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和泉市立総合医療センター
[パーキンソン病 med.front]

2019年12月24日登載/2019年12月作成

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  • ●名誉総長:福岡 正博 先生
  • ●総長:村上 城子 先生
  • ●病院長:松下 晴彦 先生
  • ●特任病院長:西岡 伯 先生
  • ●開設:1963年4月
  • ●所在地:大阪府和泉市和気町4-5-1

新しい治療法を積極的に採用し
初期から進行期まで幅広く診療

2018年4月、緑豊かな現在の場所に新築移転し、旧和泉市立病院から名称も新たにして再スタートを切った和泉市立総合医療センター。標榜する33の診療科のほぼすべてに常勤医を配置し、高度急性期・急性期医療、がんなどの専門医療、政策医療をはじめ幅広い医療を提供する中核病院である。パーキンソン病医療においても地域の中心的存在で、初期から進行期まで多くの患者を治療・管理。LCIG(Levodopa Carbidopa Intestinal Gel:L-ドパ持続経腸療法)療法の導入件数が近畿圏でトップクラスなど、新しい治療法にも積極的に取り組んでいる。

1. 病院の概要 2018年にリニューアルオープン
地域の医療を支える総合病院

和泉市立総合医療センターは1963年4月、公立和泉病院分院として発足。1972年に和泉市立病院となり、以降、診療科や設備の拡充を図りながら、地域の中核病院としての役割を果たしてきた。

2014年には指定管理者制度に移行し、医療法人徳洲会の運営に。そして2018年4月、現在の場所に新築移転。ベッド数は一般病床のみ307床。標榜科目は33科で、2019年現在、眼科を除く32科に常勤医が配置されている。基本的には急性期病院だが、自治体公設病院として、救急医療、災害医療、小児医療などにも力を注ぐ。リニューアルオープンからこれまで1年数カ月の間、ベッドはほぼ満床で推移している。

なお、新病院は環境に配慮した建築物としても評価されており、大阪府の関連条例をクリアし、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)評価も高い建築物の中から選ばれる、「平成30年度おおさか環境にやさしい建築賞」の最高位である大阪府知事賞を受賞している。

2. 脳神経内科 部長と医長を中心に専門医療を提供
新技術や新薬も積極的に導入

脳神経内科では、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、重症筋無力症、多発性硬化症などの神経難病をはじめ、急性の運動麻痺や意識障がい、眼瞼痙攣、顔面痙攣、てんかん、頭痛などを対象としている。脳卒中こそ脳神経外科に任せているが、それ以外の脳、脊髄、末梢神経、筋肉などの疾患はまとめて引き受けている。

「免疫性の神経難病も変性疾患も幅広く診ていますし、神経救急にも対応しています。特定の疾患に偏ることなく、バランスよく診療できていると思います」と、濱田征宏部長が同科のスタンスを語る。

脳神経内科に在籍する医師は、常勤が濱田部長と上野周一医長の2名、非常勤が大学病院から派遣される医師や地域で脳神経内科クリニックを開業する医師など7名である。濱田部長は、「外来も病棟も、いろいろな医師やスタッフに手助けしてもらいながら、私たち2人で頑張って回しています」と、日々の仕事の様子を話す。2人は、近畿大学医学部堺病院に勤務していた頃からの同僚で、専門性を生かして協力し合ってきた。いまは専門分野を明確に分けているわけではないが、どちらかというと濱田部長は免疫性の難病を、上野医長は変性疾患を得意としている。

治療法として近年、力を入れているのはボツリヌス療法で、痙性斜頸、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、手足の痙縮などの患者に適用し成果を挙げている。また、新薬である抗補体モノクローナル抗体製剤による重症筋無力症の治療にも積極的に取り組み、全国有数の実績がある。

難病リハビリテーションでは、和泉市立病院時代の2017年よりロボットスーツ医療用HAL®を導入し、保険が適用されるALS、脊髄性筋萎縮症、筋ジストロフィーなど8疾患のリハビリに効果的に活用している。

和泉市を含めた大阪府南部の脳神経内科医療の状況については上野医長が、「開業医の皆さんがとても頑張ってくれていて、クリニックで診ることのできる患者さんには自分たちで最大限対応し、何かあったときに当センターを頼ってくださるという関係が自然にできています」と紹介する。

