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独立行政法人国立病院機構 大阪刀根山医療センター
[パーキンソン病 med.front]

2020年12月25日公開/2020年12月作成

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病院外観
  • ●院長:奥村 明之進 先生
  • ●開設:1917年9月
  • ●所在地:大阪府豊中市刀根山5-1-1

神経筋疾患における北大阪地域の基幹病院
独創的な治療プログラムでPD症状をコントロール

独立行政法人国立病院機構(NHO)大阪刀根山医療センターは、1917年に日本で最初の公的結核療養所として開設された。後に診療機能を転換し、現在は呼吸器疾患、神経・筋疾患(筋ジストロフィーを含む)、運動器疾患の専門施設として広くその名が知られている。パーキンソン病に対しては薬物療法だけでなく、生体リズム障害に着目した高照度光療法、ドラッグホリデー、食事・栄養指導などを組み合わせて治療にあたる。また、新薬の治験や、新規治療法についての臨床研究にも積極的である。

1. 病院の概要 大阪、兵庫の約160万人が対象
全410床の約半数が神経筋疾患病床

藤村 晴俊 副院長

藤村 晴俊 副院長

大阪刀根山医療センターは大阪と兵庫の府県境にあり、大阪府豊能2次医療圏(人口約100万人)と、兵庫県阪神北2次医療圏の一部(同約60万人)を主たる対象としている。この地域にはALS患者が約120人、パーキンソン病(PD)患者約2,500人、筋ジストロフィー(MD)患者約400人がおり、ほかにギラン・バレー症候群(GBS)や慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)の患者が毎年20~30人ほど発症していると考えられる。

こうしたエリアにあって同院は、神経筋疾患の基幹病院に位置づけられている。2019年11月には、「大阪府難病診療分野別拠点病院」に指定された。(1)診断・治療に必要な検査の実施など医療等の提供、(2)身近な医療機関で治療を継続できるための支援、といった拠点病院の役割を、同院は後述する地域連携の中で果たしている。

病床数は410床で、そのうちMD病床が106床(うち80床は契約療養介護病床で26床は障害者病床)、神経難病病床60床、PD病床34床と、計200床を神経筋疾患病床が占めている。これらは入院日数が制限されない障害者病棟であるため、患者の状況に合わせてじっくりと治療に取り組むことができる。

「発症(診断)から終末期に至るまでに患者さんが抱えるいろいろな問題に対し、専門的立場から全人的にかかわり、エビデンスと患者さん本位の医療を提供できるように努めています」と話すのは、脳神経内科のトップで、神経筋疾患全般と末梢神経・筋疾患が専門の藤村晴俊副院長だ。

「当院では従来から、神経筋難病の摂食・嚥下障害に対して医師、看護師、言語聴覚士、栄養士によるチーム医療を展開し、近隣施設、地域のリーダーとして活動を続けています。また、在宅人工呼吸療法にも熱心に取り組んでいて、現在では250名以上の患者さんが呼吸器を装着して地域で生活しています。さらに、こうした医療の啓発活動として、各種セミナーや公開講座の開催、地域での研修会や交流会への参加など地域全体のレベル向上に向けた情報交流にも力を入れています」と、基幹病院としての多彩な活動を藤村副院長が紹介する。

2. 脳神経内科 疾患にこだわらず幅広い医療を実践
年間約15例の病理解剖も実施

脳神経内科では、神経筋難病患者に対するモットーとして、(1)神経筋難病の全経過において十分な患者マネージメントを行い、質の高い臨床データを蓄積し、臨床研究を進めることで医療レベルの向上に寄与する、(2)広範囲のすべての神経筋疾患を網羅し(脳血管障害を除く)、特定の疾患に偏らない神経内科診療を広く実践する、の2つを掲げている。

同科には藤村副院長以下16名の医師が在籍。診療実績は、外来新患者数が年間約900人、入院患者数は同のべ約1,260人。疾患別患者数は、PDを含む神経難病が700人、MDが370人程度である。「患者さんたちは基本的に緩徐進行性で予後は不良ですが、それでも、そのときどきの能力を維持することを大事にしています」と藤村副院長。患者の高齢化も進んでいるが、できる限り患者や家族の希望に沿った療養環境づくりに努めているという。

