腎臓病療養指導看護師2名)、臨床工学技士5名(うち放射線技師兼務1名)、看護助手3名、事務8名(うち医療材料などの発注・管理を行うSPD専任1名)の総勢36名。SPDを配置しているのは、患者それぞれの適合性に沿った透析を追求すべく、ダイアライザーなどを1本単位で注文管理しているためだ。

透析ベッドは37床(うち個室2床)で、透析患者数は120人前後で推移している。透析スケジュールは、月水金、火木土のそれぞれ2クールだ。このスケジュールに合わせて看護師も月水金、火木土の2つのチームに完全に分かれて勤務し、さらに患者担当制とすることで、患者との親密度を高め、ちょっとした変化にも気づけるようにしている点は特徴的だ。

透析医療に関しては、「しっかり食べしっかり治療する 」をモットーとし、患者それぞれの状態に合わせてダイアライザーなど資材を選び、透析時間、血液流量などを設定している。血液透析以外にも、オンラインHDF、オフラインHDF 、i-HDF、LDLアフェレーシス、二重膜濾過血漿分離交換法、関節リウマチや潰瘍性大腸炎に対するCAP 療法なども行っている。また、患者の希望に応じて長時間透析や頻回透析にも積極的に対応。旅行透析も随時受け入れている。

北摂地域の透析医療の基幹施設である社会医療法人愛仁会井上病院を中心とした骨やフットケアなどに関する定期的な透析連絡会の開催など、他施設とともに地域連携にも取り組んでいる。

3. 患者教育 全透析患者対象の「透析教室」を毎月開催
病気の理解、治療への積極的参加を促す

岸田理事長が治療アドヒアランスに特に注力するようになったのは、岸田クリニックで診療を行うようになって2年目頃だったという。

「最初に疑問に思ったのは、患者さんの状態を精査したうえで薬の処方や生活指導を行っているにもかかわらず、期待通りに改善しないのはなぜか、ということでした。そこで患者さんが 薬を飲めていないのではないかと考え、聞いてみると、案の定、『飲みにくい』『飲み忘れる』などと答える人が多かったのです。その背景には、患者さんに薬の意味をきちんと理解していただく前に、医師が選んだ薬を処方してしまっているという私たち側の問題があると気づかされました」と、岸田理事長が約8年前を振り返る。

「薬をきちんと飲んでいただくためには、患者さんに薬について知っていただき、自分で選んでいただく必要がある」と考えた岸田理事長は、さっそく全透析患者を対象とした月一回(同じ講義を月クールと火クールにそれぞれ実施)の「透析教室」に取り組んだ。スタッフ教育も兼ねて、講師は事務職も含めた全スタッフの持ち回りに。薬に限らず治療の全体を理解してもらうために、あらゆるテーマを取り入れることとした。この透析教室は現在まで、毎月1回のペースで継続している。午前透析の終了後から午後透析の開始前、患者が最も多く集まる時間帯に毎回約10分間講義をし、5分間の質問時間も設けている。参加できなかった患者で希望者には資料を配布している。

「透析とは何か」といった基本的な知識から、「水分の摂り方」「入浴の仕方」など日常生活のポイント、ときには 「ベッドメイキング」など透析室でのスタッフの仕事の紹介などもしながら、「薬の役割」「新薬の紹介」などの講義も行っている。

4. 骨グラフの活用 岸田クリニックオリジナルのシートで骨関連のデータを管理
きめ細かな調整でベストコンディションを目指す

患者の状態が期待通り改善しないことを岸田理事長が疑問に思ったのは、長年記録している患者の詳細な検査データを、経時的に追っていたときだった。特に、血中のP(リン)濃度、補正Ca(カルシウム)濃度、 副甲状腺ホルモン(iPTH)濃度、ALP(アルカリホスファターゼ)濃度 、アルブミン濃度といった 、 骨に関するデータと患者の状態などを一元管理する岸田クリニックオリジナルの「骨グラフ」(図1)を見ると、変化や問題が明確に見えてくるのだという。

「骨グラフは患者さん一人ひとりについて1年分を1シートにまとめてファイリングしています。1~2週間毎に1回実施する血液検査の結果、薬の服用状況、発熱や便秘・下痢などの症状、 透析条件、入退院の記録などを1枚のシートに記載できるようになっています。骨に関しては、P、補正Ca、PTHの順に優先して管理し、目標値内の維持を目指します。Pあるいは補正Ca が持続して高い場合は速やかに薬物療法を開始します。それでもPTH が高い場合は、やはり薬物療法の対象となります」

数値は毎回、折れ線グラフで経時的に追っていくため、目標基準値内に安定すれば、すぐに薬を調整できる。また、医療費削減の意味でも効果がある。

また、貧血グラフ(図2)による貧血の管理も行っており、たとえば重度の貧血の患者が、何月何日に輸血をし、いつから薬を飲み始め、その量はどれくらいか、検査値がどう改善し、いつから薬を減らしたかなどが一目でわかる。「数値そのものではなく、下がっているのか上がってきているのか、変化を見て、その変化を起こしている原因を分析して適切に対応することを重視しています」と理事長が言う。

こうした記録をつけるのは担当看護師だ。シートのフォーマットは改善を重ねて変化しているが、骨に関する検査データの記録は会長の時代から行っているので、長い患者では40年以上の記録が残っている。

