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財団医療法人 中村病院[パーキンソン病 med.front]

2018年08月10日登載/2018年03月作成

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  • ●理事長:中村 康孝 先生
  • ●院長:野口 善之 先生
  • ●開設:1937年7月12日
  • ●所在地:福井県越前市天王町4-28

地域の神経内科の中核として
認知症の地域ケアシステム構築に尽力

1937年に中村覚部先生によって創設された中村病院は、これまで80年あまり、人々に最良の医療を届けることを第一に考え地域医療をリードしてきた。開設時の志は二代目である理事長、中村康孝先生に引き継がれ、いまも人材の確保や施設・設備の拡充を重ねつつ、医療の質の向上に努め続けている。神経内科では、1991年の開設以来長らく難病医療の充実に注力してきた。それが一段落し、現在は深刻化する認知症問題に精力的に取り組む。パーキンソン病(PD)診断後、10年で約5割が移行するという認知症を伴うパーキンソン病(PDD)患者の診療も継続的に担っている。

1. 病院概要 「PASSION」を理念に
地域の医療の質向上目指し邁進

「地域の人々に最良の医療を届けたい」という中村康孝理事長の強い思いを軸に、理想の医療の追求を続ける中村病院。開業以来60年間、個人病院として活動してきたものを、1998年に財団医療法人に改組したのも、さらなる公益性と信頼性の向上を目指してのことだ。理事長の志は、MRI装置や高気圧酸素療法装置といった医療機器を福井県で最初に導入するなど、200床規模の病院とは思えない先進性や実行力にも表れている。

「同じ医療機器でも、より精密な機種を高価であっても選ぶのが当院の理事長のやり方。地域の人たちに都会と同レベルの医療を提供したいというのが理事長の一貫した思いなのです」と、副院長でもある永田美和子神経内科部長が言う。同院はDPC対象病院の要件を満たしながらもあえて指定を受けていないのだが、これも理事長の方針であり、入院日数など要件の制約を受けずに十分な医療を提供するためだという。

立地はJR北陸本線武生駅から徒歩10分ほどの場所。急性期に特化した病院で、2018年3月現在、病床数は199床(一般171床、地域包括ケア28床)、標榜科目数は18である。診療科では特に外科系が充実しており、2018年4月に耳鼻科が開設されたことでほぼ全科が揃った。内科系では循環器内科の活躍が目立ち、たとえば心臓カテーテル治療の実績は福井県内有数である。

このほか同院のある越前市を中心に池田町、南越前町、越前町を含む丹南地域の病院で唯一常勤医が毎日診療している小児科、同じく常勤医がいて24時間画像診断が可能な環境にある放射線科、非常勤ではあるが大学病院から専門医を複数招いて診療している呼吸器内科なども地域では貴重な存在だ。

2016年7月には4年間かけた病院の新築工事が完成。このとき耐震構造など災害対策を一新し、カルテの電子化などシステムのリニューアルも完了した。

こんな中村病院の基本理念は「PASSION」。この中には、Profit(社会利益のために)、Amenity(すべての人が快適であるように)、Sincerity(誠実に)、Strength(真の強さをもって)、Innovation(常に自らの向上を目指して)、Optimism(どんなときも明るく前向きに)、Never give up(決してあきらめずに)の7つの言葉(思い)がこめられている。

永田 美和子
副院長・神経内科部長

2. 神経内科の歴史 地域に難病医療を根づかせ
難病在宅医療の土台をつくる

同院に神経内科が開設されたのは1991年、永田部長が地域で唯一の常勤神経内科医として赴任した年である。部長は鳥取大学医学部卒業後、金沢大学医学部神経内科で難病の研究に従事し博士号を取得。その後、石川県内の国立療養所で2年間研修し、神経内科専門医の資格を取得し中村病院にやってきた。以来勤続28年になる。

「まだまだ新米だった私が当院で神経内科を開設した当時、一般の人には神経内科の仕事がほとんど知られていなくて、精神科だと思って受診される方がたくさんいました。そんな中、とにかく午前の外来診療と午後の病棟回診を1人で毎日行い、少しずつ神経難病の治療もするようになりました。なにしろ、神経内科医が私1人でしたから、いらっしゃる患者さんはすべて診るしかありませんでした。我ながら頑張りました」と、赴任当時の状況を振り返る。

