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生活指導

執筆・監修:松浦雅人 先生
東京医科歯科大学 名誉教授/田崎病院 副院長

Q.てんかんと運転免許

てんかんと運転免許に関する現行ルールは?

2002年に改正道路交通法が施行されて、一定の条件を満たせばてんかん患者が自家用車の運転免許を取得できるようになった。道路交通法(表1A)自体にはてんかんという病名は記載されていないものの、発作により意識障害又は運動障害をもたらす政令で定める病気については、免許を与えない、あるいは6か月以内で保留できると書かれている。施行令(表1B)には、政令で定める病気の一つとして、てんかんの病名が挙げられており、発作が再発するおそれのないもの、発作が再発しても意識障害及び運動障害がもたらされないもの、並びに発作が睡眠中に限り再発するものを除くとある。

表1. 道路交通法・施行令・運用基準(てんかん関連抜粋)

A. 道路交通法 第九十条 次の各号のいずれかに該当する者については、政令で定める基準に従い、免許(仮免許を除く。)を与えず、又は六月を超えない範囲内において免許を保留することができる。
一 次に掲げる病気にかかっている者
ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であって政令で定めるもの
B. 道路交通法施行令 第三十三条の二の三
2 法第九十条第一項第一号ロの政令で定める病気は、次に掲げるとおりとする。
一 てんかん(発作が再発するおそれのないもの、発作が再発しても意識障害及び運動障害がもたらされないもの並びに発作が睡眠中に限り再発するものを除く)
C. 運用基準 一定の病気に係る免許の可否等の運用基準
2 てんかん(令第三十三条の二の三第2項第一号関係)
(1) 以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
発作が過去5年以内に起こったことがなく、医師が「今後、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
発作が過去2年以内に起こったことがなく、医師が「今後、X年程度であれば、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
医師が、1年間の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合
医師が、2年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合

てんかん患者が免許を取得できる条件は?

運用基準 (表1C) では、4つの条件のいずれかを満たしていれば免許の拒否や取り消し等はしないとされる。すなわち、(ア)過去5年以内に発作が起こったことがなく、主治医が今後も発作が起こるおそれがないと診断した場合、(イ)過去2年以内に発作が起こったことがなく、主治医が今後もX(1~5の数字を記入)年程度であれば発作が起こるおそれがないと診断した場合、(ウ)1年間の観察の結果、発作が運転に支障のない単純部分発作に限られ、今後も悪化のおそれがないと診断した場合、(エ)2年間の観察の結果、発作が睡眠中に限っておこり、今後も症状の悪化のおそれがないと診断した場合である。
条件ア、ウ、エの場合は、初回申請のときに診断書を提出し、その後は免許更新の際の病状申告のみでよい。条件イの場合は、主治医が記載したX(1~5)年後に、再度診断書を提出する必要がある。

運転適性に関する診断書の書き方は?

免許センターには公安委員会指定の診断書があり、都道府県によって多少の違いはあるが、基本的には (表2) のような内容である。病名とともに、医学的所見の欄には最終発作の時期を記載する。現時点での病状および意見については、運転適性の判断としてア~キのいずれかに丸をつける。ア~エは運転適性がある場合であり、オとカは半年以内に適性条件を満たす状態になると考えられる場合、キは運転適性がない場合である。これらの内容が書かれた主治医診断書であれば、指定の診断書でなくてもよい。
何らかの理由で主治医が診断書を記載できないときは、各都道府県の公安委員会が委嘱したてんかん専門医が臨時適性検査を行って、診断書を記載することになる。内容は主治医診断書と同じである。

表2. 公安委員会指定のてんかん関係診断書書式

医学的判断

 病名
 所見

現時点での病状についての意見

発作が過去5年以内に起こったことがなく、今後も発作が起こるおそれがないと認められる。
発作が過去2年以内に起こったことがなく、今後、(   )年程度であれば、発作が起こるおそれがないと認められる。
1年間の経過観察をした結果、発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後、症状の悪化のおそれがないと認められる。
2年間の経過観察をした結果、発作が睡眠中に限って起こり、今後、症状の悪化のおそれがないと認められる。
上記「ア・イ・ウ・エ」の症状の悪化や今後発作のおそれがないとまではいえないが、6か月後には、上記「ア・イ・ウ・エ」になると診断できることが見込まれる。
上記「ア・イ・ウ・エ」の症状の悪化や今後発作のおそれがないとまではいえないが、6か月より短期間(   か月)で上記「ア・イ・ウ・エ」になると診断できることが見込まれる。
上記アからカのいずれにも該当せず、運転を控えるべきである。
  ・過去2年以内に発作を起こした。
  ・今後発作を起こすおそれがある。
  ・その他

診断医師の責任は?

