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医療法人 創和会 しげい病院
[透析施設最前線]

2021年10月28日公開/2021年10月作成

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病院外観
  • ●理 事 長:重井 文博 先生
  • ●院 長:有元 克彦 先生
  • ●開 設:1955年7月
  • ●所在地:岡山県倉敷市幸町2-30

患者一人ひとりのデータを多職種チームで共有
多面的なアプローチでCKD-MBDを改善

医療法人創和会しげい病院は1968年11月に岡山県ではじめて血液透析に着手した医療機関として知られる、同県の透析医療のリーダー的存在だ。現在受け入れている透析患者数は約340人で県内でもトップクラス。さらに増え続ける透析患者に質の高い生活を維持してもらえるよう一人ひとりの検査データを細かく管理し、特にCKD-MBDの治療には事務職やSEなども巻き込んだ多職種チームで対応している。患者や家族への指導も多職種で行うことで治療アドヒアランスの向上を図りながら、確実に成果を上げている。

1. 病院の概要 1968年に岡山県初の人工透析治療をスタート
透析とリハビリを二本柱に地域医療に貢献

有元 克彦 院長

有元 克彦 院長

しげい病院は1955年7月、重井内科診療所として開設された。1958年5月には現在の場所に医療法人創和会重井病院を設立。その10年後の1968年11月に、日本の透析黎明期に使われたキール型(積層型)透析装置を2台導入し、岡山県で最も早く人工透析を開始した。以来50年余り、最新の透析技術をキャッチアップしながら、岡山県の透析医療を牽引してきた(1998年に「しげい病院」に名称変更)。

医療法人創和会としてはもう1つ、同じく腎・透析医療を特徴とする重井医学研究所附属病院を運営している。現在受け入れている透析患者の数は、しげい病院が外来、入院合わせて約340人、重井医学研究所附属病院が約390人で合計約730人。これは岡山県の透析患者全体の14%弱にあたる。

「生きることの尊さと健康であることの幸せを、すべての人と共に」を病院理念に掲げる。有元克彦院長は、「地域に求められる役割を果たすのが一貫した当院のスタンスです。その意味で現在は、透析医療とリハビリテーションを二本柱とし、地域の皆さんが住み慣れた街で末長く、その人らしく暮らせることを目標に、地域医療に貢献しようと努力しているところです」と話す。

2. 血液浄化療法センター すべての透析ベッドにパソコンを配置
最新のデータを元に効率的に個別指導

しげい病院に血液透析センターが新築されたのは1970年9月のことだ。さらに2013年8月には、新本館増築工事に伴い血液浄化療法センターをオープン。透析ベッドは現在124床で、第1透析室(80床)と第2透析室(44床)に分かれている。

「第1透析室は比較的ADLが維持されている方々に、第2透析室は寝たきりなど介助の必要な方々に利用していただいています」と話すのは、同センターの責任者である松田佳子副看護部長だ。「特に第2透析室の患者さんの中には認知機能の低下が見られる方もおられますので、すべての患者さんに出血感知センサーを使用するなどトラブルに備えています」と、中尾敦子看護部主任が続ける。

有元院長は透析室の設備面の特徴として、すべてのベッドに1台ずつパソコンを設置していることを挙げる。透析中はこのパソコンのモニターに、患者それぞれの透析条件や検査データが表示される。1画面で確認できる検査データは、週に1回測定している血清補正Ca値(以下Ca)、血清P値(無機リン:以下P)、月に2回測る血清PTH値(副甲状腺ホルモン:以下PTH)ともに直近4回分と、CaとPの管理指標を確認できるいわゆる9分割図である。

「スタッフがパソコンを移動させながら、患者さんごとに電子カルテの画面を切り替えるような手間は一切ありません。我々医師も、あらかじめ表示された患者さんのデータを見ながら回診できるので非常に効率的です」と、有元院長がこのシステムの利点を語る。

