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がん薬物療法に携わる薬剤師

2017年03月10日登載/2017年03月作成

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  • 加藤 敏明 先生

    加藤 敏明 先生

    NTT東日本関東病院
      薬剤部 薬剤部長
    がん指導薬剤師、
    がん専門薬剤師

  • 鈴木 美和子 先生

    鈴木 美和子 先生

    NTT東日本関東病院
      薬剤部

専門薬剤師から病棟・外来・新人まで全員で
がん患者の薬物療法をトータルにサポート

【患者が安心してがん薬物療法に取り組めるよう全員で支援】
NTT東日本関東病院

 NTT東日本関東病院(627床・亀山周二 院長)は、1951年に日本電信電話公社の職域病院として開設され、86年に保険医療機関の指定を受けて一般に開放された。以来、東京都品川区・大田区の基幹病院として高度医療を提供し続け、地域がん診療連携拠点病院、東京都災害拠点病院にも指定されている。

 がん医療の分野では5大がんのほか食道がん、泌尿器がん、婦人科がん、血液がんなどの診療にも定評があり、チーム医療を基盤に集学的治療に取り組んでいる。薬剤部(常勤薬剤師40名/2016年9月現在)の業務においてもがん医療は重要な位置を占め、薬物療法を中心にがん患者の支援を行っている。

写真1

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化学療法センター。専有面積404m2のゆったりしたスペースは個室タイプとオープンタイプの治療室に区切られており、より安全で快適な治療環境を目指している。

 同病院においても薬物療法は入院治療から外来治療にシフトしており、12年にリニューアルした化学療法センター(20床)では月800件の外来化学療法を実施している(写真1)。「患者さんは自宅でのセルフケアが基本になってきたので、化学療法に対するきめ細かい指導がより重要になってきました」と薬剤部長でがん指導薬剤師・がん専門薬剤師の加藤敏明氏は話す。

 入院中に薬物療法が開始されると病棟薬剤師が、外来の場合は外来フロアに設置された「お薬相談室」に配置されている薬剤師が患者への薬物療法の説明を受け持つ。「投与スケジュールのほか、起こりやすい副作用を中心に出現しやすい時期、対処法などを説明し、患者さんが安心して薬物療法に取り組めるようサポートしています」(加藤氏)。

 新人薬剤師も入職後半年をめどに化学療法を受けるがん患者のサポートに入るため、どの薬剤師が担当しても一定の水準を保てるようレジメンごとに説明書を作成し活用している。「説明書には薬剤部で検討した副作用対策なども盛り込んでいます。若手薬剤師にとって、このような説明書を作る過程も勉強になり、がん薬物療法の知識の底上げに役立っていると思います」と加藤氏は取り組みを振り返る。

【多職種連携の緩和ケアチームの活動に重点的にかかわる】

 一方、緩和ケアに関しても充実しており、緩和ケア外来、緩和ケアチーム、緩和ケア病棟とすべての機能が揃っている。このうち薬剤師が重点的にかかわっているのが緩和ケアチームの活動だ。コアメンバーは、緩和ケア医、がん性疼痛看護認定看護師、薬剤師、精神科医、心療内科医で構成されており、サポートメンバーとしてペインクリニック科医、臨床心理士、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、がん相談支援センターのがん専門看護師、医療ソーシャルワーカーが加わる。

 「主治医から介入依頼があった入院患者さんの身体的・精神的・社会的な苦痛に対し、コンサルテーションを中心にサポートを行っています」と緩和ケアチームのメンバーの鈴木美和子氏は説明する。コアメンバーのうち緩和ケア医、がん性疼痛看護認定看護師、薬剤師の3名で毎日病棟を回診し、介入依頼のあった患者の訴えを聞いていく。「常に15人前後の患者さんを診療し、身体的な問題であれば自分たちで対応します。精神的な問題は必要に応じて精神科医、心療内科医が対応し、社会的な問題はがん相談支援センターのがん専門看護師や医療ソーシャルワーカーに紹介しています」(鈴木氏)。

鈴木 美和子 先生

鈴木 美和子 先生
「多職種チームの中でしっかり薬剤師の役割を果たせるようコミュニケーション能力も高めていくことが大切だと思っています」

 緩和ケアにおいても、薬剤師の役割は薬物療法にかかわるサポートが主となる。緩和ケア医をはじめ各診療科の医師が処方した薬剤が適正に使用されているか、重複投与や相互作用の危険性はないかなど薬学的観点から確認を行い、安全で効果の高い薬物療法を目指す。

 「医療用麻薬に関する説明や指導については看護師もかなり力を入れており、独自にパンフレットを作成しているほどです。当院でも高齢者の患者さんが増えていて、薬剤師だけの説明では不十分なので、他職種とも連携しながら必要な人に適切な薬物療法の支援が行われるように努力しています」と鈴木氏。こうした観点から緩和ケアチームでは合同カンファレンスを重視しており、週1回、コアメンバーとサポートメンバーである8職種のメディカルスタッフが10名以上集まり、それぞれの専門的視点から困難な事例を中心に介入方法について話し合いを重ねているそうだ(写真2)。

