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福井赤十字病院
[パーキンソン病 med.front]

2021年3月10日公開/2021年3月作成

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病院外観
  • ●病院長:髙木 治樹 先生
  • ●開設:1925年
  • ●所在地:福井県福井市月見2-4-1

地域のあらゆる資源を活用し
患者の日常とQOLを支える

福井赤十字病院は、県内有数の基幹病院としての役割を担い、県全域から患者を受け入れている。神経内科では脳卒中や認知症など主要な神経疾患を中心に診療を展開するとともにパーキンソン病にも積極的に取り組み、チーム医療を重視した包括的なサポート体制を構築。また、各病院の医療資源が限られる中、それぞれの得意分野を生かした連携も進んでおり、"オール福井"でパーキンソン病の患者を支える仕組みが出来上
がっている。

1. 病院と神経内科の概要 県内有数の基幹病院として
高度医療を中心に医療を提供

髙野 誠一郎 副院長(脳神経センター長・神経内科代表部長兼務)

髙野 誠一郎
副院長(脳神経センター長・
神経内科代表部長兼務)

今回は福井県の福井赤十字病院の神経内科を取材した。当病院は、1925年に日本赤十字社福井支部病院として開院し、1943年に現在の名称となった。県庁所在地である福井市の南に位置し、県内有数の基幹病院として市外地域からの患者も積極的に受け入れている。

病床数は534床、診療科は24、地域医療支援病院をはじめ、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センターなど多数指定されており、地域のニーズに応じた形で高度医療、地域医療、救急医療、災害救護医療を提供している。

2004年には本館を新築し、創立90 周年を迎えた2015 年には先進中央棟が竣工した。これに伴い、緩和ケア病棟を新設し外来化学療法室も移設拡張。さらに高精度放射線装置「Vero4DRT」および手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入して総合的ながん診療体制を整備した。

近年は、福井県でも進展する超高齢社会に対応するために地域の診療所との連携を強化し、在宅医療の支援に積極的に取り組むなど"病院完結型の医療"からの脱却を図っている。

神経内科は、脳神経センター長、神経内科代表部長を兼務する髙野誠一郎副院長を筆頭に5人の常勤医で構成され、主に脳卒中、認知症、パーキンソン病、てんかん、片頭痛の治療を中心に、さまざまな神経難病にも取り組む。

「脳卒中の治療は超急性期の血栓溶解療法を行い、後遺症を少なくするようSCU(脳卒中集中治療室)を運営しています。認知症では診断、治療のほか、家族への介護指導にも力を入れており、家族を困らせる症状がみられる場合には認知症看護認定看護師が相談に応じます。てんかんは日本てんかん学会専門医が中心となり治療を行っています」と髙野副院長は同科の特徴について説明する。

2. パーキンソン病診療の概要 一般診療の枠で専門的診療を行い
後期高齢者が患者の半数を占める

神経疾患の中でも近年、超高齢社会を背景に患者数が増加しているのがパーキンソン病だ。同科では現在、軽症を含めると150名ほどのパーキンソン病患者の診療を行っている。その半数は後期高齢者となる75歳以上の患者だ。福井市内の患者が多いが、同病院から交通の便の悪い敦賀市、小浜市、若狭町などがある嶺南医療圏を除く県全域から患者が通院してくる。

「常勤医数の確保が十分ではなく、パーキンソン病の専門外来を開設することができないため、一般外来の枠で診ています。再来の患者さんの診療を円滑に進めるため、新患は別の医師が担当しています」と髙野副院長は説明する。こうした事情もあってパーキンソン病の全患者のうち、半数以上にあたる70~80名の診療を髙野副院長が受け持つ。

神経内科医の不足と偏在は全国的な問題となっているが、福井県においても深刻な状況で、県内の神経内科医の大多数は病院に所属しており、福井市内で神経内科を開業するのは2機関のみだ。そのため、初期のパーキンソン病患者を診療するのは一般内科医であることも少なくない。しかし、髙野副院長は症状が安定している初期からできるだけ神経内科医がかかわった方がいいと考える。