各患者のデータを常に確認できることは、医師、看護師、臨床工学技師だけでなく、定期的にベッドサイドで服薬指導を行う薬剤師、同じく栄養指導を行う管理栄養士などにとっても有用だ。たとえばPが高い患者には、リン吸着薬の服用状況をくわしく聞く、リンを多く含む食材の摂取を控えてもらうなどといった対応が臨機応変にできるからだ。

3. CKD-MBDチーム 血清Ca値の適正化を目標に結成
9つの職種が集まり幅広く活動

同院には有元院長はじめ5名の腎臓内科専門医が在籍し、うち4名が血液浄化療法センターのスタッフとして回診などを担当している。看護師は29名、臨床工学技士は33名が勤務(病棟業務と兼務)。ほかに薬剤師、管理栄養士、リハビリセラピスト、社会福祉士などがかかわってチーム医療を展開している。

外来透析にかかわるメンバーが構成している多職種チームには、フットケア、アクセス(シャント)、災害、患者指導、運動、CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常)の6つがある。どのチームもそれぞれの取り組みを通して患者とかかわりながら透析ライフをサポートしているが、中でも治療アドヒアランスの向上に直接的に関与しているのがCKD-MBDチームだ。

有元院長によれば、同チームが結成されたのは2018年5月頃。Ca値が適正にコントロールできていない患者が少なからずいることに気づいたことがきっかけだった。「P値は食事内容に大きく影響を受けます。しかしCa値は我々の治療内容に大きく依存しているので、患者さんの努力だけではどうにもできない部分があります。つまりCa値のコントロールが悪いのは我々の責任が大きいということになります。そこでまずは自分たちの取り組みでCa値の改善を目指してみようと考えました」と説明する。

結成から3年余り。いまではメンバーが増え、取り組み内容も広がりP値を下げるための患者への働きかけなども、各職種が協力して積極的に行うようになっている。有元院長は、「治療アドヒアランス向上に決め手はありません。とにかく皆で患者さんの話を聞き、個別に対応することを重視しています」と語る。

同チームには現在、医師、看護師、臨床工学技士、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、臨床検査技師、SE、医療事務の9職種が名を連ねている。チームのメンバーは毎月行われるカンファレンスで患者情報を共有し、業務の進め方や仕組みの改善などさまざまなことを話し合っている。それぞれの職種の業務内容やチームでの役割、患者とのかかわり方は以下の通りである。

■医師
患者それぞれの検査データをもとに介入の仕方を指示するのは医師である有元院長の役割だ。患者数が多いこともあり、回診など日頃の業務は前述したように複数の医師で分担しているが、治療方針を統一するために、こうした指示については有元院長が1人で担っている。

「処方変更など治療に関するオーダーは、検査数値の変化などをきめ細かく見ながら電子カルテ上で出しています。そのオーダーにしたがって、チームのメンバーがそれぞれの立場で患者さんの支援などを行ってくれます」

■看護師
「看護師は多職種チームの連携の要。新しい治療が始まったときに医師の説明を他の職種に伝えたり、全体をコーディネートしたりすることが求められます」と言うのは中尾主任だ。CKD-MBDチームのメンバーになっている看護師は4名と比較的少数だが、月1回のカンファレンスで司会を務めるなど重要な役割を担っている。

治療アドヒアランスについては、「患者さんのライフスタイルや家族関係を一番よく把握している立場から、チームのメンバーに情報を伝えたり、その患者さんに合った指導のポイントを一緒に考え、アドバイスしたりしています」と中尾主任。その一方で、血液浄化療法センターに所属する看護師1人につき受け持ち患者が10数名と多いことから、「個別のかかわりが十分にはできていなかったのが現状でした」と松田副看護部長は言う。「チームでかかわってもらえるようになったことで、個々の患者さんへのサポート機能が充実してきました」と2人は声を揃える。

■薬剤師
CKD-MBDの治療にはリン吸着薬やビタミンD製剤など薬剤の果たす役割が大きく、薬物療法に精通した薬剤師は欠かせない存在だ。辻卓矢薬剤部副主任はチーム発足時からのメンバーで、患者本人、家族、施設職員などへの聞き取りや指導、医師への処方提案、他の職種への薬に関する情報提供などを精力的に行っている。