運転免許の許可・保留・拒否等の行政判断は各都道府県の公安委員会が行う。医師の診断書は重要な判断材料とはいえ、それですべてが決まるわけではなく、患者からの聴聞・弁明等の機会もある(図1)。主治医は医学的状態や治療が運転に与える影響を患者に説明する責任があり、適切な指導を怠ることに責任が伴う。専門家としての識見と良心に基づき、その時点での医療水準に従って診断書を記載した場合には、原則として法的責任を問われることはない。例えば、診断書の記載時点で運用基準に適合すると診断したが、後に非適合の事実が判明しても刑事責任は生じないと考えられる。もちろん、故意に虚偽の事実を記載したときは、国公立病院等で勤務の公務員(独立行政法人等におけるみなし公務員を含む)であれば虚偽公文書作成罪、その他の医師であれば虚偽診断書作成罪が適用される。逆のケースが現実にあるかどうかは疑問だが、適性があるのに無いと記載した場合、過失があれば患者から民事責任を問われることはありうるであろう。

図1. 運転免許センターにおける免許申請・更新の流れ図1)

患者が免許を申請・更新する際の手順は?

初めて免許を取得しようとする患者は、主治医の診断書を添えて免許センターに申請する。2014年6月1日施行の改正道路交通法により従来の「病気の症状等申告欄」が「質問票」(表3)に変更となった。運転免許申請時や更新時には、この質問票の該当する項目にチェックする。質問票の(注意事項)にあるように、虚偽の回答をした者に対する罰則が設けられた。
例えば、欠神発作や複雑部分発作などの意識障害を伴う発作を経験していれば1、全身けいれん発作やミオクロニー発作などの既往があれば2をチェックする必要がある。
なお、新規申請時も更新時も、病状申告に関して運転適性相談窓口で相談していれば手続きが早く終了するので、多くの運転免許センタ-では事前相談を勧めている。

表3. 質問票

患者の免許取得の実態と責任は?

2002年の法施行後、てんかん患者の免許取扱件数は年々増加している (表4) 。2010年には4,370件で、ほとんどが主治医診断書を提出し、実際に申請した人の92%が新規付与あるいは更新された。てんかん専門医による臨時適性検査の件数は増えていない。2010年の1年間でてんかん発作によると思われる人身事故が71件あり、そのうち病状を申告していた患者はわずか5名であった。現行ルールが必ずしも守られておらず、申告せずに不適正運転をしている患者による事故が多いと思われる。
免許取得後に運転適性がないことが判明すると、臨時適性検査を命じられ、免許が停止・取消されることがある。適切な申告による正規の手続きを経て運転適性検査済証の交付を受け、規則的な服薬や生活管理を行っていた場合、発作との関係で交通事故を起こした場合でも責任が加重されることはないと考えられる。一方、基準に適合しないことを知っていながら申告しなかった場合、あるいは免許取得後に基準に適合しなくなったのに申告しなかった場合、現行法のもとでも交通事故を起こしたときの責任が重くなる可能性がある。

表4. 法改正後のてんかんをもつ人の運転免許取扱件数1)

    2003年
(改正法施行1年目)
2005年
(同3年目)
2007年
(同5年目)
2010年
(同8年目)
取扱件数 自己申告 2,508 3,192 3,926 4,370
交通事故など 126 176 195 312
診断書の主体 主治医診断書 1,719 2,347 2,669 3,865
臨時適性検査 131 50 101 60
判定結果 新規・更新の許可 1,399 1,987 2,544 3,373
保留ないし停止 61 40 60 119
拒否ないし取り消し 157 41 169 177
申請取り下げなど   552 673 675

難治の発作をもつ患者への対応は?

てんかん患者が関係する交通事故を減らす努力は緊急の課題である。運転に支障をきたす発作が残存する患者に対しては、主治医は現行ルールを伝え、運転適性がないことを告げ、指導内容をカルテに記載する必要がある。それでも不適正運転を続ける場合は、できうる限りの手段を用いて運転をやめさせなければならない。自らの病気を直視させ、運転することによって自分だけでなく社会をも重大な危険に巻き込む可能性があることを自覚してもらう。さまざまな治療に抵抗し難治の発作をもつ患者は、正直に公正に生きるために、運転免許のない生活を覚悟する必要がある。

2014年6月1日施行の改正道路交通法では、医師が、診察した者が一定の病気等に該当すると認知し、その者が免許を受けていると知ったときは、任意であるが診断結果を公安委員会に届け出ることができる制度が新設された。

文献

  1. 1.松浦雅人:てんかんと運転免許の問題点.医薬ジャーナル Vol49 No.5: 119-25, 2013

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KK-16-05-14322

Q.てんかんのある人が利用できる社会資源は?

社会資源とは、利用者の生活上のニーズを充足し、問題を解決するために動員されるあらゆる人的物的資源の総称である。フォーマルなものからインフォーマルなものまであり、経済面、就労面、社会生活面など生活全般に関わり、制度、施設、情報などを包含する。てんかん患者の多くは生涯にわたる治療を必要とするため、社会資源の活用が重要となる。日本てんかん協会の調査では、てんかん患者の悩みで最も多かったのは、発作が生じるかも知れない不安であるが、ついで就職・就労の悩み、親の死後の生活の不安、の順であったという。てんかんのある人が利用できる社会資源(表1)、実際に利用していることの多い社会資源(表2)、精神保健福祉手帳や障害年金診断書に記載するときの発作と日常生活能力の関連(表3)をまとめた。1)

表1. てんかんのある人が利用できる社会資源1)