5. 自己決定 笑いを取り入れた対話で自己決定を支援
「患者 choice」で血清P濃度が優位に低減

データに基づき患者指導を行うのは岸田理事長の役目だ。「指導は杓子定規に行うのではなく、『何か、食べ過ぎたんちゃいますか?』『お祭りがあってぎょうさん食べてしまいましたわ』『やっぱり。数字に出てますやん』などというふうに、気軽な会話のかたちで進めます。明るい雰囲気の中で、本音を聞き出し、やるべきことをポイントにまとめて伝え、気づきを得ていただくようにしています」と、患者指導のコツを語る。

患者とのコミュニケーションの中で岸田理事長がことのほか大事にしているのが「笑い」だ。

「循環器科で仕事をしているときに、よく笑う患者さんと笑わない患者さんでは、笑う人のほうが循環器疾患のリスクが低いという論文と出会いました。笑いの医学的効果には多くのエビデンスが存在します。そこで、会長や勤務医にもお願いして、患者さんと向き合うときは努めて笑わせるようにしているのです。患者さんの持ちもの、観ておられるテレビ、言葉、検査結果など、何でもいいからネタにして、1日1回は笑わせようと常にタイミングをはかっています」

「笑い」に関するアンケート調査も行い、「毎日笑う人」は女性のほうが多いなどの実態を確認。その結果を基に、「笑いを含む楽しい会話は コミュニケーションの効果を高め、情報を引き出すうえでも効果的です。それが前向きな気持ちの維持や治療アドヒアランスの向上にもつながっていると思います」と岸田理事長は言う。

透析教室や個別指導の積み重ねにより、いまでは腎不全という病気や、透析治療の意義、薬の役割などを理解し、主体的に治療に取り組む患者が確実に増えたという。「しっかり食べて元気を保ち、自分で排泄できない成分は透析で体外に出す」という 岸田理事長の考えもかなり浸透し、透析開始時に好きなものを食べたり、体重が増え過ぎたときには長時間透析を希望したり、より元気に過ごすために頻回透析を希望したりするケースも目立つようになってきた。

「長時間透析や頻回透析ではベッドのやりくりに苦労する面もありますが、患者さんの『こうしたい』という気持ちを可能な限り尊重することで、医療へのモチベーションを維持してもらっています」と、あくまで患者の意思を第一に考えている。

患者指導に力を入れるようになってからは、各種薬剤の特徴などを伝えたうえで、服用する薬を自分で選んでもらう「患者 choice」も導入した。

「たとえば、高リン血症の患者さんには、各種リン吸着薬の大きさや副作用などを説明したうえで、自分で選んでいただきます。この仕組みを導入したことにより、医師が選んだ薬を処方していた時代に比べて、血中P濃度が大きく改善する患者さんも複数出てきて効果を実感しています」(図3

<試験概要>
 
目的: 
患者自身がリン吸着剤薬を選んで服薬した場合の血中P濃度への影響を検討する。
対象: 
血液透析を受けていて、かつリン吸着薬を内服している慢性腎臓病患者63名
(平均年齢69.3歳、男性33名:女性30名)。
方法: 
血液透析を受けていて、かつリン吸着薬を内服している慢性腎臓病患者75名にアンケートを実施。
適正回答を得た63名の患者を対象に、医師が選んだリン吸着薬服薬時期の血中P濃度(医師choice)
と患者自身で選び服薬するようになった後の血中P濃度(患者choice)を比較した。

6. 今後の課題・展望 3階建ての新病院が竣工
理想は「また来たい」と思われるクリニック

岸田理事長は、今後の具体的な課題として 、患者の高齢化に伴う介護などの多種多様な医療サービスや、今回の新型コロナウイルス感染症のような感染症の流行を挙げ、施設づくりや送迎サービスのあり方を改めて検討している。

「介護職との連携による移動介助や、行政との連携による各種ツールの紹介、来院後の着替えや移動・移乗介助に関する工夫なども考えています。また、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、一般外来と外来透析室を完全に分けることの必要性を痛感しました。そんな中、タイミングよく現在の場所から50mくらい離れたなじみの場所に良い土地を手に入れることができたので、そこに新築移転することを決め、いま、工事を進めています」とさらなる発展に向けた取り組みを語る。新クリニックの竣工は2021年6月、8月移転開業の予定。内装のテーマカラーは虹色だ。

「就任以来、私が目指してきた理想のクリニック像は、『また来たい。また来て、医師やスタッフに励ましてもらいたいと思ってもらえるような、楽しく明るいクリニック』です。今後も良質の治療と教育を笑いとともに提供し、患者さんに元気になっていただけるように頑張っていきます」と、岸田理事長は笑顔で語る。

KKC-2021-00539-2

透析施設最前線

おすすめ情報

  • おすすめ情報は、協和キリンのウェブサイトにおける個人情報の取扱い方針に基づき、お客様が閲覧したページのアクセス情報を取得し、一定の条件に基づき自動的に表示しています。
    そのため、現在ご覧いただいているページの情報との関連性を示唆するものではございません。

くすり相談窓口

弊社は、日本製薬工業協会が提唱するくすり相談窓口の役割・使命に則り、くすりの適正使用情報をご提供しています。
弊社医薬品に関するお問い合わせは、下記の電話窓口で承っております。

フリーコール

0120-850-150

受付時間 9:00~17:30
(土・日・祝日および弊社休日
を除く)

※新型コロナウィルスの感染予防・感染拡大防止を全社方針として徹底していくことから、お電話が繋がりにくい可能性があります。

※お電話の内容を正確に承るため、また、対応品質の維持・向上等のため通話を録音させていただいております。あらかじめご了承ください。

お問い合わせ