KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
このサイトのご利用に際しては、協和キリンメディカルサイトのご利用条件が適用されます。

独立行政法人 国立病院機構 さいがた医療センター
[パーキンソン病 med.front]

2019年12月27日登載/2019年12月作成

印刷用PDF

  • ●院長:下村 登規夫 先生
  • ●開設:1943年
  • ●所在地:新潟県上越市大潟区犀潟468-1

薬物療法の微調整と難病リハビリの融合で
長期にわたる自立を支援

脳神経内科、精神科、重症心身障がい医療を三本柱とし、各科の協力により多様な患者の診断・治療を行っている、さいがた医療センター。患者を「すべての臓器が有機的に結びついている人」と捉え、パーキンソン病をはじめとした難病治療においても、その人が末永く、自立した日常生活を営めることを重視した診療を展開し医療提供体制のさらなる充実を図っている。

1. 病院の概要 患者の全体像を捉え
いまできる最高の医療を提供

さいがた医療センターは、JR信越本線・ほくほく線犀潟駅近くにある。正面入口を入ると広大な敷地が広がり、外来管理治療棟、特殊診療棟、研修棟、デイケア棟、各種病棟などが並ぶ。砂地という地盤の特質もあり建物はすべて低層で、そのほとんどが室内通路でつながっている。正面玄関から奥に向かってまっすぐ延びる廊下は全長300mという圧巻の長さ。この廊下は患者のウオーキングコースにもなっている。

標榜科目は脳神経内科と精神科など9診療科。1943年に日本医療団によって創設され、1948年に旧厚生省に移管。基本的に精神疾患や神経難病を中心に診療してきた。現在の病床数は410床(実動296床)。内訳は精神病棟100床、医療観察法に基づく指定入院病棟34床、重症心身障がい児(者)病棟82床、脳神経内科病棟(神経難病中心)80床である。

病床稼働率は高く、たとえば脳神経内科病棟は、80床中70床以上を使用していることが多い。週末など急患が多いときはすぐに満床になり、ときにはベッドが足りなくなることもある。また、季節によっても稼働率は変わってくる。「私たちは越冬入院と呼んでいるのですが、雪が積もると通院できないからと、本格的な冬が来る前に入院され、春に退院される難病患者さんも少なくありません。越冬入院があるのは、雪国新潟の特徴だと思います」とにこやかに語るのは、下村登規夫院長である。

下村院長は2004年に副院長としてさいがた医療センターに赴任し、2008年に院長に就任。この15年間には「頭痛」「睡眠時無呼吸」「慢性疲労」といった特殊外来の開設、脳神経内科と精神科の連携体制の構築などさまざまな改革を行い、従来以上に地域に信頼され、広域から患者の集まる医療機関に成長させてきた。また、敷地内に建つ上越看護専門学校での講義、メディアを通じた市民啓発などにも熱心に取り組んでいる。

同センターでは、最新型の1.5テスラMRI、胸部画像が3秒で撮影できる新技術を搭載した次世代型80列マルチスライスCTをはじめ、RI検査装置、脳波検査装置、神経伝導検査装置、超音波検査装置など、全身の検査が院内でできる体制を完備。院内の患者の検査はもちろん、地域の医療機関からの検査依頼にも随時対応している。

基本理念は、「良い医療を安全に、心をこめて」。下村院長は、「私たちは臓器別診療は行いません。患者さんを1人の人間としてとらえ、全スタッフをあげて、その方にいまできる最高の医療を提供すべく、日々努力しています」と、さいがた医療センターの方向性を力強く語る。

下村 登規夫 院長

全長300mの廊下。休診日にここを歩きにくる患者もいる

最先端の1.5テスラMRI

全国で6番目に導入した次世代型80列マルチスライスCT

CT室では恐怖感をやわらげるべく森のイメージの壁紙を使用している

院内ところどころに下村院長のお母様の絵画作品が飾られている

2. 脳神経内科 神経内科専門医が常勤し、
多様な神経難病、希少疾患を診療

脳神経内科の医師は常勤3名、非常勤2名。常勤医は、日本神経学会指導医・専門医、総合内科専門医、頭痛専門医、日本臨床検査医学会専門医などの資格を持つ下村院長を筆頭に、同じく総合内科専門医と血液専門医の資格を持ち神経内科専門医取得を目指す内科医1名、神経内科に強い興味を持つ内科医1名。非常勤医は大学病院の勤務医と地域の神経内科開業医で、それぞれ週1回、診療を担当している。