医療費助成 日本の法制度ではてんかんは精神障害に含まれ、自立支援医療の対象疾患であり、精神通院医療費減免が適用される。その他に、高額療養費制度、心身障害者(児)医療費助成制度などがある。
日常生活援助 てんかんの初診から6ヵ月以上経過し、長期にわたり日常生活や社会生活に制限のある人は、精神保健福祉手帳を申請できる。発作時以外に障害が目立たない場合には、日常生活能力はてんかん発作の重症度・頻度を判定根拠とする(表3)。知的障害や身体障害を合併している場合には、療育手帳や身体障害者手帳を併せて申請することができる。
生活費支援 初診日より1年6ヵ月以上を経過してもなお働くことができない状態にあるときは障害年金を申請できる。日常生活活動能力に加えて、就労能力を評価する。発作以外に障害が目立たない場合には、就労能力はてんかん発作の重症度・頻度を判定根拠とする(表3)。その他に、健康保険の傷病手当金、生活保護などがある。
就労支援 精神障害者保健福祉手帳を所持している者は障害者雇用率に算定できる。自宅などで就業する障害者の支援として、仕事を発注する企業に障害者雇用納付金を支給する。公共職業安定所(ハローワーク)に障害者の職業相談や職業紹介を行う専門援助窓口がある。事業主は雇用管理上の懸念をもつことが多いが、福祉施設の職員がジョブコーチとして企業に出向いて職場適応援助を行うための助成金が創設された。

表2. てんかんのある人が利用することの多い社会資源1)

  自立支援医療
(精神通院医療)
精神保健福祉手帳 障害年金
対象 てんかんと診断され、通院治療を受けている人 精神疾患等(てんかんも含む)のために、長期にわたり日常生活や社会生活への制限のある人 20~65歳未満で、初診日に年金加入中であった者(20歳以前発病の人はその限りではない)
助成
  • 健康保険適応の外来医療費の自己負担が、原則10%
  • 所得制限がある
  • 独自に補助を上乗せしている市町村もある
  • 「自立支援医療」の申請の簡略化
  • 税金の控除・減免
  • 携帯電話料金の割引
  • 自治体独自の各種サービス
など
障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金の3種がある
申請 市区町村
(精神保健福祉担当課)
市区町村
(精神保健福祉担当課)
市区町村 社会保険事務局
診断書
(診療科を問わず、
主治医が記載)
概ね過去2年間の状況について、発作型や発作頻度、最終発作などを記載する 単身生活を想定し、食事、清潔、金銭・買い物、通院・服薬、意思伝達、安全、社会性、趣味・娯楽について、日常生活能力を記載する どの程度の労働ならばどのような配慮で可能か、継続的な就労が可能かなど、労働能力について記載する
備考
  • 当該疾患に関して登録した医療機関(原則1医療機関、1薬局)
  • 有効期限は1年
  • 診断書は2年
  • 初診から6ヵ月以上経過
  • 有効期限は2年(引き続き状態が該当すれば更新可能)
  • 等級は1~3級
  • 初診より1年6ヵ月以上を経過
  • 障害基礎年金:1~2級
  • 障害厚生年金、障害共済年金:1~3級

表3. 発作と日常生活能力の関連1)

等級 発作* 日常生活・労働能力の程度  
1級 A、Bの発作が月に1回以上 日常生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とする。 あるいは、身の回りのことがほとんどできない。 *発作
A:
意識障害を呈し、状況にそぐわない行為
B:
意識障害の有無を問わず、転倒する
C:
意識を失い、行為が途絶するが、倒れない
D:
意識障害はないが、随意運動が失われる
2級 A、Bの発作が年に2回以上 日常生活または社会生活に著しい制限を受ける。
C、Dの発作が月に1回以上
3級 A、Bの発作が年に2回未満 日常生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする。
C、Dの発作が月に1回未満

文献

  1. 1.松浦雅人: てんかん治療:社会資源の活用法. Clinical Neuroscience 29: 66-70, 2011.

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KK-16-05-14322

Q.てんかんと妊娠、出産、授乳

妊娠・出産時の発作が母児へ与える影響と、抗てんかん薬による催奇形性リスクの両方を考慮する必要がある1)。妊娠可能年齢女性にはこれらの点について十分に説明し、計画的な妊娠を行うよう指導する。挙児希望の女性には妊娠前に抗てんかん薬の減量・中止を検討し、妊娠時の抗てんかん薬は単剤で、必要最小限の用量が望ましい。抗てんかん薬単剤の少量投与であれば一般人口の奇形発生率(4.8%)とさほど変わらない。トリメタジオンは使用せず、バルプロ酸投与が必須の例では徐放剤が望ましい。単剤での投与量の目安は、一日量でバルプロ酸は1000mg以下(血中濃度は70μg/ml以下)、カルバマゼピンは400mg以下、フェニトインは200mg以下が望ましい。バルプロ酸とカルバマゼピン、バルビツールとカルバマゼピンまたはフェニトインとの併用はさける。

