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麻生 一郎 先生、根岸 美由紀 先生 (深谷赤十字病院)
[薬剤師紹介Smile & Voice ]

2017年02月13日登載/2017年02月作成

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麻生 一郎 先生

深谷赤十字病院
薬剤部部長

麻生 一郎 先生

根岸 美由紀 先生

深谷赤十字病院
病棟業務課長・緩和薬物療法認定薬剤師

根岸 美由紀 先生

院内の「多職種病棟連携会議」、
埼玉県北部の薬薬連携など内外で連携体制構築を推進

深谷赤十字病院

Interview

【病棟では「適正処方」につながる薬剤総合評価調整加算の業務に重点を置く】

麻生 一郎 先生

麻生 一郎 先生

「高齢社会の影響を受け、ほとんどの患者さんは複数の疾患を抱えている。これからの病院薬剤師は少なくとも2領域の専門性を身につける必要があると感じています」と薬剤部長の麻生一郎先生は示唆する。

根岸 美由紀 先生

根岸 美由紀 先生

根岸美由紀先生は緩和薬物療法認定薬剤師として専門性の高い業務に従事する一方、病棟薬剤師を束ねる役目も担う。「ほとんどの病棟にがん患者さんが入院しているため、抗がん剤治療の説明フォーマットを用意し、だれが担当しても一定レベルの説明ができるように対応策を行っています」

 深谷赤十字病院(伊藤博院長・506床)は1950年の開院以来、「人道・博愛」の赤十字精神を掲げ、埼玉県北部地域の中核病院として発展してきた。その医療圏は深谷市にとどまらず、本庄市、熊谷市、行田市、秩父市および周辺の町村まで広域にわたり、県内の3分の1の地域をカバーする。同院は救命救急センターをはじめ、地域災害医療センター、地域周産期母子医療センター、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院など、さまざまな医療指定を受けており、急性期を中心に高度医療を提供している。

 こうした背景の中、薬剤部では近年、病棟業務の充実に力を注ぎ、各病棟に薬剤師を常駐させることに取り組んできた。2011年頃から薬剤師を増員するとともにピッキングマシーンなどを導入して中央業務の効率化を図り、14年には全12病棟すべてに薬剤師を常駐させ、病棟薬剤業務実施加算も取得した(写真1)。「薬剤部のスタッフ数は26名(16年6月現在)と人員的には厳しい状況が続いているため、2年目の薬剤師から病棟業務を担当させています。しかし、1年間は各病棟をローテーションして適性などを判断し、3年目から病棟に配置しています」と薬剤部長の麻生一郎先生は少ない人数で最大の能力を発揮するために"適所適材"のマネジメントを重視する。

 また、病棟業務では「適正処方」につながる業務に重点を置き、たとえば患者が入院した時点で持参薬をすべてチェックし、薬剤ごとに継続してもよいかどうかを評価するのはもちろんのこと、必要のない薬剤を洗い出す業務も病棟薬剤師が担っている。この業務に取り組んだきっかけは、16年4月の診療報酬改定で内服薬を2種類以上減薬した場合、薬剤総合評価調整加算が算定できるようになったからだ。薬剤部では病棟業務を統括する病棟業務課長の根岸美由紀先生を中心に16年1月から各病棟で対象となる患者がどのくらい存在するのか調査を実施し準備を進めてきた。その結果、4月からすべての病棟でこの業務を開始することができたそうだ。「なかでも外科病棟では薬剤総合評価調整加算の対象となる患者さんが多く、医師からも頼りにされています」と根岸先生は話す。

 これに伴い、ICUに配置されている病棟薬剤師の活動にも変化が現れている。「必要最小限の薬剤で済むよう医師に積極的に処方提案を行い、病棟につなげようとする動きが出てきました。適正処方を実現させるのは自分たちの仕事だと薬剤部全体で捉えられるようになった証です」と麻生先生は強い手応えを感じている。