一方、治験や臨床研究にも熱心で、NHO本部からの治験依頼に応じるほか、製薬企業からの依頼にも積極的に協力している。

研究環境における同院の最も大きな特長は、国立精神・神経医療研究センターが主宰するブレインバンク事業に参加しており、藤村副院長をはじめ神経病理学的アプローチをこなせる人材が6名、年間15例前後の病理解剖に参加している点だ。このうち約3割はPD・関連疾患である。

「たとえば、αシヌクレインのみならず、タウやアミロイドβ、TDP-43などの沈着も見られ、通常とはかけ離れた認知症を伴うPD例や、家族歴はないがレビー小体がまったく見当たらない例など、病理学的に検討すべき課題・症例は多数あります。難病の診断から進行期・終末期の治療に加え、死亡後の病理診断までできる当院のような体制は他の追随を許さない環境にあります」と副院長が言うように、臨床研究における同院のアドバンテージはきわめて高い。

3. 在宅医療 多彩な活動で多職種と連携・支援
連携の要は地域ネットワークセンター

藤村副院長は、「難病医療の目標は、患者さんが安心して地域で暮らせる仕組みをつくることであり、基本的にどんなに重症となっても、家で暮らせるように支援します」と、在宅医療を重視する姿勢を強調。「各種保険や福祉財源などを使っての社会サービスを知悉し、適切に、過不足なく導入します。ケアマネジャーと意思疎通を密に図り、難病医療の保健師の関与を高め、介護事業者の選別、訪問看護・訪問リハビリテーションの適切な利用、往診医の確保、緊急時対応の救急病院の確保などを順時行っています」と語る。

在宅医療支援のための主な実践としては、(1)退院時の合同カンファレンス、(2)刀根山在宅ケア支援セミナー(訪問看護・リハビリスタッフ、ケアマネジャーなどが対象、年3回)、(3)北大阪地域神経筋難病ネットワーク会議・研修会(府の保健所と合同、会議・研修各年1回)、(4)各種公開講座・対象別(専門医、開業医、ケアマネ・訪看・訪リハ技師など)の各種セミナー(概ね年に4、5回)、の4つがある。

同院の地域連携の歴史はすでに20年以上になる。藤村副院長が赴任した2003年にはすでに定期的に地域の意見交換会が開かれており、以後も一貫して関係職種のかかわり方などを明確にし、連携体制を作ってきたというから先進的だ。"刀根山方式"とも言うべき医療技術に関するマニュアルも早期から整備し、地域で共有している。

現在、同院において地域連携の要となっているのは、「地域ネットワークセンター(患者包括支援係)」である。ここには看護師、ソーシャルワーカー、事務職員が各3名在籍し、近隣の開業医、急性期病院、療養型病院、老健施設、介護事業者などすべての関係機関と密接に情報交換を行っており、地域とのインターフェース機能を果たす最も重要な窓口となっている。

病診連携推進のためには藤村副院長自身も積極的に活動している。自ら近隣医師会に出向き、神経難病患者を在宅で診る場合に必要なことは、基本的には一般的内科診療だけであることを伝え、在宅療養の継続が困難な事態や、神経難病自体の病状が悪化したと思われる場合などは、いつでも入院できることを確約。その約束を守り続けることで信頼を得ている。また、信頼関係を表現する意味で、2019年に指定された在宅療養後方支援病院の契約を結んでもらうことを重視している。

4. PDの治療 「高照度光療法」の効果を証明
レボドパ製剤の休薬でも成果

遠藤 卓行 脳神経内科 医長

遠藤 卓行 脳神経内科 医長

医療圏内のPD患者約2,500人のうち、同院では約450人をカバーしている。多くは近隣の開業医からの紹介で、症状が軽度の場合は外来で検査・診断をする。すでに生活に支障が出ているような場合は基本的に2~3週間の検査入院をしてもらい、1日の状態の変化や能力など詳細に病状を把握し、治療やリハビリテーションの計画まで立ててから外来に移行してもらうようにしている。ほかに、一般病院に入院していた患者の病状が進行し、同院に紹介入院となるケースも増えている。また、PDの専門外来として2012年頃開設した「すくみ足」外来が入院のきっかけとなる患者も多くいる。

「PD患者さんの状態は個人差が大きく、治療もリハビリもテーラーメードが基本です。その患者さんに合いそうな新しい薬や治療法を探し、治験や臨床研究のかたちで試すこともしばしばです」と話すのは、PD治療に専門的に取り組む遠藤卓行医長だ。