奇形発生率は抗てんかん薬の用量と薬剤数に比例し、妊娠第1期に抗てんかん薬を服用していた人の平均は11.1%である。抗てんかん薬ごとの奇形発生率は報告によって異なるが、単剤治療ではプリミドン14.3%、バルプロ酸11.1%、フェニトイン9.1%、カルバマゼピン5.7%、フェノバルビタール5.1%であった1)。奇形の種類については、口唇裂、口蓋裂、尿道下裂が多いが、バルプロ酸とカルバマゼピンでは神経管欠損(二分脊椎)、バルビツールは心奇形との関連が注目されている。新規抗てんかん薬については、まだデータ数が不十分であるが、従来薬よりも奇形発生率が低いとされている。

抗てんかん薬を服用している妊婦は葉酸濃度が低下しており、葉酸投与は二分脊椎の発生率を低下させる。葉酸の有効性が発揮されるのは妊娠初期であるため、妊娠前から葉酸投与が勧められる。日本ではてんかんをもつ妊娠可能女性に対して非妊娠時は0.4mg/日、妊娠時は0.6mg/日の葉酸摂取が推奨されている。妊娠中は、定期的な胎児モニタリングと葉酸濃度を測定し、バルプロ酸やカルバマゼピン服用例は、妊娠16週で血清AFPの測定、18週で超音波診断を行う。

出生児の発達に関しては、高用量バルプロ酸(1000mg以上)に暴露された児の3歳時点でのIQが平均87と標準域ながら他の抗てんかん薬に曝露された児と比べ有意に低かった。一方、1000mg未満の低用量バルプロ酸は平均97で、他の抗てんかん薬(フェニトイン、カルバマゼピン、ラモトリギン)と差がなかった(表1)2)。2011年にはFDAが妊娠中の高用量バルプロ酸の服用は児の認知機能発達を遅らせる可能性があり、避けるようにと勧告した。2013年には6歳時の追跡調査が報告され3)、バルプロ酸に曝露された児のIQは、3歳時点と同様の傾向がみられ、高用量暴露例ほどIQが低かった(表2)。これを受けて、FDAはバルプロ酸を妊娠中の女性に片頭痛予防目的で使用することを禁忌とし、片頭痛予防療法を目的としたバルプロ酸投与の胎児危険度分類をX(妊婦の使用によるリスクが薬剤の潜在的ベネフィットを明らかに上回る)に引き上げたが、てんかんや双極性障害の治療を目的としたバルプロ酸投与についての変更はない。なお、母親が妊娠中に葉酸を服用していた児の6歳時平均IQは107で、非服用例の児の平均IQ102と比べて高かったことも報告された(表3)3)

表1. 抗てんかん薬に暴露された胎児の3歳時IQ 2)

  抗てんかん薬 症例数 平均IQ
高用量 カルバマゼピン750mg以上 47 97
ラモトリギン433mg以上 52 100
フェニトイン398mg以上 28 98
バルプロ酸1000mg以上 22 87
低用量 カルバマゼピン750mg未満 46 100
ラモトリギン433mg未満 48 102
フェニトイン398mg未満 27 98
バルプロ酸1000mg未満 39 97

表2. 抗てんかん薬に暴露された胎児の6歳時IQ 3)

  症例数 平均IQ 95% CI
カルバマゼピン 94 105 102-108
ラモトリギン 100 108 105-110
フェニトイン 55 108 104-112
バルプロ酸 62 97 94-101

表3. 葉酸を服用していた母親の児と服用していなかった母親の児の6歳児IQ 3)

  葉酸服用 葉酸非服用
  例数 平均IQ 95% CI 例数 平均IQ 95% CI
カルバマゼピン 56 106 102-110 38 103 98-107
ラモトリギン 60 111 108-115 40 103 98-107
フェニトイン 23 112 107-118 32 103 98-108
バルプロ酸 40 98 94-103 22 96 91-102
全抗てんかん薬 179 107 105-109 132 102 99-105

妊娠中は代謝活性が増加するため、抗てんかん薬の血中濃度が低下して発作が増加する例が20%程度あり、抗てんかん薬の血中濃度モニターが必要である。妊娠初期の全身強直間代発作による児の低酸素状態が直接奇形を誘発するという証拠はない。奇形発生率は妊娠4~16週に高いため、その期間は血中濃度を低く維持し、発作が増えても軽度な部分発作のみで二次性全般化のおそれがなければ、抗てんかん薬の追加・増量をしない。しかし、全身強直間代発作は切迫流産、早産の原因となりうるため、16週以降は発作の再発防止を優先し、必要があれば薬剤の追加・増量を考慮する。

もし胎児に異常が見つかったら、どのように対応するのがよいであろうか?無脳症などの重度障害の場合は人工妊娠中絶を勧めざるを得ない。しかし、軽度の障害ではその状況を詳細に伝え、できるかぎりの判断材料を提供したうえで、患者・家族に最終判断をゆだねる。判断後も継続的にフォローアップすることが肝要である。分娩は基本的に通常分娩が可能である。出産時には全身強直間代発作が1~2%の頻度で生じ得るので、分娩前後の服薬が不規則にならないように配慮する。児には新生児出血の予防としてビタミンKを投与する。

胎内暴露に比べると母乳による暴露は小さいため、原則として授乳は可能である。また母乳により胎内暴露による離脱症候群を防げる。母乳への移行性は蛋白結合率に依存し、結合率の高い薬物(バルプロ酸、フェニトイン、カルバマゼピン等)は乳汁中に移行しにくく、血漿蛋白と結合せず遊離状態の薬物(エトサクシミド、レベチラセタム、ガバペンチン等)は移行しやすい。フェノバルビタールや半減期の長いベンゾジアゼピン薬は排泄されにくく、乳児に鎮静、神経質、むずかりなどの毒性が現れるのであれば人工乳に切り替える 。