濱田 征宏 脳神経内科部長

上野 周一 脳神経内科医長

3. パーキンソン病の治療 患者の希望を優先し
"困っていること"に対応する

パーキンソン病の治療は外来中心で、定期的に通院しているパーキンソン病患者の数は200人程度である。紹介患者や、病院の移転によって通いやすくなった近隣の患者の新規受診が続いていることもあり、患者は増加の一途である。他院からの紹介の理由としては、「薬の調整が難しくなってきた」など、症状をコントロールしきれなくなった場合や、震えや歩行障がい、動きにくさなどのある患者の確定診断を求める場合が多いという。

紹介患者が受診した場合の対応について、濱田部長が次のように説明する。

「まず、その患者さんがそれまで十分な検査を受けておられない場合は、当然のことながらMRIなどによる脳の検査を行います。また、パーキンソン病かどうかはっきりしない患者さんについては、ダットスキャン(ドーパミントランスポーターシンチグラフィー)検査を行い、確定診断をくだすこともあります。当科でパーキンソン病と診断した患者さんについては、私たちが継続して診ていくことがほとんどです。来院されたときにすでにパーキンソン病の治療を受けておられる方の場合は、特に困っていることがないかぎり、処方内容はしばらく変えずに薬物療法を続けます。逆に、何かの症状で困っている患者さんについては、困らないようにするための治療法を工夫していくのが基本です」

いずれにしても、治療内容をいきなり大きく転換することはない。1〜2カ月ごとに通ってもらい、状態を確認しながら身体機能の維持を目指していく。「パーキンソン病の治療は、診療ガイドラインに沿う部分もありますが、基本的にはオーダーメード。決まったパターンはなく、医師と患者さんが向き合いながら進めていきます」と濱田部長が言う。

患者の中には、パーキンソン病とわかっても治療は受けないと言う人もいる。その場合は、そのまま希望を受け入れ、「困ったらいつでも言ってください」と伝える。一方で、症状がかなり軽くても、何とか薬で抑えたいと希望する患者もいる。こうした場合は薬を少量から使ってもらう。

患者の強い希望により、一時的に強力な治療を施すこともある。ある60代の男性患者は、娘の結婚式に出席してバージンロードを娘とともにすくまずに歩き、力強い声でスピーチすることを望んだ。濱田部長らはその希望に応え、半年ほどかけて計画的に薬を増量し、結婚式当日に症状が出ないようにコントロール。患者は滞りなく父親の役目を果たすことができた。その後も継続的に通院しているが、病状は進行しており、そろそろLCIG療法(後述)を検討する時期にきているという。

4. リハビリテーション 嚥下造影検査に基づき食生活を改善
運動は地域の介護事業所に依頼

パーキンソン病のリハビリテーションは外来ではほとんど行っていないが、入院患者においてはリハビリテーションを積極的に行なっている。また、摂食嚥下機能の評価については、リハビリテーション部と連携して行っている。この分野に積極的にかかわっている上野医長によれば、パーキンソン病患者の場合、進行期になるとほとんどの人に摂食嚥下障がいが出てくる。その障がいの程度を正確に評価するために、まず行うのが嚥下造影検査である。

「嚥下造影検査の結果をもとに、言語聴覚士を中心に、管理栄養士とも相談しながら、その患者さんが食べやすいものや形、大きさなどを考えていきます。神経難病の患者さんの場合、訓練によって摂食嚥下機能の回復を図るのは難しいのですが、食事を工夫するだけで、患者さんの食べやすさは大きく変わってきます」と上野医長がパーキンソン病治療における摂食嚥下リハビリのあり方や意義を語る。

一方、身体機能の維持を目的としたリハビリは、地域の介護事業所に任せている。「自宅で自主的に歩行訓練やストレッチなどの運動ができればそれにこしたことはないのですが、実際には1人で運動するのは難しいものです。少し面倒でも頑張って介護施設に出かけ、できるかぎり身体を動かしてほしいと思っています」と部長が願いをこめて言う。

介護施設でのリハビリの内容や効果も含めて、日頃の生活や身体の変化などについては、外来診療時に患者や家族から直接聞く。「いわゆるオンとオフがあるように、パーキンソン病の症状は変動が激しいのが特徴で、外来診療時の状態がその患者さんの現在の状態を表しているとは言えません。ですから患者さんの状態を把握するためには患者さんやご家族からくわしく聞くしかないのです」と上野医長。歩けているか、転ぶことはないか、排便障がいはないか、薬の服用前後の変化はどうか、朝、夕で症状は違うかなどを繰り返し聞いて状態を理解し、より適切と思われる対応をしていくという。