3年目頃からは、筋ジストロフィー症やALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)の在宅医療にも着手したが、その頃は在宅での人工呼吸療法は保険適用がなかったため、病院で高額の医療機器を購入し、それを患者に貸し出し、デバイスの洗浄・滅菌や機器のメンテナンスは病院で行うシステムをつくって対応した。

また、介護者である家族の負担を減らすため、ヘルパーに難病患者の介助の仕方や医療資材の扱い方を教えるなど人材育成も行い、退院前には、患者ごとに看護師やヘルパーのグループを組織した。ケア会議も自ら主宰した。こうしてさまざまな問題を解決しながら患者を支える仕組みを構築してきた永田部長は、自他ともに認める地域の難病在宅医療の草分けだ。

さらに現場の仕事と併行して、難病連絡協議会や難病相談会に長年関わり、福井県のヘルパー養成講座などの事業にもノウハウを提供してきた。

その後、国の在宅医療推進政策もあって、中村病院の周辺地域にも訪問看護ステーション、ヘルパーステーションなどが増え、これらを活用すれば難病患者でも、大きな経済的負担を負うこともなくなんとか地域で生活できるようになった。在宅医療に取り組む医師も増えてきて、「最近になってようやく肩の荷がおりました」と笑う。当初は遠方まで毎週出向いていた訪問診療の件数はかなり減った。いまは2週間に1回、近隣の数人の患者の訪問を行っている。

また、毎年受け入れている福井大学の研修医の指導にも在宅医療を盛り込み、必ず同行させて在宅患者や家族に触れる機会を与えながら実技を指導している。

3. 認知症対策 「福井県定年齢認知症検診」を考案し
認知症早期発見の仕組みづくり

難病医療の輪が地域に広がり、「草分けとしての仕事は一段落した」と言う永田部長がここ数年、新たに力を入れているのが認知症への対応である。その主な取り組みの1つが、2014年に福井県全域でスタートした「福井県定年齢認知症検診」だ。西川一誠福井県知事が健康づくり政策に熱心なこともあり、県単位で早期発見への取り組みが進んだ。永田部長は2011年に認知症検診の検討部会が発足したときから主要メンバーとして検診内容や運営方法の考案などに携わっている。

「65歳以上で介護保険を使っていない県民を対象に、3年ごとにチェックリストを送付し、回答して返送してもらいます。チェックリストは全国共通の認知症検診の項目25項目に、もの忘れを調べる県独自の5項目をプラスしたもので、一定点数以上の人には、再度郵便でかかりつけ医の受診を促します。それを受けた開業医はMMSE(Mini-Mental State Examination:ミニ メンタルステート検査)を実施し、必要に応じて画像検査などを地域の病院に依頼します。こうして認知症を早期発見し、早期に介入することで、進行を遅らせようというものです」と、概要を説明する。

検討部会の会長が経営する病院や永田部長が籍を置く中村病院が越前市にあることから、まずは2012年に越前市と越前町でモデル事業を実施。修正を加えた仕組みで翌2013年には鯖江市を加えた2市1町で2回目のモデル事業。こうして2014年の正式スタートにこぎつけた。

2012年のモデル事業の結果を見ると、たとえば越前市の65歳以上で介護保険を使っていない人2万2,600人の3分の1(検査は1人につき3年に1回のため)にあたる6,098人中、一次チェックリスト回収数は4,554人(73.8%)。このうち一定点数以上だった人は2,080人(44.7%)と、概ね2人に1人が医療機関の受診をすすめられる状況だった。しかし、実際に受診した人は92人で、わずか5.0%という低い比率。最終的には36人(31.7%)が認知症、あるいはその疑いと診断されている。

「この比率は同じ検診を何度やっても、年ごとに対象が変わってもほぼ一定です。つまり、受診することが望ましいとされた人の3割程度は認知症かその疑いと診断されているわけです。検診の精度は比較的高いと思っています」と永田部長。

ただし問題は、受診をすすめられた人の受診率が5.0%と低いこと。「中には、介護保険は使っていなくても認知症についてはすでに治療中という人もいて、95%全員が放置されているわけではないのですが、それでも本人も行かない、家族も連れて行かないというケースがかなりあるのは確かです。これをどうするかが継続的な課題で、各市町村ごとに対策を練り続けています。」と言う。