「パーキンソン病は、長期間にわたる診療が必要です。そのため受診時より、患者さんと医師との信頼関係を築くことに努めています」(髙野副院長)。

同科では標準治療に従ってパーキンソン病の診療を展開し、内服薬による薬物治療に加え、最先端のレボドパ・カルビドパ配合経腸用液療法(LCIG)などにも積極的に取り組んでいる。ただし、「DBS(脳深部刺激療法)は、施術を担当していた脳神経外科医が他院に異動となり、現在、当科ではすでに埋め込まれている刺激装置のチェックをする対応のみに止まっています。パーキンソン病の治療において、この点が当科の弱点となっています」と髙野副院長は打ち明ける。

3. パーキンソン病のチーム医療 患者のQOL向上を重視し
多職種連携で包括的にサポート

パーキンソン病は、身体的症状の進行に伴いADLが低下するうえに、抑うつや依存症などの精神的症状、自律神経症状、痛みなど種々の症状を併発することがある。そのため、多職種が緊密に連携し包括的にサポートしなければ患者のQOLを維持・向上させることが難しい。そこで、同科ではチーム医療を重視し、多職種連携で診療に臨んでいる。

外来診療から看護師を引き上げる動きが一般的である中、神経内科では、あえてベテラン看護師を外来に配置している。その目的は、診察の待ち時間を利用して患者の生活状況を聞き取り、経済的あるいは社会的な問題など主治医には言えない悩みを拾い上げるためだ。そして、必要に応じて医療ソーシャルワーカーにつなぎ、難病医療費助成制度、介護保険制度、身体障害者福祉法や障害者総合支援法に基づく公的支援を受けられるよう積極的にサポートしている。

また、神経内科病棟には、日本パーキンソン病・運動障害疾患学会(MDSJ)が認定するPDナースを配置し、専門的な知識のもと患者や家族に対応する看護体制を整えている。

さらに体幹や四肢の衰えだけでなく、飲み込みの悪い患者に対しては耳鼻咽喉科医と言語聴覚士に嚥下機能評価を依頼する。「嚥下機能の低下は、誤嚥性肺炎を引き起こす主因となるため看過できません。体重が減ってきた、お茶を飲んでむせた、体の動きが悪くなってきたなど日常での変化を、主治医や看護師が敏感に察知し、専門職と連携することが不可欠です」(髙野副院長)。こうして得た嚥下機能評価に基づき、食物の形態を変えたり処方薬は貼付剤にするなどの適切な対処を行っている。

パーキンソン病の患者が誤嚥性肺炎を起こして入院治療が必要になった場合は、主に神経内科が引き受け、呼吸器内科とともに治療にあたる。「急性期を脱した後がむしろ勝負で、嚥下機能の回復を含め、廃用症候群のリハビリにしっかり取り組み、元に近い状態に戻すことが目標です。患者さんも医療者もここで踏ん張らないと、そのまま寝たきりになってしまいますから」と髙野副院長は指摘する。

嚥下障害が出現した患者には、本人・家族と「人生会議(ACP)」を繰り返し、水分・栄養についての長期的な方針を考えている。

「当科は急性期医療の役割を担うため、また往診も出来ないため、寝たきりとなった患者さんの最期まで対応することはかないませんが、初期の頃から5年、10年と長期にわたってサポートしてきたからこそ、患者さんとはよく話し合い、納得のいく意思決定を支援したいと考えています」。髙野副院長は、よりよいACPを行うために日本臨床倫理学会が育成する臨床倫理認定士の資格を取得している。

4. パーキンソン病における地域連携 それぞれの病院の得意分野で連携し
"オール福井"で患者を支える

「福井県で活動する神経内科医には所属する病院の枠を超えて、地域全体でパーキンソン病の患者を支えようとする共通の目的と認識があります」と髙野副院長は説明する。例えば、県内でLCIG療法が実施できるのは福井赤十字病院に限定されるため、他院から治療を依頼されることがよくあるという。

