KYOWA KIRIN

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終章獲得しよう!患者さんの支持、医師の信頼

 いかがでしたか?「添付文書の読み方 10の鉄則」をお読みになったあなたはきっと、"もっと患者さんとお話ししよう"と思っていらっしゃることでしょう。そして、"処方医には、こう伝えれば納得してもらえたんだなぁ"とも感じていただけたのではないでしょうか。
 ですから、これからあなたに必要な基本は、"論理的に考えること"と"いっぱい失敗すること"、そして"その失敗を次の機会に生かすこと"です。

 昨日のことです。初めて薬局にいらした患者さんに、きれいにカラーで印刷された医薬品情報を示し、
 「このくすりは"ベニジピン塩酸塩錠"といって、血管を拡張して血圧を下げるくすりです。このくすりは、"プラバスタチンナトリウム錠"といって、コレステロールを下げるくすりで......」と言いながら一生懸命説明していたのですが、患者さんは、全然聞いているふうがありません。
 「ところで、工藤さん、これ見えますか?」と聞いてみたら、患者さんは、
 「私は、もう字はおろか、小さいものは全然見えません」と。
 "薬剤情報を渡さなければ!"という観念が先行していて、白い杖をもってサングラスをかけた患者さんを見ても、「紙に書かれたくすりの写真が見えますか?」と、最初にたずねなければならないことに気づかなかった私の、失敗例のひとつです。

 「どうしたのですか?血圧を下げるくすりが、今日はちょっと強いくすりに変わっていますね」
 「え? これは強いのですか? 先生は"同じくらい"と言っていましたけど」と、患者さんは言います。降圧剤が、イミダプリル塩酸塩錠からロサルタンカリウム錠に変わっていたのでした。
 「あれ? そうですか? でも......どうしたのですか?」と、私はしどろもどろになりました。
 「前のくすりで咳が出てきて、今日"くすりを変えてみましょう"と、言われたのです」
 「そうですか!咳のせいだったのですね」と、言いながら、私は"早とちり"を反省していました。私の頭の中では"ロサルタンカリウム錠は、イミダプリル塩酸塩錠より強い"という観念ができあがっていたのです。ましてや、"変更の理由が副作用"だなんて思ってもみませんでした。たまりかねたベテラン薬剤師、小川さんのヘルプがありました。
 「はい! 効き目は同じくらいなのですよ。でも、このくすりに身体が慣れるまでは、少し血圧が上がるかもしれませんが、心配しないでくださいね。すぐに効いてきますから」と。
 私の思い込みでうっかり使った言葉が、患者さんを動揺させてしまいました。

 上田さんは息子さんと一緒に暮らすために、つい最近引っ越してこられた患者さんです。院外処方は初めてということなので早速インタビューです。
 「上田さん。この2種類の目薬をつけるときに、少し時間をおいてつけていただいていましたか?」
 「いや、すぐにつけていた。すぐにつけてはいけないのか?」
 「目薬は、目には1滴しか入らないのです。ですから、2つ目の目薬をすぐにつけると、前につけたくすりが流されて効かなくなるのですよ」とお話しすると、患者さんは怒りはじめました。
 「どうして、そんな大事なことを"いま"言うのだ。私はもう10年以上も、この目薬をつけている。それなのに、そんなことを一度も言われたことがない。いったい今までの10年間をどうしてくれるのだ!」と。
 「いやー。すみません」とあやまりながら、心の中では"ほんとうに私たちは今まで何をしてきたのだろう"と、思っていたのでした。
 私たち薬局薬剤師の多くが、服薬指導や薬剤情報提供をはじめたのはつい数年前です。私たちは患者さんのために、と情報提供や服薬指導をしていますが、その実"10年間を無駄にしてしまった"という患者さんの"くやしさ"を、まったく理解していないのではないでしょうか。患者さんに「あなたたちは今までずっと何をしてきたのだ」と言われても仕方ありません。これからは"もっと患者さんの役に立つ薬剤師になりたい"と思いました。

 "失敗"をあげれば、きりがありません。でも、そのひとつひとつの失敗に意味があって、私を少しずつ進歩させてくれているのです。失敗を恐れず、どんどん患者さんとお話しましょう。そして、患者さんの疑問や訴えを"気のせい"にしないで真摯(しんし)に向き合いましょう。それが、自分を成長させ、これから出会う患者さんと、"同じ高さの目線でお話しできる"ようになる唯一の方法です。

 "論理的に考えること"、これはとても大事なことです。「本に、あるいは文献にこう書いてあったから」と答えることが、くすりについて聞かれたときの私たち薬剤師の回答の根拠でした。しかし「書かれてあることが、ほんとうに正しいのか?」という疑問に、常にぶつかります。なぜなら、調べれば調べるほど相反する答えが出てくる場合もあるからです。
 そして、聞かれることは"書かれていないこと"の方が多いのです。そこで、一定の理論に基づいた推論が必要になります。本書では、その例をいくつか示しました。そして、その例は大きな力を発揮しました。それはそうですね。成功例ばかりをお話ししているのですから。
 でも、いま一番必要としているのは"未知のできごとに遭遇したときにどうするのか?"ということだと思います。お医者さんも、看護師さんも常に"未知との遭遇"の連続なのです。薬剤師だけが"既存の情報"を探して「情報がありませんでした」と、のん気にDIをやっていられるときではないのです。論理的に、そして感覚的に自分の答えを探しましょう。

 さて、今回は添付文書情報を基準にしてお話ししてきました。なぜなら、添付文書はどこにでもあるし、誰でも入手できるからです。そしてさらに若干、情報を補充できる資料があります。それを最後に記しておきましょう。
 必ず用意しておきたい資料は、まず第1に「インタビューフォーム」、そして第2に「使用上の注意の解説」です。「最新の添付文書」とあわせて、この3種の神器を必ず揃えておきましょう。これらは、製薬会社にお願いすると送ってもらえます。そして、次に必須の情報が厚労省医薬品等安全性情報とDSU解説です。これは、毎月発刊される「日薬医薬品情報」に掲載されています。
 加えていうならば、製薬会社の「製品情報概要」は、薬理作用を理解するためにはとても役に立ちます。添付文書の薬理作用はむずかしくて、よくわからないことが多いのですが、製品情報概要の薬理作用は、理解してもらえるように書こうという努力がみられます。それに、最近は昔と違って、製品情報概要は淡々と書かれるようになり、"売らんかな"というスタンスが感じられないような資料になってきました。製品情報概要もぜひ揃えておきたいものです。
 さらに、医薬品情報を活用するためには、1次資料、2次資料の利用、つまり「文献の検索や収集をどうするのか?」。そして、3次資料として「書籍・データベースをどう利用するのか?」ということが、大切になってくるかと思いますが、それはまたの機会にお話ししましょう。
 さぁ、今日から新たな気持ちで頑張りましょう。患者さんのために、自分のために、そして未来のために。

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