写真2

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合同カンファレンスの様子。

【専門薬剤師と病棟薬剤師が協働し継続的な支援を心がける】

 今後の課題について加藤氏は「マンパワーの問題があり、緩和ケア外来や緩和ケア病棟でのサポートが十分に行えていないことです。将来的には一般病棟と同じように緩和ケア病棟にも薬剤師を常時配置していきたいと考えています」と打ち明ける。
 また、一般病棟においてもがん患者が入院する病棟は10病棟あり、3人のがん専門薬剤師と病棟薬剤師との協働を心がけているという。

 「一般病棟では緩和ケアに関する情報提供をできるかぎり行い、私たちがサポートする患者さんのオピオイド薬が変更になったときなど、病棟薬剤師に継続的に観察してもらえるようダイレクトに頼んでいます」と鈴木氏は話す。こうした協働を行うには、薬剤部全体の緩和ケアに関する知識の底上げが欠かせない。がん診療連携拠点病院である同病院は年2回、医師向けの緩和ケア研修会を開催しているが、メディカルスタッフも参加できる場合があるため、こうした場を利用しながら薬剤師も知識の充実を図っていきたいという。

加藤 敏明 先生

加藤 敏明 先生
「高度医療を支える立場であるため、薬剤部の方針としてはベースが固まった段階で、スタッフが何らかの専門資格を取得することを奨励しています」

 一方、緩和ケアにかぎらず、個々の薬剤師にかかる負荷を薬剤部全体で分担することによって部内にも余力が生まれ、新たな活動にも取り組みやすくなると加藤氏は考える。「マンパワーを確保し、お薬相談室を継続的な外来フォローの拠点として活用し、診療報酬も算定できるようにしたいと思います」と加藤氏は将来の計画について語る(写真3)。

 外来フォロー体制の構築にあたっては薬薬連携が不可欠となることから、地域の保険薬局と「顔の見える関係」を築くための模索も始まっている。「近隣の保険薬局との勉強会を開催し、当院がどのようながん薬物療法と情報提供を行っているのかを知ってもらったうえで保険薬局に期待する役割について伝えることから始めていこうと思っています」と加藤氏。地域完結型医療に転換する中、こうした交流を積み重ねながら病院薬剤師と保険薬局薬剤師が業務を分担していくことがこれからは必要になってくることも加藤氏は感じている。

写真3

写真3

外来の薬カウンターに隣接して設けられた「お薬相談室」。
将来的には、外来で化学療法や緩和ケアを受ける患者を継続的に
フォローしていく拠点したいと考える。

【がん医療の分野でも医療安全対策に主導的に取り組む】

 「ハイリスク薬が使用されるがん薬物療法において安全性を確保することも薬剤師の重要な仕事の一つである」という認識のもと、薬剤部では化学療法センターがリニューアルする際にハザード室を併設してもらえるよう働きかけ、以来、がん薬物療法で使用される抗がん剤の調製はすべてハザード室の安全キャビネットで防護服を着用した薬剤師が行っている(写真4)。

 また、2015年に『がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン』が発表されたことを追い風に、薬剤師、医師、看護師、事務職で構成される「抗がん剤曝露対策ワーキング・グループ」を薬剤部が主導する形で院内に発足させて曝露対策の検討を開始し、2016年には閉鎖式接続器具を導入した。

 「抗がん剤の調製だけでなく、外来や病棟での使われ方まで一貫して安全性に責任を持つことは薬剤師に課せられた大事な役割です。当院では薬物のリスクマネジメントに関して薬剤師が主導的に実施する体制が整っています」と加藤氏は説明する。これからも薬剤部の重点項目の一つとして取り組んでいきたい考えだ。

写真4

写真4

化学療法センターをリニューアルする際に設置したハザード室。
誤投薬予防、曝露予防対策のため専任の薬剤師を配置している。

【よりよいがん薬物療法のために正しい情報発信にも努める】

 また、鈴木氏はよりよいがん薬物療法を実践するためには一般への啓発活動も欠かせないと感じている。「とくに医療用麻薬に関しては誤解されていることが多いので、正しい情報を届けることが大切です」と鈴木氏。「なごみ会」と呼ばれる院内のがん患者会では患者や家族向けのミニ講演会を定期的に開催しており、「このような場を活用し、まずは当院を利用される患者さんやご家族に対して積極的な情報発信に努めていきたい」と鈴木氏は語る。

 日本緩和医療薬学会では2016年度から「麻薬教育認定薬剤師」制度をスタートさせた。ゆくゆくはこうした資格を取得することも視野に入れながら、鈴木氏は啓発活動の対象を地域住民にも広げていくことを目標に据える。

 一方、マネジメントを預かる加藤氏は、ジェネラリストとしてのベースをしっかり固めたうえでがん薬物療法のスペシャリストを育てていくことを検討している。「医師の専門分化が進んでいるため、これからの薬剤師にはがんと他の病気を合併している場合の管理など幅広い知識が求められるようになってくると思います。そして薬剤師が横断的に動けてこそ、がん薬物療法の質もさらに向上すると考えます」と加藤氏。

 NTT東日本関東病院薬剤部では、こうした領域を超えた能力を発揮することを最も期待されているがん医療の現場から薬剤師の新たな役割を模索し始めている――。

KK-17-03-17664

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