写真1

写真1

薬剤師が処方せんを確認しながら患者ごとに一つずつ取り揃えていた注射薬の調剤にピッキングマシーンを導入し業務の効率化を図る。これにより安全性も高まった。

【服薬管理に関するカンファレンスを開催し、病棟薬剤師のレベルアップを図る】

 病棟薬剤師の適正処方に対する積極的なかかわりは、入院時だけでなく退院時指導でも行われている。退院時指導を受ける患者の9割以上に薬剤師が介入。「主治医とは退院後に継続する薬剤について相談しますが、腎機能や肝機能が低下している場合は減量しなければならない薬剤もあるため、検査値を必ず確認したうえで減量の必要があるときは処方提案をしています」と根岸先生は説明する。

 入院中に使用する薬剤について病棟薬剤師は患者や家族にその薬剤の用法・用量を説明し、必要に応じて一包化し直すこともある。「一包化や剤形の変更については あらかじめ全診療科の医師との間で取り決めたプロトコールに基づき対応しています」(根岸先生)。

 さらに、病棟薬剤師が退院を見据えて心がけているのが薬剤の自己管理トレーニングだ。同病院では、高齢者をはじめ入院時に薬の自己管理が難しいと判断された患者は、退院まで看護師が服薬の管理を行うことになっている。しかし、独居や老々介護など退院後に服薬管理を行ってくれる人がいない場合は、早い段階で看護師管理から自己管理に切り替え、自分できちんと服薬管理して薬が飲めるようにするための自己管理トレーニングを始めるように主治医や看護師に提案している。

 このように病棟では年々、薬剤師が自分で判断すること、そして医師や看護師から相談されることも増えてきたので、だれが担当しても同じ質の対応ができるよう一人ひとりの薬剤師のレベルアップを図ることが緊喫の課題となってきた。そこで、薬剤部では病棟、中央業務、DI室に配置される薬剤師が月1回集まり、患者情報や医薬品情報に関するカンファレンスを開催するようになった。「診療科ごとに薬物治療におけるトピックを中心にミニレクチャーを行い、DI担当者も最新情報を提供し、全員で知識を共有します。また、それぞれが困った症例を出し合い、解決策について話し合うことも行っています」と根岸先生はカンファレンスの内容について説明する。

【看護部とともに多職種病棟連携会議を立ち上げ、病棟業務の統一化に乗り出す】

 このカンファレンスをはじめ、病棟薬剤師が活発に情報交換するようになって見えてきたのが、病棟における業務手順のバラツキだ。「病棟ごとにやり方が違うと、異動してきたばかりの看護師や他病棟から応援に出向いた薬剤師が間違える可能性がとても高くなります。薬が関係するインシデントが全体の50%以上を占める現状の中、これは看過できない問題だと思いました」と麻生先生は指摘する。そこで、根岸先生を中心に薬剤にかかわる病棟業務の統一に乗り出した。たとえば、看護師管理の食後に服用する薬は、どの病棟も配薬トレー車に保管することになっていたが、食前に服用する薬に関しては決まりがなかったので、病棟によって保管場所が異なり、配薬ミスなどのトラブルがしばしば起こった。薬剤部では、配薬トレー車に吊り下げることのできるポケットカレンダーに食前に服用する薬を保管することを提案し、全病棟で統一した結果、配薬ミスなどのトラブルはほとんど発生しなくなった(写真2)。

 この取り組みを含め、いくつかの成果が出てきたことから、薬剤部では看護部に働きかけ16年4月に「多職種病棟連携会議」を立ち上げた。「この会議では、病棟ごとに業務手順が異なることによって起こる問題を拾い出し、その改善を図るとともに、改善した方法を全病棟で統一化することを目的としています」と根岸先生は説明する。7月以降は、リハビリテーション技術課、栄養課、事務部のスタッフも加わり、この会議は名実ともに多職種連携の場となってきた(写真3)。こうした展開を受け、麻生先生も「どの病棟にも配置されていて、なおかつ横断的にも動ける強みを生かし、薬剤師が中心となって医療安全の観点から質の向上にも積極的にかかわっていきたい」と一層の意欲を見せる。

