KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
このサイトのご利用に際しては、協和キリンメディカルサイトのご利用条件が適用されます。

医療法人社団 厚済会 上大岡仁正クリニック
[透析施設最前線]

2022年3月29日公開/2022年3月作成

印刷用PDF

病院外観
  • ●会長・院長:大西 俊正 先生
  • ●理事長:山口 聡 先生
  • ●院長(透析室):三橋 洋 先生
  • ●開設:1980年9月
  • ●所在地:神奈川県横浜市港南区上大岡西1-10-1

診療機能も充実した横浜最大規模の透析施設
徹底したコロナ対策が県内透析施設のモデルに

設立以来掲げる「仁・愛・知・技」の法人理念を全職員で共有し、健康診断や企業健診から一般診療、透析、合併症治療まで幅広い医療を展開。透析に関しても、53種のダイアライザーを用いた血液透析、腹膜透析との併用、在宅血液透析、長時間透析、入院透析など患者に合った療法選択が可能となっている。透析ベッド88床という規模は横浜市内最大級。基幹病院との連携による質の高い医療の提供、ターミナル駅から徒歩1分という利便性の高さや送迎サービスなども魅力で、幅広い透析患者に支持されている。

1. 病院の概要 大学病院の有志が集まり開業して41年
理念に則り謙虚で誠実な医療を提供

三橋 洋 院長(透析室)

上大岡仁正クリニックは、京浜急行線・市営地下鉄ブルーライン上大岡駅の間近にある、地上5階建てのクリニックである。1980年9月に開院し、2005年7月に現在の場所に移転した。「透析ベッド88床を擁する大規模透析施設であると同時に、地域密着型のクリニックとして、内科、循環器内科、消化器内科、腎臓・高血圧内科の外来診療も実施しています。検査体制も充実しており、生活習慣病の早期発見・治療などにも取り組んでいます」と、三橋洋院長(透析室)が紹介する。

1984年9月に設立し、現在、1病院・4クリニックを展開する医療法人社団厚済会の会長でもある大西俊正院長が横浜市立大学病院に勤務していた頃、各分野の専門家たちとともに、「地域に密着した真心の医療」を目指して開業したこともあり、現在まで大学病院など地域の基幹病院との密な連携体制を維持。高度先進医療の現場の医師たちと直接交流しながら、質の高い検査、治療、透析医療を提供し続けている。

法人の理念は、「仁・愛・知・技」。「仁術の心をもった正しい医療」「温かい愛と奉仕の精神による患者の立場に立った医療」「謙虚な姿勢で専門職同士尊敬し合い高め合う信頼関係」「最新の医療知識と技術の獲得」という意味がこめられている。

「最も大事にしているのが謙虚さ、誠実さです。検査データだけに頼るのではなく、患者様の訴えの裏にあるものを真摯に探り、医療知識を少しでも増やし、一人ひとりに合った、『診てもらってよかった』と思っていただけるような医療を提供すべく、全職員が努力を重ねています」と、花岡加那子事務局総局長が法人全体の方向性を語る。

こうした医療を実践するため、人材育成・定着に注力しており、子育て支援に積極的な企業を厚生労働大臣が認定する「くるみん認定」を取得。さらに高い水準の取り組みを行った企業に付与される「プラチナくるみん認定」についてもすでに申請済みだ。また、外部審査にも積極的で、公益財団法人日本生産性本部経営品質協議会が、「経営をデザインし、生産性の改善・改革に取り組むこと」を目的として2018年に創設した「経営デザイン認証」を取得している。

2. 透析医療の特徴 患者に合わせて53種のダイアライザーを採用
PDとHDの併用、HHD、入院透析も選択できる

透析室は2階、3階にある。2つの透析室のつくりは全く同じで、入り口を中心にして左右にL側とR側に分かれる。透析ベッドは44床ずつ。1つだけ違うのは、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、3階に隔離透析室(陰圧室)を設けた点だ。

透析患者は、2021年10月現在、272人である。うち46人が2020年に透析を開始。さらにこのうち11人が同クリニックの外来に通う保存期CKD患者が透析に移行したケースで、残り35人は導入後に紹介されたケースだ。

