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医療法人誠和会 倉敷紀念病院
[パーキンソン病 med.front]

2021年2月25日公開/2021年2月作成

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病院外観
  • ●理事長・院長:小出 尚志 先生
  • ●開設:1968年7月
  • ●所在地:岡山県倉敷市中島831

医療・介護・福祉を
トータルにマネジメントできる強みを生かし
最後まで安心して暮らせる支援を実践

超高齢社会の到来とともに増加している疾患の一つにパーキンソン病がある。パーキンソン病患者のうち60歳以上で発症する人は全体の9割を占めるといわれ、後期高齢者になってから罹患するケースも珍しくない。医療・介護・福祉をトータルに提供する診療体制を堅持する倉敷紀念病院の脳神経内科では多くの高齢パーキンソン病患者に対応する。その取り組みをもとに高齢患者への診断・診療・処方のポイントと支援のあり方について安田雄脳神経内科部長に伺った。

1. 病院の概要 ケアミックス型病院を中心に
多様なサービスを展開

安田 雄 脳神経内科部長

安田 雄 脳神経内科部長

2018年に創立50周年を迎えた倉敷紀念病院は、1968年の開院以来、地域に密着した医療に取り組んできた。救急医療や検診事業に積極的に対応するとともに1973年には社会福祉法人ますみ会を設立し、特別養護老人ホームますみ荘を開設。

現在は、医療法人誠和会として介護老人保健施設、介護付き有料老人ホーム、認知症高齢者グループホームなどの介護施設のほか、通所リハビリ、通所介護(デイサービス)、小規模多機能施設、ショートステイ、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリなど多様な在宅支援サービスも展開している。

そして、病院本体はケアミックス型を採用し、急性期病棟、療養型病棟、回復期リハビリテーション病棟、特殊疾患病棟で構成されている。旗艦となる倉敷紀念病院を中心に、各施設が至近距離に配置され、高齢者の状況に応じて必要なサービスがシームレスに提供できる。

「当院の最大の強みは、医療・介護・福祉をトータルにマネジメントできる診療体制です」と安田雄脳神経内科部長は話す。同病院がある倉敷地区には川崎医科大学附属病院、倉敷中央病院といった高度急性期医療を提供する大病院があるほか、同規模(約200 床)の医療機関も数多くあり、医療密度の高い地域だ。「こうした医療事情の中、当院を選んでいただけるのは患者さんやご家族のニーズに合わせて、いろいろなサービスを提供することができるからです」と安田部長は分析する。

2. 脳神経内科の概要 2人のベテラン医師が
役割分担して診療に従事

一方、脳神経内科では2000年の開設以来、脳卒中と神経変性疾患を中心に頭痛、めまい、運動麻痺、感覚障害など脳神経内科疾患の全般にわたって診療を行ってきた。3年前まで安田部長がすべて一人で対応してきたが、脳卒中を専門とする片岡敏医師の赴任に伴い、役割を分担し、安田部長は自身の専門であるパーキンソン病などの神経変性疾患を主に診療している。

「パーキンソン病は人口10万人対200人近い罹患率で、決して珍しい病気ではありません。60歳を越えて発症する人が全体の9割を占め、高齢化に伴って増加している疾患の一つです」と安田部長は説明する。このような疫学的背景に加え、同病院は前述したように高齢者向けの介護・福祉サービスが充実している強みもあり、パーキンソン病で受診する患者の平均年齢は約75歳と全国平均より10歳ほど高いのが特徴だ。

2020年10月現在の通院患者は約300名、新規患者も週2~3名受診する。倉敷地区をはじめ県南からの受診者が多いが、県北や広島、山口、香川、愛媛、兵庫、大阪など広範囲に及ぶ。「脳神経内科医は地域による偏在がみられるため、一般内科の先生がたにも診療の一部をサポートしていただく必要があります。そこで、以前から私の母校である川崎医科大学の同窓会ネットワークを通じてパーキンソン病の講演会を定期的に行っています。その縁で患者さんを紹介されることも多いのです」と安田部長は語る。

3. 診断ポイントと診療方針 治療や日常生活の課題点を
共有しながら伴走する

パーキンソン病の診断には高性能のCT・MRIによる画像診断をはじめ特殊な検査が必要になるため、大病院でなければ対応できないと考えがちだ。しかし、安田部長は「画像診断などの特殊な検査は他院に依頼すれば問題ないですし、患者さんからしっかり経過を聞き取り、丁寧に診察を行えば、当院のようなケアミックス型の病院でも正しく診断することは可能です」と話す。

正しく診断する上では、パーキンソニズム(パーキンソン症状)を見分けることに特に注意を払っている。高齢者は生活習慣病などの併存疾患を抱えており、常用薬を服用していることが多い。その上、食欲がない、気分が塞ぎ込むといった不調を訴える度に薬剤が処方され、多剤併用になる傾向も強い。

厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアル(薬剤性パーキンソニズム)※ には「一部の胃腸薬や抗精神病薬などの中には、ドーパミンの作用を弱めるものがある。」との記載がある。このようなことから、安田部長は診断の際、"お薬手帳"を重視し、いつ、どのような薬を、どのくらい飲んだのかということを現在だけでなく過去まで遡って確認している。

そして、診断が確定した患者に対して、まず行うのは時間をかけて話し合うことだ。「患者さんとのファースト・エン・カウンター(初対面)がいちばん大事だと考えているので、最低でも30分くらいの時間を費やしています。面談では病態や治療戦略の説明に止まらず、医師と患者はパーキンソン病にともに立ち向かう同志であることを伝えます」。このように最初に心のつながりを作っておくと治療が思い通りにいかないことがあってもドロップアウトする患者は少ないという。