下村院長は「難病は何でも診る」が信条で、紹介患者や受診希望者を断ることはなく、診断や治療を目的に他院に患者を紹介することもない。通常は教科書でしか触れないような希少疾患を見つけ出し、診断・治療した経験も少なくない。同科の患者には、パーキンソン病(パーキンソン症候群)をはじめ、多系統萎縮症や大脳皮質基底核変性症といったパーキンソン病の類縁疾患の患者が比較的多いが、患者が1名だけの神経難病も多数診ている。2018年4月現在、月曜から金曜まで毎日行っている脳神経内科外来で診ている患者の病名は96種類、2017年度1年間の入院患者の病名は73種類を数える。

「たとえば、遺伝性脊髄小脳変性症の一型であるマシャド・ジョセフ病は3家系、神経組織や臓器内の細胞核に封入体という異物が広がるエオジン好性核内封入体病は1家系、先天性の代謝疾患であるファブリー病も1家系診ています。腹痛や神経症状を伴う代謝疾患である急性間欠性ポルフィリン症の患者さんは新潟県に2名だけおられるのですが、その2名とも当センターに通われています」と、下村院長の口からは珍しい病名が次々に出てくる。

このように神経疾患全般の診療を幅広く行う一方で、教育にも力を入れている。脳神経内科卒後臨床研修プログラムによる初期研修医の指導では、患者一人ひとりを大切にする姿勢をベースに、診療録の記入方法、実際の診療の仕方などをていねいに指導。また、日本神経学会認定準教育施設として医学博士や専門医の取得、留学のサポートなども行っている。

診療中の下村院長

3. 精神科との連携 「全医師が患者さんの主治医」と掲げ
気軽に依頼し合える体制を構築

脳神経内科では、患者一人ひとりに担当医をつけている。ただし、基本的な考え方として「全医師が患者さんの主治医である」という方針を掲げている。この方針のもと、院内での紹介状は2009年のカルテの電子化に合わせて全廃。他の医師に診てほしい患者がいた場合には、メモ書きやファックスで気軽に依頼する仕組みが、精神科も含めて出来上がっている。

一般に、水と油と揶揄されることもある脳神経内科と精神科。同センターでも以前は見えない垣根があったが、「診療科の枠を超え、お互いに補い合って、いまできる最高の医療を患者さんに提供しましょう」という下村院長の呼びかけで、全面的な協力体勢が実現したのである。

「脳神経内科の患者さんに幻覚や妄想の症状が出て、精神科病棟に入院することもしばしばですし、精神科の患者さんが肺炎にかかったりして内科の診察が必要になることも日常茶飯事です。ですから、気軽に診察を頼めるのは医師にとっても患者さんにとっても非常に便利で心強いのです。いまでは両科のスタッフも、患者さんも、そのご家族も、2つの科を患者さんが行き来することの意義を理解してくれているので、ますます連携しやすくなりました」

連携をよりスムーズにするポイントとして下村院長は、むやみに電話をして相手の診療をじゃましないこと、依頼の際に、何をどう診てほしいのかをできるだけ明確に伝えることなどを挙げる。また、メディカルクラークを2011年に2名採用し、さらにその後4名に増員することで書類作成などにかかる医師の負担を軽減。その分の時間を診察にあてることができるようにした。

4. パーキンソン病医療 抗パーキンソン薬は少なめに使用
難病リハビリで楽しみも提供

同センターで診ているパーキンソン病患者(パーキンソン症候群)の数は、外来が疑いも含めて2018年4月現在148名、入院が、パーキンソン病だけで2017年度1年間で90名、薬剤性パーキンソン症候群が8名となっている。多くは他院からの紹介患者。長年にわたり通院している患者も多くいる。

さいがた医療センターにおけるパーキンソン病医療では、いかにハネムーン期(薬がよく効く期間)を長く維持するかを重視している。そのために実践しているのが、抗パーキンソン薬の使用量のきめ細かな調整だ。

「初期の患者さんの場合、L-ドパ製剤なら基本的に1錠(200mg)から始めて、効果が十分でなければ3週間目頃に2錠(400mg)に増やし、できるだけそのままの量で引っぱります。使用量を極力抑えるのはほかの薬も同様。いまある身体能力を最大限維持するための薬物療法のきめ細かな調整の仕方は、長い臨床経験の中で独自に見いだしてきました。現在、私が行っている薬の処方は、もし私自身がパーキンソン病になった場合にも、こうしてほしいと言える内容です」

一部の患者からは、「もっと薬を出してほしい」と言われることもあるというが、そういうとき下村院長は、「あなたはオリンピックに出たいのですか」と問いかける。そして、「いま走れる力をつけて走り、10年後に車いすになるのと、長い目で見て歩ける力を維持して、10年後以降も自分の足や歩行器を使って歩いているのとどちらがいいですか」と具体的に聞く。すると、ほとんどの患者は後者を選ぶという。そして実際に下村院長の処方を守り続けることで、歩行機能を10年以上維持している患者が多数いる。