高齢化などを背景に自力での通院が難しい患者が増えており、そうした患者に向けて提供している無料送迎サービスの利用者が180人ほどいる。送迎サービス利用者の管理や情報共有は、看護師と運転手で構成される「送迎チーム」が行っている。「送迎チーム」はクリニック内で活動する18の医療チームの1つである。

同クリニックの外来に通う保存期CKD患者の透析移行に際しては、三橋院長はじめ日本腎臓学会専門医が担当する「療法選択外来」で各療法の説明を行う。導入は基幹病院に任せることが多いが、たとえば認知症の家族を介護していて入院できないなど、ケースによっては三橋院長らが日帰りで、クリニック内の手術室でVA手術を行うこともある。また、本人が認知症の場合などは、通常より早期に導入を行い、週1回透析のように低い頻度から無理なく透析開始するといった柔軟な対応をしている。腎臓移植希望の場合は横浜市立大学附属病院など移植施設に紹介する。条件の合う患者には、先行的献腎移植を行うこともある。

透析時間は3階透析室では、月・水・金が9:30~22:30で2クール、火・木・土が8:00~19:30で2クール。「2階と3階で、患者さんもスタッフも完全に2つに分けています。看護師は2階が11名、3階が12名。ベテラン、中堅、新人が偏らないよう振り分けられ、師長もそれぞれ1名ずつ配置されています」と話すのは、3階透析室の南多重子師長だ。

看護方式は基本的にプライマリーナーシングで、1名の看護師が7~8名の患者を受け持ち、看護計画を立てる。そのうえで各フロアの看護師をそれぞれAチーム、Bチームに分け、看護計画に沿ったケアを提供するかたちだ。物品の準備などは10名いる看護助手が行っている。

臨床工学技士は非常勤を含めて10名が在籍し、機器の管理に加え、穿刺や体調のチェックなどを看護師とともに行っている。担当は5名ずつ2フロアに分かれているが、忙しい時間帯にはフロアを移動して協力し合う。

透析支援システムを導入しており、その管理・運用は、「システムチーム」が担当している。メンバーは看護師、臨床工学技士、受付スタッフだ。斎藤浩太郎臨床工学技士によれば、システムチームが目指しているのは「デジタルとアナログのいいとこ取り」で、「データ管理や書類作成はシステムに任せて、その分の時間を使って温かいケアを提供できるようにしています」と説明する。

機械室は1階にあり、2階用、3階用の2セットを配備。万一、一方がダウンしても、即座にもう一方が2フロア分を賄うよう切り替わる仕組みを備えている。

透析は一般的な4時間透析のほか、患者の病状や希望に沿って長時間透析(一番長い人で6時間)も実施している。また、ダイアライザーは患者一人ひとりに最も合ったものを使うため53種類を採用。血液透析(HD)と腹膜透析(PD)の併用療法や、在宅血液透析(HHD)にも積極的に対応するなど患者の選択肢は幅広い。

これについて三橋院長は、「とにかく患者さんの希望に沿った透析療法を選ぶことができ、導入後も変更できることを重視しています。療法選択というと導入時をイメージされることが多いと思いますが、むしろ導入後、いかに療法や療養環境を変えていけるかが、良い透析を続けるポイントだと考えています」と趣旨を説明。グループ施設である横浜じんせい病院と連携することで入院透析も可能な体制を構築している。

透析室で特に力を入れている取り組みに、穿刺技術の向上がある。看護師、臨床工学技士ともに穿刺技術の優れたメンバーで「VAチーム」を結成し、指導者としてスタッフの指導にあたる。また、穿刺の難しい患者の場合はVAチームのメンバーが担当、さらに難しいケースはドクター穿刺とするなど工夫し、穿刺ミスを予防している。VAチーム穿刺の患者はメロンの札、ドクター穿刺の患者はリンゴの札が目印だ。「リンゴからメロンへ、メロンから札なしへ移行できるように、皆の技術を上げようと頑張っています」と南師長が言う。

透析医療の現場では、これまで紹介した以外にも、足の爪のケアなどを行う「フットケアチーム」、他の医療機関と連携する際に提供する患者情報を作成・管理する「記録チーム」、急変時対応を行う「ALSチーム」などが活躍している。また、「患者満足度チーム」「院内感染チーム」「医療安全チーム」「災害対策チーム」「接遇委員会」などは、透析部門も含めて全部門参加で取り組んでいる。