遠藤医長は、2012年から睡眠を改善することで日中の活動も好転させるべく「高照度光療法」に取り組んでおり、このほどその効果を遺伝子レベルで突き止め、2020年5月に論文発表して注目された。1)高照度光療法とは、19:00~20:00頃から1時間ほど太陽光と同じ成分の光を浴び、その後就寝するというもので、同院ではこの8年間に約200人のPD患者がこの療法を経験している。このうち16名の髪の毛や髭の毛根の時計遺伝子の発現量の変化を分析。その結果、高照度光療法を行うと時計遺伝子が適切に発現することが確認できたのである。

「よく眠れるようになった患者さんの一部には、薬が効きやすくなったり、内服薬を減量できたりといった効果が見られています。運動症状が改善した患者さんもいます。これを高照度光療法の直接的な効果だと言い切ることはまだできませんが、時計遺伝子の発現が正常化すると概日リズムが整い、よい睡眠が得られるのは確かで、今後の研究成果にも期待が持てます」と手応えたっぷりの様子だ。

遠藤医長は、「いくつかの治療法をうまく組み合わせることで、相乗的によくなっていくことに期待しています」と話す。玄米や味噌などの発酵食品、食物繊維の多い根菜類などをメインとした「ブラウン食」を病棟で提供するなど新しいチャレンジも重ねている。ブラウン食によって便秘が解消し、便秘薬が不要になった患者も多い。

2020年4月からは新たに、PD患者の姿勢異常にブロック注射を応用する臨床研究を、麻酔科医の協力の下で開始している。姿勢異常によって腹部に痛みが生じ、その痛みによってさらに前傾が進んでいる患者の腹部の神経をブロックすることで、痛みを取り除き、背筋を伸ばせるようにするのが狙いだ。注射後は4週間程度、集中的に姿勢矯正のリハビリを行い、半年程度経過を観察するプログラムである。

5. PDのリハビリテーション 2週間の「リハビリ教育入院」を実施
病棟には卓球場も

同院のリハビリテーション部は20年ほど前から、PDの種々の運動能力の解析法やADL維持のためのリハビリに意欲的に取り組んでいる。その一環に、「LSVT®BIG(リーシルバーマン、ビッグ運動療法)」がある。これは、パーキンソン病患者の身体機能改善のために開発された、1カ月間の入院による訓練プログラムで、同院では2012年から実施。現在までに10名のPTの半数がトレーニングを受け、施術可能となっている。

また、近年は「リハビリテーション教育入院」も行っている。リハビリを希望する患者に2週間ほど入院してもらって歩行能力や転倒のリスクなどを詳細に把握。それをもとにリハビリプログラムを個別に作成し、自宅でのリハビリにつなげている。

このほか、病棟に卓球場をつくって入院患者に自由に使ってもらうなど、ユニークな取り組みも光る。「ある患者さんが『暇や!』と叫んでいるのを聞いて、卓球を思いつきました」と遠藤医長が笑う。患者たちが愛用している卓球台は遠藤医長がポケットマネーで提供。医長自身も毎日のように患者と一緒にプレーしている。床に落ちた球をPD患者が拾いやすくする棒付きの網なども用意してある。

6. 今後の課題 患者・家族の精神的支援と
事故を想定した災害対策に注力

今後の課題として藤村副院長は、患者・家族の精神的支援をまず挙げ、「神経筋難病は緩徐進行性の疾患が多く、患者さんやそのご家族に疾患についての十分な説明を行う一方、事態をあるがままに受け入れるための支援として、臨床心理士との面談なども必要です」と話す。

また、「少子高齢社会の進展する中で、基本的に難病医療の質を高めるには、患者さんがいくら重症化しても家で暮らすことができるよう、在宅療養を支える人的、物的支援を動員し、関連の多職種の者がそれぞれの立場で職掌を全うすることに尽きる」との考えを示し、在宅介護が長期に及ぶ場合、レスパイト入院にも応じ、医療・介護の親密なかかわりを深めていくことも重要と指摘する。

もう1つ、災害対策も非常に重視している。ここ数年の地震、台風、各地の異常な降雨・浸水に加え、2020年は新型コロナウイルス感染症への対応に追われた。「こうした災害から神経難病患者さんを守るためにも、細心の注意が必要」とし、事故を想定した体制づくりを進めている。

KKC-2020-01643-1

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