「看護師や臨床工学技士など患者さんの身近にいる職種から、残薬の多い患者さんや検査データの悪い患者さんの情報をもらい、より問題の多い患者さんを中心に、チームのメンバーに手伝ってもらいながら薬に関する問診を行って改善策を探ります。問診では、薬の服用状況や管理状況、家族の関与状況、飲めていない場合はその理由などをくわしく聞きます。そのうえで医師と相談し、服用方法や剤型の変更など処方提案を行います」

治療アドヒアランスにかかわる問題が一番多いのはリン吸着薬で、単なる飲み忘れのほか、外食時に飲み忘れてしまう場合などが多いと辻副主任は指摘する。また、錠剤から粉薬に変更するだけで飲めるようになる患者もいるそうで、「個別の事情を把握することが本当に大事」と実感をこめる。

ときにはPの目標値などを具体的に示しながら励まし、改善を促す。数値が良くなることを通院の励みにしている患者も少なからずいるという。

■臨床工学技士
臨床工学技士はCKD-MBDチームの中で最も人数の多い職種で、全33名中11名がメンバーになっている。「私たちは本業である透析装置や機械室の管理や透析液の管理を行いながら、看護師や薬剤師と同様に、ベッドサイドで生活に関する聞き取りや薬に関する問診などに取り組んでいます」と、待場敏臨床工学部主任が紹介する。

待場主任が同チームのメンバーになったのは2021年4月と最近のことだが、それ以前と以後では、患者との関係が明らかに変化したそうだ。

「医師の治療方針をデータに即して具体的に説明できるようになり、より信頼していただけるようになった気がします。薬が余ってしまい困っているなど相談してくれる患者さんも増え、そこで得た情報をチームメンバーと共有することで、治療アドヒアランス向上にも寄与できていると思います」と手応えを語る。

■リハビリセラピスト
リハビリセラピストが透析患者とかかわるのは、透析中の運動療法や、年1回、希望者を対象に行う体力測定、認知機能検査などである。清水賢児理学療法士(PT)によれば、透析中の運動は大きめのボールを使った足の運動が主体。また、2020年からは、透析中に運動の動画を配信し、それに合わせて動いてもらう取り組みも開始した。一方、体力測定にはSPPB(short physical performance battery:高齢者を対象とした簡易的身体機能テスト)を主に用いる。数名の理学療法士のほかに、健康運動指導士も運動療法に主体的にかかわっている。

清水PTは、「運動の効果を得るには本人のやる気が最も重要」と話し、日頃の声かけを心がけながら、努力している様子をほめる、具体的な数値で効果を伝えるなど、患者の個性を考慮して対応している。明らかな体力向上は難しいものの、複数の患者から、「前よりも歩けるようになった」といった喜びの声が聞かれるという。

■臨床検査技師
CKD-MBDチームの活動のベースとなるさまざまな検査を行っているのが臨床検査技師だ。「週1回の血液検査の結果を透析終了時までに確実にお出しすること、月1回の心電図検査、年1回の腹部、心、頸動脈、副甲状腺、上腕動脈の各エコー検査、ABI(足関節上腕血圧比)検査、SPP(皮膚組織灌流圧)検査、眼底検査といった生理検査を滞りなく進めるのが私たちの使命です」と、佐藤麻里恵臨床検査技師が言う。

このように透析患者は検査頻度が高いので、検査部門のスタッフと会う機会も多くなる。「検査結果が良い時も悪い時も変わらず声をかけ、患者さんに気軽に話していただける雰囲気をつくっています」と佐藤臨床検査技師。こうした何気ない働きかけが、患者の行動変容のきっかけになる可能性もある。

■管理栄養士
管理栄養士は全透析患者を対象に、原則として月に1回、ベッドサイドでの栄養指導を行っている。秋山沙希管理栄養士によると、最近は、栄養指導に家族に同席してもらう機会が増えたという。「リンやカリウムなど腎機能に関連する栄養素を上手にコントロールしていただくためには、食事をする方よりも、つくる方の意識を変えていただくことが大事です。そこで、調理をする方に、野菜の茹でこぼしの方法など具体的な工夫をお伝えしています」と紹介。調理の重要性に気づいた家族が栄養指導を希望するケースも出てきている。