薬は院内処方で1週に1回、常勤薬剤師が透析室に来て服薬指導を行う。臨時薬については院内薬局で直接受け取ってもらい、その場で服薬指導を受けてもらう仕組みだ。患者の状態に合わせて素早く対応できるよう、医薬品は常に約600種を在庫している。同じく栄養指導も常勤管理栄養士が定期的に、透析室のベッドサイドで行っている。

3. 在宅血液透析 2017年に開始し7人が実施
患者教育によりスタッフもレベルアップ

HHDは導入からクリニック内で行っている。「通院の負担がなく、頻度や時間をその人に合わせて設定できるのがHHDの最大のメリットです。半面、すべてを自分でやらなければならない、自宅の改修が必要であるなど患者さん側の負担もあります。そのせいか全国的にもなかなか進んでいないのですが、私たちは医師の指導のもと、HHDの治療効果に着目し、患者さんの希望があれば積極的に導入するようにしています」と、斎藤臨床工学技士が言う。

上大岡仁正クリニックではじめてHHDの患者を受け入れるようになったのは、ある透析施設がHHDに対応できなくなったのがきっかけだ。その受け皿として2017年に体制を整え、患者3人からスタートした。その後、導入も行うようになり、HHDの患者は7人まで増えている。

導入までの流れは以下のようになる。
まずは面談で介助者がいるか、住宅改修が可能かなど、基本的な条件をクリアしているかを聞く。その後、臨床工学技士が透析装置メーカーの担当者と一緒に患者宅を訪問し、水圧や電気設備など室内環境を確認。費用見積もりなどを患者に確認してもらったうえで正式に導入が決まったら、透析室でHHDの教育を行い、安全にできるようになったら自宅で開始する。教育期間は概ね3カ月間である。

患者宅の見学や患者教育を行うのは、看護師と臨床工学技士からなる「HHDチーム」のメンバーだ。導入後は月に1回通院して医師の診察を受けてもらう。これに合わせて以前は外来透析も受けてもらっていたが、新型コロナウイルス感染症の流行を機に2021年10月現在は停止中だ。一方、臨床工学技士が月に1度、自宅の機器をチェックする訪問点検を行っており、HHD患者は導入後も最低月に2回、クリニックとの接点を持ち続けることになる。

三橋院長は、「これまでやってみて、HHDは治療効果だけでなくスタッフへの教育効果も高いと実感しています。患者さんを教えることでスタッフが育つ。良い循環が生まれています」と評価する。

4. 定期検査 透析に必要な検査はすべてクリニック内で実施
超音波検査士を育成しエコー検査の精度をアップ

透析患者の定期検査は、フロアごとに配置した検査係が担当する。検査の頻度は、心エコー、腹部エコー、シャントエコーが半年に1回、骨密度、頸部エコーが年に1回で、すべてクリニック内で行う。「あらかじめ設定した検査スケジュールを患者さんに伝え、すべて準備したうえで当日、患者さんを迎えます」と南師長。検査を行った日から半年後、1年後に、また同じ検査ができるようにシステム管理している。

検査で異常値が出ることも多く、その場合はクリニック内で治療・管理、または基幹病院に紹介する。定期検査でがんや心臓病が見つかり、早期治療で回復した患者も多い。シャントエコーで狭窄などが見つかった場合は、毎週土曜日に東京慈恵会医科大学附属病院の医師を招聘して行っているPTA(経皮的血管形成術/経皮的シャント拡張術)で対応。狭窄が重度の場合や閉塞がある場合は、三橋院長らが再手術を行う。この場合は5名の看護師で構成する「オペチーム」が患者の管理、介助、物品の準備などを行う。

上大岡仁正クリニックは検査設備が充実しており、CT、全身型骨密度測定器、各種エコー検査、内視鏡検査機器などが揃っている。検査の精度を上げるべく、超音波検査士の認定取得も推奨。2019年以降は湘南鎌倉総合病院と、エコー検査の研修協定を締結。これにより同クリニックの臨床検査技師は、より多くの症例を経験することができるようになった。「エコー検査は技術が伴わないと、有所見を見逃してしまう危険性があるので、技術力アップは不可欠です」と三橋院長が強調する。