「その上で、日常診療においては、それぞれの視点から治療や生活の課題点を見つけ出し、それを克服するためにお互いが努力できることを確認し合い、患者さんにも頑張っていただく。そして、次の診療では努力した結果(アウトカム)を評価し、問題点を改善しながら次の目標に向かってともに進むということを繰り返しています」と安田部長は診療の基本的な考え方を示す。

※重篤副作用疾患別対応マニュアル(医療関係者向け)
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/adr-info/manuals-for-hc-pro/0001.html

4. 処方ポイント 家族介護が楽になる視点からの
処方も心がける

安田部長の診療のモットーは「穏やかに、信頼して、前向きに」。たとえパーキンソン病が治らなくてもその人らしくポジティブに生きられるよう患者に寄り添うことを大切にしている。

パーキンソン病患者の大半は高齢者で遠方から来る人も少なくないものの、定期受診の頻度は月1回にしている。「新しい薬剤に変更したときは2週間に1回の頻度で受診してもらっています。それはコロナ禍でも変わることはありません」と安田部長。薬剤の調整が必要な場合には、患者が記録してきた症状日誌を参考にしながら慎重に薬剤量を増減する。「例えば80代の患者さんに新しい薬剤を投与するときは、治験で行われた倍の時間をかけてゆっくりとドーズアップしていきます」。

また、処方の際には副作用や飲みやすさにも配慮する。「副作用や効果を考慮しつつ、非ドーパミン系の薬剤を主に使用しています。嚥下機能が低下してきた人には飲む回数を減らせる配合剤を使うことも多いです」。貼付剤については、保険薬局の薬剤師と連携して正しい使い方をこと細かく教えている。「治療のドロップアウトを防ぐためには、最初にしっかり指導することが肝心です」と安田部長は指摘する。認知機能や運動機能が低下し自分で貼れない場合は、家族に指導することも多い。

さらに「パーキンソン病の患者さんを老々介護している家族も増えているため、介護ができるだけ楽になることを考えながら処方しています。例えば、家族が夜中に何度も排泄介助に起こされないように24時間効果が持続する薬剤を選択するといったことです」と安田部長は家族への配慮も処方ポイントの一つに挙げる。

安田部長は処方する際、看護師やリハビリスタッフなどの評価も大事にする。「診察室を出ると別人のように変わる患者さんもいて、私が知っている患者さんの姿がすべてではないと思っています」と安田部長。なかでもリハビリスタッフとは緊密に連携し、患者の運動状態や問題点をフィードバックしてもらい、その情報をもとに処方が変わってくることもよくあるそうだ。

5. チーム医療 リハビリ、日常生活サポート
そして患者に最期まで寄り添う

「パーキンソン病の治療はチーム医療で行うことが患者さんのQOL向上の観点からも重要です。医療スタッフからの情報を集めて患者のマネジメントを行っていくのも薬剤を処方するのと同じくらい大事なことです」と安田部長は示唆する。

同科のパーキンソン病の診療体制で恵まれているのはリハビリテーションが充実していることだ。「200床規模の病院なのにリハビリスタッフが50名ほど在籍し、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士とリハビリにかかわる全職種が揃っています」。

ここでは入院患者を中心に基本的な運動療法に加え、「HAL」と呼ばれる装着型ロボットスーツを活用した訓練も行われている。「立ち座りの動作の際に脳から筋肉に送られる信号を読み取ることで装着者の意思に沿った動作が実現されるため、HALを外した状態でも日常生活の活動度を高めることが期待できます。パーキンソン病の患者さんも10名ほど、この訓練を受けています」と安田部長は説明する。

一方、「看護師には病棟を中心にパーキンソン病の特徴を踏まえた日常生活のサポートをしてもらっていて助かっています」と安田部長は評価する。「当院は2003年に神経難病や意識障害のある患者さんを対象とした特殊疾患病棟(48床)を開設しており、パーキンソン病の患者さんも常時30名ほど入院しています。とても評判がよく常に満床状態です。この病棟では、パーキンソン病を抱えていても患者さんが意欲的に生きられるよう心の支援も行ってくれています」。

さらに医療ソーシャルワーカー(MSW)のサポートも欠かせない。高齢や病状により通院できなくなったり自宅で暮らせなくなったりした患者は、その人の状況に応じて医療法人誠和会の関連施設やサービスの中から適切なものを選んで提供しているからだ。パーキンソン病の患者さんが最期まで安心して暮らせるように寄り添うことをモットーにしています。遠方の患者さんの場合も、MSWがその地域の介護・福祉施設と連携しながら対応してくれています」と安田部長は説明する。

6. 今後の課題 後進の若い医師たちに
使命と役割を伝えていく

パーキンソン病の診療体制がほぼ完成する中、残る課題は後進の育成だ。この点について安田部長は「私が脳神経内科医になった頃、パーキンソン病はほとんど治療法がありませんでした。しかし、近年は次々に新薬が開発され、パーキンソン病の治療は様変わりしています。これからの専門医は、実践を通して新薬の有効な使い方をさらに見つけ、患者さんのQOL向上に貢献していくことが求められます。若い医師たちには、我々臨床医の重要な使命と役割についてもしっかり伝えていきたいと思っています」と最後にこう締め括った。

写真提供:倉敷紀念病院

KKC-2021-00098-1

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