5. LCIG療法 従来の治療法が十分効かない患者の
オフ時間を大幅に短縮

進行期になり薬剤による症状コントロールが難しくなって、日常生活に困っている患者に対しては、LCIG(L-ドパ持続経腸療法)療法を推進している。LCIG療法とは、専用ポンプを用いて、胃ろうから小腸に直接レボドパ製剤を持続投与し、ウェアリングオフ(薬が効かない時間)やジスキネジア(自分では止められない動き)を予防する、2016年に認可された新しい治療法である。

濱田部長と上野医長はともにこの療法に精通しており、同科での導入件数は通算19例で、全国でもトップレベルとなっている。この19例のパーキンソン病罹病歴は平均13〜14年。皆、長年治療を続けてきて、薬が効かなくなり、新しい治療法に頼らざるを得なくなってしまった患者たちである。この中には、子育て中の女性や、働き盛りのビジネスパーソンなども含まれる。

LCIG療法で用いるレボドパ製剤はゲル状で、あらかじめ導入前に、このゲル剤を鼻から腸に通したチューブ(NJチューブ)で試験的に投与し、適性と効果を確認して微調整したうえで、腸ろうを造設し、レボドバ製剤の持続投与を開始する。

「私は、オフ症状のレスキュー薬であるドパミンアゴニスト皮下投与製剤の持続版といったイメージで捉えています」と上野医長が紹介する。医長は近畿大学医学部堺病院時代に、多くのパーキンソン病患者にレスキュー薬を適用し効果を実感。持続療法は、レスキュー薬の対象となる患者以上に、オフ時間の長さやジスキネジアに苦しんでいる人に効果的と指摘する。

濱田部長によれば、具体的には1日に5回以上レボドパ製剤を飲んでいる、1日2時間以上のオフがある、1日1時間以上の強いジスキネジアがある、の3つのうち1つでもあてはまる場合はLCIG療法、あるいはDBS(脳深部刺激療法)を前向きに検討する。

導入の過程では一般に、NJチューブの挿入や腸ろう造設の際に消化器内科などの協力を得て、脳神経内科医は薬剤の量の調節を担当するものだが、同センターでは、濱田部長、上野医長が自らNJチューブを入れ、腸ろう造設術についてのみ消化器内科の力を借りている。濱田部長は、「脳神経内科医がここまで自分の手を動かしている例は、全国でも珍しいと自負しています」と語り、この療法への取り組みと成果に対する自信をのぞかせる。現在は、トラブル対応も自分たちでできるようにと、胃内視鏡検査の練習中だ。

適性を見きわめたうえでLCIG療法を施した場合の効果は高く、同センターの患者の場合、平均して1日のオフ時間が5時間短縮されている。内服薬も不要となる。朝晩の装置の着脱やチューブの洗浄など一定の作業を要するが、同じく外科手術を伴うDBSに比べて患者の受け入れは格段によいという。副作用として胃ろう周囲に難治性の皮膚炎などが生じた場合は皮膚科に治療を依頼するというように、総合病院の利点も生かしている。

6. 今後の課題 効果的な治療法の登場と
国をあげた体制づくりに期待

今後に関しては、「患者さんが増え続けること、特に高齢発症が増えることが一番心配です」と濱田部長。「あくまで私の試算ですが、20年後には、大阪府南部だけで高齢者を中心に数千人のパーキンソン病患者さんがおられる時代になる可能性があります。そうなったら、いまの医療体制では対応しきれません。認知症患者さんのサポート体制づくりを、国をあげて進めているように、パーキンソン病患者さんについても、同様の取り組みが必要なのではないでしょうか」と提言する。

「これからも新しい薬や治療法が順次出てくると思います。それを一つひとつ吟味し、よいものは積極的に採用していきたい」と濱田部長と上野医長は声をそろえる。その言葉に、「困っている人を助けたい」という医師としての思いがこもっていることは、言うまでもない。

脳神経内科の多忙な業務を2人で回す濱田部長と上野医長

KK-19-11-27329

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