文献

  1. 1.兼子直ほか:てんかんを持つ妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドライン. てんかん研究 25: 27-31, 2007.
  2. 2.Meador KJ et al: Cognitive function at 3 years of age after fetal exposure to antiepileptic drugs. N Engl J Med 360; 1597-1605, 2009.
  3. 3.Meador KJ et al: Fetal antiepileptic drug exposure and cognitive outcomes at age 6 years (NEAD study): a prospective observational study. Lancet Neurol 12: 244-252, 2013.

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KK-16-05-14322

Q.てんかんと運転免許をめぐる最近の法改正法律監修:田辺総合法律事務所

一定の病気のある人の運転免許をめぐって、2013年に重要な法律改正が行われた。すなわち、6月には改正道路交通法が可決・成立し、11月には危険運転等処罰法案(「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」)が可決・成立し、改正道路交通法は2014年6月1日に、危険運転等処罰法は2014年5月20日に施行された。また、2013年5月に、医薬品添付文書に記載のある運転禁止項目の患者説明を徹底するようにとの厚労省課長通達と相まって、新しいルールの周知が急がれる。

1.改正道路交通法

2014年6月1日に施行された改正道交法の改正の要点と可決・成立時の付帯決議を附表1に示した。現在の病状の報告に関する書式は「質問票」という形で整備され運用が開始された。今後は、医師による任意通報ガイドラインなどが策定される予定である。法第九十条の免許が制限されることのある病気、施行令で定められている一定の病気、および一定の病気であっても運転適性が認められる運用基準についての変更はない。

政令に一定の病気として記載されている統合失調症、そううつ病、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、重度の眠気を呈する睡眠障害などが、他の要因と比較して事故率が高いというデータはない。また、任意ではあるが医師の届け出制度が重大な交通死傷事故の抑制につながるという根拠もない。国会審議によって追加された付帯決議は、政府が本法の施行に当たって留意し、その運用等について遺憾なきを期すべき項目とされている。その付帯決議にあるように、今後は科学的な調査・研究を推進し、一定の病気等に係る免許の可否等の運用基準も見直す必要があろう。

附表1. 「道路交通法の一部を改正する法律」の改正の要点と付帯決議

<法改正の要点>

  • 質問票への虚偽記載への罰則として、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金を科す。
  • 一定の病気等に該当すると認知し、その者が免許を受けていることを知った医師は、診断結果を公安委員会に届け出ることができる。
  • 一定の病気に該当することを理由として免許を取り消された場合の免許の再取得については、3年以内であれば適性検査のみで免許を与え、再取得までの期間も免許が継続していたとみなされる。
  • 一定の病気等に該当する疑いがある者については、3か月以内の範囲で免許の効力を停止できる。

<付帯決議>

  1. 一定の病気等に係る運転免許制度について、民間団体等との連携により、全国的に周知するとともに、病気を理由とした差別が生じないよう十分配慮すること。
  2. 一定の病気等に係る質問票、また医師による届出に関するガイドラインについては、国民に分かりやすい内容とするよう医師会や関係学会に対して要請すること。
  3. 自己申告の機会が可能な限り確保されるよう、一定の病気等に該当する者が安心して相談できる窓口の充実を図ること。
  4. 一定の病気等に該当する者の生活実態について十分な把握に努め、一定の病気等に該当する者が社会生活を営む上で不利益や支障が生じないよう、医療、福祉、保健、教育、雇用などの総合的な支援策を充実させること。
  5. 一定の病気等に該当する者の権利利益を尊重するとともに、その侵害が生じた際には迅速かつ効果的に救済すること。
  6. 国内外における一定の病気等に関する科学的な調査・研究を推進するとともに、最新の医学的知見を反映させるため、一定の病気等に係る免許の可否等の運用基準については、必要に応じ見直しを行うこと。
  7. 本法施行後五年を目途に、虚偽記載に対する罰則整備や医師の通告の在り方など本法の施行の状況について検討を行い、必要があると認めるときは所要の措置を講ずること。
  8. 無免許運転等の悪質・危険運転の根絶に向け、本法を始めとする関係法令の適正かつ厳格な適用に努めるとともに、広報活動を強化すること。
  9. 関係省庁等が適切に連携し、特定の年齢層に偏らない体系的な自転車安全教育を充実させるとともに、自転車道や自転車専用通行帯等の自動車や歩行者から分離された自転車通行空間の計画的な整備を図ること。
  10. 本法の施行を機会に、安全な自動車や先進的な交通システムの開発について、情報通信技術の積極的な活用を検討し、政府が総合的見地から促進すること。

2.危険運転等処罰法の新設

2014年5月20日に「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(危険運転等処罰法と呼ばれる)が施行された。これは自動車死傷事故関連の刑罰を刑法から独立させて、新たに特別法として制定したものである。基本法である刑法と異なり、特別法は道交法政令や医学的知見などの変化に応じて柔軟に見直すことができる。新設された法の要点と付帯決議を附表2に示した。以下に述べる薬物や病気に関する規定とともに、無免許運転やいわゆるひき逃げについても重罰化が規定された。