こうして初期から中期くらいまでは薬物療法主体に行うが、進行期に入る直前頃からは、リハビリテーション中心の治療に切り替えていく。この時期に1カ月ほど入院してもらい、リハビリを強化して理学療法、作業療法、言語聴覚療法に毎日取り組んでもらう。すると状態が良くなり、患者がリハビリの効果を実感できるため、その後の継続につながるという。退院後は薬物療法と通院によるリハビリを続け、1年ごとにリハビリのための入院を繰り返す。

進行期の中期からは、3カ月間の入院と6カ月間の外来通院(週1回)を繰り返すサイクルに入っていく。入院中は定期的にBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)値を測り、リハビリによる心臓への影響を確認する。進行期の患者の場合は、入院時から退院支援に着手し、退院前には病棟看護師とリハビリスタッフ、MSWなどが面談をし、サービス担当者会議も行ったうえで、自宅訪問も行い、生活環境を整える。トイレも含めてスリッパは使わないなど、具体的なアドバイスも行っている。

また、同センターでは患者の主体的な活動や機能維持を目指して難病デイケアを実施しており、それぞれの状態や希望に合わせて参加してもらっている。パーキンソン病も対象疾患の1つだ。難病デイケアが行われるのは月・木の週2回、9:00〜15:00。午前中は体温・血圧などの測定と医師による診察のあと、集団体操とレクリエーションを実施。昼食を挟んで、午後は作業療法として工作や手芸を行っている。作品は年に一度のバザーで販売。下村院長も毎回必ず購入する。リハビリを通して楽しさや生きがいを感じてもらうことをとても重視している。

集団体操なども行われるリハビリテーション室

作業療法室には患者の作品が展示されている

敷地内に体育館も完備している

病棟の中心付近に設けられた食堂

5. 今後の課題 各科開業医を誘致し総合医療拠点をつくる
「メディカルシティさいがた構想」を推進

さいがた医療センターは、「メディカルシティさいがた構想」を持っている。「この地域では住民のみならず開業医の高齢化も著しく、中には80代後半まで現役で頑張る方もいらっしゃいます。当センター敷地内に各科の開業医を誘致し、全体で協力すれば、総合病院のような機能が果たせるのではないかと考えたわけです」と、下村院長がこの構想の主旨を説明する。

診療所を新築する土地は十分にあるし、診療科によっては、既存の建物を使って開業することも可能で、主旨に賛同して地域医療に参加してくれる開業医を待っている。特に、この地域にない耳鼻咽喉科や皮膚科、眼科などの誘致を優先したいという。

開業医の誘致とともに、医学生や若手医師がこの地域に増えることにも期待している。すでに初期研修医の受け入れは行っており、今後は後期研修にも対応したい考えだ。また、地域ぐるみで医学部の学生を育てる仕組みづくりなども視野に入れ、関係者と相談を重ねている。

「若い人が増えればそれだけで活気が出ますし、各科の専門医が揃い、当センターの設備を有効活用しながら、皆で患者さんを診るようになれば、患者さんにとっても楽ですし、医療の効率化という意味でも有意義です」と下村院長。「これらの構想を実現するためにも、この地域の魅力をアップし、広く伝えていかなければ」と力を込める。

パーキンソン病医療については、iPS細胞を使った治療法の開発に期待する一方で、患者には、新しい治療法に安易に飛びつくのではなく、エビデンスのしっかりした治療法にじっくり取り組むことをすすめる。

センターとしては、ますます高齢化し、病状も多様化する患者一人ひとりに対し、適切な医療を提供し続けることに重きを置いている。これからも地域の人々から信頼され頼られる存在であり続けるために、診療体制強化に一層の力を注いでいる。

KK-19-11-27308

パーキンソン病 med.front

ゴールデンウィーク休業のお知らせ

下記の期間はゴールデンウィーク休業とさせていただきます。
2020年4月29日(水)~ 2020年5月6日(水)
上記期間中の会員登録・お問い合わせ等に関しましては、2020年5月7日(木)以降のご対応とさせていただきます。
期間中はご不便をおかけいたしますが、ご容赦くださいますよう何卒お願い申し上げます。

おすすめ情報

  • おすすめ情報は、協和キリンのウェブサイトにおける個人情報の取扱い方針に基づき、お客様が閲覧したページのアクセス情報を取得し、一定の条件に基づき自動的に表示しています。
    そのため、現在ご覧いただいているページの情報との関連性を示唆するものではございません。

くすり相談窓口

弊社は、日本製薬工業協会が提唱するくすり相談窓口の役割・使命に則り、くすりの適正使用情報をご提供しています。
弊社医薬品に関するお問い合わせは、下記の電話窓口で承っております。

フリーコール

0120-850-150

受付時間 9:00~17:30
(土・日・祝日および弊社休日
を除く)

※お電話の内容を正確に承るため、また、対応品質の維持・向上等のため通話を録音させていただいております。あらかじめご了承ください。

お問い合わせ