「パーキンソン病に対するリハビリは福井総合病院が力を入れて取り組んでおり、当科からリハビリをお願いすることもしばしばあります。どの神経内科医も各病院の特徴や診療状況をよく知っていて、自分が診ている患者の病状や状態に合わせて適切な医療機関を紹介することができるのです」(髙野副院長)。

髙野副院長によると、こうした神経内科医のネットワークが構築されたのは福井大学医学部第二内科の第二代教授だった故・栗山勝教授の計らいによるものだという。「栗山先生は、出身大学にかかわらず、すべての若手医師を自分の弟子たちと同じように大事にしてくださったので、学閥を超えて協働し福井のために働こうという気持ちになりました」と髙野副院長は振り返る。

このネットワークでは勉強会も合同で開催し、地域におけるパーキンソン病診療の質を高めていこうとする意欲もある。「診療ガイドラインだけでは判断できないケースもあるので、機会を捉えてパーキンソン病の専門家を招聘し、県内の神経内科医たちとともに熱い議論を交わしています。これも他県にはみられない特徴の一つです」(髙野副院長)。

一方、髙野副院長は地域の精神科との連携も開始している。全体数としては少ないものの、心の問題を抱える患者が一定数みられるからだ。ときに身体的症状より重く、家族も振り回されて大変になることがあるため放置できない。院内にストレス心療科が開設されているが、外来患者には対応していないので地域の精神科にできるだけ早く紹介している。

さらに今後は在宅医との連携も強化していきたい考えだ。「神経難病を対象とした緩和ケア研修会に参加した際、受講者の3分の2は在宅医や訪問看護師だったことを知り、とても心強く感じました。パーキンソン病の高齢患者はますます増えてくるので、より一層、在宅医との協働が重要になってくると思います」と髙野副院長は将来を見据える。

また、保険薬局に対する働きかけも重視しており、地域薬剤師会が主催する講演会でパーキンソン病の薬物療法の解説を行う際には、処方意図にも言及する。「例えば、内服薬と貼付剤を組み合わせて夜間に貼付剤を使うのは、朝起きたときの動き出しをよくするためです。薬剤師にもQOL向上の観点から患者をサポートしてくれることを期待しています」(髙野副院長)。

5. 展望と課題 後進の育成に力を入れるとともに
地域の診療体制を十分に確保する

最も重要な課題の一つは後進の育成だ。若手の医師は短期間で異動していくため、経過の長いパーキンソン病の患者を外来診療で担当させられないジレンマがある。ただ、若手の医師は担当業務が少ないので自由に使える時間を比較的確保しやすい。そこで、髙野副院長は若手の医師がベッドサイドに出向いて入院患者と話し込めるように仕向ける。

「彼らは本当によく聞いてくれます。私たちベテラン医師の様に患者さんの話をさえぎったりしません。そこから学べることはたくさんあるし、私も知らなかった患者さんの生活背景を教えてくれることもあります」と髙野副院長はこの取り組みの教育効果について語る。

また、髙野副院長は研修医との雑談の中で、折に触れて自分の臨床経験や教育講演で得た知識を語って聞かせることも大事にしている。「先輩医師のさまざまな臨床経験は、他院の若い医師にも伝えたいことで、ゆくゆくは場を設け、福井全体で取り組んでいきたいと考えています」と髙野副院長は未来を描く。

そして、患者に対しては他県に出向かずともパーキンソン病の治療が受けられるように、地域の診療体制を十分に確保することが目標だ。「当院では以前のようにDBS治療を導入から行えるようにしたいですし、リハビリを行える病院も福井市内に1カ所なので増やす必要があります。また、嶺南地方からの交通の便が悪く、福井市に通院できない嶺南医療圏の患者さんたちへの対応は喫緊の課題です」と髙野副院長は口元を引き締める。

難問が山積しているが、悲観はしていない。「病院の枠を超えて福井のために働こうとする信頼できる仲間がいますから。これからも多職種が連携して"オール福井"でパーキンソン病の患者さんたちを支えていきます」(髙野副院長)。

KKC-2021-00096-2

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