まず新法における過失運転致死傷罪(これまでの刑法上の自動車運転過失致死傷罪)は、過失による交通死傷事故で人を死傷させた場合に適用され、最高で懲役7年の刑罰が科せられる。また危険運転致死傷罪は、(1)飲酒や薬物で正常な運転が難しかった場合、(2)著しいスピード超過、(3)危険な速度で割り込みや幅寄せや信号無視といった故意性の危険運転で人を死傷させた場合に、最高で懲役20年が科せられていたが、今回は(4)逆走などの通行禁止の項目が新設された。さらに今回、薬物や病気の症状の影響で「正常な運転に支障が生じるおそれ」を認識していながら運転し、人を死傷させた場合に、新たに最高で懲役15年の刑罰が新設された。自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気の症状とは、道交法の政令に記載されている統合失調症、そううつ病、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、重度の眠気を呈する睡眠障害が想定されている。もっとも、厳罰化が無謀運転の抑止につながるかどうかは疑問も呈されており、悪質運転をさせないための教育や社会資源の整備など、全般的な交通自己対策が重要であろう。

附表2. 「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」の新設項目の要点と付帯決議

<法新設の要点>

  • 病気の症状や薬物の影響で、「正常な運転に支障が生じるおそれ」を認識していながら運転し、人を死傷させた場合に、死亡事故で最高懲役15年、負傷事故で最高懲役12年の刑罰が科せられる。

<付帯決議>

  1. 本法により新たに処罰対象となる罪の趣旨及び内容について、その周知徹底を図ること。
  2. 第三条第一項の「走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」、及びその本人の認識の程度の評価に関し、民間団体や関係学会・医療関係団体から意見を聴くなどして、その範囲が不当に拡大され、あるいは適用にばらつきが生じることのないよう留意すること。
  3. 第三条第二項の危険運転致死傷罪の対象となる「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの」を定めるに当たっては、民間団体や関係学会・医療関係団体から意見を聴くなどして、病気及びその症状と、運転技能及び交通事故との関係について吟味・検討した上で定めること。また、当該病気を有する者に対して不当な不利益が生じないよう本罪の趣旨及び内容の周知を徹底し、病気を理由とする差別を助長することがないよう努めること。
  4. 無免許運転による加重については、その施行後の適用状況を検証し、悪質な無免許運転による死傷を危険運転致死傷罪に含めることについても検討すること。
  5. 無免許運転の態様を把握するため、警察の免許管理システムの変更等を検討すること。
  6. 飲酒運転後のひき逃げの防止を強化するため、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の施行後の適用状況の検証を行い、その法定刑等の在り方についての更なる検討を行うこと。
  7. 過労運転による重大な死傷事故を防止するため、その処罰の在り方や法技術的な観点も含めた総合的な検討を行うこと。

3.薬物と運転について

2013年5月29日に、医薬品添付文書に記載のある運転禁止の患者説明を徹底するようにとの厚労省課長通達(厚生労働省ホームページ)が出された。道路交通法や危険運転等処罰法でいう「薬物によって正常な運転ができなくなるおそれ」には、違法薬物だけでなく医師が処方した薬物や市販薬も含まれる。医療用医薬品に関しては、運転禁止が「警告」欄に記載されている25医薬品、「慎重投与」欄に記載のある38薬品、「重要な基本的注意」欄に記載のある2,707薬品が該当するという 1)。これらの薬物を服用している人は一律に運転禁止とする措置は現実的でなく、医学的、科学的根拠もない。外国の添付文書に記載されているように、眠気や疲労感などの副作用が認めなくなるまでは運転を控えるといった実際的な記載が望まれる。

文献

  1. 1.木藤弘子:精神科医療と自動車の運転.薬剤師の観点から.日精病誌 32: 56-61, 2013.

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KK-16-05-14322

Q.てんかんと雇用

2007年の日本てんかん協会の調査では、てんかん患者の有職率は約4割で、授産施設や作業所などの福祉的就労が約3割、無職は約2割であった1)。また、2年以上発作のない人の就労率は約7割と高いが、日単位で発作のある人の就労率は約1割であった。外国ではてんかん外科手術による発作抑制が運転免許取得や就労に結び付くことが報告されているが、日本の調査では術後の良好な発作転帰にもかかわらず就労に結びついた例は少数で、術前IQが高かった症例にとどまったという2)。著者らは手術時年齢が平均33歳と高かったことを指摘し、思春期に発作が頻発して教育機会が失われたり、認知機能が低下したことが就労改善に結びつかなかった原因ではないかと考察している。

てんかんは神経疾患であるが、日本では1975年に通院医療費の事務取扱に関連して「てんかんは精神衛生法(当時)の対象疾患である」との公衆衛生局長通知が出されて以来、医療・福祉サービスは精神障害の枠内で発展してきた。2013年の医療法改正では医療連携体制を構築すべき疾患として、従来のがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病に加えて、新たに精神疾患が追加され5疾患5事業となった。そして、2018年から始まる第7次医療計画では、地域包括ケアシステムに精神障害を組み込む医療連携・障害福祉・介護支援計画を都道府県ごとに策定することになり、その中にてんかんも含まれる。