写真2

写真2-1
写真2-2

各病棟で保管ルールがバラバラだった食前服用薬をポケットカレンダーに保管することを提案し全病棟で統一。これにより配薬ミスなどのトラブルはほとんど発生しなくなった。

写真3

写真3

病棟ごとに業務手順が異なることが原因で起こる問題を拾い出し、
改善策を全病棟で統一することを目的に薬剤部と看護部で立ち上げた「多職種病棟連携会議」。
リハビリ、栄養、事務のスタッフも加わり、名実ともに多職種連携の場となっている。

【地域の中核病院と薬剤師会に呼びかけ、埼玉県北部地域全体で薬薬連携体制を構築】

 薬剤部の連携に関する活動は院外でも行われており、11年から力を入れて取り組んできたのが地域の保険薬局との「薬薬連携」だ。この薬薬連携の最大の特徴は広域で行われていることで、その主体は深谷、行田、熊谷、本庄児玉、寄居、秩父の各地区薬剤師会と、それらの地域の中核5病院(深谷赤十字病院、行田総合病院、熊谷総合病院、本庄総合病院、秩父市立病院)の薬剤部で組織された「埼玉県北部薬薬連携協議会」である。

 麻生先生によると、この活動の始まりは「お薬手帳の記載が不十分で入院治療に生かせない」という病棟薬剤師からの指摘だったという。「保険薬局薬剤師との連携のあり方を検討する中、当院の処方せんは深谷市以外にも広域で応需されていることに気づきました。社会から地域完結型医療が強く求められるようになってきたこともあり、近隣の中核病院の薬剤部長とも相談した結果、埼玉県北部地域全体で薬薬連携体制を構築しようということになりました」と麻生先生は経緯を振り返る。

 同協議会では、年2回のシンポジウム形式の研修会のほか、年6回の講演会を通し、地域の病院薬剤師と保険薬局薬剤師の交流を深めてきた(写真4)。そして、この交流をベースに臨床の場でも、お薬手帳記載内容の統一をはじめ、残薬調整に関する処方せんの変更、ジェネリック医薬品選択基準の共有化、調剤過誤対策のアイデア・対策の共有化、大腸がん・胃がんのレジメンおよび服薬指導の共通認識化など、さまざまな成果を生み出している。どの疾患においても入院治療から外来治療への流れが加速する中、薬薬連携なしには質の高い薬物治療が提供できない時代がまもなくやってくる。そのときに備え、しっかりとした薬薬連携体制を構築すべく、薬剤部では同協議会の活動を通し、地域の保険薬局と緊密な交流を重ねている。

写真4

写真4

研修会や講演会を開催すると毎回100名以上の薬局薬剤師や病院薬剤師が参加する。
近い将来、処方せんに検査値が表示されることを想定し、最近は薬局薬剤師向けに
「検査値の読み方」など基本的なことをテーマに取り上げている。

【緩和薬物療法認定薬剤師の取得を契機に、緩和ケア外来で医師との共同診療を開始】

 一方、薬剤部では10年ほど前からさまざまな分野において薬剤師の専門性を高めることも重視してきた。「興味のある分野で自分の専門性を磨いていくことが大事だ」という麻生先生の方針のもと、抗がん剤、緩和ケア、感染制御、栄養サポート、褥瘡、糖尿病、精神科、小児・妊婦授乳婦、救急、治験といった専門別に10チームを結成し、専門資格を取得した薬剤師がチームリーダーとなってそれぞれ月1回のペースで勉強会を開催している(写真5)。この活動は全員参加することが義務づけられており、薬剤師はいずれかのチームに所属する。「卒後まもない薬剤師は2~3チームに所属し勉強を重ねる中で、興味のある分野をだんだん絞り込んでくるパターンが多いので、1年ごとに所属チームを変更できる仕組みにしていますが、入職して5年経ったときには何らかの専門資格を1つ取得しているのが目標です」と麻生先生は説明する。