検診自体は2018年度からは対象者1人につき5年に1回に頻度が変わる。認知症について多くの人が理解するようになり、サポート体制も整ってきたため、「福井県定年齢認知症検診」だけに頼る時代は過ぎたとの判断だ。とはいえせっかく定着し、認知症の早期発見に多大な貢献をしている検診であることは事実で、今後も成果に期待し、継続していくという。

4. 認知症診療 各種質問票、検査、診察をシステマティックに実施
紹介・逆紹介の仕組みも完備

「福井県定年齢認知症検診」に参加するにあたり、永田部長は中村病院内の認知症の検査体制を強化した。院内の看護師とクラーク全員に、MMSE、HDS-R(Hasegawa dementia rating scale-revised:長谷川式簡易知能評価スケール)のトレーニングを実施し、いつでも誰でも外来入院問わず実施できる体制を整えたのである。

外来で使用するのは、MMSE、HDS-R、それぞれに時計描画や立方体模写をプラスした独自の検査シート。初診患者にはこれを看護師またはクラークが、永田部長の診察の前に実施する。

初診時にはまた、本人と介護者両方に「認知症初期症状11質問票」に答えてもらう。質問内容は本人、介護者ほぼ同じだが、介護者向けの質問票には、PDと症状が似ていることでも知られるレビー小体型認知症についてチェックするため、被害妄想と幻視の有無について聞く項目をプラスしてある。

「アルツハイマー病の場合、介護者に○が多く、本人に少ない。うつ病の場合は介護者の○が少なく、本人はほとんどの項目に○をつける傾向があります。これにより、うつ病などの精神疾患なのか、アルツハイマー病なのかの見分けがだいたいできます」と永田部長が質問票活用のポイントを語る。

一方、BPSD(Behavioral and Psychological 、Symptoms of Dementia:行動・心理症状)が激しいなど質問形式の検査が難しい場合は、ABS(Abe's BPSD score:阿部式BPSDスコア)を用いて客観的に評価する。

こうした検査の結果をふまえつつ永田部長の診察では、「神経学的検査」を実施。意識・精神状態から運動系、感覚系などをくわしく調べる神経内科専門医ならではの検査だ。「たとえば筋肉の固縮からパーキンソン関連疾患を疑うなど診断の目星をつけていきます。全身をくまなく診ることで進行性核麻痺、先にも触れたレビー小体型認知症、正常圧水頭症などさまざまな疾患の症状が見えてきます。その後、さらにくわしい検査につなげます」と永田部長。

初診ではほかに、画像診断、採血、心電図検査などを行って認知機能障害の関連疾患の有無や、胃潰瘍や除脈など薬を服用する際に問題になる既往はないかなどを調べる。検査結果は当日出揃う環境にあるが、患者側の希望によっては採血と画像検査を別の日に行うこともできる。また、脳血流検査については福井大学医学部附属病院に依頼する仕組みだ。

一連の検査の結果、硬膜下血腫や正常圧水頭症などが見つかれば脳神経外科に紹介、というように、認知機能障害の原因疾患が見つかればそれに対応する他科に紹介して治療を受けてもらう。

ほかに目立った疾患が見つからなければ認知症の内服管理を検討する。このとき、本人の生活環境を確認し、服薬をサポートしてくれる人がいれば薬を処方するが、そうでなければ、まずはそれを整えてから処方を開始する。患者がかかりつけ医からの紹介である場合は逆紹介し、検査結果一式をかかりつけ医に送付し、処方薬の指示などもつけて、処方そのものはかかりつけ医に一任する。逆紹介後も困った行動などがあればいつでも受診を受け付けることを周知している。

永田部長の予約診察は30分につき4人で1日32人。予約なしの患者が来れば、順次予約患者の間に入れていく。

「予約なしでも断ることはせず、何とか検査や診察を行って、早期治療につなげるようにしています。診察対象は神経疾患に限らず、風邪、腹痛、高血圧、糖尿病など内科疾患全般。神経疾患と一般的な内科疾患の割合は半々程度。初診、再診問わず、また疾患名も問わずに診察しています」