最近、精神障害者の就労率が向上しているが、2013年の「障害者雇用促進法」改正に伴い、2018年4月からは精神障害者が法定雇用率の算定対象に追加され、障害者法定雇用率が引き上げられたことが契機となっている(民間企業の場合は2.0%から2.2%)。今後、精神障害者の雇用機会がますます増えると思われる。歴史的には、表1に示したように1976年に身体障害者の雇用義務が規定され、1988年には法定雇用率や納付金制度が整備された。1998年には知的障害者が雇用義務化され、2006年の「障害者自立支援法」により身体障害、知的障害、そして精神障害へのサービスを一元化することとなった。この三障害一元化により精神障害者を雇用した場合には身体あるいは知的障害者を雇用したものとみなす雇用が開始された。精神障害者の範囲については精神障害者福祉手帳を持っている者とされるので、その概要を表2にまとめた。

これらの背景には、2006年に国連総会が障害者のハンディキャップは障害そのものよりも社会的障壁が原因とする「障害者権利条約」を採択したことがある。2009年に内閣府は障害者制度改革推進本部を設置し、権利条約批准のための法的整備を開始した。2011年には「障害者基本法」を改正し、「障害者虐待防止法」が成立した。2012年には「障害者総合支援法」が成立して障害者自立支援法の応益負担が廃止された。2013年には上記したように「障害者雇用促進法」を改正し、さらに「障害者差別解消法」を成立させた。また、同年には「障害者権利条約」批准の国会決議し、2014年に国連が日本の「障害者権利条約批准」を承認した。さらに、2016年には「障害者差別解消法」が施行され、障害者を採用で差別したり、賃金などで不当な差をつけることが禁止された。

「障害者差別解消法」では、健常者とはすでに合理的配慮を受けている人、障害者とはいまだ合理的配慮を受けていない人と規定し、合理的配慮不提供を禁止している。しかし、てんかんのある人に対する合理的配慮とは何かについてはいまだ議論がある。厚生労働省の「合理的配慮指針事例集」3)を見てみると具体事例として、てんかんがあることを理由に面接が断られた事例がハローワークの助言により是正された、初めて雇用したときに発作が起きたときの対処法を書いてもらった、部門責任者に発作時の対応マニュアルを持たせている、てんかん発作が起きたときの対処法を従業員間で共有している、生活リズムを崩さないために勤務時間を固定し当直シフトから外した、疲労に応じて休憩・法廷早退・休暇をとりやすくするため時間単位の有給休暇を設けた、体調が悪そうなときは声をかけ早退を促している、社内用PHSを持たせているなどが挙げられている。

従業員45.5人以上雇用している企業は、障害者を雇用する義務がある。障害者雇用納付金制度では、常用労働者100人超の企業は、障害者の法定雇用率が未達成の場合、不足する人数につき、一人月額5万円の障害者雇用納付金が徴収される(常用労働者100人超200人以下の事業主は、平成27年4月から平成33年3月まで、納付金が4万円に減額される)。障害者の法定雇用率を超過して雇用する企業には、一人につき月額2.7万円の障害者雇用調整金が支給される。なお、常用労働者100人以下の事業主については、障害者を4%、または6人のいずれか多い数を超え雇用した場合、超過一人につき2.1万円の報奨金が支給される。障害者雇用率の算定では、週所定労働時間が30時間以上の常用雇用労働者を1人1カウント、週20時間以上30時間未満の常用雇用労働者1人を0.5カウントとする。重度障害者は、週30時間以上の常用雇用労働者1人で2カウント、週20時間以上30時間未満の常用労働者1人で1カウントとして計算する。また平成31年度申告からは、特例措置として、精神障害者である短時間労働者(週20時間以上30時間未満)は、一人で1カウントとする。さらに障害者雇用納付金制度を財源に、障害者作業施設設置等助成金、障害者福祉施設設置等助成金、障害者介助等助成金、重度障害者等通勤対策助成金などの助成措置がある。

障害者雇用のための各種支援施設を表3にまとめた。ハローワークでは障害者コーナーを設けて就職を斡旋し、年間でおよそ3万人が利用し、約半数が就職しているが、離職率が高いことが問題視されている。健康管理の問題があり体力が続かない、人間関係がうまくいかない、就労意識が低い、職場マナーなどの一般スキルが乏しいなどが理由であったという。各都道府県に1か所以上ある地域障害者職業センターは公的な職業支援施設で、就職支援を行うが求人斡旋はしていない。障害者就業・生活支援センターは民間に委託した支援施設で、平成27年度は15万人超が利用し、就労後の1年定着率は知的障害82%、身体障害77%、精神障害69%の順で高く、平均76.5%であったという3)。就労移行支援事業所は福祉サービス施設であり、一般就労をめざす就労移行支援、最低賃金を保証する起用型の就労継続支援A型、工賃が支払われる非雇用型の就労継続支援B型の3種の事業所がある。実績は就労移行支援事業所9,930人、就労継続支援A型事業所11.021人、就労継続支援B型事業所51,912人であった3)。その他、民間の障害者人材紹介会社もあり、最近は増えつつある