高見里美管理栄養士は、栄養指導にあたっては電子カルテをよく活用するという。「栄養管理部に居ながらにして患者さんの検査データを見ることができるので、折に触れて確認し、栄養指導の必要性や自分たちがすべきことを考えるようにしています」と話す。「いまはチームのメンバー、特に看護師と連携し、栄養状態が特に悪い患者さんをピックアップして重点的に指導する取り組みを進めています」と高見管理栄養士。こうして栄養状態改善の実績を重ねてノウハウを蓄積し、透析患者全体の指導に生かしていきたい考えだ。

■システムエンジニア(SE)
「電子カルテのデータ抽出、データを効率的に活用するための調整とアドバイス、求められる仕組みのシステム化など、システムに関するフォロー全般が私の仕事です」と話すのは、IT推進・情報管理室の渡邊翔子SEだ。ある薬の投与量と検査結果の相関関係を示すグラフの作成、検査結果をワンタッチで並べ換えたり、問診票を見やすく表示したりする仕組みづくりなど、大小さまざまなシステム改修を常時行っているという。

渡邊SEの上司である本多雅亮係長は、特にデータの解析を担っている。「たとえば、ある介入をしたグループとそうでないグループの検査結果の統計的比較などを要請に応じて行っています。データを的確に解析することが、結果的に治療や介入の質を高めることにつながっていると考えています」と、チームに貢献する様子を語る。

同室にはほかに3名のSEがおり、現在は総力をあげて作業のスピードアップを図りつつ、データ管理の一元化を目指している。

■医療事務
チームにおける事務職の役割は、主に透析に関連する事務請求や、医師事務代行業務だが、「単に事務作業を行うだけでなく、検査データを集計して目標達成度を見たり、全国のデータと比較したりできるようにするなど、現状把握や業務改善につながる資料づくりもしています」と、森安哲也医療支援部医事課係長補佐が言う。

「こうした資料は、チーム全員が必要とするものと、各職種から求められるものとがあるので、そのつど相談しながら作成しています」と森安係長補佐。医師の要望をIT推進・情報管理室に伝える役割を担うこともあるという。

同じフロアで働く3名の事務スタッフとともに透析前の体重測定をサポートしたり、各種手続きを行ったりと、透析患者と直接かかわる機会に積極的に会話をするなど、専門職とは違う立場で患者を励ましている。

CKD-MBDチームによる介入の成果は数値に明らかに表れている。いわゆる9分割図で見た同院の透析患者のCKD-MBD管理状況は、2021年7月現在、約7割がCa、Pともに管理目標値内。Caに限定すれば9割以上が目標値内だ。また、PTHも約8割の患者で目標値を達成している。同チームが発足した約3年前は、Ca・Pの目標達成率が約6割、同じくPTHが約6.5割だったというから大きな進歩だ。しかも、当初より減薬できた患者が少なくない中での改善であり、処方内容の適正化も進んでいることがうかがえる。

4. 今後の課題・展望 最大の目標はQOLの維持・向上
栄養状態改善も視野にチーム力を強化

有元院長は、「私たち血液浄化療法センターが目指しているのは、何よりも透析患者さんのQOLの維持・向上です」とあらためて目標を示し、「透析に関する満足度調査なども行いながら、しっかり取り組んでいきたい」と話す。

そのうえで、患者の高齢化などにも関連し、栄養状態の悪い患者が増えていることを注視。「しっかりと食べていただくための工夫がさらに必要な時期にきています」と指摘する。「老老介護、独居など、治療アドヒアランスの改善が難しい患者さんの生活状況をより詳細に把握し、効果的なアプローチ方法を見出したいと思います」と松田副看護部長が続ける。

「当院の患者さんには合併症のある比較的重症の方が多く、難しさはあります。だからこそチームアプローチが大事なのです」と有元院長。今後も、患者にできる限り快適に過ごしてもらえるよう、チーム力を強化していく方針だ。

KKC-2021-01172-1

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