外来患者の中にはPDD患者も少なからずいる。永田部長はいま、特定疾患の患者を100名くらい診ているが、その半数はPD患者。難病指定になる前の人やパーキンソン症候群の患者を入れれば担当しているPD関連疾患患者は200人以上になる。

「PDは診断から10年で5割、20年ほど経つと約8割の患者さんが認知症を発症します。幻覚や妄想などが出てきて家族は大変。鎮静剤を使えば誤嚥性肺炎を起こしやすくなるなど対応も難しく、症状を診ながら対症療法で管理するしかありません。その中で、もっと進行した場合にどうするのか、看取りまで意識してご家族とじっくりお話しし、継続的にサポートするようにしています」と永田部長が言う。

認知症の症状のある患者への対応に苦慮する他科からの介入依頼も多く、午後はこうした業務に追われている。認知症の周辺症状が激しい患者など見守りが必要な場合は、病室を確保しつつ一時的にナースステーション脇に設けた観察処置室(定員4~6名)で過ごしてもらう。この部屋は永田部長が10年以上前から必要性を理事長に訴え続け、病院建て替えの際についに実現できたものだという。

外来、病棟での診療のほか、運転免許の更新、介護保険の申請などに関連する書類作成の依頼にも、できるかぎり応えている。このように副院長兼神経内科部長という立場にありながら仕事が幅広く煩雑になる背景には、全国の都市部以外の地域が共通に抱える医師不足問題があるのは事実だ。しかし部長は、「自分の知識やアイデアを使ってどうすれば良くなっていくのかを考えるのが面白い」と、次々に新しい発想をかたちにしていっている。

なお、永田部長はじめ同院の中でも特に多数の患者を抱える数人の医師は、診察室のデスクにパソコンのモニターを3台並べてクラークの補助のもと仕事ができる環境にある。部長は患者と向き合いながら、記録すべきこと、薬の増減の判断などを言葉にする。するとクラークが素早くそれを打ち込む。このとき、モニターには診療情報、検査画像、処方画面などが同時に表示されるというわけだ。

外来で使用しているMMSE(左)、HDS-Rの検査シート。既存の項目に時計描画や立方体模写テストをプラスしてある

ナースステーション脇にある観察処置室

神経内科外来診察室。デスクには3台のモニターが並ぶ

5. 地域連携 「在宅ケア連携シート」使って
ケアマネジャーと情報交換

病診連携同様、永田部長が力を入れて取り組んでいることにケアマネジャーとの連携がある。そのためのツールとして用いているのが「在宅ケア連携シート」。在宅移行はしたもののさまざまな事情で対応を苦慮しているときなどに、ケアマネジャーが主治医やかかりつけ薬剤師などに相談できるよう書式を定型化したもので、2010年頃、永田部長が地域の医療・介護スタッフの提案を受け、越前市独自のツールとして作成した。

「たとえばケアマネジャーが担当している患者さんについて私に聞きたいことがある場合は、その患者さんの受診日の1週間くらい前までに質問を書き込んだこのシートを郵送してくれます。私はその内容を考慮しながら患者さんやご家族にお話をうかがい、シートにお返事を書いて返送します。この返事を読んでケアマネジャーはケアプランの変更などを行うわけです。連携シートをうまく活用しているケアマネジャーは質の高いケアマネジメントができていると思います。連携シートの裏側は患者さんの普段の生活の様子を記入する表になっていて、ケアマネジャーから患者さんの生活ぶりなどを教えてもらえるので医師にとっても診療の役に立ちますし、薬の処方などにも参考になります」と部長が言う。

同シートを導入した当初は、医療者の負担増は覚悟の上だったというが、現在のところケアマネジャーが連携シートを用いるのは特に対応に困った場合であるため、永田部長のもとに郵送されてくるのは多くても週に1~2件程度。業務への影響はそれほどでもなく、むしろメリットが大きいという。

6. 院外での活動 講演、講座で県内外を回る
認知症初期支援チームの整備も進める

永田部長は、認知症に関する啓発や教育活動にも多くの時間を割いている。自治会、老人会、企業などでの個別の講座、市民公開講座、薬剤師向けの認知症の薬の使い方講座、ケアマネジャー向けの認知症ケアの講座など、対象に合わせて解説を行ったり、福井県内の地区医師会を対象に認知症診療について講演したりといったことは繰り返し実施。前述した定年齢検診については県外でも複数の講演を行った。