超音波検査士を増やすことは、クリニックのKPI(重要業績評価指標)にするほど重視しており、全員が1つ以上の部位で認定を取ることを目指している。同クリニックに在籍する臨床検査技師は2021年10月現在、常勤4名、非常勤3名。このうち同認定取得者は部位別合計で4名となっている。

5. コロナ対策 早期の対応で院内感染ゼロを維持
県内透析施設のモデルとしてノウハウを提供

2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の流行に際しては、神奈川県が地域との連携・協力のもと、医療崩壊を防ぐための施策、「神奈川モデル・ハイブリッド版」を推進。厚済会としては、「院内感染ゼロ」と「地域への感染抑制」を目標に、2020年6月から、「全施設が院内で隔離透析治療を行える体制の整備」「自院でのPCR検査体制の導入」「駐車場に発熱外来を設置」「換気窓への切り替え」「透析フロアの増床工事による空間の拡大」などを行った。また、医療資材や衛生材料も早い段階で確保。「とにかくできることはやろうと、皆で頑張りました」(花岡総局長)。

「最初に更衣室の使用と、それまで希望者に有料で提供していた食事の提供を停止したのですが、患者さんの抵抗がかなりあり、説得して納得していただきました。その後は、職員や患者さんへの感染予防に関する指導・啓発、不織布マスクが不足した時期には看護師手づくりのマスクの配布なども行いました。苦労はしましたが、結果的に院内感染ゼロを達成できているので、間違ってはいなかったのかなと安堵しています」と、三橋院長がこれまでを振り返る。

これら厚済会の取り組みは高く評価され、神奈川県からは、「透析施設・クリニックでの待合スペースなどでの緊急事態宣言後の感染防御・抑制対策」についての指導依頼が舞い込んだ。これを受けて県内の透析施設にノウハウを教えることで、コロナ禍での県内の透析医療の維持に貢献している。

さらに新型コロナワクチン接種開始時には、地域の集団接種会場が開設される前にいち早く体制を整え個別接種に対応。透析患者や家族、地域の人たちに喜ばれた。感染防御のための設備や人員体制などは、今後に備えてそのまま維持している。

現在は、新型コロナウイルスの中和抗体検査も実施しながら臨床研究も行っている。三橋院長は、「透析患者さんは抗体価が上がりにくいと言われていますが、実際にどうなのか。当クリニックの患者さんに協力していただき、具体的な数字で示したいと思っています」と研究の成果に期待している。

6. 今後の課題・展望 ADL維持のためのリハビリを強化
最善を尽くす医療機関を目指し続ける

三橋院長は現在、透析患者のADL低下にどう対応していくかというところに強い問題意識を持っていると言い、「いま考えているのはリハビリテーションの強化です。リハビリによってADLを維持し、より活動的な生活ができるようにサポートできたらと思います」と話す。

一方で、各専門職のレベルアップにもますます力を入れたい考えで、2020年には研修センターを開設した。今後も良い人材を育てながら、患者に対して最善を尽くす医療機関を目指していく。

KKC-2022-00008-2

透析施設最前線

おすすめ情報

  • おすすめ情報は、協和キリンのウェブサイトにおける個人情報の取扱い方針に基づき、お客様が閲覧したページのアクセス情報を取得し、一定の条件に基づき自動的に表示しています。
    そのため、現在ご覧いただいているページの情報との関連性を示唆するものではございません。

くすり相談窓口

弊社は、日本製薬工業協会が提唱するくすり相談窓口のポリシーに則り、くすりの適正使用情報をご提供しています。
弊社医薬品に関するお問い合わせは、下記の電話窓口で承っております。

フリーコール

0120-850-150

受付時間 9:00~17:30
(土・日・祝日および弊社休日
を除く)

※新型コロナウィルスの感染予防・感染拡大防止を全社方針として徹底していくことから、お電話が繋がりにくい可能性があります。

※お電話の内容を正確に承るため、また、対応品質の維持・向上等のため通話を録音させていただいております。あらかじめご了承ください。

お問い合わせ