日本てんかん学会は2016年にてんかん白書4)を発刊し、今後のてんかん医療のアクションプランを提言した。てんかんのある人の雇用については、てんかん福祉工場のようなモデル事業やてんかんに特化した就労支援事業所の設置が重要としている。前者はてんかんセンターの近隣に、発作が残存する人のための安全管理システムが完備され、専門医療チームが関与できる企業の特例子会社を設置するもので、後者は一定の人口が見込まれる地域に、特別区的事業としててんかんに特化した就労移行支援事業所や就労継続支援A型事業所が必要だと提言している。

文献

  1. 1.日本てんかん協会:てんかんとともに働き暮らすために-てんかんのある人の生活支援マニュアル.日本てんかん協会、東京、2008.
  2. 2.森岡隆人ほか:就労・就学を見据えたてんかん外科手術:九州労災病院の現況.日本職業・災害医学会会誌 63: 255-258, 2015.
  3. 3.厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課:改正障害者雇用促進法に基づく障碍者雇用における差別禁止と合理的配慮資料、合理的配慮指針事例集第三版.2016.(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000093954.pdf
  4. 4.日本てんかん学会編:てんかん白書.南江堂、東京、2016.

表1. てんかんの雇用に関連する法律等の歴史

1975年 通院公費負担制度に関連して"てんかんは精神衛生法の対象疾患である"との公衆衛生局長通知
1976年 身体障害者の雇用率制度を創設
1988年 知的障害者のみなし雇用開始
1998年 知的障害者を実雇用率に追加
2006年 「障害者自立支援法」成立(身体、知的、精神の三障害の一元化)
精神障害者のみなし雇用開始
2006年 国連総会「障害者権利条約」採択(2008年に発効)
2009年 内閣府「障害者制度改革推進本部」
2011年 「障害者基本法」改正(共生社会の実現)
2011年 「障害者虐待防止法」成立
2012年 「障害者総合支援法」成立(2013年施行、応益負担の廃止)
2013年 「医療法」改正(精神疾患を加えて5疾患5事業)
2013年 「障害者雇用促進法」改正(法定雇用率引き上げ)
2013年 「障害者差別解消法」成立(2016年施行、合理的配慮不提供の禁止)
2013年 「障害者権利条約」批准の国会決議
2014年 国連が日本の「障害者権利条約批准」承認
2018年 精神障害者を実雇用率に追加

表2. 精神障害者福祉手帳の概要

対象者:精神障害により長期にわたり日常生活が障害されている患者
・初診日から6カ月以上経ってから申請
・1~3等級に応じて税制上の優遇等がある、また県・市町村独自のサービスを提供
・てんかん発作が2年以上抑制され、重複障害がない人は対象外
・身体障害者手帳、療育手帳(知的障害)と重複申請も可
・日本てんかん協会の会員調査(2001年)では約4割が取得し、重複障害例が多い
精神障害者保健福祉手帳保持者
療育手帳保持者
身体障害者手帳保持者
41%
38%
22%
・等級認定基準
発作のタイプ*および頻度と、発作が起きていないときの障害を考慮
 1級相当
 2級 〃
 3級 〃
AまたはB(A/B)が月1回以上
A/Bが年に2回以上、あるいはC/Dが月1回以上
A/Bが年に2回未満、あるいはC/Dが月1回未満
日常生活が一人でできない
日常生活に著しい困難
日常生活に制限
*発作のタイプ
 A(重い)
 B
 C
 D(軽い)
意識を失い、状況にそぐわない行動
転倒する発作
意識を失い行為が止まるが、倒れない発作
意識があるが、思ったように動けない発作

表3. 障害者雇用支援施設

ハローワーク(公共職業安定所)
全国544か所
障害者コーナーで求人斡旋
・雇用を前提としない準備支援(実践的な労働習慣の習得)
・雇用を前提とした職場適応訓練(6カ月~1年)
・継続雇用を目指す短期試行雇用(トライアル雇用、3カ月)
助成措置
(助成金)特定求職者雇用開発、中小企業障害者多数雇用施設設置、企業在籍型/訪問型職場適応援助促進、職場復帰支援など
(奨励金)障害者トライアル雇用、障害者初回雇用(ファーストステップ)、職場定着支援など
地域障害者職業センター
都道府県に1か所以上
職業相談(求人斡旋はしない)
職業準備支援、ロールプレイやグループワーク、ジョブコーチなど
障害者就業・生活支援センター(民間法人)全国327か所 就職だけでなく、生活相談や職場の悩み相談などにも応じる
就労移行支援事業所(福祉サービス) ・就労移行支援事業所(65歳未満、2年間で一般企業等への就職をめざす)就労適性把握、就業準備、職場体験実習、終業後支援など
・就労継続支援A型事業所(65歳未満、最低賃金を保証する雇用型)事業所によって軽作業、清掃、データ入力、調理、接客など
・就労継続支援B型事業所(年齢制限なし、作業内容や通所日数など、能力に応じて調整、工賃が支払われる非雇用型)作業以外に季節ごとのレクリエーションやイベントもある
民間の人材派遣会社 近年、障害者人材紹介会社も増えている

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KK-18-04-21874

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