地域での活動としてはほかに、越前市が主催する「認知症ケアネットワーク会議」(年2回)にも、市内の認知症サポート医や地域包括支援センターのスタッフとともに参加している。会議の目的は越前市の認知症対策の企画・推進で、現在は認知症初期集中支援チームの立ち上げと運営が大きな課題だ。

福井県内の認知症サポート医を結ぶ連絡協議会(福井県医師会主導)の幹事も永田部長が務めている。福井県では全国に先駆けて認知症サポート医の養成を進めたため、すでに全市町村に1人以上のサポート医がいる。この中には外科医や泌尿器科医など、サポート医になる以前は認知症診療とはあまり関係のなかった医師も少なくないため、定期的に認知症の勉強会を開くが、この際の幹事の仕事はサポート医の質を上げるための研修内容の選定、研修会の司会、外部講師の手配など。ときには自ら講演を行うこともある。

2018年4月から全国全市町村に設置することが義務づけられた認知症初期集中支援チームについては、2016年度に市内の先進的な病院にまず設置。中村病院では市内2つめのチームを2019年4月に設置するべく、社会福祉士の採用、関連研修の受講など現在準備を進めている。

7. 今後の課題・展望 穏やかな看取りを実現するための仕組みを検討
次代を担う神経内科医の参加に期待

永田部長がいま、大きな課題と捉えているのは地域の高齢者の看取りにどう対応していくか、である。中村病院は救急病院なので、骨折、誤嚥性肺炎、ひどい床ずれ、認知症など多様な高齢患者が搬送されてくる。一般の搬送はもちろん、施設からの要請で救急車が出向くことも多々ある。それで完全に治療できれば問題はないが、高齢者の場合は治らないケースが多い。そこで救急搬送のきっかけとなった病気やケガの治療をした後、人工呼吸器を使うのか使わないのか、胃ろうをつくるのかつくらないのかなどの判断を、家族が迫られることもしばしばだ。

「ご本人にとっては人生の終わりの時期がどのようなものになるかを左右する重大な局面ですが意識がなければ自分では判断できません。かといって医療の素人である家族にとっては判断そのものが難しいですし、私たち医療者はご家族を呼び寄せたり、説明をしたりといった作業を頻回に求められる負担があります」

そこで中村病院で検討しているのが、「事前指示書」の導入だ。地域の老人施設などにはあらかじめ同院から事前指示書を配付し、入所時に全員に記入してもらって、いざというときにはそれに従うという共通認識を関係者で確認しておこうというのである。

永田部長は、「これにより救急搬送前後の混乱を軽減するという意味はもちろん、普段から、本人にも家族にも、人生の最期の時期をどのように生きたいのかを考えておいていただく意味も大きいと思っています」と事前指示書の意義を語る。

今年5月より、入院中の方には、終末医療に関する事前指示書を当院独自の形式で導入した。

これと関連する取り組みで、神経難病の告知の仕方も進化している。いまでは部長のパソコンには病気の経過や治療に関するオリジナルの説明資料が入っており、診断時に本人と家族、場合によっては親族なども同席してもらってこれを見せながら、余命も含めて説明するようになっている。資料一式をデータで提供することもある。

「きちんと説明して理解してもらえると、高齢患者さんがむやみに人工呼吸器を選択することはほぼありません。また、若い患者さんなどで、呼吸器をつけて生きることを選択した場合も、最初に病気のことを深く理解しておいてもらえると、在宅に移行した後もスムーズです。ギリギリまで訪問診療で対応し、最終的に入院が必要になったら医療療養病床で受け入れていただける仕組みもできて、難病患者さんの支援体制はようやく完成したと思っています」と語り、「当面は認知症の人の地域ケア体制の整備、看取りシステムの整備に力を入れたい」と言う。

もう1つ、永田部長の大きな使命に後継者探しがある。神経内科専門医資格を取得して2年目に中村病院に赴任して開設し、大きく育ててきた神経内科の次代を託す人材を求めている。「都会的な魅力はないけれど、医師としてのやりがいはあると自信をもって言えます。神経内科医としての力を発揮したい方にぜひ来てほしい。地域の皆さんとともに期待して待っています」と呼びかける。

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