KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

厚田 幸一郎 先生 (北里大学病院)
[薬剤師紹介Smile & Voice ]

2017年02月27日登載/2017年02月作成

印刷用PDF

厚田 幸一郎 先生

北里大学病院薬剤部 薬剤部長

厚田 幸一郎 先生

病棟では医師とのPBPMを積極的に推進
目標は、薬剤師のキャリア構築を支援する卒後教育システム作り

Interview

【診療支援の期待に応えるため、中央業務の大幅な見直しを図り病棟に薬剤師を配置】

 北里大学病院(海野信也病院長:1,033床)は、母体となる北里大学に医学部が設置されたのに伴い、1971年に新しく開設された医療機関である。以来、学祖・北里柴三郎博士が生涯をかけて示し続けた「開拓・報恩・叡智と実践・不撓不屈」の精神のもと、患者中心の医療を掲げ、神奈川県北部の基幹病院としての役割を果たしてきた。

 同大学病院では2005年より北里研究所創立100周年・北里大学創立50周年記念事業の一環として「新病院プロジェクト」を開始。老朽化した建物の新築移転と北里大学東病院の全面改修、さらには両病院の機能分担に取り組んできた。そして、2013年12月に地下1階、地上14階、屋上にヘリポートを有する新病院を完成させ、同時に同大学病院に急性期機能を集め、東病院は精神疾患治療センターと亜急性期医療に特化させることを図った。

 こうした変化とともに、薬剤部に強く求められてきたのは病棟を中心とした「診療支援業務」である。まず30ある病棟すべてに薬剤師を配置するため、この4年間で28名の増員を行い、薬剤部は総勢89名(パート3名を含む)の薬剤師を抱える大所帯となった。しかし、薬剤師の診療支援業務は拡大しており、増員計画はさらに進行中だ。「将来的には薬剤師100名体制をめざしたい」と薬剤部長の厚田幸一郎先生は目標数を語る。

 一方、中央業務体制も見直した。1年目の薬剤師を中心に配置し、その数も必要最小限に止め、忙しいときは病棟から薬剤師が応援に来るスタイルに改めた。「各病棟のスケジュールに合わせて中央業務をサポートする担当者を決めました。このような工夫をしなければ病棟のスタッフが足りないという事情もありますが、調剤をはじめ中央業務を一通りわかっていないとよりよい病棟業務は行えないため、病棟の薬剤師にも日常的に調剤させることを重視しています」と厚田先生。こうした取り組みが実り、同大学病院は2015年2月に病棟薬剤業務実施加算を取得することができた。

【病棟を中心に医師との共同薬物治療管理業務を推進するべくより一層の力を注ぐ】

 薬剤師の仕事が調剤業務から診療支援業務に大きくシフトする中、薬剤部が推進しているのが「プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM:Protocol Based Pharmacotherapy Management)」だ。病棟ではさまざまな取り組みが始まっており、たとえば循環器病棟ではワーファリンに対するPBPMが実施され、着実に成果を出している(写真1)。

 「泌尿器科病棟でも抗がん剤の支持療法に薬剤師が関与するようになり、医師と相談して事前に投与する支持療法薬のプロトコールを作成しました。薬剤師が積極的に処方提案することによって患者さんのQOLを向上させるだけでなく医師の負担軽減にもつながっています」と厚田先生は評価する。

 がん診療のサポートに対する薬剤師へのニーズは年々高まっており、2014年から医師の要望を受け、入院患者に対するがん化学療法の事前指導にも取り組んでいる(写真2)。「乳腺外科、泌尿器科など4診療科の病棟で実施しています。がん治療における薬物療法の比重が大きくなる中、薬剤師に対応してほしいという要請はさらに増えてくるでしょう」と厚田先生は予測する。

 また、手術を受けることが決まった患者がアスピリンやワーファリンなどの抗血栓薬を服用している場合は、入院前にこれらの薬剤の確認と調整、事前指導を行っている。「この業務は外来で行うことになるため、トータルサポートセンター(総合相談窓口)の一角に薬剤師専用のブースを設置してもらい、そこで実施しています」と厚田先生は説明する(写真3)。

 さらに、これから薬剤師の活躍が期待されているのがポリファーマシー対策の分野だ。すでに各病棟では入院患者を対象に持参薬の管理を行っているが、厚田先生はこの業務を通してポリファーマシー対策にも力を入れていきたいと考えている。「検査結果と照らし合わせながら、それぞれの薬剤が適正に使用されているかどうかを確認し、必要に応じて処方提案も行うなど、一歩踏み込んだ取り組みを展開していきたい」と意欲を見せる(写真4)。

写真1

写真1

薬剤師の診療支援業務に対するニーズと期待が高まる中、
薬剤部においてもプロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)の推進に力を入れている。

写真2

写真2-1
写真2-2

医師からの要望を受け、抗がん剤の副作用対策を中心としたがん化学療法に関する事前指導にも取り組んでいる(左写真)。右写真は通院治療室における服薬指導の様子

写真3

写真3

入院前に薬剤師による面談を行い、術前中止薬の服薬状況やアレルギーの
有無などの情報を聴取し、安全に手術が実施できるようサポートする。

写真4

写真4-1
写真4-2

病棟では持参薬の仮入力・確認などを行い、医薬品の適正使用にかかわっている。今後はこの業務を通してポリファーマシー対策に貢献することも期待されている。

【キャリア構築の道筋が見えるような卒後教育システムを作り上げることを目標に】

 これらの診療支援を滞りなく行うためには、薬剤師数がまだまだ足りないと厚田先生は強く感じている。「とくに病棟業務は1病棟1人体制では対応しきれない状況になっており、2病棟3人体制を実現するために努力を重ねているところです」(厚田先生)。