 病院も薬剤師が専門資格を取得することを積極的に応援しており、取得にかかる費用の一部を負担する。「物質的な支援があると薬剤師の資格取得に対するモチベーションはさらに高まると思います。薬剤部でも資格を更新するための講習会には優先的に行かせるなどできるかぎりのサポートを行っています」と麻生先生は語る。そして、資格取得を通して薬剤師が身につけた専門知識は、期待どおりさまざまな臨床の場で生かされている。その代表的な領域が「緩和ケア」である。

 緩和ケアの現場では、12年に根岸先生が緩和薬物療法認定薬剤師を取得したことを契機に緩和ケア外来での医師、看護師、薬剤師による共同診療を開始した(写真6)。薬剤師が同席することによって、その場で医師と相談しながら医療用麻薬の種類や投与量を決めることなどが可能となり、診療のスピード感が増したという。また、「医師の治療方針を直接確認していますので、医療用麻薬を処方した患者さんが帰宅した後のサポートもより適切に行えるようになりました」と根岸先生は話す。患者や家族にも「医師とともに薬剤師に見守ってもらえるのは安心」と好評だ。ちなみに患者からのオンコールは薬剤師が対応している。

 さらに在宅緩和ケアにも乗り出し、患者の症状や状態が悪化して外来を受診できないときは、医師の指示のもと、看護師とともに自宅に出向き、医療用麻薬をはじめ薬剤の調整などを行っている。「専門性の高い認定薬剤師だからこそ安心してまかせてもらっていますし、医師の業務負担の軽減にも確実に貢献していると思います」と麻生先生は認定薬剤師の活躍ぶりを評価する。

写真5

写真5

専門別に10の勉強会チームを結成し、月1回のペースで勉強会を開催。卒後まもない若手薬剤師は2~3チームに所属し、数年かけて自分が興味を持てる分野を絞り込んでいく。

写真6

写真6

外来患者を対象とした緩和ケア外来の診療は週1回行われており、1人30分枠で最大4人の患者に緩和ケアの研修を受けた医師、緩和ケア認定看護師、緩和薬物療法認定薬剤師の3者で対応する。セカンドオピニオンで利用する患者家族も多いそうだ。

【ゼネラリストとスペシャリストのバランスを取ることが薬剤師業務のカギを握る】

 「病棟に最初に配置した頃は"何をすればいいのですか"と戸惑う薬剤師も多く、"相手から求められることは何でもやりなさい"と励まして送り出していたことが嘘のようです」と麻生先生は振り返り、今や「薬剤師がいないと病棟の薬物治療が回らない」と他職種から高評価されるまでに成長したことを喜ぶ。半面、薬に関することは何でも薬剤師にまかされるようになり、業務量が膨れ上がっていることにも頭を悩ます。とくに看護師とのすみ分けが大きな課題になりつつある。「薬剤師本来の業務に集中するためには、職種間でお互いのやるべきことについて十二分に話し合うことが大切です」と麻生先生。この話し合いについては多職種病棟連携会議の場も活用しながら進めていきたい考えだ。

 また、「高い専門性が求められているとはいえ中央業務をおろそかにすることはできませんし、すべての薬剤を一通り理解していなければ当直業務を行えないため、ゼネラリストとしての知識を磨いていくことも欠かせません」と麻生先生は指摘する。ゼネラリストとスペシャリストのバランスをいかにうまく取っていくのか、薬剤部長として難しい舵取りをまかされている。「いずれの道に進むにせよ、これからの薬剤師は薬物治療においては医師同様に責任が取れる仕事をしていかなければならないので、一人ひとりの薬剤師がレベルアップしていくことが最も大切です」と麻生先生は示唆する。埼玉県の3分の1という広域医療圏を支える深谷赤十字病院。その中核病院の薬物治療の一翼を担っているという自負のもと、薬剤部のスタッフは一丸となって高みを目指す――。

KK-17-01-17154

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