 また、薬剤師の診療支援業務を拡大していくうえで他職種の理解も欠かせない。なかでも病棟看護師に薬剤師の活動内容を知らせることが重要なポイントになってくると厚田先生は示唆する。薬剤部が病棟における抗がん剤の事前指導に関するアンケート調査を行ったところ、医師の評価は高かったが、その一方、看護師の評価はそれほどでもなかったという。

 「じつは、看護師は薬剤師の病棟における業務内容をよく知らなかったので、評価をする術がなかったのではと思われます。以来、病棟の薬剤師には電子カルテなども有効活用しながら自分たちの診療支援行為の見える化を図り、看護師とも情報を共有するように指導しています」と厚田先生は打ち明ける(写真5)。

厚田 幸一郎 先生

厚田 幸一郎 先生

北里大学東病院との機能分担でさらなる高度医療の提供をめざす診療部門を支えるため、薬剤部長の厚田幸一郎先生の奮闘は続く。「女性薬剤師が多数を占める中、ライフプランとキャリア構築のバランスをうまく図ることが重要な課題となっている」と話す。

 さらに厚田先生がこれから力を入れていかなければならないと考えているのが薬剤師の教育体制を系統的に整備することだ。まず新人教育を見直し、複雑化する業務に対応できるよう入職後すぐに各部署に配置して研修していた方法をあらため、半年間は中央業務を中心にDI室や病棟をローテーションさせながら研修を行い、適性を見極めてから各部署に配置する方法に変更した。

 「この次の段階として卒後教育システムをしっかり作り上げ、若手薬剤師が自分のキャリア構築の道筋がはっきり見えるような環境を作っていきたいと思っています」と厚田先生は目標を語る。このシステムの中には、レジデント制度も組み込んでいく方針だ。これまで若手薬剤師は常勤志向が強く、身分が不安定なレジデントを希望する者は少なかったが、どの医療機関も常勤数が充足してきたこともあり、レジデント制度が本格的に動き出そうとしている。こうした動きも抑えつつ、臨床薬学のパイオニアとしての強みを生かしたレジデント制度にすることを厚田先生は検討している。

 そして、その先に見据えているのが専門薬剤師の育成制度だ。「薬学も専門領域が細分化されてきたので、それに応じて専門薬剤師を育成する体制を整えていく必要があると感じています。薬剤師が専門性を高めることはチーム医療を推進していくうえでも大切です」と厚田氏は示唆する(写真6)。

写真5

写真5

診療支援業務を行っていくうえで、看護師の理解と協力は欠かせない。薬剤師の診療支援行為の見える化を図り、看護師との積極的な情報共有に努める。

写真6

写真6

「薬物療法に貢献できる薬剤師をめざす」ことは薬剤部の理念にも掲げられている。

【薬物療法に貢献できる薬剤師を育成するために、専門薬剤師の制度づくりにも尽力】

 一方、厚田先生は院外でも専門薬剤師の育成に尽力しており、自身が理事長を務める「日本くすりと糖尿病学会」で糖尿病薬物療法認定薬剤師制度をスタートさせた。この制度は認定薬剤師と准認定薬剤師の2階建て構造になっており、准認定薬剤師として2年以上の実績を積むと認定薬剤師の受験資格を得られる。2016年4月1日に第1回糖尿病薬物療法准認定薬剤師が認定されたばかりで、上級資格となる糖尿病薬物療法認定薬剤師が誕生するのは3年後の2019年の予定だ。

 厚田先生はこの制度の背景と目的について次のように説明する。「糖尿病の新薬が次々と登場し薬物療法が複雑化する中、患者さんの安全性を確保したうえでアドヒアランスを向上させることがより一層求められています。そのため、糖尿病の薬物療法に特化した知識と技能を修得した薬剤師を育成し、医師、看護師をはじめとする医療スタッフとともに糖尿病診療に貢献したいと考えました」。

 さらに、この制度は保険薬局薬剤師にも門戸が開かれていることが大きな特徴だ。「糖尿病薬に対する院外処方せんの発行枚数の多さを考えると、一人でも多くの保険薬局薬剤師に資格を取得してもらい、糖尿病患者さんの日常的なサポートに取り組んでほしいと思います」と厚田先生は期待する。

 さまざまな場面で薬物療法に貢献できる薬剤師を育成するために、院内外のあらゆる環境を整備することも厚田先生に与えられた新たな使命となっている――。

KK-17-02-17506

薬剤師紹介Smile & Voice

年末年始休業のお知らせ

下記の期間は年末年始休業とさせていただきます。
2019年12月28日(土)~ 2020年1月5日(日)
期間中はご不便をおかけいたしますが、ご容赦くださいますよう何卒お願い申し上げます。

おすすめ情報

  • おすすめ情報は、協和キリンのウェブサイトにおける個人情報の取扱い方針に基づき、お客様が閲覧したページのアクセス情報を取得し、一定の条件に基づき自動的に表示しています。
    そのため、現在ご覧いただいているページの情報との関連性を示唆するものではございません。

くすり相談窓口

弊社は、日本製薬工業協会が提唱するくすり相談窓口の役割・使命に則り、くすりの適正使用情報をご提供しています。
弊社医薬品に関するお問い合わせは、下記の電話窓口で承っております。

フリーコール

0120-850-150

受付時間 9:00~17:30
(土・日・祝日および弊社休日
を除く)

※お電話の内容を正確に承るため、また、対応品質の維持・向上等のため通話を録音させていただいております。あらかじめご了承ください。

お問い合わせ